二ノ宮知子の代表作の一つで、同じく代表作の『のだめカンタービレ』以来となる講談社「Kiss」での連載作品。舞台は東京・銀座九丁目商店街の老舗質屋「倉田屋」。宝石の「気」を感じる特殊能力を持つ高校2年生の志のぶと、幼少期に質入れされ、3年の期限切れにより質流れとなり、志のぶと婚約することとなった名門北上家の跡取り、顕定との関係を描いた物語。顕定は高級ジュエリー店「デュガリー」の外商として働きながら、北上家から離散した宝物の捜索を進めている。本作は、質屋を舞台に宝石鑑定や質屋の実務、宝飾業界の慣習など、専門的な要素を盛り込んだヒューマンドラマ。クンツァイトやレッドベリル、スフェーンなどさまざまな宝石が登場し、それぞれの性質や歴史的背景が描かれる。質入れされた品物の価値判断や取引の仕組み、フリマアプリでの査定、外商による富裕層への営業など、現代的な商取引の形態も取り入れられている。講談社「Kiss」2014年1月号から掲載。