WARASHI

WARASHI

異世界からやって来た妖怪の少年、ワラシが、人間界で起こる数々の怪異を解決していく妖怪ファンタジー作品。「週刊少年マガジン」1990年第35号から1991年第27号にかけて不定期に掲載された。

正式名称
WARASHI
ふりがな
わらし
作者
ジャンル
お化け・妖怪
関連商品
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あらすじ

第1巻

祖母の家に出没するという謎の神、ワラシの話を聞くために、友人と一緒に遊びに行った小萩野あん子は、好奇心から龍神堂に祀られている龍石を見に行くことになった。しかし、龍石から突如として出現した妖怪、に襲撃され、命の危機に陥ってしまう。その瞬間、祖母にもらったお守りからワラシが出現。樹の精霊の力を借りたワラシは、瞬く間に蛟を倒し、あん子を救うのだった。 東京へと帰り、料亭で家族と夕飯を食べていたあん子は、女性が指を1本残して失踪する奇怪な事件に遭遇。後日、事件の真相を探るため、1人で料亭に忍び込んだあん子は、土鍋から出現した妖怪、尸鍋が女性を食べる現場に目撃してしまう。帰宅後に襲撃されたあん子は、お守りからワラシを召喚。水の精霊の力を借りたワラシは、尸鍋を撃退する。 あくる日、美容師関係の女性を連続で殺害する首切り魔事件が発生。占い棒で一連の事件が妖怪の手によるものであることを知ったワラシは、仲間である電気妖怪カマイタチの力を借り、その正体を見極めようとする。美容専門学校で発見した大量のマネキンの首の山から、犯人の正体がマネキンの首に取り付いた器物の怪であることを悟り、仲間と力を合わせてこれを撃退するワラシ。その後、自宅の近所に完成した超高層マンションを見学にいったあん子は、そこで親戚の女性と遭遇。早速彼女の部屋へとお邪魔するあん子だったが、直後に隣室の女性がマンションから転落死するところを目撃してしまう。 この事件が、風の通り道を塞いだマンションを恨む風切りという風の妖怪の仕業であることを看破したワラシは、仲間の協力を得て、化けインコの尾羽根を入手。尾羽根の効果で風切りの姿を見られるようになり、一度は風切りたちを撃退したワラシだったが、数を集め、逆襲に転じた風切りの脅威にさらされてしまう。一計を案じたワラシは、風の本拠地である風の宮殿へと出向き、そこで風神の宝物である風鋏と風壷を盗むのだった。

第2巻

風壷に風切りを閉じ込め、その間に風鋏で新たな風のルートを作り、マンションからずらそうと奮戦するワラシ。しかし、風鋏を操るのに手間取り、風切りは風壷を脱出してしまう。万事休するワラシだったが、そこに風の宮殿の長である風神が出現し、風鋏を操って風のルートをマンションからそらし、事態を終息させるのだった。 あくる日、小萩野あん子の通う中学校に、刑事の室井がやって来る。人を殺して喰らう黒塚の鬼女が復活したことを妖怪新聞で知ったワラシは、室井が追っている、10年前にF市で起きたペンションでの大量殺人事件の犯人が、黒塚の鬼女であることを看破。黒塚の鬼女があん子の通う中学校にいると見立てたワラシは、現場へと赴くが、黒塚の鬼女が張った結界で一時的に力を失い、お守りの中へ引き返してしまう。単身で保健室へと向かったあん子は、そこで黒塚の鬼女に襲われてしまうが、死の国から黒塚の鬼女の娘、恋衣を連れて来たワラシの機転で、黒塚の鬼女を成仏させることに成功する。しかし、恋衣から妖怪、天邪鬼の復活を知らされたワラシは、いきり立って我を失い、敵意に満ちた目で周囲を探索しはじめるのだった。 ワラシの様子に戸惑ったあん子は、お守りの中に入り、ワラシの住んでいる世界を訪問。そこでワラシが人間と妖怪の混血児であり、ワラが追う天邪鬼こそが、ワラシの父親と母親を無間地獄へと放逐した仇であることを知る。人間界に戻ったあん子は、土蜘蛛にのっとられた母親の襲撃を受けるが、ワラシによって助けられる。その直後に天邪鬼が現れ、疲弊しきったワラシにトドメを刺そうとする。仲間である白竜王の命を授けられたワラシは、父親譲りの技、妖気弾を放ち、天邪鬼を撤退へと追い込むことに成功。しかし、すべての力を使い果たし、そのまま命を失ってしまう。

