「痴漢冤罪」をテーマに、とある男女の壮絶な闘いを描いた復讐劇。主人公・柿山健志は家庭を持つごく普通の33歳のサラリーマンだ。この日もいつものように通勤電車に乗っていたが、目の前に立っていた女性から突如痴漢の疑いをかけられる。全く身に覚えのない柿山は動揺し逃げ出そうとするが、駅員に取り押さえられ逮捕されてしまう。冤罪を主張し、徹底的に闘うことを決意する柿山だが、彼を訴えた女性・佐藤遥はある特別な思いを抱えていた。
遥の父は15年前、同じく電車で痴漢の疑いをかけられていた。冤罪を主張するも、会社をクビになり裁判の果てに自殺してしまう。遥は父の証言から、とある学生の犯行だと信じ真犯人を捜すことを決意する。時がたち、社会人となった遥は、ひょんなことから同僚の不倫相手である柿山を知ることに。彼が父に罪をなすりつけた本人だと確信し、父と同僚の無念を晴らすべく、遥は一世一代の賭けに出る。昨今のニュースで話題になる「痴漢冤罪」、痴漢の告発がでっち上げであったとしても簡単に犯罪者扱いされてしまう残酷な社会構造が余すことなく描かれている。過去の罪を償わせようとする遥の復讐劇は果たして成功するのか、結末をぜひ見届けてほしい。
無実の父を救うため、息子が時空を超え奔走するSFヒューマンドラマ。1989年6月、北海道の音臼小学校で21人が毒殺される無差別大量殺人事件が発生。当時の音臼村の駐在であった佐野文吾が逮捕され、死刑判決を受けた。だが文吾は無罪を主張していた。事件から28年後、文吾の息子である田村心(しん)は犯罪者の家族として身を隠すように密かに暮らしていた。しかし、事件の真相を探っていた妻・由紀の死をきっかけに心はある決心をする。2020年に実写ドラマ化。
由紀の死をきっかけに事件と向き合う決意をした心は音臼小を訪れるが、深い霧に包まれ意識を失ってしまう。気がつくとそこは、事件が起こる少し前の音臼村だった。ひょんなことから心は文吾と知り合い、彼の妻である和子の助けもあって佐野家に居候することに。最初は文吾に不審がられるものの、村内で起きる事件を解決し徐々に信頼を深めてゆく。心が未来から来た息子だと知った文吾は、彼と共に真犯人を捜し事件を防ごうと手を尽くそうとするものの、過酷な運命に翻弄される。本作のストーリーは、秀逸なミステリーとしてだけでなく、「家族の絆」のドラマとしても魅力的だ。心が味わうことのできなかった文吾との親子のふれあいが緻密に描かれており、ラストは感動間違いなしだ。
冤罪で死刑となった主人公が、過去の自分と共に真犯人への復讐を企てるタイムスリップサスペンス。2003年、JR横浜線沿線で4人の男女が殺される連続殺人事件が起こった。当時、売れっ子彫刻家であった剣崎マコトは、被害者が全員美大時代の仲間であったことから犯人として逮捕される。マコトは11年もの間獄中で無罪を主張し続けるが、死刑判決が下り執行されることに。絞首台から落ち絶命したかに思われたが、彼の身体は過去にタイムスリップしていた。
マコトがたどり着いたのは、11年前の事件が起こる25日前だった。事件を未然に防ぎ、真犯人を見つけ次第殺害することを誓ったマコトは協力者を欲する。そのために彼が訪ねたのは、こともあろうに過去の自分自身であった。未来からの訪問者に戸惑うもう一人の「剣崎マコト」は、彼の話を信じ事件解決に向け行動を共にする。当時マコトたちが師事していた担当教授の鞄持ちであった「鷺沼春樹」が重要参考人として浮上し、二人は彼の行方を追うが再び悲劇は繰り返されてゆく。自らの冤罪を晴らすために、過去の自分と手を組むという発想が新しく最後まで引き込まれる。真犯人の正体や、二転三転するストーリー展開が見どころだ。
とある島を舞台に、妻子を殺された主人公が真犯人へ復讐すべく若き肉体を手に入れるミステリー。主人公・八武崎瀧郎(やぶざきたきろう)は、何者かに妻子を殺されるも冤罪で逮捕される。殺害現場から逃げ出した「尖り耳の男」を目撃していたが証拠として認められず、50年間も服役をしていた。80歳となった瀧郎は、政府の若返り制度「エイジングプロジェクト」の存在を知る。若返りではしゃぐ元老人たちの中に、とある人物の姿を見つけた瀧郎はプロジェクトに参加することを決意する。
「エイジングプロジェクト」とは、高齢化対策のため老人たちを投薬と手術により若き肉体に戻し、ある島で労働力として再雇用するという夢のような制度であった。瀧郎は、若返りに成功した老人たちの映像の中に尖り耳の男の姿を見つける。彼が真犯人だと確信した瀧郎は、復讐のため島へ渡ることを決意しプロジェクトに参加することに。望み通り20歳の肉体を手に入れるが、島に渡った彼を待ち受けていたのは恐ろしい現実であった。一見桃源郷のように思えた島だったが、島内には不穏な空気が漂っていた。プロジェクトの黒幕の招待は誰か、尖り耳の男は一体何者なのか、瀧郎の家族を殺した動機は何なのか、深まる謎から目が離せない。
無実の罪で処刑された侯爵令嬢が、過去に戻り人生をやりなおそうと四苦八苦するタイムスリップファンタジー。舞台は神より魔法を授かる国・フィンダリア王国。侯爵令嬢の「リオ」ことカトリオナ・ユリエ・グランドールは王太子に婚約を破棄され、挙句の果てに彼女の恋敵を暗殺した疑いをかけられていた。一家は皆殺しに遭い、彼女もまた冤罪で処刑されてしまう。しかし執行の直後、なぜか時が戻りリオは7歳の姿になっていた。
タイムスリップしたのをきっかけに、リオはこれからの人生を穏やかに生きたいと決意する。そのためには、王太子の婚約者となる条件である「光属性」の魔法を他のものに変える必要があった。そんな矢先、森の中でリオは傷ついたライオンを魔法で助けるが、なんとその正体は森の神様・レオンであった。リオはレオンの助けを得て属性を変えることに成功、未来の惨劇回避のために奮闘する。しかし、リオの魔法の噂を聞きつけた王太子一行の馬車がすぐそばまで迫っていた。「もふ神様」のレオンは神ゆえに変幻自在だが、時にはもふもふの猫、時には彼女のイヤリングにまで姿を変えてリオを献身的に支えるのがいじらしい。婚約を回避し、幸せに暮らす日はやってくるのか、今後の展開に要注目だ。