人間と化け物の血を持つ主人公が戦うダークファンタジーマンガ194 Pt.

様々な事情で人間ではない紛い物になってしまった主人公たち。しかし、そのおかげで大切な仲間と出会えたり、その巨大な力で仲間を守ることも出来る。人間の目線にも、敵対する相手の目線にも、そして主人公の目線にもなって貴方の心の置き場所を考えてみてほしい。

本作はダークファンタジーであるにも関わらず、極めて王道なストーリー編成となっているため誰にでも読みやすい作品だと言えるだろう。
見どころは、「奥村燐」を悪魔と知らずに共に過ごしていく仲間たちがどのようにして主人公を受け入れ、そして変わっていくのか。また、悪魔である主人公ならではの戦いや悪魔との対談にも注目したい。

主人公である「エレン・イェーガー」は後に巨人化の能力に目覚めるが、本作は未だに巨人についての詳細は明かされていないため巨人化についても謎な部分が多い。ストーリー上、人間が捕食されるシーンなど少々グロテスクな描写はあるものの、仲間とともに戦いを制する様はまさに王道の少年マンガそのものである。
徐々に解明されていく謎を追いながら、主人公たちの長い戦いをぜひとも見届けてほしい。

本作の主人公である「金木研」は他の作品とは違い、復讐のために戦うわけでもなく、唐突に人間ではない存在になってしまう。戦いを好まず、喰種である自分を受け入れられずにいた主人公が新たな仲間と共に成長し、変わっていく姿には魅了されずにはいられないだろう。人間と喰種。どちらの世界にも身を置く主人公の考えや行動に目を離さずにはいられないのだ。

この作品では主人公と同じ孤児院で育った「百夜ミカエラ」が重要な人物となる。初めは家族を失い、心を閉ざしていた主人公だが、吸血鬼と戦うために集ったチームである仲間と徐々に信頼を深め、心を開いていく様子に注目してもらいたい。主人公は普通の人間では? と思われてしまうかもしれないが、実は恐ろしい醜悪な存在を身体に宿している。吸血鬼との対峙は勿論、その謎めいた存在についても同時に追ってもらいたい。