たらちねジョンの代表作。65歳のうみ子が夫との死別後、現代日本の美術大学を舞台に、映画制作に挑戦する物語。映像専攻の学生、海との出会いをきっかけに映画制作の世界に足を踏み入れたうみ子は、インフルエンサーのsoraとの関係を通じて創作における覚悟の問題に直面していく。本作はシニア世代の女性を主人公に据え、映画制作という専門的な題材を扱っている。綿密な取材に基づく映画制作の過程が具体的な機材や技法と共に描かれ、美術大学生の生活や制作現場の様子が詳細に描かれる。登場人物の心情は海や波のメタファーを用いて表現されている。また、SNSやインフルエンサー文化といった現代的要素も物語に組み込まれている。秋田書店「ミステリーボニータ」で2020年11月号から2025年12月号まで連載。2021年に「このマンガがすごい!2022」オンナ編第1位、2022年に「マンガ大賞2022」第9位を獲得。