とある探偵事務所を舞台に繰り広げられるヒューマンラブコメ探偵漫画。主人公は「ああ探偵事務所」を営む私立探偵の妻木(つまき)。彼は名探偵の代名詞であるシャーロック・ホームズに強い憧れを抱いており、真実を当たる当たらないはともかくとして推理が大好きな男だ。彼はワトソン役であるOLの井上涼子と共に、様々な依頼を通して多くの人と関わっていく。そしてそんな日常の中で、妻木と涼子の関係も徐々に変化していくことになる。2004年7月に実写ドラマ化。
小説や漫画などに登場する探偵の多くは、外に出るだけで大きな事件に巻き込まれ、それを卓越した推理力で華麗に解決してみせる。しかし本作の主人公である妻木は、そのようなタイプの探偵ではない。まず、彼が事件に関わるには、事務所にやってくる依頼人の存在が必要不可欠だ。そして事件の解決方法は、推理ではなく力技であることが多い。犯人を捕まえるために人脈を使って罠を仕掛けたり、事件の手がかりを得るために不法侵入したりと、なかなかに強引だ。ワトソン役である涼子からは度々叱責を喰らっているが、懲りる気配はない。全ては困っている依頼人を救うためのこと。無鉄砲な捜査方法で事件を解決に導く妻木と、そんな彼に振り回されながらも支える涼子の日常を楽しもう。
特殊な体質の持ち主である男女の恋を描いた、超常現象ラブストーリー。主人公のカシマサヨコは、強い霊能力を持った和風少女。その身にはとある事情から膨大な数の霊が取り憑いており、彼女に関わった人間は霊障を受けて不幸になってしまう。そのためサヨコは、人と距離を置いて生きてきた。そんな彼女はある日、何故か霊障を受け付けない特異体質の貧乏大学生・稲葉田(いなばでん)と出逢い、彼に好意を持つ。サヨコは霊たちに協力してもらいながら、彼と両想いになるべく奮闘する。
サヨコは成仏できずに苦しんでいる地縛霊などを放っておけない性格で、地縛霊たちを自身に取り憑かせることで、土地の縛りから彼らを解放して回っている。しかし除霊や成仏させる力は持たず、いつしか彼女は800体以上もの霊を引き連れるようになっていた。そのせいで発生した問題が霊障だ。大量の霊が原因で、彼女に関わった人間は体調を崩すなど身体に悪影響が出るようになってしまった。ところが、稲葉には霊障が効かなかった。その安心感からか、サヨコは稲葉に恋心を抱くようになり、彼に近づきたい一心で稲葉の住むアパートの隣室にお引っ越し。恋に不慣れながらも懸命にアピールしていく。2人が少しずつ距離を縮めていく様子に、読者は胸がキュンとするだろう。
宇宙人と女子高校生の交流を描いたE.T.ハートフルコメディ。プルカは宿主を見つけて共生し、最終的に自分の子孫を宿主に産ませることを目的とした寄生型宇宙人だ。地球にやってきたプルカは自身の宿主に相応しい地球人の女性を探そうとするのだが、早速アクシデントに見舞われて命の危機に瀕してしまう。そんなプルカを救ったのが、女子高校生の小泉風香(こいずみふうか)だ。プルカは風香に寄生して地球で過ごすことになるのだが、風香は極度の対人恐怖症だった。
地球に降り立つなりカラスに襲われたプルカを助けてくれたのが風香だった。自身の存在を知られてしまったプルカは風香の記憶を消そうとするのだが、その前に風香は車に轢かれてしまう。プルカは風香の頭に寄生することで彼女の命を救い、風香と共に生活することになった。寄生してみれば、美人でプルカに対する拒絶反応もない風香は、これ以上ないほど理想的な宿主に思えた。ところが、風香は人と話すどころかまともに目も合わせられない極度の対人恐怖症だった。これではプルカの子孫繁栄のために必要な生殖行為の相手どころか友人すらできない。困ったプルカは対人恐怖症を克服したいと願う風香に協力しようとする。プルカと風香の時にシリアス、時に笑えるやり取りに注目だ。
大金を必要とする私立探偵がこれまでの人生を捨てて大きな依頼に取り組む様子を描いた探偵アクション漫画。主人公の貞村(さだむら)は、元警官の私立探偵。彼にはある目標があり、それは亡くなった恋人の父と妹が営む喫茶店の借金8000万円を全て返済することだった。しかし探偵業の収入は少なく、目標達成までの道のりは遠い。そんな貞村の前に、ある医療関連企業に勤める人間だという謎の女が現れた。女は貞村に高額な報酬が約束された奇妙な仕事を依頼する。
貞村に仕事を依頼しにきた謎の女。彼女は義手や義足、人工臓器などを研究する医療関連企業に勤めており、依頼の内容はある研究の被験者3人が一般社会に入り込んでしまったため捕獲してほしいというものだった。報酬は前金150万、捕獲は1人当たり600万、さらに3人とも捕獲して完璧に仕事を成功させれば7000万円支払うという。しかしこの仕事にはある条件があった。100パーセントの秘密厳守が必要な仕事であるため、貞村には顔も指紋も全て変えて、この世に存在しない全く別の人間になってもらわなくてはならないというのだ。最初は躊躇っていた貞村だったが、喫茶店に借金取りの魔の手が迫っていることを察し、「貞村」を捨てて依頼を受け大金を手に入れる決意を固める。
スタントの世界で生きる女性の奮闘を描いたスタントアクション漫画。主人公のウエハラユリは、スタントウーマンとして働いている。日々身体を張って命懸けの撮影に挑んでいるユリだが、生活はジリ貧。監督からは無理難題をふっかけられ、物のように扱われていた。それでも、彼女のスタントへの情熱は変わらない。周囲や監督とのやり取りにストレスを抱えながらも、ユリはより魅力的なアクションシーンを生み出すために、身体と頭を使って奮闘する。
真に迫力のあるアクションシーンを撮影するために必要なのは、CGではない。人間が実際に高所から飛び降りたり、火だるまになったりすることだ。しかしこれらの演技には、命の危険がついて回る。そんな身体を張った危険なシーンを演じるスペシャリスト、それがスタントマン・スタントウーマンと呼ばれる人々だ。主人公のユリはスタントウーマンであり、役者が演じることができない危険なシーンを代わりに演じることで収入を得ている。危険であるというのに給料はそれほど高くなく、そのうえ要求されることはやたらと高度というスタントの仕事に、ユリは周囲と衝突しながらも真摯に向き合っていく。なかなかスポットが当たらないスタントの仕事に触れることができる、興味深い作品だ。