NOBLESSE

NOBLESSE

高貴な血を引き、人知を超えた力を持つノブレスであるカディス・エトラマ・デ・ライジェルと、彼に付き従うフランケンシュタイン、そして私立江欄高校の仲間たちや、謎の実験によって改造された人間を使って暗躍する「組織」など、ライジェルたちを取り巻く人々との交流や争いを描くダークファンタジー。すべてのページがフルカラーで描かれている。「LINEマンガ」で2017年から配信の作品。

正式名称
NOBLESSE
ふりがな
のぶれす
原作者
Jeho Son
漫画
ジャンル
ダークファンタジー
関連商品
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あらすじ

ノブレスの目覚め

私立江欄高校に、素性の知れない青年が現れる。彼と出会った田代祐介浦崎は、青年が江欄高校の制服を着ていることから転校生であると判断し、理事長であるフランケンシュタインに対面させる。フランケンシュタインは、転校生の予定などなかったはずだと訝(いぶか)しむが、その前に現れたのは、およそ800年前に離れ離れになっていた主君であるカディス・エトラマ・デ・ライジェルだった。フランケンシュタインは、行方が知れなくなってすぐに、ライジェルがつい最近まで棺の中で眠り続けていたことや、何者かの手によって江欄高校の制服を着用した状態で眠りから覚まされ、本能の赴くままに江欄高校に向かっていたことを聞かされる。そして、主が無事であったことと、再び巡り合えたことを喜びつつ、理事長権限で彼を正式に江欄高校の生徒として迎え入れ、800年のあいだで様変わりした社会常識に慣れるためのサポートに徹する。ライジェルは、その美貌と浮世離れした雰囲気でクラスメイトたちの注目を浴び、田代や加瀬学岩田恵たちと友人となる。そして、学校の授業や田代たちとの交流を通じて、現在の世界とそこに生きる人間たちに興味を抱く。

謎の襲撃者

カディス・エトラマ・デ・ライジェルは、放課後に田代祐介加瀬学と共にネットカフェで対戦ゲームを楽しむが、その帰り道に岩田恵感染者に襲われている姿を目撃する。感染者は田代によって退けられ、岩田も無事に助けられる。田代たちは、襲撃してきた男が度を超えたタフネスを備えていたうえ、皮膚の色が青黒く、瞳が赤く輝いているという異様な風貌であったことに不気味さを感じる。どうにかその場を逃れて一息ついた一行だったが、ライジェルが自身の住所を知らないという驚愕(きょうがく)の事実が判明し、あらかじめライジェルに渡されていたメモを頼りにフランケンシュタインと連絡を取り、彼の家に招かれる。そして、ライジェルがフランケンシュタインと同居していることに驚きつつも、今後もライジェルと友人として接することを決める。ライジェルから襲撃してきた感染者の詳細を聞いたフランケンシュタインは、ヴァンパイアが表立って人間を襲うようになったのではないかと訝しむが、ヴァンパイアを見抜く力を持つライジェルが反応を示さなかったことから確証には至らなかった。田代に手痛い反撃を喰らい、復讐(ふくしゅう)心を燃やす感染者は、M-21M-24と合流し、岩田を捕らえて田代を呼び出す。そして、田代の人間としては規格外といえる強さに興味を持ち、感染者を戦闘不能に追い込めば岩田を解放することを約束する。これを受けた田代は感染者に果敢に挑み、技術の差で圧倒するも、いくら攻撃を受けても動き続ける感染者を前に次第に苦戦を強いられる。そこにライジェルとフランケンシュタインが駆け付けると、強い魔力を発揮してM-21とM-24に大きなダメージを与え、即座に戦闘不能に追い込む。

