OZ

OZ

核戦争により荒廃した近未来の旧アメリカ合衆国を舞台に、天才少女科学者フィリシアと傭兵武藤が理想科学都市OZを目指すSFアクション長編。詳細に設定された世界観の上で、恋愛模様も交えた濃密な人間ドラマが展開される。第24回星雲賞コミック部門受賞(1993年)。

正式名称
OZ
ふりがな
おず
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
 
アクション
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

1990年、第三次世界大戦が突如勃発し、世界は壊滅状態に陥った。核爆発により氷河期が到来し、人類は総人口の40%しか生き残れなかった。それから31年後、砂漠化が進み資源の乏しい過酷な環境で、小国が乱立し内戦の続く旧アメリカ合衆国を舞台に物語は始まる。天才少女科学者フィリシアは、失踪した兄リオン博士が伝説の科学都市OZに居ることを知る。

リオンが遣わした機械人間に案内され、警護に雇った傭兵武藤と共に、フィリシアOZを目指して過酷な旅に出る。

登場人物・キャラクター

フィリシア・エプスタイン

柔らかな茶色の髪に茶色の目を持つ16歳の小柄な少女。若くして優秀な生体工学博士で、専門は植物細胞学。6つに分けられた旧アメリカ合衆国のうちの一国サンレイト首相補佐官の娘として生まれる。生まれながらのエリートで世間知らずだが、強い意思と信念を持つ。失踪した兄リオンに導かれ、傭兵武藤徉と共に謎の科学都市OZを目指す。 武藤からは「博士(ドクター) 」と呼ばれる。

リオン・エプスタイン

フィリシアの兄。22歳。人工知能やロボット工学、バイオテクノロジーをはじめとする多分野の研究に幅広い才能を発揮する。8歳で政府のシンクタンクに入るほどの早熟な天才。母パメラに似た美しい顔立ちだが、幼児的な残虐性を残している。5年前に失踪し、科学都市OZにたどり着いて独裁的な権力を持つに至った。

ヴィアンカ・エプスタイン

エプスタイン家の長女。17歳。幼少期から、優秀で父親からの期待をかけられていた兄リオンと妹フィリシアに挟まれて自分は冷遇されていると感じ続けてきた。現在も二人に対してわだかまりを抱いている。父親からフィリシア救出と機械人間回収の命を受け、フィリシアと武藤一行を追いかける。

パメラ・エプスタイン

リオン、ヴィアンカ、フィリシアの母親。旧姓はスコット。官僚相手の高級娼婦だったが、その美貌を見初めた名家エプスタインの当主と結婚した。自らの美貌と巧みな話術を武器に、誘惑した男を手玉にとり破滅させることを楽しむという、悪魔的な性格の持ち主。乳ガンを発症したのを苦に、35歳で自殺。

ルパート・エプスタイン

リオン、ヴィアンカ、フィリシアの父親。連邦共和国サンレイトの首相補佐官。口ひげをたくわえた堂々たる体格。

エプスタインMJ3型試作型1019 (えぷすたいんえむじぇいすりーぷろとたいぷてんないんてぃーん)

学習型人工知能を持つ機械人間だが、外見は若く美しい白人男性そのもの。至近からの銃攻撃にも耐える高い防御力と、レーザー砲など非常に高い攻撃力を持つ。リオンの命令によりフィリシアの元へ遣わされ、彼女をOZへと案内する。フィリシアの保護を最優先にプログラミングされていたが、彼女や武藤と共に旅を続けるうちに、自我に目覚めはじめる。

オーティス・ネイト

26歳の男性。サングラスと口ひげがトレードマーク。ヤンセン傭兵部隊所属。階級は少尉。現在はサンレイト軍と契約中。過去に武藤の部下として働いた経験があり、所属組織が変わった後も依然として武藤のことを尊敬し続けている。「冷血(コールドブラッド)のネイト」の異名を持つ。

ビル・スカイルズ

反政府ゲリラ・ゴールディ解放戦線の首領。がっしりした体格の男性。ヤンセン傭兵部隊のネイト少尉とは旧知の仲。現ゴールディ政権がインディーと同盟を結ぼうとしていることを危惧している。大国インディーと手を組んでも、いずれは吸収され植民地化されてしまうと考えているからである。 現ゴールディ政権の隙をついて首都奪還を計画中。

機械人間 (さいばのいど)

『OZ』に登場する人造人間の名称。自己学習型の人工知能を持つ。伝説の科学都市OZでリオン博士によって製造された。戦闘目的の男性体1019(テン・ナインティーン)や改良型の女性体1024(テン・トゥエンティフォー)など多くのタイプが存在する。どのタイプも同じ顔に作られていて、製作者リオンの母パメラに酷似している。

武藤 徉 (むとー よう)

黒髪、アジア系の顔立ちの男性。童顔なので十代に見られるが22歳。単独行動・短期契約で各国を行き来する一匹狼の傭兵。戦場で生まれ、小さな頃から傭兵として生きてきた。名前は育ちの親につけられたもので、本名や出身は不明。傭兵としての腕は確かで、真面目で律儀な性格。自分がした約束は最後まで守り通す主義。 フィリシアに雇われ、サンレイト軍との契約を破棄し、彼女と共に謎の科学都市OZを目指す。フィリシアからは出会ったときの階級の「軍曹(サージェント)」と呼ばれる。

集団・組織

ヤンセン

『OZ』に登場する組織。民間軍人派遣組織、俗に言う傭兵部隊の最大手。将軍ブルックスの統率のもと、多数の傭兵を抱える。自由な気風を持つ組織で、上下関係は希薄、制服はなく、厳格な罰則もない。武藤徉はかつてこの部隊で中尉にまで登りつめた。

OZ (おず)

『OZ』に登場する組織。超多国籍企業が資金を出していたシンクタンクの通称。政治経済から科学全般まで多くの才能が集められ、最先端の科学力を誇った。第三次世界大戦が起き世界が荒廃した後も、理想の科学都市として存在し続けているという噂が世間には流れている。しかし、その実態を見た者はなく、全貌は謎に包まれている。

場所

北アメリカ大陸 (きたあめりかたいりく)

1990年に勃発した第三次世界大戦によって荒廃した土地として描かれる。実際のアメリカ合衆国をモデルにしているが、合衆国としての機能を失っており、サンレイトやインディーなど6つの国に分かれている。その他少数民族国家やゲリラ制圧地区なども乱立し、小競り合いの絶えない戦乱状態にある。

サンレイト

『OZ』に登場する国名。連邦共和制。人口3800万人。資源豊富な工業国。隣国インディーと15年に及ぶ国境紛争を続け、全面戦争の危機を迎えている。自国軍隊の総兵力15万人のうち30%はヤンセン傭兵部隊に外注している。フィリシアの父ルパート・エプスタインは同国の首相補佐官を務めている。

インディー

『OZ』に登場する国名。共和制。人口2900万人。総兵力11万5千人。隣国サンレイトと敵対し、15年に及ぶ国境紛争が現在も続いている。

ゴールディ

『OZ』に登場する国名。ゴールド家が支配する独裁国家。現在の大統領トーマス・ゴールドは初代大統領の長男。人口1500万人。総兵力4万人。サンレイト、インディーに次いで3番目の軍事力・経済力を誇る国。国土の三分の一以上が砂漠という過酷な環境にある。インディーと手を組み連合軍として、サンレイトと全面戦争に突入しようとしている。

SHARE
EC
Amazon
logo