第3巻

天邪鬼が放った巨大な妖獣、野槌によって大混乱に陥る東京。天邪鬼との戦いで命を落としたワラシだったが、彼を想う小萩野あん子によって心の封印を解かれ、心身ともに成長した姿で蘇った。再度天邪鬼と対峙したワラシは、以前とはまるで段違いの戦闘力を発揮し、強力な妖気弾で天邪鬼を粉砕。重傷を追った天邪鬼は真の姿である猖獗へと変身し、ワラシを抹殺しようとする。圧倒的なパワーでワラシをねじ伏せた猖獗は勝利を確信するが、最後の力を振り絞ったワラシに拘束され、ともに野槌の口の中に広がる無間地獄へと吸い込まれるのだった。 それから3年の月日が過ぎ、17歳となったあん子は、ワラシの帰りを待ちながら、ごく普通の女子高生として平穏な日々を送っていた。そんな折、あん子は成績の悪い友人の小川蕗子に付き添い、美童和彦とともに評判の学習塾「明解塾」を訪れる。翌日、学校に顔を見せた蕗子は、学力が大幅に向上していたが、別人ように陰気な少女となってしまう。その変貌ぶりに大きな疑問を抱いたあん子は、彼らが死人帰りという妖怪にされたのではと推測。 翌日の学校で死人帰りのことを和彦に相談するが、変貌して蕗子に捕まり、明解塾へと連れ去られるあん子。あん子を探して明解塾を訪れた和彦は、死人帰りによって瀕死の重傷を負わされ、意識を失う。その意識化の際に魂となったワラシが出現。和彦はあん子を助けるため、ワラシに自身の肉体を貸すのだった。再び肉体を得たワラシは、死人使いを撃退。あん子と3年ぶりの再会を果たすのだった。

第4巻

小萩野あん子のクラスメイトで、自分の容姿に強い劣等感を抱いていた山下江津子は、自宅に投函された怪しげな美容整形のチラシを見て、整形手術を受けることを決意。見違えるように美しくなり、「白川絵美」として、新たな人生を歩み始めた江津子は、その美しさで学校中の注目の的になる。自分を軽んじた生徒たちに対する復讐を開始し、すっかり傲慢な性格となった江津子は、あん子を騙して顔に希硫酸をかけさせようとする。しかし、突如として江津子の顔に小さな化け物の顔が出現。醜く変形していく顔にパニックに陥った江津子は、執刀医に言われるがまま、あん子の顔を切り取り、美しい顔を取り戻そうとする。この企みはワラシによって止められ、彼女をそそのかした妖怪、面取りが倒され、事態は終息する。 あくる日、あん子のクラスメイトであるアイドルマニアの木山道明は、ビデオショップで発掘した、木ノ実苺という誰も知らない新人アイドルのプロモーションビデオに夢中になる。連日寝食を忘れてビデオを見続けた木山は日に日にやせ細り、ついにはビデオの世界に取り込まれてしまう。彼を助けるためにワラシと一緒にビデオの世界へと入ったあん子は、暴漢の手によって無念の死を遂げた苺の魂を解放して、事件を解決へと導くのだった。 その後、ワラシが無間地獄から1か月で帰還することを知って喜ぶあん子の姿を見て、ワラシへの嫉妬心が抑えられなくなった和彦は、酒呑童子の手下にそそのかされ、ワラシを自身の身体へ永久に封じ込める薬を飲み続けてしまう。1か月後、ワラシは地球へと戻り、あん子と再会を果たすが、儀式を完了させた和彦の身体に封印されてしまう。しかし、それでも一途にワラシを待ち続けるあん子を見て、自身の間違いに気付いた和彦は、酒呑童子に連れ去られたあん子を救うため自らの命を絶ち、ワラシを解放する。酒呑童子を撃破したワラシは、あん子とともに妖怪を倒す長き旅へ出るのだった。