実験体

M-21M-24は、カディス・エトラマ・デ・ライジェルフランケンシュタインに完膚なきまでに敗れ去り、田代祐介たちに二度と手を出さないことを条件に見逃される。彼らがいつでも自分たちを殺害できることを理解したM-21はこの条件を飲み、手下の感染者にもそのことを厳命する。M-21がフランケンシュタインから負わされた傷の再生が遅く、M-24もまた、ライジェルに精神をコントロールされたような実感があることから二人を要注意人物と認識しつつ、内心で反抗心を抱いている「組織」に対して報告をしないことを決める。そんな中、M-21たちの前にジェイクマリが現れ、高圧的な態度で情報交換を持ちかけてくる。フランケンシュタインの攻撃によるダメージが残っているM-21は、ジェイクたちに虚偽を織り交ぜた報告を行い、ライジェルやフランケンシュタインの存在を知られないままその場を乗り切る。しかし、ジェイクは感染者をそそのかすことで「組織」から非推奨とされている大量殺人をわざと引き起こさせ、その罪をM-21たちに擦(なす)り付けようとする。さらに、感染者やM-21を目撃した田代たちを始末するために動き出すが、そこに現れたフランケンシュタインと交戦する。フランケンシュタインの魔力は圧倒的で、ジェイクは右腕を変形させて挑みながらも完敗し、M-24と同様に再生不可能な傷を負う。それを目の当たりにしたマリは、フランケンシュタインの力と素性に興味を抱きつつ、情報整理とジェイクのケガの治療のため、「組織」の有力者であるドクター・クロンベルが訪れている支部へと帰還する。一方のM-21とM-24は、ジェイクの策謀で「組織」から追われることを防ぐべく、ライジェルとフランケンシュタインを呼び出し、改めて敵対する意思がないことを示すと共に、「組織」に関する情報の交換を申し出る。

ドクター・クロンベル

フランケンシュタインの攻撃によって重傷を負ったジェイクは、マリと共に支部に帰還し、施設で治療を受けていたが、そこにドクター・クロンベルが現れる。クロンベルは、ジェイクの傷が一向に再生しないことを聞かされると、フランケンシュタインの魔力に興味を抱き、治療を兼ねてジェイクの傷跡を調査しようとする。ジェイクはクロンベルに利用されることに内心で憤るが、自らの体力を回復するために、この屈辱を受け入れ、やがて回復を果たす。一方、ジェイクから挑発を受けたM-21M-24は、自分たちの身がこれまで以上に危険なことを理解する。そして、これ以上「組織」からの心証を悪化させないため、危険を承知でドクター・クロンベルのもとへ赴く。彼から改造による副作用を完全に消す方法があることを告げられるが、罠(わな)の可能性が否めない状況であることからこれを断る。いよいよあとがなくなった二人は、いちかばちかの賭けに出て、カディス・エトラマ・デ・ライジェルとフランケンシュタインに庇護を求め、本格的に「組織」を離れることを考え始める。そこにジェイクとマリが感染者を伴って現れ、行動を共にするよう強要される。進退窮まった二人はやむなくジェイクに同行しつつ、ライジェルと接触するスキをうかがうことになる。

ジェイクの暴走

私立江欄高校では、ジェイクにそそのかされた感染者が近所の病院で大量殺人を引き起こしたことから、休校状態となっていた。ヒマを持て余していた田代祐介は、加瀬学岩田恵を伴ってフランケンシュタインの家に赴き、彼やカディス・エトラマ・デ・ライジェルと共にボードゲームに興じる。しかしマリや感染者、そしてM-21M-24を引き連れたジェイクに狙われる。ジェイクはその場で田代たちを殺害しようとするが、ライジェルとつながりを持ちたいM-21は、ジェイクとマリに対して「ほかにも仲間がいる」と言い含める。さらにマリが、田代たちがフランケンシュタインと関係がある可能性を考慮してこれに賛同し、ジェイクもひとまず彼らの殺害をあきらめ、三人を拉致することを決める。M-21は、ジェイクに怪しまれず、かつ彼らをできるだけ傷つけないようにしながら、ライジェルを呼び出すようにせまる。田代はM-21から害意を感じないことを不思議に思い、ライジェルへの連絡と偽ってフランケンシュタインの携帯電話に囚われている場所の住所を告げる。ジェイクは三人が用済みになったとみなし、感染者に対して田代へ復讐(ふくしゅう)するチャンスを与える。田代が感染者を圧倒すると、ふつうの人間では考えられない戦闘力を持っていることに興味を抱き、自分と戦うよう要求する。ジェイクと田代の力の差は圧倒的だったが、田代の友達を守りたいという思いに触発されたM-24が、ついにジェイクに反抗する。そして、田代たちを逃がすためにジェイクに挑むが、力及ばず倒されてしまう。ジェイクはそのまま田代たちにせまるが、そこにライジェルが現れる。ライジェルは、田代たちを傷つけたジェイクに静かな怒りを見せ、彼に一言「ひざまずけ」と静かに告げる。すると、ジェイクの身体が自然に動き、ライジェルにひざまずいてしまう。

