V2パンツァー

V2パンツァー

火星植民地を舞台に、バイクの使用を禁じた法令を打ち破るため、腐食したバイクでレースに参加するセイバー・セラザードと仲間達の戦いを描いたアクション作品。作中では、第二次世界大戦時に実際に使用された軍用バイクがクローズアップされている。

正式名称
V2パンツァー
ふりがな
ゔいついんぱんつぁー
作者
ジャンル
アクション
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概要・あらすじ

両親を機甲旅団に殺され、流浪の旅を続けていたセイバー・セラザードは、とある町でデス・レースの噂を聞きつける。このレースで機甲旅団に勝利して司令のゼラ・ツェンダーを倒せば、ツェンダーが制定した自動二輪禁止令が解除されるのだという。旧式のバイクを譲り受けたセラザードは、復讐のためレースに参加しようと決意する。

その旅の途中、セラザードはかつて機甲旅団と戦った経験があるセルロック・マイバッハ台場元を仲間に加え、彼らからバイクの操作方法を習って、ついにデス・レースに参戦する。そんなセラザードの前に、ツェンダー本人が姿を現す。そして、ツェンダーの肉体がセラザードの母親のものであり、さらにツェンダーがセラザードの美しい顔を欲していると知らされるのだった。

その後、三人は機甲旅団のさまざまな妨害に遭いながらもレースを続けていく。だが、ゴールとなるパラドクスでは、予想外の事態が発生していた。

登場人物・キャラクター

セイバー・セラザード (せいばーせらざーど)

流浪の旅を続けている女性。両親を機甲旅団に殺され、復讐のため、機甲旅団が催したデス・レースに参加する。ゼラ・ツェンダーがその首を求めるほどの美貌の持ち主だが、気性が荒く好戦的で、機甲旅団の者には容赦がない。人前で全裸になっても抵抗がないほどに奔放で、落ち込んでも立ち直りが早いので、仲間のセルロック・マイバッハや台場元からは「どえらい性格」と評されている。 バイクの運転やメンテナンスは不得意で、レース開始時は動かす事すらままならず、セルロックや台場のレクチャーを受けていた。

セルロック・マイバッハ (せるろっくまいばっは)

かつてクリュセ平原で行われた機甲旅団との戦いで生き残った男性。射撃手を務めており、台場元とは長くコンビを組んでいる。機甲旅団との戦闘において謎の兵器で攻撃され、太陽光線を浴びると原子分解する体になってしまった。そのため、体を保った状態で存在できるのは夜間のみ。日中は1935年式BSAと同化したような状態になっているが、意識は保っている。

台場 元 (だいば げん)

かつてクリュセ平原で行われた機甲旅団との戦いで生き残った、日本人の男性。ライダーを務めており、セルロック・マイバッハとは長くコンビを組んでいる。機甲旅団との戦闘において謎の兵器で攻撃され、太陽光線を浴びると原子分解する体になってしまった。そのため、体を保った状態で存在できるのは夜間のみ。日中は心だけの状態になって1935年式BSAの周囲を漂っている。 機甲旅団に家族や同胞を殺されている。

ゼラ・ツェンダー (ぜらつぇんだー)

機甲旅団の司令を務める女性。全能の支配者を自称し、自動二輪禁止令を打ち出した張本人でもあるが、その実態の多くは謎に包まれている。完成された宇宙最高の美しい肉体を手に入れるため、セイバー・セラザードの母親の体を乗っ取り、さらにセラザードの首を求めている。

シン・デルバッド (しんでるばっど)

宿屋の主人の男性。街の住人達から自分の身を守ってもらう事を条件に、宿屋に逃げ込んで来たセイバー・セラザードをかくまった。その後、トラックに乗って街から脱出しようとするが、銃撃を受けてしまう。トラック内に隠していた1935年式BSAをセラザードに託し、息を引き取る。

ビストロ・フンスタンチン (びすとろふんすたんちん)

ブライトリング市で修理屋を営んでいる男性。シン・デルバッドとは知り合いで、彼の亡きあと、エンジンが付いた乗り物を修理できる、世界で唯一の存在となる。セイバー・セラザードがガレージに隠した1935年式BSAを回収しに行った際、機甲旅団に襲われて命を落とす。死の直前、セラザードにデス・レースについての説明を遺した。

バセロン・ダ・サイマン (ばせろんださいまん)