登場人物・キャラクター

ワラシ

茶色のロングヘアで、口から2本のキバを生やした妖怪の少年。心を通わせた人間にしか見えない、「童子のごとき姿をした神」とされ、年配者を中心に「ワラシ様」という名で呼ばれて祀られている。普段は異世界の隠れ里に住んでいるが、時折人間界に顔を見せ、家屋にあるおもちゃで遊ぶなど、他愛もないいたずらをしていた。その際、祖母の家に遊びに来ていた幼い頃の小萩野あん子を気に入り、自分が住んでいる隠れ里を案内した過去を持つ。 あん子のおっぱいをいたく気に入って触り続けるなど、少々スケベなうえに意地が悪い乱暴者。しかし、正義感は非常に強く、弱者を虐げる者に対しては容赦しない。10年ぶりに田舎に遊びに来たあん子を襲った妖怪、蛟を撃退したことがきっかけとなり、彼女の守護神的な役割を担当。 あん子の身の周りで起こる、数々の怪異を解決していくことになる。なりは小さいが、万物に宿る精霊の力を借りて、その性質を自分のものにできる特殊能力を持つため、戦闘力は非常に高い。あん子が東京に帰ってからは、彼女が持つワラシのお守りを介して、たびたび人間界に降臨していた。実はかつて栄華を誇ったワラシ一族の末裔であり、妖怪と人間の混血児。 幼少の頃に敵対する妖怪、天邪鬼によって父親のカハクと母親を無間地獄に送られてしまい、悲しみと絶望のあまり体の成長が止まってしまった。天邪鬼の攻撃によって命を落とした際、あん子の涙によって心の封印が解け、たくましい青年へと変貌を遂げて蘇る。天邪鬼との決戦で、天邪鬼を倒すためにともに無間地獄へと落ちてしまった。 3年の月日をかけ、魂だけの姿で地球へと戻ることに成功する。その後は、あん子のクラスメイトである美童和彦の体を借り、あん子を襲う妖怪たちを退治していくことになった。

小萩野 あん子 (おはぎの あんこ)

中学2年生の女の子。ショートカットの髪型をした、誰にでも好かれる明るい性格をしている快活な少女。ワラシの噂を聞きつけたオカルト好きな友人を連れ、田舎に住む祖母の家に遊びにいく。村外れの祠に祀られていた妖怪、蛟に襲われたところを、ワラシによって助けられる。東京に戻った後は、身の周りで発生する数々の怪異を、ワラシの力を借りて解決していくことになる。 ワラシとは幼少の頃に出会っていたが、小萩野あん子自身は、ほとんど覚えていなかった。ともに行動するようになってからは、スケベなワラシには幾度となく手を焼かされていたが、妖怪と戦い続けるワラシを陰から支え続けるうちに、いつしかワラシをかけがえのない存在として認識するようになる。 天邪鬼との戦いの果てに、ワラシが無間地獄へと消えてしまった後も、地球への帰還を信じて、何年もワラシを待ち続けていた。

天邪鬼 (あまのじゃく)

人間を憎悪する邪悪な妖怪の頭目。性別は男性。冷酷にして狡猾、残忍な性格をしており、人間同士の裏切りやいさかいを何よりも好む。騒乱や戦争など人類の愚行の多くに、裏で関与している一族の出身。人間と妖怪の共存を掲げたワラシの父親、カハクを敵対視し、野槌を使ってカハクを妻と一緒に無間地獄へと送った張本人。そのため、ワラシからは仇敵として激しく恨まれていた。 力を結集した妖怪たちによって追放されていたが、再び蘇り、人類の一掃を妨げるワラシを消し去ろうとする。触れるだけで生命エネルギーを吸い取り、自分のものにできる特殊能力の持ち主。敗北した部下の妖怪の生命エネルギーを容赦なく吸い取っていた。

猖獗 (しょうけつ)

二対の剛腕と、背中から生えた八対の触腕を持つ、筋骨隆々の巨大な人型妖怪。天邪鬼の正体で、ワラシの攻撃に追い詰められた天邪鬼が変身した姿。パワーだけなら天邪鬼の100倍あり、その姿を見たものは誰一人として生きて帰れない、とされていた無敵の存在。その戦闘力でワラシを圧倒するが、野槌の体内にある無間地獄へと吸い込まれる。

美童 和彦 (みどう かずひこ)

明るく元気な男子高校生。高校生となった小萩野あん子のクラスメイト。面差しが少しワラシに似ており、若干スケベ。あん子に恋心を抱いており、彼女に度々ちょっかいを出していた。死人使いに捕らわれたあん子を助けるために「明解塾」へ行った際に、死人帰りに襲われて瀕死の重傷を負うが、魂だけの存在となったワラシに体を貸して蘇った。 以後は、あん子のピンチ時に、ワラシに体を貸すようになる。

カハク

かつて栄華を誇った「ワラシ一族」のリーダーだった妖怪。ワラシの父親。武勇に優れ、信望の厚い100年に一度の大妖怪として異世界で名を馳せていた。人間と妖怪の共存を掲げていた平和主義者で、美しく聡明な人間の女性を妻として娶り、平穏な暮らしを営んでいた。人間を憎悪する天邪鬼に謀られ、妖獣、野槌の口の中にある無間地獄へと送られてしまう。