メディアミックス

テレビアニメ

2020年10月から12月にかけて、本作『NOBLESSE』のテレビアニメ版『NOBLESSE』が、TOKYO MX、BS11で放送された。制作はProduction I.Gが担当している。総監督は多田俊介、監督は山本靖貴、シリーズ構成はハラダサヤカが務めている。キャストは、カディス・エトラマ・デ・ライジェルを新垣樽助、フランケンシュタインを平川大輔、田代祐介を岩崎諒太、加瀬学を浜田洋平、M-21を大西弘祐が演じている。

登場人物・キャラクター

カディス・エトラマ・デ・ライジェル

820年ものあいだ「聖域」と呼ばれる棺の中で眠り続けていた青年。何者かの手により眠りから目覚めると、学生服の姿で私立江欄高校に現る。そして江欄高校の理事長であり、カディス・エトラマ・デ・ライジェル自身の従者でもあるフランケンシュタインと話をつけると、彼のマンションで暮らしながら、学生生活を送ることになる。田代祐介とは江欄高校で最初に知り合い、クラスメイトになったことで親しくなる。その後、田代の友人である加瀬学や岩田恵ともなかよくなり、放課後は彼らと遊ぶことが多くなる。人並み外れた美貌と浮世離れした立ち振る舞いで、転校するや否や女子生徒から人気となり、やがて「ライ」と呼ばれて親しまれるようになる。クールな性格で口数が少ないが、仲間思いなところがあり、フランケンシュタインや田代を大切に思っている。ノブレスと呼ばれる特殊な種族の出身で、精神をつなげる能力を応用することで言語を理解し、どの国の人間とも自在にコミュニケーションを取ることが可能。戦闘能力もフランケンシュタイン以上に高く、「組織」の人員を瞬時に制圧できる。感染者に拉致された岩田や、それを助けようとした田代のもとに駆け付け、その場にいたM-24が手も足も出ないほどの実力差を見せつけたことから、M-21とM-24からはフランケンシュタインともども「組織」に対する切り札になりえる存在として認識されている。目覚めた当初は、眠っているあいだにすっかり様変わりした人間社会に適応できず、携帯電話はもちろん、電子ロックされているドアを満足に開けることもできなかった。しかし、授業や現代日本の生活に新鮮さを感じ、さらに田代から誘われて行ったインターネットの対戦ゲームに魅了され、ゲーム全般に興味を抱く。ただし、腕前は初めてプレイした岩田に完敗するほど低く、なんとか技量を上げるためにフランケンシュタインが自作した攻略メモを日々愛読している。なお、「聖域」は「組織」によって管理されていたところでコソ泥に奪われるが、マリによって捕らえられた犯人たちは、決して棺の蓋を開けていないと主張している。

