NOAH'S ARK

NOAH'S ARK

動物と自然、そして人間との共存をテーマに描いた、セミドキュメンタリー作品集。ペットブームの裏で問題となったペット廃棄の真実や、社会の繁栄で居場所を奪われた動物たちなど、その生き様をリアルに描く。「週刊少年チャンピオン」および「つりコミック」に掲載された13のエピソードが収められている。

正式名称
NOAH'S ARK
ふりがな
のあず あーく
作者
ジャンル
動物・ペット
レーベル
ミッシィコミックス(宙出版)
関連商品
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概要・あらすじ

本庄敬は、動物マンガを描き続ける売れない漫画家。ある日、自宅兼職場でもあるスタジオで仕事をしていると、どこからか猫の鳴き声が聞こえる。声をたどって調べてみると、自宅の車庫に仔猫が捨てられていた。しかし、動物は自然に生きるのが一番、と頑なに信じていた本庄は、本庄のアシスタントたちの「飼ってあげては」という訴えに耳も貸さず、ついには近所の人に仔猫を預け、ある施設に送ってもらうことにした。

その後、しばらく経って本庄は、漫画雑誌の編集者の紹介で、東京都の動物管理事務所に取材に赴くことになる。そこは、かつて見つけた仔猫たちが送られた場所だった。多少の気後れを感じつつも、本庄は事務所への取材を行い、そこで都会に住む動物たちの生き様を思い知ることになる。

(エピソード「猫に会い犬に会う」)

登場人物・キャラクター

本庄 敬 (ほんじょう けい)

エピソード「猫に会い犬に会う」「NOAH'S ARK終章」に登場する。ウェリントンタイプのメガネをかけ、もみ上げとつながる豊かな髭を生やしている。漫画家で、職場は自宅を兼ねた都内の一軒家。自宅の車庫で野良猫を拾った経験や、東京都動物管理事務所への取材を経て、現在の動物と人間の関係に複雑な思いを抱く。普段は標準語でしゃべるが、酒に酔ったりすると、出身地でもある北海道の訛りが出る。 作者である本庄敬本人。

岡村 (おかむら)

エピソード「猫に会い犬に会う」に登場する。東京都動物管理事務所の西部支所で働く獣医師の若き青年。人間の身勝手によって、動物たちが処分されなくてはならないことに、憤りを感じている。動物を助けるという理想と、処分しなくてはならない現実との乖離から、獣医師になった意義・目的を見失いつつある。逃避のため、二日酔いになるほど酒を飲む日々を送っている。

ブン

エピソード「猫に会い犬に会う」に登場する。東京都動物管理事務所の西部支所で保護されているオスの秋田犬。飼い主の影響か、人間を見ると遊んでもらえると思い、すぐに腹を見せるような人懐っこい性格。岩倉学の家で飼われていたが、繋がれていた鎖が老朽化していたため外れてしまい、周囲を徘徊している際に保護された。

岩倉 学 (いわくら まなぶ)

エピソード「猫に会い犬に会う」に登場する。ブンの飼い主で、まだ小学生の少年。いなくなってしまったブンを捜すために、連日学校を休んで、友人と共に街に出かけている。

宇田川 潔和 (うだがわ きよかず)

エピソード「サルの国から」に登場する。動物園「さるのくに」で働くことになった、18歳の男性新米飼育員。動物が好きで飼育員になったが、あまり動物に対しての詳しい知識はなく、少し頼りないところがある。園内に52匹いる猿のうち、最も格下であるリンゴにまで威嚇され、序列最下位という扱いを受けている。

シェリー

エピソード「麻犬シェリー」に登場する。一般家庭で飼われていた、メスのシェパード犬。非常に鋭い嗅覚と集中力を持つ。飼い主から見放されて保健所に送られた。藤田に素質を見出され、麻薬探知犬としての訓練を受けることになる。1981年に国内第1号の麻薬探知犬として認定された、同名の犬がモデルとなっている。

(きつね)

エピソード「森の詩が聞こえる」に登場する。とある森に住む1匹の狐。表面的には非情に振る舞っており、親を殺されて身寄りをなくした仔鹿を見捨てる。しかし、その後、なんだかんだで、自分についてきてしまった仔鹿の面倒を見ることになる。

