Roman

幻想楽団「Sound Horizon」の楽曲を、桂遊生丸が自身の解釈を元にコミカライズした作品。題材となった5th Story CD「Roman」は中世ヨーロッパを舞台に人間の生死を描いた群像劇で、ストーリーがオムニバス形式で進行するため、コミカライズに当たってもその形式は踏襲されている。また、原曲のパッケージに隠された秘密のメッセージがコミックス内にも密かに盛り込まれており、その暗号を読み解くことで物語への理解度が深まる仕掛けになっている。「ウルトラジャンプ」平成19年5月号から平成20年11月号にかけて掲載された。

正式名称
Roman
作者
ジャンル
悲恋
 
転生
レーベル
ヤングジャンプコミックス(集英社)
巻数
全2巻
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概要・あらすじ

生死を持たない青年イヴェールは生まれて来ること、死んで行くことの意味を探るため、意思を持つ双子の人形に物語の収集を依頼した。双子の人形はそれぞれに世界を巡り、さまざまな人生を見届けてはイヴェールに届けていく。

愛する者の子を産めなかった母の物語「朝と夜の物語」。

政略結婚を命じられた令嬢の物語「歓びと悲しみの葡萄酒」。

いずれ視力を失うと告げられた少女の物語「星屑の革紐」。

我が子の首を絞めた彫刻家の物語「天使の彫像」。

失った片腕の疼きに苦悩する男の物語「見えざる腕」。

幼馴染を見捨てて逃げた少年の物語「緋色の風車」。

幻想に囚われた妹の物語「呪われし宝石」。

病に苦しむ弟を看取る姉の物語「美しきもの」。

怪しげな賢者と語らう娘の物語「黄昏の賢者」。

願いを残して死んだ母の物語「11文字の伝言」。

イヴェールは、まるで苦しむために生きているかのような人間の物語を、つぎつぎと目の当たりにしていくことになる。

登場人物・キャラクター

イヴェール (イヴェール)

物憂げな表情をした銀髪の青年。右頬に月の揺り籠、左頬に太陽の風車と呼ばれる刻印がある。生まれてくる前に死んでしまった冬の子(いわゆる水子)の思念体であり、実体は存在していない。自らが生まれて来るに至る「物語(ロマン)」を見つけるために、双子の人形を各地に送り込む。

ヴィオレット (ヴィオレット)

冬の子を埋葬する際に棺へ入れる双子人形。代わりに微笑んでくれるという紫(し)の姫君。その右頬にはイヴェールと同じデザインの月の揺り籠が刻まれている。イヴェールの命令で各地を巡り、灯っては消えていく命の行く末を見据える。

オルタンス (オルタンス)

冬の子を埋葬する際に棺へ入れる双子人形。代わりに泣いてくれるという青(せい)の姫君。その左頬にはイヴェールと同じデザインの太陽の風車が刻まれている。イヴェールの命令で各地を巡り、生まれては死んでいく人々の人生を見守る。

ロレーヌ・ド・サンローラン (ロレーヌドサンローラン)

「歓びと悲しみの葡萄酒」「11文字の伝言」に登場。幼い頃より葡萄畑を所有する伯爵令嬢で、管理人のネイジュとは恋仲にある。何不自由のない生活を送っていたが、父の再婚を契機に状況は一変。政略結婚の道具として利用されることが決まり、激動の人生が幕を開ける。

ネイジュ (ネイジュ)

「歓びと悲しみの葡萄酒」に登場。サンローラン伯爵家に仕える使用人。幼少の頃よりロレーヌ・ド・サンローランの葡萄畑の管理を担当している。ロレーヌとは身分違いの恋愛関係にあり、葡萄畑の木陰で逢瀬を重ねた仲。ロレーヌの政略結婚が決まると、愛する彼女を守るために駆け落ちを決行する。

サンローラン伯爵 (サンローランハクシャク)

「歓びと悲しみの葡萄酒」に登場。ロレーヌ・ド・サンローランの父。優しい人物だったが、妻アンヌの死後に後妻を娶ると性格が豹変、さらに財産を湯水の如く浪費していった。傾いていく家を立て直す最後の手段として、ロレーヌの政略結婚を画策。有力貴族の元に嫁がせることを決意する。

アンヌ (アンヌ)

「歓びと悲しみの葡萄酒」「11文字の伝言」に登場。ロレーヌ・ド・サンローランの母。ロレーヌの幼少期に亡くなっている。笑顔の絶えない女性で、感謝は態度で示すをモットーとしている。伯爵夫人ながら自ら準備して使用人に料理を振る舞うこともあり、周囲からは太陽のようだと称されていた。