フランケンシュタイン

私立江欄高校の理事長を務めている青年。820年以上前からカディス・エトラマ・デ・ライジェルに仕えており、ノブレスではないものの、人間やヴァンパイアとは異なる種に属する。ライジェルと同様に人間離れした美貌を誇る。それに加えて教師や生徒の名前を完全に記憶し、有事の際には的確な指示を下すなど、理事長としても極めて有能なことから、江欄高校の生徒や教師たちから圧倒的な人気を誇る。その有能さゆえに高収入を得ており、現在は高級マンションの一室で暮らしている。ライジェルに対する忠誠心は高く、離れ離れになった彼と再会を果たした時は反射的にひざまずくほど。ほかにも、現代の日本に慣れないライジェルのため、社会生活のノウハウをまとめたメモを何冊も提供している。ただし、その忠誠心が仇(あだ)となり、ライジェルに過保護に接したり、彼を心配するあまりドジを踏むこともある。また田代祐介や加瀬学、岩田恵がライジェルと遊ぶために家に行きたいと希望するとそれを了承したり、フランケンシュタイン自身も彼らのゲームに参加したり、ライジェルのためにゲームの攻略メモを作成したりと、ノリがよく頭の回転も速い。ライジェルには及ばないものの、高い魔力と身体能力を備えており、爪を使った斬撃で傷を負わせることで、「組織」の人間の持つ高い再生能力を封じられる。ライジェルの復活に何者かの意図が介在することを疑っており、田代たちが感染者に襲われた時はライジェルと共に駆け付け、M-21を圧倒する。この一件で、感染者やM-21がヴァンパイアでないかと訝(いぶか)しみ、やがて「組織」がライジェルの復活に関係しているのではないかと疑うようになる

田代 祐介 (たしろ ゆうすけ)

私立江欄高校に通っている少年。カディス・エトラマ・デ・ライジェルのクラスメイト。スポーツの特待生として入学し、空手やテコンドーなど、複数の格闘技をマスターしている。つねに鼻筋に絆創膏(ばんそうこう)を貼っており、他者からはトレードマークの一つと認識されている。学校ではムードメーカー的な存在として知られ、どんな時でもマイペースを貫く度胸や面倒見のよさから、クラスメイトからは一目置かれている。しかし不真面目な態度が目立ち、担任教師の浦崎を悩ませている。ただし、浦崎とは険悪な関係という訳ではなく、二人で息の合った漫才のようなやり取りを見せることも多い。人間離れした雰囲気を持つライジェルに対しても終始気さくに接し、やがて友人となる。また、ライジェルがフランケンシュタインの部屋で生活していることを知ってからは、相手が理事長であるにもかかわらず、堂々と友人感覚で遊びに行くようになる。女性にモテたい願望が強く、ひそかに岩田恵に思いを寄せているが、彼女からはまったく気づかれていない。ヴァンパイアの力を持たない一般人でありながら、戦闘能力は群を抜いており、感染者を相手に善戦をしたことから、それを目の当たりにしたM-21やM-24、ジェイクから強い興味を抱かれる。

加瀬 学 (かせ がく)

私立江欄高校に通っている少年。カディス・エトラマ・デ・ライジェルのクラスメイト。コンピュータ関係に強く、インターネットや対戦ゲームなど、パソコンを使って行えるあらゆる物事を好む。田代祐介の親友で、放課後はよくいっしょに行動している。ライジェルとは田代を通じて知り合い、のちにネット対戦のゲームを教える。頭脳明晰(めいせき)な一方で、運動は苦手。しかし、岩田恵が連れ去られたそうになった時は迷わず駆け付けたり、M-21たちに捕らわれた時も、落ちていた木材を武器にして感染者に立ち向かおうとするなど、勇敢な一面がある。

岩田 恵 (いわた めぐみ)

私立江欄高校に通っている少女。カディス・エトラマ・デ・ライジェルのクラスメイト。田代祐介や加瀬学と仲がよく、よくいっしょに行動している。田代から思いを寄せられているが、まったく気づいていない。ライジェルに対しては、当初ほかの女子生徒と同様にあこがれの感情を抱いていたが、田代を通じて友人になったことで気軽に接することができるようになる。また、加瀬の勧めから、ライジェルとゲームで対戦をした時は、互いに初めてのプレイだったにもかかわらず完勝するが、このことがライジェルがゲームを好むきっかけとなる。のちに、「組織」のメンバーから2度にわたって拉致されるが、いずれも田代や加瀬の奮闘と共に、ライジェルとフランケンシュタインの助太刀によって難を逃れる。

