作品誕生のいきさつ
作者の関崎俊三が「ヤングアニマル」の担当編集者に読み切りを1本描くように依頼され、無理矢理考え出したのが本作『ああ探偵事務所』の第1話にあたる「CASE.0」のプロットだった。また、その時にはすでに主人公の妻木の設定は固まっており、妻木を中心に構成したストーリーを担当編集者に話したところ同誌への連載が決まった。
あらすじ
行方不明となった兄を探してもらうため、井上涼子は電話帳の一番上に掲載されていた「ああ探偵事務所」に相談に訪れた。代表の妻木は探偵としてはかなりの変わり者だったが、涼子はとりあえず2日間コースで依頼をすることに決める。妻木は早速、涼子の兄の足取りを調べるが、そこで彼が指名手配中の殺人犯である有須川史靖を尾行していたという情報を得る。その情報から涼子にとって悲しい結末を迎えることを確信した妻木は、涼子の無念を少しでも晴らすために捜索に取り掛かる。
単行本の装丁
表紙には、毎回その巻で登場したナイスキャラを作者の独断と偏見で選出する「ああ探アカデミーナイスキャラ賞」が描かれている。なお、ナイスキャラ賞以外に、「おしくも落選した方々」として別枠で4人が選出されている。
メディアミックス
TVドラマ
2004年7月2から9月17日まで、テレビ朝日系の「金曜ナイトドラマ」にて本作『ああ探偵事務所』が放送された。妻木役を永井大、井上涼子役を酒井若菜が演じている。この時、撮影現場で作者の関崎俊三が藤島薫役の川島なお美に会ったことがきっかけとなり、のちに本編のCASE.61として薫が主人公の短編が描かれることとなった。
登場人物・キャラクター
妻木 (つまき)
探偵社「ああ探偵事務所」の所長を務める男性。シャーロック・ホームズに憧れて探偵事務所を立ち上げた。日常的に何でも推理をするなど探偵としての意識は高いが、推理の的中率はかなり低い。趣味は気になる記事をスクラップすることと、変装の練習をすること。不法侵入による捜査を得意とし、ピッキングの技術にも長けている。
井上 涼子 (いのうえ りょうこ)
行方不明となった兄の捜索の相談をするために探偵社「ああ探偵事務所」を訪れたOL。のちに、調査報告書の作成の腕を見込まれて、OLとして会社勤めの傍ら「ああ探偵事務所」の助手を務めるようになる。常識的な人間であるため、妻木の突拍子もない行動に振り回されることが多い。
藤島 薫 (ふじしま かおる)
探偵社「ああ探偵事務所」が入居しているビルのオーナー兼美容師の女性。いつも家賃を滞納している妻木に頭を悩ましており、日常的に家賃の催促をしている。しかしその反面、自分の仕事が忙しい時に娘の遊び相手になってくれているため、内心では妻木に感謝しているところもある。
藤島 茜 (ふじしま あかね)
藤島薫の一人娘で小学生の女の子。同じビルに住んでいるということもあり、探偵社「ああ探偵事務所」に入り浸っている。妻木のことは「お兄ちゃん」と呼び慕っているが、基本的に妻木が絡むとややこしいことになるのを知っているので、信用はしているものの信頼はしていない。時々、妻木の調査を手伝うこともある。
イワオ
藤島薫が飼っているペットのイワトビペンギン。一時期は行方不明になっており、その捜索を妻木が担当したこともある。妻木に仕込まれて、自分の羽根を使って卓球をすることができる。
森野 泉 (もりの いずみ)
探偵社「福耳探偵商会」のチーフを務める女性。妻木とは昔からの腐れ縁で、仕事上なにかと協力を頼まれることが多いが、基本的に報酬を支払ってもらえていない。ただ働きさせられた分の報酬は900万円以上にもなるが、それでも許しているのは妻木に好意を寄せているから。得意分野はカップルを別れさせる「別れさせ屋」。
福耳 新一 (ふくみみ しんいち)
探偵社「福耳探偵商会」の所長を務める男性。その名前通り立派な福耳の持ち主で、オカマ口調でしゃべる。妻木とも顔なじみで関係も悪くはない。「探偵は信用が第一」をモットーに、仕事の情報は妻木であろうと絶対に話したりしない厳格な一面がある。
浦 (うら)