川又 (かわまた)

エピソード「猟獣鬼」に登場する。かつて羆撃ちとして名を馳せた72歳の男性。顔の左側面に大きな傷を持つ。大勢で羆を狩る「巻き狩り」には参加せず、1人で羆を狩る「独りマタギ」を貫き通した。顔の傷は、羆狩りの際に反撃を受けて付けられたもの。現在は一線を退いている。赤毛の巨羆が現れたという話を聞くたびに、自分では何もできないことを悔やみ、1人で飲み歩いている。

ウミネコたち

エピソード「だし風」に登場する。北海道の西海岸で暮らすウミネコたち。人間たちが漁をした後、廃棄する残飯を漁って生きている。あまり自分たちで食料を取ろうとはしない怠け者。またニシンが次第に取れなくなったことに不満を抱き、「コウナゴやイワシ、イカは食べ飽きた」というなど、意外にグルメ。新しい食料を求めて、今度は人間たちが新たに取り始めた、ホッケを食べてみようと画策する。

石川 源太 (いしかわ げんた)

エピソード「もう一つの犬が消えた日」に登場する。1942年の東京に住む少年。まだ戦争に行くということがどういうことか、はっきりと理解できない程度の年齢。純粋に「お国のためになるのはいいこと」と信じている。自分の飼い犬であるゼロが、軍用犬として活躍できるよう、爆竹を投げつけたり、煙の中でも動けるようにと、強引な訓練を行う。 本人にはゼロをいじめている意識はなく、純粋に愛情を持って接している。

小野 (おの)

エピソード「ギザ耳のザギ」に登場する。6か月前に北海道の小学校に赴任してきた新任の男性教師。自然溢れる北海道の環境に憧れている。赴任当初は、周辺に現れる狐のザギに餌をやりつつ、それをきっかけに生徒たちとも仲良く触れ合う。しかし、狐から感染するエキノコックスの脅威が知られるようになり、意図的にザギを追い払った。 そのため、生徒たちから距離を置かれるようになってしまう。

カワウソ

エピソード「秋霖」に登場する。とある川べりで暮らすカワウソ。自然を破壊し、生態系まで変えていく人間たちを信用していない。さらに、周辺が暮らし難くなったため、住処を変えるかどうか思い悩んでいる。

財津 (ざいつ)

エピソード「マッシュ~明日への出発~」に登場する。北海道に暮らす目つきの悪い少年。学校をサボって煙草を吸うような不良少年だった。しかし、自分の価値に疑問を持つようになり、せめて何かを成そうと、犬ぞりレースへの出場を目指す。またその頃から、学校もサボらないように決めるなど、更生の余地が見えた。しかし、本性は不良のまま。 犬ぞりレースに出場するために飼っている犬たちの面倒も、おざなりにしか見ていない。偶然、レラと出会ったため、いっそう犬ぞりレースへの意欲に燃える。

本庄のアシスタント (ほんじょうのあしすたんと)

エピソード「猫に会い犬に会う」「NOAH'S ARK終章」に登場する。本庄敬のアシスタントをしている男性2人。2人とも動物が好き。本庄家の車庫にいた野良の仔猫を発見し、飼おうと提案した。しかし、本庄に却下され、明らかな不満顔を見せた。本庄と仲が悪いわけではなく、いつもは一緒に飲みに行くほどの仲で、割と言いたいこともはっきりと言う、気の置けない関係。

中村 (なかむら)

エピソード「猫に会い犬に会う」に登場する。本庄敬と付き合いのあるマンガ雑誌編集者の男性。本庄が「都会での動物と人間の共存をテーマに描きたい」と申し出たところ、東京都動物管理事務所に取材を申し込み、本庄らを連れて行く。

田中 (たなか)

エピソード「猫に会い犬に会う」に登場する。東京都動物管理事務所で働く獣医師の男性。取材に来た本庄敬らに、事務所での獣医としての仕事を説明。事務所に連れられてくる動物が多いことに、心を痛めている。

猫を探すお婆さん (ねこをさがすおばあさん)