浦崎 (うらさき)

私立江欄高校で教師を務めている男性。カディス・エトラマ・デ・ライジェルや田代祐介のクラスの担任で、担当科目は数学。筋骨隆々とした大男で、額には十字型の古傷が残っている。厳しい指導をすることで知られており、校門で朝の生活指導を行う際は、遅刻したら校庭を5周走らせるといった厳しいペナルティを与える。ただし、他者の事情を考慮したり、生徒の意見をきちんと聞き入れるなど、基本的には一本筋の通った性格をしている。田代に対しても、その不真面目さに翻弄されつつも、友人のように接している。ほかの生徒たちのことも大切に思っており、江欄高校の付近で殺人事件が発生した際は、彼らが極力安全に過ごせるよう言い聞かせる。ライジェルからは生活指導での堂々とした振る舞いを気に入られ、やがて「門番」と呼ばれて不相応なまでに高く評価されるようになるが、浦崎自身はそのことに気づいていない。

感染者 (かんせんしゃ)

「組織」に所属している男性。本名やコードネームは不明で、マリからは「感染者」と呼ばれている。元はふつうの人間だったが、ヴァンパイアの力を持つM-24に吸血されたことで、感染者自身も吸血鬼に変貌し、M-21やM-24に付き従う。この経緯から、「組織」の中では最下層の人材として冷遇されている。中でもM-24からは事あるごとにこき下ろされているが、吸血されたことから逆らえずにいる。皮膚の色が真っ青で、歯が牙のように尖(とが)っていたり、瞳が赤色に輝いていたりと、人間とかけ離れた風貌で、人間の血を接種しなければ生きることができない。極めて狂暴な性格で、M-21の許可が出れば、誰彼構わず襲い掛かる危険人物。カディス・エトラマ・デ・ライジェルが眠っていた「聖域」と呼ばれる棺が「組織」から奪われると、M調査に向かうよう命じられたM-21やM-24から同行を強制される。その任務の中で力を失い、血を求めていたところで偶然見かけた岩田恵を襲おうとするが、田代祐介によって撃退され、この一件から田代を強く憎むようになる。のちにジェイクからそそのかされたことで病院で大量殺人を引き起こし、やがてジェイクの手先として暗躍する。

M-21

「組織」に所属している青年。過去にドクター・クロンベルから、ヴァンパイアの力を付与する改造を受けた「実験体」と呼ばれる存在の一人で、つねに相棒のM-24と共に行動している。やせ型で威圧的な風貌と、口元についた傷が特徴。横柄な性格ながら、物事を穏便に解決することをつねに望んでいる。「組織」の中では末端に近く、その扱いに不満を抱いている。部下として連れている感染者も見下しているが、M-24のことは大切に思っている。かつては延命のために「組織」の所有する薬を必要としており、そのために「組織」から離れられない状態が続いていたが、現在は体質が改善し、薬がなくても活動が可能。現在でも「組織」に従っているのは、M-24を延命させるための薬を調達するためである。カディス・エトラマ・デ・ライジェルが眠っていた「聖域」と呼ばれる棺が「組織」から奪われると、M-24と共に調査に向かうよう命じられる。そして犯人の一人を突き止めるものの、その犯人も何者かに「聖域」を奪われたことで、大規模な捜索を余儀なくされる。さらに田代祐介や加瀬学、岩田恵を追い詰めて感染者に始末させようとするが、駆け付けたライジェルとフランケンシュタインに完膚なきまでに敗れ去る。このことから、協力関係になれば、薬を調達しつつ「組織」から離れられるかもしれないと考えるようになり、ライジェルたちと接触する機会をうかがうことを決める。しかし、もともと折り合いの悪いジェイクから目をつけられ、「組織」から疑われるよう仕向けられる。