探偵社「くるくる探偵社」の探偵で、ペット関連の依頼を得意とする「ペット探偵」を務める男性。最近は仕事がなくて困っており、地道にポスティングなどをして仕事を取ろうとしている。ペット関連の知識は豊富で、イワオ捜索の際にはペット捜索のイロハを妻木に教えた。
杉浦 太陽 (すぎうら たいよう)
全国に80以上の支社を持つ超大手の探偵社「美麗探偵社」の所長を務める男性。金に汚いという噂が立っているが、その経営手腕は本物。妻木のことも知っており、数々の事件を解決した手腕を買って自分の探偵社にスカウトしたこともある。背が低いことがコンプレックスで、普段から身長が18センチも高くなるシークレット・ブーツを履いている。
桜井 (さくらい)
全国に80以上の支社を持つ超大手の探偵社「美麗探偵社」で、かつて探偵を務めていた男性。売上を得るためにはグレーなことにも手を出すその貪欲さから通称「集金マシーン」と呼ばれている。探偵としては優秀だが、人間性にはかなり問題がある。
堀北 綾 (ほりきた あや)
全国に80以上の支社を持つ超大手の探偵社「美麗探偵社」で、社長秘書を務める女性。妻木が杉浦太陽の代わりに「美麗探偵社」が運営する探偵スクールの臨時講師を務めることになった際、彼の探偵としてのテクニックを盗もうと画策していた。しかし、妻木があまりにも破天荒な行動を取るため、それに対応できずに彼に振り回される結果となっている。
スケさん
妻木の情報源となっている人物で、何かと妻木に協力している男性。普段は風俗店の看板持ちをしているが、一度その顔を見たら忘れないという記憶力で妻木からは重宝されている。妻木からは「この街の人間を一番見ている」と評されるほど。「スケさん」「スケアクロウ」と呼ばれているが本名は不明。現在は足を洗っているが元スリで、その腕も確か。
有須川 史靖 (ありすがわ ふみやす)
殺人の罪で指名手配されている男性。井上和彦にずっとマークされていたが、彼をビルの屋上で殺害した後に拳銃を奪い、現在も逃走を続けている。ためらいもなく人を殺すことができる凶悪犯。
井上 和彦 (いのうえ かずひこ)
井上涼子の兄。警察官で、殺人の罪で指名手配している有須川史靖をマークしており、ずっと尾行を続けていたが、史靖に殺害された。非常に優しい男性で、涼子からも好かれていた。
松本 康介 (まつもと こうすけ)
井上涼子がお見合いの相手として紹介された男性。ノンキャリア組の警察官だが、数々の手柄を立てて異例の若さで昇進している。女性との交際期間が長くて2か月ということ以外は、まったくやましい情報は出てきていない。家族構成は両親と妹の4人家族。好みの女性のタイプは「覚悟を持っている芯の強い女」。
長野 (ながの)
初孫市南町自治会長を務める男性。公園を中心に行われているラクガキ被害に頭を悩ませており、ラクガキ犯を捕まえたら10万円を支払うことを条件に妻木に捜索を依頼した。ラクガキ犯を捕まえるために自らもパトロールをしているがまったく成果があがらず、現在はノイローゼ一歩手前の状況になっている。
金井 修一 (かない しゅういち)
浪人生で美術予備校に通っている21歳の男性。10代の頃は美術展入選の常連だったが、若くして才能を認められたがゆえに人の意見にまったく耳を貸さず、絵のスタイルは凝り固まっている。母親とともに自分の才能を信じて疑っていないが、周りの評判は芳しくなく「もう頭打ち」と言われている。
丸山 (まるやま)
警察官の男性。自分の妻から浮気を疑われ、妻木に調査されている。過去に婦女暴行事件の張り込みをしていた時の興奮が忘れられず、現在は変装して公園の覗きスポットに顔を出している。
佐竹 (さたけ)
アニメ制作会社「スタジオぱらぱら」の代表を務める男性。かつて名作劇場で放映されていたアニメ「ヒマラヤの不思議少女ナマステ」のアニメーターを務めた経験があり、そのセル画が盗まれたため妻木に捜索を依頼する。犯人はセル画の保管場所を知っている社内の人物だと考えている。
久保 (くぼ)
アニメ制作会社「スタジオぱらぱら」の原画班に所属する男性。かつて名作劇場で放映されていたアニメ「ヒマラヤの不思議少女ナマステ」を小学生の時に見て感銘を受け、アニメの世界を目指すようになった。自分の手で歴史に残るようなアニメを作りたいと考えている。