ゼラ・ツェンダーの任を受けてクリュセ平原を統治している女帝。女性にもかかわらず「殿下」と呼ばれている。気性が荒く、「ダサイマン」と「・」を抜いた呼ばれ方をすると激怒する。クリュセ平原に侵入したセイバー・セラザード達を殺すため、配下と共に襲いかかる。

ビッド・ロウ (びっどろう)

シリンダータウンの市長を務める男性。かつてはゼラ・ツェンダーの爆撃兵団で指揮官を務めていた。クリュセ平原での戦闘中に居住区を爆撃し、セルロック・マイバッハや台場元の家族を殺害した張本人。セイバー・セラザードをほしがる息子達に、セルロックや台場と引き合わされ、怒りに燃えた彼らに爆殺される。

ヘーヤ・スカンクサイ (へーやすかんくさい)

ゼラ・ツェンダーの手下の男性。ガスタウンの市長を務める。街のエネルギー供給に関するすべての権限を持っており、公邸でガスの製造や供給も行っている。バイクや銃器を腐らせるため、市内を硫黄分の多いガスで充満させ、さらにデス・レース参加者達のバイクも腐食させようと目論む。

サンドライゼ大佐

流沙砲艦艦隊の指揮官を務める男性。かつて艦隊を率いて日本に進軍し、国民を皆殺しにした。デス・レース中のセイバー・セラザード達を妨害するために現われたが、台場元に艦船を一隻撃沈されてしまい、台場に対して一対一の決闘を持ちかける。

聖イラネードⅢ世

イラネードⅢ世用第128番「館」の主人の男性。ゼラ・ツェンダーから環境管理人に任命されている。デス・レース中のセイバー・セラザード達を館に招待し、自分の仕事ぶりをツェンダーに報告してほしいと依頼。同時にセラザードを口説こうとしたが、こちらは失敗に終わる。

ジャック

セイバー・セラザードがデス・レース中に知り合った老紳士。ベティの夫。セラザードがバイクのエンジンすらかけられないのを見かねて、操作法などをレクチャーした。レース中、機甲旅団が最後尾の選手を狙うのを知っており、セラザードの身代わりになって死亡する。

ベティ

セイバー・セラザードがデス・レース中に知り合った老淑女。ジャックの妻。ジャックに同伴してレースに参加し、セラザードとも交流を深めた。セラザードの身代わりとなって機甲旅団の攻撃を受け、死亡してしまう。

ご老人

仙人のような風体をした男性。デス・レースの中継点であるガスタウンに入ろうとしたセイバー・セラザード達に食料をせびり、街に入ると呪われると警告した。ガスタウンに入ると金属が腐食する事を知っており、過去にも旅人達に警告を発している。

メトロープ・エストレラ (めとろーぷえすとれら)

カセイ渓谷を支配している女性。セルロック・マイバッハのかつての恋人。過去にゼラ・ツェンダーとかかわりがあり、その影響で人を信じないで、心を閉ざしてしまっている。セルロックが、いっしょにカセイ渓谷から出ようとうながしたものの、その場に留まる事を選んだ。

ムーンフェイズ・ガンギ (むーんふぇいずがんぎ)

カセイ渓谷の門番。メトロープ・エストレラに仕えている女性。セイバー・セラザードが訪れた際に扉を開け、先に進む事を許可してエストレラと引き合わせた。その後は1935年式BSAを完璧に磨き上げ、自分はエストレラに生涯尽くすと告げたうえで、セラザード達の出発を見送った。

集団・組織

機甲旅団

ゼラ・ツェンダーが率いる旅団。かつてクリュセ平原での戦闘で、多くのバイク乗りを全滅させた歴史がある。現在も各地域を占領しており、それぞれの都市に市長などを置いて絶対的な統治を続けている。本拠はパラドクスにあり、ツェンダーもそこに居住している。デス・レース中もあらゆる方法で妨害を続け、レースの参加者達を殺害しようと企んだ。

場所

クリュセ平原 (くりゅせへいげん)

バセロン・ダ・サイマンが統治している土地。かつて世界中のバイク乗りが、自動二輪禁止令を打ち破るために、機甲旅団と激戦を繰り広げた古戦場。現在は打ち捨てられたバイクが大量に存在し、食人動物が棲みつく不毛の地と化しており、「バイクの墓場」の別名を持つ。セイバー・セラザードの両親はここで死亡し、セルロック・マイバッハと台場元も、かつてここで機甲旅団と戦った過去がある。 声だけという形ながら、セラザードとセルロック、台場が初めて出会う場にもなった。