M-24

「組織」に所属している男性。過去にドクター・クロンベルから、ヴァンパイアの力を付与する改造を受けた「実験体」と呼ばれる存在の一人で、つねに相棒のM-21と共に行動している。M-21とは対照的に逞しい体軀で、その身体から繰り出される殴打はすさまじい威力を誇る。M-21以上に粗暴な性格で、従えている感染者に対して暴言を吐くこともいとわない。また、M-21と同様に「組織」に対して反感を抱いているが、延命のために「組織」の所有する薬を必要とするため、離れられずにいる。一方、M-21は体質改善によって薬がなくても生きられるようになったが、M-24自身のために「組織」に残っており、そのことに負い目を感じている。カディス・エトラマ・デ・ライジェルが眠っていた「聖域」と呼ばれる棺が「組織」から奪われると、M-21と共に調査に向かうよう命じられる。そんな中、目撃者となった田代祐介や加瀬学、岩田恵を始末しようとするが、それを阻止するために現れたライジェルによって渾身の力をこめた一撃を軽く防がれ、見逃されたことで圧倒的な力の差を思い知る。このことからライジェルに興味を持ち、M-21が彼らに接触する意思を示すと、これに乗ることを決める。しかし、先んじてジェイクから監視されることになり、さらに彼が田代たちに危害を加えようとすると、友達を守るために必死に抵抗しようとする田代の姿に感化される。そして、明確に「組織」と戦う決意を固め、田代たちを逃がすために一人でジェイクに挑む。

ジェイク

「組織」の中でも上位に属する「暗殺チーム」に所属している男性。M-21やM-24と同じく、過去にドクター・クロンベルからヴァンパイアの力を付与されており、高い自己再生能力とM-21をはるかに上回る戦闘能力を誇る。感染者と同様に肌が青く、一目で人間と異なることが理解できる外見を持つ。極めて狂暴で、ヒマつぶしと称して暴力に明け暮れ、気に入らなければ「組織」のメンバーでさえも平然と手にかけることから、「組織」の中でも屈指の危険人物として認識されている。大雑把な性格で、力任せで性急に任務を済ませようとする悪癖を持ち、たびたびマリに注意されている。そのため、彼女のことも内心では快く思っておらず、チャンスが訪れればドクター・クロンベルといっしょに始末しようと考えている。また、M-21やM-24を見下し、彼らが「組織」から疑われるように感染者をそそのかして騒動を起こさせるなど、悪知恵も働く。「組織」からカディス・エトラマ・デ・ライジェルが眠っていた「聖域」と呼ばれる棺の在処(ありか)を探るように命じられ、感染者たちが田代祐介たちを襲撃した現場に向かう。そこに現れたフランケンシュタインから詰問され、すかさず始末しようとするが返り討ちに遭い、再生不可能な傷をつけられる。このことからフランケンシュタインに興味を持ち、ドクター・クロンベルに傷の治療を受けると、彼をおびき出すための策を実行に移す。

マリ

「組織」の中でも上位に属する「暗殺チーム」に所属している女性。M-21やジェイクといった構成員と同様に、過去にドクター・クロンベルからヴァンパイアの力を付与されている。ジェイクとは反対に冷静沈着な性格で、無意味な諍(いさか)いを嫌うことから、血気に逸(はや)る傾向にあるジェイクを抑える役割を担うことが多い。また、ジェイクがM-21とM-24を陥れようとした時は、彼らを捨て駒とみなして捨て置くなど、目的のためなら手段を選ばない非情な一面を持つ。身体つきは華奢(きゃしゃ)だが、ジェイク以上の力とスピードを誇り、フランケンシュタインに不意打ちを食らわせるほど。