松村 茂 (まつむら しげる)
金槌医科大学の教授を務める男性でがん治療技術の専門家。学内では女性にセクハラする教授ということで有名で、過去には助教授の女性に対するセクハラが問題になったこともある。「ああ探偵事務所」を訪れた際に井上涼子と知り合い、彼女を標的にしてつけ狙うようになる。
中原 (なかはら)
井上涼子の会社の同僚。会社では受付嬢をしている。最近、ポストに使用済みティッシュを投函されたり、家の前に猫の死骸を置かれたり、気味の悪い「六文銭のラブレター」がFAXで送られてくるなどのストーカー被害に悩まされている。警察では相手にしてもらえなかったため、「ああ探偵事務所」で働いている涼子のつてで妻木を紹介される。
福島 (ふくしま)
井上涼子の会社の同僚の女性。最近、自分の彼氏がストリートミュージシャンをやっているという噂を聞き、その真偽を確かめるために「ああ探偵事務所」で働く涼子を頼ってきた。涼子とは仕事以外の付き合いはないが、頼みごとをする際には「友達」であることを強調して断りづらくさせるなど、要領のいい人物。
てるりん
福島の彼氏。最近、自らのミスにより1000万円近い損失を出したことで会社をクビになり、ストリートミュージシャンをしている。元々、ミュージシャンになることが夢で、会社をクビになったことも前向きに捉え、本気でミュージシャンを志している。
奈良 道朗 (なら みちろう)
ムーンサルト出版社「月刊少女ドリーム」の編集者の男性。鈴木杏子の担当編集者で、杏子が作画中にサボらないか小まめに監視している。杏子が失踪した際、その捜索を「ああ探偵事務所」に依頼した。
轟 (とどろき)
ムーンサルト出版社「月刊少女ドリーム」の編集者の女性。鈴木杏子の新しい担当編集者で、新担当になって早々に杏子に誘われた酒の席の後に「原稿紛失」という大失態を犯してしまった。これにより会社をクビになる寸前の状態にあるが、新人ながらいい企画を提案するため、奈良道朗からはここでクビにするのは惜しいと思われている。
鈴木 杏子 (すずき あんこ)
ムーンサルト出版社「月刊少女ドリーム」で連載されている人気漫画「はるかCAT-WALK」の作者。マメに監視されていないとすぐにサボるため、担当編集者の奈良道朗をいつも困らせている。自由奔放な性格で失踪癖があり、よく連載に穴をあけている。
片瀬 遥 (かたせ はるか)
探偵社「美麗探偵社」の桜井が担当していた依頼主の女性。父親は地元で市議会議員、母親は産婦人科の医院長を務めており、裕福な家庭環境で育った。のぞき犯に付きまとわれており、その犯人がCIAなのではないかと本気で考えている。
近藤 (こんどう)
藤島茜の同級生の男子生徒。茜の小学校で卓球ブームが起きた時に、友達数人を引き連れて女子の使う卓球台まで占領して傍若無人に振る舞う。卓球は小学生にしてはかなり上手い方で、変化球サーブと速攻を得意としている。
黒川 美佐 (くろかわ みさ)
藤島茜の同級生の女子生徒。親が地元の大地主で、お金持ちの一人っ子。茜を目の仇にしており、事あるごとにつっかかっている。「フェスタ金槌町」では妻木が企画したクイズ大会に出場し、予選では1位の好成績を収めていた。
中島 (なかじま)
金槌大現代表現学科に在籍する男子学生。卒業論文のテーマが「コミックスにおける探偵の表現」で、その論文の代筆を「ああ探偵事務所」に依頼する。その後、同じゼミの女子学生に「呪い」をかけられているという奇天烈な相談を持ちかけ、その「呪い」をどうにかしてほしいという追加依頼を申し込む。
広末 (ひろすえ)
中島と同じ金槌大に在籍する女子学生で、中島に「呪い」をかけていると思われる張本人。真面目な性格で、成績は大学でもトップクラス。中島とは数回肉体関係があったが、その後は中島から冷たくあしらわれている。そのため、ショックを受けて最近は大学を休んでいる。
釈 由紀恵 (しゃく ゆきえ)