ロレーヌの継母 (ロレーヌノママハハ)

「歓びと悲しみの葡萄酒」に登場。サンローラン伯爵の後妻。泣き黒子のある妖艶な女性で、夜毎豪奢なドレスと宝石を身に纏い、好き勝手に遊び歩いている。最初から財産目当てでサンローラン伯爵家に嫁いで来た節があり、彼女の浪費癖が家の没落を招くきっかけとなる。

仮面の男 (カメンノオトコ)

「歓びと悲しみの葡萄酒」に登場。サンローラン伯爵に金で雇われた謎の男。ロレーヌ・ド・サンローランたちの逃避行に終止符を打つべく立ち塞がる。Sound Horizonの4th story CD「Elysion ~楽園幻想物語組曲~」に登場する仮面の男ABYSSと同一視されており、本作『Roman』でも同様の解釈をもとに描写されている。

エトワール (エトワール)

「星屑の革紐」に登場。レイヨン・ローランの娘。星を意味する「エトワール」と名付けられたが、皮肉にも目の障がいによって星の光を見ることは叶わず、自身の名前を忌み嫌っている。現在は、日中であればある程度は眼が見えるものの、医者からはいずれ完全に見えなくなると宣告されており、いつか訪れるその日に強い恐怖感を抱いている。

プルー (プルー)

「星屑の革紐」に登場。黒銀の毛並みを持つメスの大型犬。もともと隣町で盲目の老人が飼っていたものをレイヨン・ローランが譲り受け、エトワールに与えた。エトワールの言うことをあまり聞かないが、むやみに吠えたり噛みついたりすることもない。非常に賢い犬で、まるで人間の言葉がわかっているような素振りを見せることもある。

レイヨン・ローラン (レイヨンローラン)

「星屑の革紐」「見えざる腕」「11文字の伝言」に登場。エトワールの父。かつては英雄アルベール・アルヴァレスの軍に所属していたが、戦場で片腕を失い戦線離脱。酒に溺れて荒んだ生活を送っていた。片腕を奪った相手へ復讐するべく奔走するなど狂気に駆られた時期もあったが、今では良き父としてエトワールと向き合っている。

ワロニ (ワロニ)

「星屑の革紐」「見えざる腕」「11文字の伝言」に登場。レイヨン・ローランの恋人。戦争で負傷したレイヨンの看病をしているうちに恋仲となったが、アル中に陥ったレイヨンの暴力からお腹の子を守るために出奔した。後にアル中を克服したレイヨンと和解するも、エトワールを産んで間もなく息を引き取ることになる。

アルベール・アルヴァレス (アルベールアルヴァレス)

「見えざる腕」に登場。レイヨン・ローランの所属していた軍の指揮官。ひとたび兵を率いれば無敗を誇り、敵陣を容易に切り崩す姿は疾風の如し、時代が求めた英雄と讃えられる。前線に身を置きながら傷1つ負わないほどの武勇を持ち、兵士たちが「将軍の後ろにいれば死ぬことはない」と軽口を叩くほど。一方で敵からは白銀の甲冑を返り血で染めた死神として恐れられている。

フランボウ・ローラン (フランボウローラン)

「見えざる腕」「緋色の風車」「11文字の伝言」に登場。炎のような赤い長髪、鳶色の眼、頬の十字傷が特徴。剣の達人であり、雑兵の首を次々と刈り取る姿は風車に例えられた。孤児院の少女シエルをかどわかして自らの子を産ませる、レイヨン・ローランの右腕を切り落とすなど他人の人生に大きな影響を与えた人物であり、それらの行動が間接的に大勢の人生の歯車を狂わせることになる。

タッシュ (タッシュ)

「見えざる腕」「緋色の風車」「黄昏の賢者」「11文字の伝言」に登場。フランボウ・ローランとシエルの息子。シエルから受け継いだ首飾りを肌身離さず身に着けている。フランボウがローランサンに刺される瞬間を目撃してしまい、仇討ちを果たすべく行動に出た。やがて逞しく成長し、クロエとの間に双子をもうける。

ローランサン (ローランサン)

「天使の彫像」「見えざる腕」「緋色の風車」「11文字の伝言」に登場。オーギュスト・ローランとナタリーの息子。銀色の髪と藍色の瞳を持つ。生後間もなく孤児院に預けられたため、親が与えたソレイユという名を知らぬまま育った。オーギュストに首を絞められた経験がトラウマになっており、手で触れられることを極度に恐れている。 また、激昂すると首筋に指の跡が浮き出るという特徴がある。孤児院のある町が略奪に遭った際には幼馴染のシエルと共に逃亡を試みるも失敗。成長すると黒い剣を手に取り、復讐者としての人生を歩み始める。