ブライトリング市 (ぶらいとりんぐし)

シン・デルバッドから1935年式BSAを託されたセイバー・セラザードが、車体を修理しようと向かった街。ここでセラザードはビストロ・フンスタンチンと知り合い、デス・レースの情報を知る。街の規模そのものはかなり大きいものの、車の修理屋はフンスタンチンの工場以外に見当たらない。

シリンダータウン

セイバー・セラザード達がデス・レースへの参加登録をするために向かった街。レースのスタート地点でもある。かつてゼラ・ツェンダーの爆撃兵団に所属していたビッド・ロウが市長として統治しており、夜間は自由殺人が許されている物騒な街。

ガスタウン

デス・レースの中継所の一つとなっている街。街中が硫黄の臭いに包まれ、金属は何もかも酸化して腐食してしまう。ゼラ・ツェンダーの配下である、市長のヘーヤ・スカンクサイが都市のエネルギーを取り仕切っている。街に充満したアンモニアや硫黄は実際は除去できるが、バイクや銃を地上から消してデス・レースを失敗させるために、あえて除去装置を使用しないまま街が運営されている。 最終的にはレースを妨害するため、街そのものが爆破された。

イラネードⅢ世用第128番「館」

環境管理人の聖イラネードⅢ世が所有する近代的な館。すべての動力が太陽電池でまかなわれており、水は大気中の酸素と水素から生成されている。一見すると楽園ともいえる環境だが、館がある渓谷の下には恵まれない市民が大量に住んでおり、その様子を見て憤慨したセイバー・セラザードが、子供達を先導して館を爆破した。

カセイ渓谷 (かせいけいこく)

デス・レースのコース途中にある暗黒地帯。渓谷が迷路のように入り組んでおり、永遠の闇が支配している。ゼラ・ツェンダーですら支配が及ばない場所で、レース参加者の多くがここを通り抜けられないとされている。だが、安全策をとって迂回をすると、1000キロメートル以上のロスとなってしまう。渓谷を支配しているのはセルロック・マイバッハのかつての恋人であるメトロープ・エストレラで、通行するには門番であるムーンフェイズ・ガンギの許可が必要。

パラドクス

ゼラ・ツェンダーが支配する機甲旅団の本拠であり首都。同時にセイバー・セラザード達が目指すデス・レースのゴールでもある。アイダール大陸の北端に位置し、人口3000万が住むメガロポリスである。人間とアンドロイドの両方が暮らしており、ここに住む者は全員がツェンダーに忠誠を誓っている。

イベント・出来事

デス・レース (ですれーす)

セイバー・セラザード達が参加したバイクのレース。参加者総数は4444名で、車両は3862台使用された。このレースの参加者が機甲旅団に勝利してゼラ・ツェンダーを倒すと、自動二輪禁止令が廃止される。ただし参加者には、旧式の自動二輪に乗る事と旧式の武器を使う事が義務づけられている。

その他キーワード

1935年式BSA

シン・デルバッドがセイバー・セラザードに託したイギリス製のバイクで、正式名称は「1935年式G35-14 986CC VeeTwin」。第二次世界大戦時に、ドイツや日本のバイクと戦場で渡り合った。ビストロ・フンスタンチンの見立てでは、いくつか改造されている部分があり、完全なオリジナルモデルではない。 セラザードが乗るのは986CCの重量型で、希少モデルとされている。サイドカー部分にはセルロック・マイバッハと台場元の改造により、ドイツ製の車両が取り付けられた。

自動二輪禁止令 (じどうにりんきんしれい)

ゼラ・ツェンダーによって制定された、バイクの乗車を禁じる条例。過去にクリュセ平原での戦闘で機甲旅団に勝てば条例が撤回される、という条件で戦闘が行われたが、その際はツェンダー側の勝利に終わっている。デス・レースは、この条例が撤回されるラストチャンスとして開催された。自動二輪禁止令という名称だが、バイクだけでなく新型の自動四輪も禁止対象となっている。

流沙砲艦

機甲旅団が所持する、砂漠を航行できる艦船。セイバー・セラザード達の前に現れたのはサンドライゼ大佐が指揮する一番艦で、デス・レースの妨害を目的としている。しかしサンドライゼ大佐に対して因縁を持つ台場元が単身で艦内に潜入し、船を自沈させるためのサンダーバルブを引き抜いて撃沈させた。

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