エピソード「猫に会い犬に会う」に登場する。東京都動物管理事務所の西部支所を訪れたお婆さん。3年も前に行方不明になってしまった猫を探しており、猫が保護されていないかを確認するため、毎週必ず一度は事務所を訪れている。

学の母親 (まなぶのははおや)

エピソード「猫に会い犬に会う」に登場する。岩倉学の母親。学の情操教育のためにと、ブンを飼い始めた。ブンが予想以上に大きくなり、手がかかるようになってしまったため、苛立ちを覚えていた。ブンが行方不明になった後、学が学校や塾をサボっていることを聞き、すべてブンのせいだと憤慨する。

リンゴ

エピソード「サルの国から」に登場する。動物園「さるのくに」にいる猿のうち、最も序列の低い52番目のオス猿。人間でいえば40歳ぐらいの年齢。しかし、まだ親離れができず、ほかの猿から嘲られている。愛情の表れなのか、育児が上手くいかないストレスなのかは不明だが、母親猿に毛をむしられ、額中央部が大きく禿げている。

スミ

エピソード「サルの国から」に登場する。動物園「さるのくに」にいるメス猿。園内の猿の中で最も長寿の30歳で、人間に換算すると90歳ぐらいの老猿。非常に頭が良く、飼育員として認めた相手から名前を呼ばれると、返事をすることができる。子育てが上手く、息子のスイカは猿の中の序列2位、孫のミネも序列3位につけている。

ベン

エピソード「サルの国から」に登場する。動物園「さるのくに」にいる猿のうち、序列1位のオスのボス猿。非常に威厳のある猿で、気遣いのできるマメな性格。かつて野ザルの猿山への侵入を許して仲間が傷を負って以来、こまめに園内を周回して警戒するのが日課。

アケビ

エピソード「サルの国から」に登場する。動物園「さるのくに」にいるメス猿で、自閉症の症状があり、声を出すことはない。死んでしまった仔猿を抱えたまま暮らしており、周囲の猿たちから距離を置かれている。

ユーコン

エピソード「麻犬シェリー」に登場する。実在した麻薬探知犬。1979年7月にアメリカの税関麻薬探知犬訓練センターから派遣され、日本の空港内で活躍していた。

藤田 (ふじた)

エピソード「麻犬シェリー」に登場する。東京税関麻薬探知犬訓練センターで働く男性。アメリカの麻薬探知犬訓練センターで研修を受けた。その経験をもとに、国内初の麻薬探知犬の育成を指揮する立場となる。宮崎からアドバイスを受けて保健所を訪れ、シェリーと出会った。

宮崎 (みやざき)

エピソード「麻犬シェリー」に登場する。東京税関麻薬探知犬訓練センターで働く男性。髪を短く刈り上げた、爽やかな容姿が特徴。訓練センターで働く職員の中でも、犬の扱いに長けており、シェリーを、麻薬探知犬として育成する担当官となる。

仔鹿 (こじか)

エピソード「森の詩が聞こえる」に登場する。森の王者に親鹿を殺され、1匹になってしまった仔鹿。森の王者が食べ残した親鹿のおこぼれに与りに来た狐と出会い、その後についていく。一時は狐に連れられ、他の鹿の群れに合流しようとした。しかし、無垢で純真だが、気の弱い性格が災いして拒絶され、結局、狐と行動を共にすることになる。

森の王者 (もりのおうじゃ)

エピソード「森の詩が聞こえる」に登場する。狐や仔鹿が住む森で、王者として君臨している巨大な羆(ひぐま)。その実力から、基本的には好き勝手に振る舞っているが、自然の摂理に反するようなことはしない。仔鹿をかばって、自分の前に立ちはだかった狐を、見逃すような男気も持ち併せる。

川又の家族 (かわまたのかぞく)

エピソード「猟獣鬼」に登場する。家族構成は、川又とその妻である千代、息子の敦司とその妻である晴美、そして孫の拓郎とペットの阿久。街のはずれで牧場を営んでおり、牛たちの面倒を見ながら暮らしている。ある日、川又が病院に通っている隙に赤毛の巨羆に襲われ、ペットの阿久を除いた全員が命を落とす。