シエル (シエル)

「天使の彫像」「緋色の風車」「11文字の伝言」に登場。ローランサンと同じ孤児院で暮らす少女。ローランサンよりもいくつか年上で、リボンと首飾りが特徴。孤児たちの世話をしてくれるシスターのセリーヌに憧れており、自らも弱い者を守る母親になりたいと夢見ている。わんぱくな孤児たちのまとめ役でもあるが、喧嘩の絶えないローランサンに牛糞をぶつけるなど突飛な行動に出ることも。 後にフランボウ・ローランに拉致されてタッシュを産む。

セリーヌ (セリーヌ)

「天使の彫像」「緋色の風車」「11文字の伝言」に登場。ローランサンやシエルの暮らす孤児院のシスター。シエルをはじめとした多くの孤児たちに慕われている。慈愛に満ちた人物で普段はおっとりとしているが、町が襲撃を受けた際には身を呈して孤児を庇うなど、芯の強さも兼ね備えた女性である。

ニエット (ニエット)

「天使の彫像」「緋色の風車」「美しきもの」「11文字の伝言」に登場。ローランサンやシエルの暮らす孤児院のシスター。眼鏡をかけた熟年の女性で、かつてはセリーヌの世話をしていた。幼少期に吟遊詩人のモニカと出会っており、その時に耳にしたロランの歌をローランの歌と誤解して記憶している。

オーギュスト・ローラン (オーギュストローラン)

「天使の彫像」「11文字の伝言」に登場。ローランサンの父。後の世に「神の手を持つ者」と称される彫刻家。偏屈な性格でナタリー以外の人間には決して心を開かない。全く笑顔を見せないため、隣人からは「先生の方が石のよう」と揶揄されるほど。ある出来事をきっかけに精神を病み、我が子の首に手をかけてしまう。

ナタリー (ナタリー)

「天使の彫像」「11文字の伝言」に登場。オーギュスト・ローランの内縁の妻。芸術家としてのオーギュストを深く愛している。ごく平凡な外見の女性だが、明るく社交的でどんな相手ともすぐに打ち解ける。オーギュストの子を孕むと医者から命の危険を忠告されるが、反対を押し切って出産を決意。宿った子に太陽を意味するソレイユという名前を与え、暖かな土地に移り住んで出産に備える。

イヴェール・ローラン (イヴェールローラン)

「呪われし宝石」「11文字の伝言」に登場。雪深い小さな村で妹のノエルと暮らす青年。物語を外側から眺める主人公のイヴェールと外見が酷似しているが、イヴェール・ローランの両頬には刻印が存在しない。また、イヴェールよりも表情が穏やかである。両親は既に亡く、家業の人形作りを兄妹で引き継ぎ生活している。彼の担当は主に人形の販売と材料の調達。 人形師としての才能は受け継がれておらず、制作中の人形に触れるなとノエルに厳命されているほど。ノエルの結婚資金を稼ぐために鉱山へ向かうが、そこで掘り当てる「赤色金剛石(ディアマンルージュ)」が多くの人間を不幸のどん底に陥れるとは知る由もなかった。

ノエル (ノエル)

「呪われし宝石」「11文字の伝言」に登場。イヴェール・ローランの妹。幼い頃に両親を亡くしてからは兄と二人三脚で慎ましく暮らしてきた。家業の人形作りで生計を立てているが、実作業は専らノエルが担当している。村長の息子とは親しく、兄も公認する仲。兄が長期の出稼ぎに行って便りが途絶えると、いつしかある幻想に囚われ始める。

サクレ (サクレ)

「呪われし宝石」「11文字の伝言」に登場。イヴェール・ローランとノエルの母。溢れんばかりの愛情を注いで子供たちを育てたが、その成長を見届けることなく死去。彼女の存在が家族を大切にするイヴェール・ローランの人格形成に大きな影響を与えた。

村長の息子 (ソンチョウノムスコ)

「呪われし宝石」に登場。ノエルの恋人。もともと村長夫妻とノエルの両親は友人関係にあり、ノエルの両親が亡くなってからも家族ぐるみの付き合いが続いていた。彼自身、ノエルとの結婚を強く望んでいたが、出稼ぎに行ったイヴェール・ローランが失踪してしまったことで時期を逸し、結婚できずにいる。

