『デビルマン』連載から40年以上を経て、シリーズの最終章と公表されたSFバトル。時は西暦2025年。若きロボット学者の不動勇希は、2万年前の遺物「悪魔の壁画」と「悪魔の鎧」に魅せられるが、それは禁忌の領域だった。仲間の研究者たちが鎧に支配されてしまったことが原因で、自らもアモンの鎧を身につけて戦うことになる。
時代も設定も異なるが、元祖『デビルマン』をモチーフにしたと思われる設定が本作には多々登場する。たとえば主人公である勇希の苗字は、元祖主人公の不動明と同じ「不動」。勇希の妻の名も「美紀」であり、元祖『デビルマン』のヒロインである「美樹」と同じ読みだ。さらに本作の重要人物「竜(りょう)アスカ」も、不動明の親友「飛鳥了(あすかりょう)」を元とした名前である。一方、不動明が高校生であったのに対し、勇希は妻帯者の社会人という明確な違いもある。例えば勇希はロボットを軍事目的に使われることを嫌っていたが、己の研究のために軍事産業を営む企業と望まざる協力を強いられてしまう。こういった社会人特有の悩みや葛藤は、本作独自の魅力といえる。
デビルマンレディーとなったヒロインの戦いと苦悩を描いた物語。高校教師の不動ジュンは元水泳選手で、以前から抑えきれない闘争心を解消するためにスポーツに打ち込んでいた。しかし、人間が獣化した「ビースト」が生徒たちを襲う事態に巻き込まれ、絶体絶命の危機に陥ったジュンは「デビルマンレディー」に覚醒する。1998年TVアニメ化。
本作は『デビルマン』のパラレルワールド的な作品だ。主人公であるジュンは元々デビルマンとしての素質を持っていたが、それが強い闘争心として湧き上がり、度々彼女を苦しめていた。ジュンは闘争心を理性で抑えていたが、生徒たちがビーストに襲われ、自身も命の危機に陥った際力が目覚め、ジュンは「デビルマンレディー」となる。だがこの襲撃は彼女の力を目覚めさせるための計画であり、やがてジュンはビーストたちとの戦いに巻き込まれていくことになる。なお本作の世界において、元祖『デビルマン』は「漫画」として知られているが、とある出来事がきっかけで、ジュンは不動明と出会うことになる。この邂逅も、本作の見どころの一つだ。
永井豪の代表作である『デビルマン』と、石川賢の代表作『ゲッターロボ』のクロスオーバー作品。デビルマンこと不動明は、恋人の美樹と共にゲッターチームが所属する早乙女研究所へ向かう。だが、明とゲッターチームはそりが合わない。一方ゲッターロボを狙う恐竜帝国は、デビルマンの敵であるデーモン軍団と手を組んでいた。
本作はダイナミックプロのお祭り的作品である。『ゲッターロボ』はダイナミックプロ所属の漫画家で、永井豪が「戦友」と呼ぶ石川賢の作品だ。本作は、石川賢の逝去から4年後の2010年に永井豪によって連載が始まった。タイトルに「対」と入っているがデビルマンとゲッターロボが対決するわけではなく、それぞれの作品の敵が手を組んだことによって、デビルマンたちも力を合わせ立ち向かうというストーリーだ。本作では明の恋人である美樹が、『ゲッターロボ』のヒロインである早乙女ミチルの親友になっている。美樹がミチルに会うため明と共に早乙女研究所へと赴いたことで、デビルマンとゲッターチームが出会い物語が始まることになる。
緻密な画風で知られる漫画家の衣谷遊が手掛けた『デビルマン』のifストーリー。デーモン族から人間たちを守るために戦っていたデビルマンこと不動明。しかし、彼はその守るべき人間たちに恋人の美樹を殺される。美樹の死をきっかけに、明はデビルマンの力の根源であり、彼の体内に封印されていた悪魔アモンに体を乗っ取られてしまう。
本作は元祖『デビルマン』の衝撃的なエピソードから分岐した「起きたかもしれない」未来を描いた物語だ。元祖では語られることの少なかった、アモンやサタンの心情など、元祖『デビルマン』の補完的内容になっている。元祖『デビルマン』で明は守ってきた人間たちに美樹を殺されてしまうという残酷な運命を背負うが、彼は人間たちと距離を置きつつもデーモン族と戦う決意をする。しかし、本作では美樹の死をきっかけに、デーモン族の勇者と称えられた悪魔アモンに体を乗っ取られてしまう。アモンは全てを敵にしようとするが、明を知る者たちが明の心を引き留めようと奮闘。物語はアモンとサタンの過去に遡り、両者の因縁が明かされることになる。
荒廃し、暴力が支配する世界を舞台に描かれるバイオレンス&アクション。関東地獄地震という巨大な地震によって本州から分断された関東地方。隔離された土地は無法地帯となり、スラムキングと呼ばれる者が暴力で支配しようとしていた。だが、そこに身の丈2mを越える巨体の男バイオレンスジャックが現れ、スラムキングの野望を阻止すべく戦う。
本作は週刊誌、月刊誌、青年誌と掲載誌を変遷し、17年を経て完結した永井豪の最長連載作品だ。主人公のバイオレンスジャックは主に巨体の男として描かれるが、女性や少年の姿で登場することもある。どの姿でも彼は、荒廃した関東地方で正しく生きようとする人々を救い、悪事を働く者には容赦のない鉄槌を下していく。一見すると『デビルマン』関連作品とは思えないが、本作には『デビルマン』に登場したキャラと同姓同名で、同じ容姿をした者が複数登場する。また本作のクライマックス「第二十二部 魔王編」では、本作と『デビルマン』のある重要な繋がりが明らかになる。