裏社会のボディーガードが活躍するハードボイルド漫画『闇のイージス』の続編。国際指名手配されているテロリスト「蝶(バタフライ)」のシンパたちが次々と事件を起こし、世界は大いに揺れていた。そんな中、伝説の「護り屋」である楯雁人(たてかりと)は、一人で世界を彷徨っていた。彼の目的は、蝶の過去を探ること。何故、「テロリスト・メイカー」と呼ばれる蝶のような存在が生まれたのか。次第にその経緯が明らかになり、やがて物語は蝶との最終決戦に繋がっていく。
本作の主人公である楯雁人は、「無敵の楯(イージス)」という異名を持つ伝説の護り屋だ。護り屋とは、裏社会のボディーガードのこと。依頼を受ければ、守護対象が犯罪者であっても必ず守り抜く。そんな雁人には、右腕が義手という身体的特徴がある。彼は高校卒業後警察官となり、やがて警視庁特殊部隊SATの隊員となった。愛する妻子もおり満たされた生活を送っていたのだが、蝶のSAT狩りによって妻を殺害され、息子に爆弾を仕掛けられてしまう。爆弾を解除しようとするも失敗し、息子の命と自身の右腕を失ってしまったのだ。以降、蝶への復讐を決意した雁人は護り屋として世界中を放浪することになり、装着した鋼鉄の義手で様々な戦いを乗り切っていく。義手を使った雁人の戦闘シーンは必見だ。
禁断の戦争兵器を巡る復讐劇を描いた青春SF漫画。主人公は、不登校の少年・狐月(きつねつき)ソラ。自身が起こした交通事故のトラウマから家に引きこもるようになった彼の趣味は、母が装着している「サイボーグ義手」をメンテナンスすることだった。母以外と関わることはないが、それなりに幸せな日々を送っていたソラ。そんな彼の生活は、母が亡くなってしまった日から一変する。母の死にとある組織の策略が絡んでいたことを知ったソラは、母の形見である義手と共に組織への復讐を誓うのだった。
ソラの母が使っていた「サイボーグ義手」は、元々は長引く紛争を終結させるために作られた兵器だった。禁忌の技術と言われたその力は、やがて医療機器に転用されるようになり、ソラの母のように体の一部が欠損している人々の生活を支えるものとなっていたのである。しかしソラの母が使用していたサイボーグ義手は、彼女の死をきっかけに再び兵器へと変わることになる。ソラは母の形見のサイボーグ義手を自身に取り付け、復讐のために使うことにしたのだ。ソラは同じくサイボーグ義手を操るヴルポと共に、母を殺害した犯人に迫っていく。果たしてソラは復讐を遂げることができるのか。そして復讐の先に待ち受けるものは何なのか。少年の復讐劇の行方を見届けよう。
大富豪の息子と、彼を守る2人の男女の数奇な運命を描いた欧風熱血機巧(からくり)活劇。小学5年生の才賀勝(さいがまさる)は、大手家電メーカーの社長子息。彼は父の死によって180億円の遺産を相続することになり、そのせいで父の異母兄弟から命を狙われていた。そんな勝を救ったのが、拳法家の青年・加藤鳴海と、人形使いの女性・しろがねだった。こうして日本の地で出逢った3人は、予想もつかない数奇な運命に巻き込まれていくことになる。2018年10月にテレビアニメ化された。
「からくり編」の主人公である加藤鳴海は、命を狙われていた勝を助けたことがきっかけで才賀家の遺産相続にまつわる事件に巻き込まれ、やがて左腕を残して行方不明になってしまう。鳴海は一命を取り留めていたが、それはある人物によって「しろがね」と呼ばれる存在にされたからだった。前述の女性の呼び名でもある「しろがね」とは、「生命の水(アクア・ウイタエ)」を飲んで不死となった人々のこと。鳴海をしろがねにしたのは、同じくしろがねのギイという人物で、ギイは鳴海の左腕に折りたたみ式の仕込み刃を備えた義手も取り付けていた。鳴海はこの義手を使い、人々を苦しめる自動人形(オートマータ)なる存在と戦っていくことになる。鳴海の義手に注目しながら、アクションと恋愛要素が盛り込まれた超一級のストーリーを堪能しよう。
錬金術師兄弟の冒険を描いたダークファンタジー漫画。幼くして母を亡くした兄弟、エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック。2人は母に会いたい一心で、錬金術における最大の禁忌「人体錬成」を試みた。しかし錬成は失敗し、エドワードは左足を、アルフォンスは全身を喪失。エドワードは右腕を代償に、アルフォンスの魂を近くにあった鎧に定着させる。その日から、エルリック兄弟の元の身体を取り戻すための長い旅が始まった。2003年10月にテレビアニメ化。
右腕を代償に弟の魂だけは取り戻すことができたエドワード。人体錬成失敗のショックからなんとか立ち直った彼が求めたのは、失った弟の身体と、それを取り戻すために必要な手足だった。エドワードは機械鎧(オートメイル)と呼ばれる鋼の義手・義足の製作を、機械鎧技師である幼馴染とその祖母に依頼。辛いリハビリを経て、ついに自由に動かせる鋼の手足を手に入れる。エドワードにとって、機械鎧はただ生活を支えてくれるだけの医療器具ではない。彼は機に応じて、錬金術で機械鎧を刃物に変え、武器としても使用している。元の身体に戻る方法を探す危険な旅に欠かせない存在であり、また自らの過ちを突きつける存在でもある機械鎧は、「鋼の錬金術師」の二つ名を持つエドワードを象徴する重要なものだ。
とある剣士の復讐の旅を描いたダークファンタジー漫画。身の丈を超える大剣を背負い、大砲を内蔵した鉄の義手をつけた巨漢の「黒い剣士」ガッツ。彼は怨敵「ゴッド・ハンド」を探し出すため、成り行きで知り合った妖精のパックと共に旅をしている。彼らの前に現れるのは、世界各地で人々を脅かしている「使徒」と呼ばれる怪物たち。ガッツは行く先々で使徒と戦い、徐々にゴッド・ハンドに近づいていく。1997年にテレビアニメ化。
主人公のガッツは、左腕に鉄製の義手を装着している。彼が腕を失ったのは、かつての友・グリフィスが引き起こした降魔の儀式「蝕」が原因だ。蝕に巻き込まれた人間はほとんどが死んでしまい、生き延びたガッツですら左腕と右目を失ってしまった。そこでガッツは義手を使うことになったのだが、彼の義手はなかなかに特殊だ。まず、ガッツの義手には小型の大砲が装備されている。大砲は金具を引くことで発射が可能。また、連射ボウガンも装着できるようになっており、欠損した体を補う医療器具というよりは、敵と戦うための武器としての役割のほうが大きい。義手に仕込まれた様々なギミックを利用して使徒たちを屠っていくガッツの活躍に、読者は目を剥くことだろう。