阿久 (あく)

エピソード「猟獣鬼」に登場する。川又の羆狩りの相棒として働いていた犬。川又がマタギを引退した後は、普通のペットとして川又家で飼われている。

赤毛の巨羆 (あかげのおおくま)

エピソード「猟獣鬼」に登場する。川又の住む街に頻繁に現れる巨大な羆。毎年のように里に下りてきては、街に被害をもたらす。猟友会がやっきになって討伐しようとしているが、頭が良く、なかなか狩ることができない。

松倉 さよ子 (まつくら さよこ)

エピソード「もう一つの犬が消えた日」に登場する。石川源太の幼なじみの少女。動物愛にあふれる性格。かつてアルフとフリッツという犬を飼っていたが、軍用犬として徴収された。そのとき、「多くの兵を徴兵した上、犬まで戦地へ連れていくのか」と涙を流した。また、源太がゼロに無茶な訓練を行っているのを見たときは、それを諌め、「軍用犬になったら戦死するかもしれない」と忠告する。 実家は刺繡屋を営んでおり、皇族から仕事を受注するほどの家柄。

ゼロ

エピソード「もう一つの犬が消えた日」に登場する。石川源太に飼われている犬。普通の雑種犬で、源太の父親いわく「雑種のバカ犬」。実際に、あまり勇ましい性格であるとはいえず、爆竹に驚き、煙を嫌がる性格の持ち主。近所の家に忍び込んでは、いたずらをして迷惑をかけることもある。しかし、東京が空襲に見舞われた際、人間や空襲警報よりも、かなり早い段階で危険を察知。 吠えたてて周囲の人間に伝えたため、近所で賢い犬として重宝されることになる。

ザギ

エピソード「ギザ耳のザギ」に登場する。小野が働く小学校の周辺に現れるキタキツネ。左耳の一部がギザギザに裂けているため「ザギ」と名付けられた。小野やその生徒たちの手から、直接餌を食べるほどにまで懐いていた。しかし、狐から感染するエキノコックスの危険性を知った小野から、石を投げつけられるなどの行為を受け、次第に人間に対して心を閉ざし、自然へと帰っていく。

下田 一機 (しもだ かずき)

エピソード「マッシュ~明日への出発~」に登場する。財津と同じ学校に通っている少年。財津いわく「品行方正を絵に描いたような人間」で、純粋無垢な性格。実家がペットショップを営んでおり、その関係から毎年犬ぞりレースに出場。去年は入賞を果たした。今年の犬ぞりレースに財津が出ることを知り、同じ出場者として何かと世話を焼いたり、共通の話題で盛り上げようと、話しかけてくる。

レラ

エピソード「マッシュ~明日への出発~」に登場する。財津の前に現れた謎の犬。人の心の中まで見通すような、深く蒼い瞳を持ち、額に特徴的な十字模様がある。犬ぞりレースの訓練をしていた財津と犬の前に現れた。それまでのリーダー犬を軽く一蹴し、4本のタイヤを軽々を牽くことができるほどの体力を誇る。過去に飼い主を自動車事故で亡くした経験があり、財津がトラックに轢かれそうになったときには、身の危険を顧みずに助けに入った。

場所

東京都動物管理事務所 (とうきょうとどうぶつかんりじむしょ)

エピソード「猫に会い犬に会う」「NOAH'S ARK終章」に登場する。東京都に実在する施設。衛生局生活環境部に属し、東京都には4つの支所と1つの動物愛護センターがある。飼い主の不明な動物や、飼い主が手放した動物を保護・管理し、新たな引取先を探すことが主な職務。施設内には獣医などが常勤しており、保護された動物たちは、この中で6日間手厚く保護される。 期限を過ぎてしまった場合は、終末処分を受けることになる。

さるのくに

エピソード「サルの国から」「NOAH'S ARK終章」に登場する。アミューズメントパーク。東京から急行電車で1時間、さらに、そこからケーブルカーを乗り継いだ場所にある。園内に多くの猿が住む動物園で、飼育員と連れ立って、間近に猿と触れ合う体験もできる。

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