あらすじ
戸的めぐみは、登校途中に生まれたばかりの子猫が捨てられているのを見つけるも、遅刻しそうなためカラスに襲われないように、みかん箱に重しを乗せて、その場をあとにする。放課後、友達といっしょに子猫のもとに向い、子猫が無事なことを確認すると、めぐみは自分の家で飼うために保護する。帰宅後、動物病院やペットショップで必要な検査やエサを購入して、さらに両親からも許可を得ためぐみは、母親から動物を飼うことの責任の重さと、命を預かるということの重大さを学ぶのだった。(エピソード「ぷろろーぐ」)
トマト部屋の力士、活火山と静岡は、庭に野良猫がいるのを発見するものの、人間を怖がってすぐに隠れてしまう。それでも根気よく仲間の力士と協力して無事に野良猫を保護するものの、トマト部屋にはすでにムギがいるので飼うことはできない。しかし、野良猫の健康状況から飼われていた猫だと察した活火山たちは、女将(おかみ)からトマト部屋で1週間保護する許しを得て、そのあいだに飼い主を探すことにする。そんな中、飼い主から連絡を受けるものの、猫は捨てたものだと判明する。なんとか女将から飼う許可をもらった活火山と静岡は、猫に「ポー」と名づけてトマト部屋の新しい家族として迎えるのだった。(エピソード「若人達」)
最近のムギはおもちゃを目の前にしても無反応で、おもちゃを片付けるといきなり興味を示すことを繰り返していた。そんなムギの様子を見ためぐみは、ムギがおもちゃに飽きたのだと思い、新しい遊びを考えるためにトマト部屋の力士たちに相談する。力士たちは自分たちが子供だった頃の遊びを語り出すものの、どれも猫にはできそうにないものばかりだった。(エピソード「新しいあそび」)
登場人物・キャラクター
戸的 めぐみ (とまと めぐみ)
捨て猫を「ムギ」と名づけて飼っている女子高校生。周囲からは「めぐ」と呼ばれている。父親は元力士で相撲部屋「トマト部屋」の親方を務め、母親は部屋の女将をしている。元気一杯で明るく前向きな性格をしている。母親から子猫の世話を手伝わないと言われたが、自分だけでムギの面倒とみると宣言して有言実行している。ムギとの生活は楽しいことや大変なことを経験しながらも、さまざまな人たちと出会って賑(にぎ)やかな毎日を送っている。高校卒業後は捨てられた動物を救いたいとの思いから、獣医学の道に進むことを望んでいる。
ムギ
戸的めぐみに拾われ、飼われることになった猫。猫種はアメリカンショートヘアのメス。目も開いていない生後間もない頃、めぐみに拾われて飼われるようになった。めぐみの家は相撲部屋で、所属する力士やめぐみの父親である親方からも愛されてすくすくと育つ。「ムギ」という名前は、めぐみが仮の名前として祖母の名前を付けたところ、周囲にその名前が認識されたので正式に命名された。好奇心旺盛でお転婆な性格をしており、家中を我が物顔で走り回っている。
活火山
トマト部屋に所属する力士の青年。北海道出身で、仲間思いの穏やかな性格。休日はよく秋葉原に出かけている。トマト部屋で飼われるようになったムギをかわいがり、戸的めぐみの手伝いも積極的にしている。野良猫が庭に迷い込んだ時も保護し、飼い主探しを率先して行なっていた。野良猫をトマト部屋で飼うことが決まると、静岡と共に「ポー」と名づけて世話をしている。虫が大の苦手。
伊太錦 (いたにしき)
トマト部屋に所属する力士の青年。イタリア出身。来日当初はちゃんこ料理をはじめとした日本の食事に慣れずに体調を崩し、言葉もうまくしゃべれなかったためホームシックになってしまう。童話のアニメや本で毎日日本語の勉強をしている。ムギやポーのことをかわいがっており、同じ部屋の力士たちと共に猫を優先した生活を送っている。
静岡
トマト部屋に所属する力士の青年。静岡県出身。力士になる前は地元で暴走族を率いていた。力士になってからは礼儀を身につけたことから、穏やかな性格となった。他者にも優しく接することができるようになり、ムギがやって来てからはムギのことを第一に考えるようになる。野良猫が庭に迷い込んだ時も保護し、飼い主探しなどを率先して行っていた。野良猫をトマト部屋で飼うことが決まると、活火山といっしょに「ポー」と名づけてムギと同じようにかわいがっている。
吉四六 (きっちょむ)
トマト部屋に所属する力士の青年。国立大学卒業後に、トマト部屋に弟子入りした変わった経歴の持ち主。部屋の中で一番の年長者で頭脳明晰(めいせき)。マイコンを使ってプログラムを組み、取り組みの分析を行っている。ムギやポーのことをかわいがっており、同じ部屋の力士たちと共に猫を優先した生活を送っている。
ポー
トマト部屋で飼われている黒猫。猫類は不明で性別はオス。もともとは人に飼われていたが、病気になったことで捨てられてしまう。トマト部屋の庭に迷い込んだ際に、トマト部屋の力士たちに保護された。その後、飼い主に捨てられたことが判明し、活火山と静岡の懇願もあってトマト部屋で飼われることとなった。尻尾がふさふさで黒いことやポメラニアンに似ていることから、活火山と静岡に「ポー」と名づけられた。内気で怖がりな性格をしている。最初はいつも部屋の隅にいたが、生活に慣れるとムギともなかよくなって、家中を我が物顔で走り回るようになる。
場所
トマト部屋 (とまとべや)
東京台東区にある相撲部屋。親方は戸的めぐみの父親が務め、親方自身も大関昇進にせまった実力ある力士だった。所属する力士は活火山、伊太錦、静岡、吉四六の四人。地元の人たちに愛されている相撲部屋で、ムギやポーを飼うようになってからは猫部屋としても噂(うわさ)が広まり、猫好きの聖地として認識されている。