モニカ (モニカ)

「美しきもの」「11文字の伝言」に登場。金色の髪をおさげに結んだ少女。外に出ることのできない病弱な弟のロランに季節の花や町で覚えた歌を届けることを日課としている。その精神は実年齢よりもだいぶ大人びており、弟の世話をするために友達の誘いを断ることもある。成長後は吟遊詩人となり、ロランの歌を語り継ぐことを使命としている。

ロラン (ロラン)

「美しきもの」「11文字の伝言」に登場。モニカの弟。とても病弱な少年で、ごく幼い頃に発作を起こしてからは何年も外に出ていない。家族と医者以外の人間とは会ったこともなく、窓の外に広がる四季の移ろいとモニカの存在だけがロランと外界を繋いでいる。

イザベル (イザベル)

「美しきもの」「11文字の伝言」に登場。モニカ、ロランの母。病弱なロランに献身的に尽くすが、やがて自らも身体を壊してしまう。ロランに子守唄を拒否されるほどの音痴であり、アンコールをねだられるほど歌の上手いモニカとは親子ながら対照的である。

クリストフ (クリストフ)

「呪われし宝石」「黄昏の賢者」に登場。口髭を蓄えた老紳士。賢者を意味する「サヴァン」を名乗っている。燕尾服に蝶ネクタイ、シルクハットにモノクル、ステッキという絵に描いたような紳士的ファッションに身を包み、黄昏時の公園に出没する。いきなり女性の手を握る、社交ダンスを始めるなど奇行が目立つが、物事の本質を見据える能力に長けているため、相談役としてこの上なく頼もしい人物でもある。 また、数に対して異常な拘りがあり、幾何学にも造詣が深い。大量変死事件の現場に居合わせたことがあり、クリストフの名で指名手配されている。

クロエ (クロエ)

「黄昏の賢者」「11文字の伝言」に登場。頭にバンダナを巻いた女性。元々は人身売買の商品として育てられていたが、顔に目を覆いたくなるほどの大きな傷を負って商品価値を失い、路頭に放逐された。現在は同じ施設で育った女性のはからいで物売りをしている。タッシュの子を身篭っており、親の愛を知らない自分が子供を産んでも良いものか苦悩する。

オリヴィア (オリヴィア)

「朝と夜の物語」「11文字の伝言」に登場。イヴェールの母になれなかった女性。戦火から逃れる最中に亡き夫との子を流産してしまい、双子の人形と共にその亡骸を埋葬した。叔父夫婦の元に身を寄せると別の男性と再婚するが、新たに宿った命はイヴェールとは別の存在ではないかと思い悩む。

ナターシャ (ナターシャ)

「朝と夜の物語」「11文字の伝言」に登場。オリヴィアの義理の妹。戦火に見舞われるとオリヴィアと共に故郷を捨て、叔父夫婦の暮らす土地へと移住した。オリヴィアが流産した際にはオリヴィアよりも先に滂沱の涙を流してしまうなど、家族思いである。

リア (リア)

「朝と夜の物語」「11文字の伝言」に登場。オリヴィアの叔母。故郷を追われたオリヴィア、ナターシャを新たな家族として快く迎え入れた。イヴェールの埋葬に当たっては土着の風習に基づいて手作りの双子人形を用意。亡骸と共に納棺した。リアも過去に流産の経験があり、双子の人形を用意するのは3度目となる。

その他キーワード

殺戮の女王 (レーヌミシェル)

世界最大と謳われる30カラットの「赤色金剛石(ディアマンルージュ)」。原石を発掘した青年、鉱山の管理者、扱った宝石商、加工した細工職人など関わった人間が次々と非業の死を遂げたことから、いつしか「殺戮の女王(レーヌ・ミシェル)」という異名で呼ばれるようになった。現在では博物館に寄贈され、個人としての所有者は存在していない。

ロランの歌 (ロランノウタ)

ロランが病床で創り、モニカに歌って聴かせた曲。やがて吟遊詩人となったモニカを通じて波及し、場所を越え世代を超えて歌い継がれていくことになる。作中でもニエット、セリーヌ、シエル、ナターシャなど多くの登場人物がロランの歌を口ずさんでいるが、ニエットの勘違いから題名が「ローラン(あなたたち)の歌」として伝わっている。

クレジット

原案

Sound Horizon

書誌情報

Roman 全2巻 〈ヤングジャンプコミックス〉 完結

第1巻

(2008年4月18日発行、 978-4088774060)

第2巻

(2009年1月19日発行、 978-4088775555)

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