白竜王 (はくりゅうおう)

全身が白い鱗で覆われた美しい竜の男性。本当の名前は「美髟公白竜王」。普段は地面に着くほどに長い頭髪と髭を生やした老人の姿をしている。カハクの代からワラシ一族に仕えており、両親を天邪鬼によって失ったワラシの親代わりとなった。少々口うるさいが、心優しい性格をしている。天邪鬼によって追い詰められたワラシを救うために、自身の命を捨ててワラシに生命エネルギーを預け、超妖怪弾を使わせていた。

黒塚の鬼女 (くろづかのきじょ)

極めて残虐な鬼女。もともとは普通の人間で、貴族の乳母をしていた。重い病にかかった姫の治療に妊婦の生き肝が必要であると医師に聞かされ、田舎で旅の宿を営み、宿に泊まった妊婦を殺害してしまう。それが生き別れの娘であると知って、悲しみのあまり発狂、人を殺して喰らう鬼となってしまった。旅の僧によって長い間、塚に封じられていたが、天邪鬼の手で解放され、殺戮を再開する。 小萩野あん子の通う中学校の保健医となり、人を喰らうチャンスをうかがっていたが、ワラシによって成仏させられる。

風神 (ふうじん)

風の宮殿に住んでいる風の神。性別は男性。ワラシと風切りたちの戦いに割って入り、風の道を移動させて両者に矛を納めさせた。神として強大な力を持っており、その圧倒的な威厳で、怖いもの知らずのワラシを怯えさせていた。

恋衣 (こいごろも)

かつて京都に住んでいた美しい女性。黒塚の鬼女の娘だったが、地方を旅している途中で、病気の姫を治療するために、妊婦の生き胆を欲していた黒塚の鬼女によって殺害されてしまう。ワラシの手で黄泉の国から魂を呼び戻され、殺戮を続ける黒塚の鬼女を鎮めようとする。

室井 (むろい)

刑事の男性。10年前に地方で発生したペンションでの大量殺人事件を追っている。小萩野あん子の通う中学校に犯人が潜んでいると考え、捜査のために何度も足を運んでいた。刑事としての能力は高く、動物的な勘も鋭い。

小川 蕗子 (おがわ ふさこ)

ごく普通の女子高生。高校生となった小萩野あん子のクラスメイト。成績不振に悩み、近所で評判の「明解塾」へと通うことになる。ところが、死人使いの手で命を絶たれ、死人帰りとなってしまう。あん子を同じ死人帰りにするために、彼女を捕らえて明解塾へと連行する。

野槌 (のづち)

巨大な芋虫のような姿をした妖獣。体内に何人も脱出できない無間地獄への入り口があり、大きな口ですべてを飲み込み、宇宙の果てにある無間地獄へと送ってしまう。今は天邪鬼が使役しており、ワラシの両親を無間地獄へと送っていた。命令者である天邪鬼が倒された後に活動を停止し、元の住処である深山へと帰っていく。

風切り (かぜきり)

鳥とトカゲが合わさったような姿をした風の精の一種。性別は不詳。「風の街道」と呼ばれる、風の通り道に住んでおり、その姿は誰にも見ることができない。性質はかなり凶暴で、場合によっては人を殺すことも厭わないため、最強の殺人者としてワラシにも警戒されていた。風の通り道を塞いだ高層マンションと、それを建てた人間に激怒し、住人を殺害するなどの被害を与えたため、ワラシと対立する。 「化けインコの尾羽根」をまぶたの上に張ると、姿が見られるようになる。

尸鍋 (しこ)

陶器に宿った巨大な赤い芋虫のような姿をした不気味な妖怪。性別は不詳。頭部に鋭い牙の生えた大きな口が付いており、口の中に目が1つある。陶器に真紅の色を付けるために、狂気の陶芸師「鷲尾鳩斎」が殺害した女性の怨念から生まれた妖怪。罪もない女性を喰らい殺すことで己の復讐心を満たしていたが、ワラシによって退治される。

(みずち)

水の霊気が固まって生まれた、蛇のような姿をした妖怪。龍人堂に祀られていた龍石に潜んでいた。性別は不詳。近づく生物の精気を吸い取って成長し、里で1000年、山で1000年、海で1000年を過ごした後に、天に昇って龍になるとされている。龍石に近づいた小萩野あん子とその友人を襲って精気を吸い取ろうとしたところを、ワラシによって撃退される。

電気妖怪 (でんきようかい)