ドクター・クロンベル

「組織」に所属している男性。人間にヴァンパイアの力を付与する研究を行っており、その産物として、M-21やM-24などの、ふつうの人間をはるかに上回る耐久性を持つエージェントを生み出すことに成功する。「組織」内での地位が高く、自分の研究に絶対の自信を持っていることから、周囲にはつねに高圧的な振る舞いを見せる。事実、フランケンシュタインとの戦いで傷を負ったジェイクを観察した時は、魔力が傷の再生を阻んでいることを一目で見抜き、その治療に貢献する。ただし、実験体を使い捨てるようなことはせず、彼らの体質改善のための実験を申し出ることもある。

集団・組織

「組織」 (そしき)

M-21やジェイクなどが所属している団体。正式名称は明かされておらず、構成員たちからは「組織」と呼ばれている。ヴァンパイアの力を他者に付与する設備が整っており、研究者であるドクター・クロンベルによって改良が進められている。ヴァンパイアの力を付与されたエージェントたちを使い、裏社会の中で着実に勢力を広げている。しかし、構成員が暴走した末に一般人に被害が及んだり、上層部の不利になる事態を生み出すことも多いなど、完全に統制が取れているとはいえない状況にある。かつて、カディス・エトラマ・デ・ライジェルが眠っていた「聖域」と呼ばれる棺を管理していたが、コソ泥たちに奪われる。犯人は間もなく捕縛および始末されるが、肝心の棺はいまだ見つからず、エージェントたちに捜索命令が下される。

場所

私立江欄高校 (しりつこうらんこうこう)

フランケンシュタインが理事長を務めている高校。田代祐介や加瀬学、岩田恵が通っており、「しりつこうらんこうこう」と「しりついぇらんこうこう」の二つの呼び名が存在する。校門には石造りのモニュメントがあり、ウィリアム・アーネスト・ヘンリーが発言した「私は我が運命の支配者。我が魂の指揮者なのだ」という文字が刻まれている。ある日、なぜか私立江欄高校の制服を着ていたカディス・エトラマ・デ・ライジェルが現れ、転校生とカンちがいした浦崎と田代によって理事長室に通される。そこでフランケンシュタインがライジェルと820年ぶりの再会を果たすと共に、現代社会での生活に慣れるため、正式にライジェルを転入生として迎え入れる。のちに近所の病院で感染者による大量殺人が発生し、フランケンシュタインや浦崎たちが生徒たちの無事を優先した結果、休校となる。

その他キーワード

ヴァンパイア

はるか古代から存在していたとされる種族の一つ。姿は人類と大きく変わらないが、人間の生き血を吸う性質を持つほか、他者の精神をコントロールする能力を持つ。かつては人間を狩りの対象と見なしており、広く恐れられていた。しかし、時が流れるにつれて力関係が変化し、ヴァンパイアは自らの存在を秘匿するため、人間を襲うことを自ら禁じるようになる。そのため、現在はヴァンパイアの存在が知られていない。しかしある時、「組織」がなんらかの手段でヴァンパイアの存在を知り、その力を利用したエージェントを生み出す計画を実行するようになる。

ノブレス

ヴァンパイアの最上位に位置するとされる種族。カディス・エトラマ・デ・ライジェルがこれに該当する。望んだ相手と精神をつなげられるほか、ヴァンパイアに絶対順守の命令を下すことが可能。身体能力も非常に高く、ヴァンパイアの力を抽入されて肉体を強化された「組織」の人員たちを一方的に制圧できるほど。通常の人間やヴァンパイアをはるかに上回る能力を持っていることから、ヴァンパイアの力を利用している「組織」からも、畏怖の対象となっている。ただし、定期的に「睡眠期」と呼ばれる期間が訪れ、そのあいだは「聖域」と呼ばれる棺の中で数百年のあいだ眠り続ける必要がある。なお、ヴァンパイアの力を受けた人間である「組織」の人員に対しては、命令によってある程度動きを封じられるが、従わせられない場合もある。

クレジット

原作

Jeho Son

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