嚢

ある雨の日に出会った男女が辿る、奇妙な運命を描いたラブストーリー。「漫画サンデー」1968年5月10日増刊号に掲載された作品で、手塚治虫漫画全集の『時計仕掛けのりんご』に収録されている。

正式名称
ふりがな
ふくろ
作者
ジャンル
悲恋
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概要・あらすじ

映画館の前で出会った青年綾野リカ。喫茶店で一緒に雨宿りをした2人は、また次に会う日を約束し、次第に距離を縮めていく。ある時、デート中に倒れたリカのお見舞いと、結婚を申し込むために彼女の自宅を訪ねた青年は、「うちにはリカという娘はおりません」と言われてしまう。代わりに現れた綾野マリは、リカに瓜二つ、というより同一人物にしか見えなかった。

リカという人には振られたんだろうとからかってくるマリに青年は腹を立て、彼女は自分を頼っていたと語る。そして、しきりに6月20日を恐れていたと伝えると、ちょうどその日はマリが東大病院に入院する日だという。マリはただの精密検査だと聞かされていたが、実は手術が行われる予定になっていたのである。

その後、再び青年の前に姿を現したリカは、自分は遠いところへ行くから、会うのはこれが最後だと告げる。そしてついに、リカにとっても、マリにとっても、運命の6月20日がやってくる。

登場人物・キャラクター

青年 (せいねん)

雨の日に、映画館ピカデリー劇場の前で綾野リカに出会う。一緒に雨宿りをしようと声をかけ、話をするうちに映画も音楽も趣味も合うことを知り、思い描いていた理想の女性像にぴったりのリカに心惹かれデートするようになる。しかしデート中に突然倒れ、不可解な夢に怯える姿を見せたリカを心配して家を訪ねたが、リカという娘はいないと言われてしまう。 それでもあきらめず、謎めいたリカの秘密と、リカが怯えながら語った「6月20日」の謎を追う。

綾野 リカ (あやの りか)

映画館ピカデリー劇場の前で青年に出会った女性。傘を持っておらず、同様に傘がなかった青年に、雨やどりするのにいい店があると誘われる。以降は青年と意気投合しデートするようになるが、自分のことを語らず、どこかミステリアスな雰囲気を持つ。ある時デート中に突然倒れ、奇妙な夢の恐怖を語り、さらにナイフにひどく怯える姿を見せる。 また、6月20日という日付をしきりに気にしている。

綾野 マリ (あやの まり)

綾野リカを訪ねてきた青年の前に現れた、リカと同じ顔をした女性。最近リカと連絡が取れないと語る青年に対して、ふられたんだろうとからかうなど、リカとは違って活発でものをはっきり言う性格。6月20日に東大病院に入院することが決まっており、本人は精密検査だと思っているが、実は大きな手術が予定されている。

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