電気を栄養にする妖怪。普段は人間界の電柱に隠れ住んでいる。性別は不詳。電気を食べるだけでなく、自らも電気となって、電線などを伝って自在に移動できる特殊能力を備えている。首切り魔事件の真相を追っていたワラシに呼び出され、ともに犯人を捜すことになる。

カマイタチ

風に乗り、旋風に住み着くイタチのような姿をした妖怪。性別は不詳。前足に鋭利な刃物が付いており、対象を切り裂くことができる。その能力のおかげで、首切り魔事件の真相を追っていたワラシによって犯人扱いされてしまい、怒りのあまりワラシを追いかける。

器物の怪 (きぶつのかい)

マネキンの首に憑いた妖怪。性別は不詳。人形に宿った憎しみの感情によって突き動かされており、自分を粗末に扱った見習いの美容師を次々と殺害していた。ワラシとカマイタチの連携攻撃によって撃退される。

死人使い (しびとつかい)

呪いの技を極めた妖怪。性別は不詳。表向きは「明解塾」という進学塾の経営者をしていた。死者を呪法で自在にコントロールすることができ、死人帰りとして使役して、仲間を増やし続けていた。もともとは腐肉でできた不定形の妖怪で、肉塊のような体で犠牲者を締め上げ、ドロドロに溶かしてしまう。

死人帰り (しびとがえり)

現世に蘇った死者たち。見た目はごく普通の人間だが、知性が高く、筋力も非常に強い。しかし、表情や言動には生気がまったくなく、周囲には常に死臭を漂わせている。死人使いによって操られており、仲間を増やすために犠牲者を捕らえていた。

山下 江津子 (やました えつこ)

目立たない性格をした女子高生。小萩野あん子のクラスメイト。自分の容姿に強いコンプレックスを抱いており、自宅にあった怪しげなチラシを見て、医師に扮した面取りのもとで整形手術を受けた。美しい顔を得てからは、「白川絵美」を名乗り、別人として学園生活を謳歌するようになるが、やがて傲慢な性格へとなっていく。

面取り (めんとり)

表向きは、容姿に悩む女性に望み通りの美しい顔を与える美容医師。性別は男性。その正体は、死体の顔の皮を剥ぎ取って別の女性に貼り付けていた外道妖怪。人間の狂気をなによりも愛し、人間の心を弄ぶことを目的として活動している。自分の容姿にコンプレックスを抱く山下江津子を徹底的に弄ぶが、ワラシによって撃退される。

木山 道明 (きやま みちあき)

アイドルマニアの男子高校生。他人より先んじてマイナーなアイドルを発掘することを生きがいにしている。ビデオショップで見つけた、誰も知らない新人アイドル、木ノ実苺のプロモーションビデオに夢中になるが、徐々にやせ細っていく。

木ノ実 苺 (きのみ いちご)

新人アイドルの美少女。最高のアイドルになるために日々努力を重ねていたが、デビューを目前にして変質者の手にかかり、命を落とした。最後に遺したプロモーションビデオにその無念の想いが乗り移り、見たものをビデオ内へと取り込む凶悪な悪霊と化してしまう。

酒呑童子 (しゅてんどうじ)

頭部に角を生やした巨大な悪鬼。性別は男性。天邪鬼に仕える「邪魅六部衆」の筆頭だったが、天邪鬼亡き後は、人間界を牛耳るために活動していた。ワラシの妨害を防ぐため、配下の妖怪を使い、美童和彦の体にワラシを永遠に封印しようとする。

土蜘蛛 (つちぐも)

蜘蛛のような姿をした妖怪。天邪鬼に仕える「邪魅六部衆」の一員。性別は不詳。かつて京都で何人もの人間を喰らっていたが、伝説の名将、源頼光によって退治された過去を持つ。天邪鬼の手で蘇った後は、彼の配下として人間を滅ぼすための活動に従事していた。

その他キーワード

妖気弾 (ようきだん)

体内の生命エネルギーを1点に集中して、そのまま放出するカハクの技。一撃で山ひとつを崩すなど、非常に強大な力を秘めている。生命力の低いものが使えば命を失いかねないため、息子であるワラシにこの技を伝授したカハクは、軽々しく技を使うことを厳に戒めていた。

ワラシのお守り (わらしのおまもり)

美しい小石を数珠繋ぎにしたネックレス状のお守り。小萩野あん子の祖母が一番大事にしていたお宝だったが、あん子が貰い受けた。お守りに対して一心に祈りを捧げると、異世界に住むワラシを呼び出すことができる。

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