中島と同じ金槌大に在籍する女子学生で広末の友人。最近、男性にこっぴどく振られた。その際に女子の友人を数人集め、「丑の刻参りサークル」という、「呪い」をかけて男を滅ぼすサークルを立ち上げた。周りからの評判は悪く「怠け者」「わがまま」「すぐキレる」などと陰口を叩かれている。
薄井 真希 (うすい まき)
出版社「赤鼻出版」の事務をしている女性。自宅の近くに意味不明の言葉が書かれている張り紙を発見してから気が動転し、それからは体重が10キロも落ち家にひきこもるようになってしまった。かつて父親が、ああ探偵事務所の初の依頼人となったことがある。
稲葉 雄介 (いなば ゆうすけ)
薄井真希の自宅に意味不明の言葉の張り紙を張り付けていた張本人。当時17歳の高校生で、その張り紙を張っていた現場を妻木に押さえられたことで、警察にも厳重注意を受けた。その際に意味不明の言葉は自らが考えた「詩」であると説明しているが、実はそれは暗号であり、真希にしか伝わらないメッセージとなっている。
森 剛士 (もり たけし)
森隆広の孫。国体ベスト8まで進んだこともある空手の使い手。行方不明となった祖父を探して欲しいという案件を「ああ探偵事務所」に依頼した。祖父の鉄工所「森鉄鋼」を継ぎたいと考えており、祖父にはこれからも仕事を教わりたいと思っている。
森 隆広 (もり たかひろ)
森剛士の祖父。鉄工所「森鉄鋼」を一代で築いた叩き上げの職人。心臓が悪く、発作に備えていつも薬の入ったロケットを首からぶら下げている。現在は行方不明となっており、孫の剛士から心配されている。
神谷 (かみや)
金槌市ゲートボール協会の理事を務める老年男性。街のお年寄りの情報に最も詳しい人物で、森隆広の捜索時には妻木に頼られていた。妻木とはゲートボール仲間で、かなり友好的な関係を築いている。
ゲロ
妻木が探偵業務で使用する「最終兵器」と称する犬で、元警察犬。「臭気選別」や「足跡追跡」の能力が高く、ダックスフントながら特例中の特例で嘱託警察犬に任命されている。ちなみに「ゲロ」にはドイツ語で「槍」という意味があり、それが名前の由来となっている。
鳥野 良行 (とりの よしゆき)
生粋のミリタリーマニアとしてマニアの間では有名な男性。特に旧日本軍関連ものには目がなく、それを手に入れるためには強引な手も辞さない少々危険な人物。独身でパチンコ店を何店舗も経営しており、金は有り余っている。
雨宮 玲美 (あまみや れみ)
ファミレス「ヨナサン」でアルバイトをしている女子高生。変装を繰り返し小まめに来店する妻木に不信感を抱き、店長に相談していた。また、自分のことを名前で呼ぶ妻木のことを「気持ち悪い人」という認識で見ている。
林原 (はやしばら)
ファミレス「ヨナサン」の店長を務める男性。客を見る目がかなり肥えており、長居しそうな客相手にはエアコンの温度を下げつつ、周りにわざとうるさい客を配置するなど、姑息な手を使って退店を促す。
音無 鈴美 (おとなし すずみ)
病院で働く看護師の女性。何かと「いい人」と言われる優しい性格の持ち主だが、自分ではその優しさのせいで都合よく人に使われることに対して疑問を抱いている。気まぐれで買った宝くじで1億円を手にしているが、この金を自分のように都合よく使われている「いい人」に配りたいと考えている。そのため、「ああ探偵事務所」にこの1億円を「いい人」に配る手伝いをしてほしいと依頼する。
タカシ
音無鈴美と一緒に住んでいる彼氏。現在は働きもせずパチンコとゲームに興じており、都合の悪いことを聞かれるとそれをごまかすために鈴美を抱くというヒモ生活を送っている。鈴美が1億円を当てたことを機に、一方的に振られる。
佐山 裕紀 (さやま ゆき)
大学生の女性。彼氏いない歴22年で、同じ大学の友人に「ユキにどうしたら彼氏ができるかサミット」などという集まりを勝手に開かれ、からかわれている。大人しい文学少女で、どんなことを言われても怒らない心優しい性格。妻木が「いい人」認定をし、音無鈴美の依頼で預かったお金を渡した一番最初の人物。
大倉 知世 (おおくら ともよ)
テレビ番組「ワイワイモーニング」の記者を務める女性。妻木が音無鈴美の依頼で「いい人」にお金を配っている騒ぎを嗅ぎつけ取材に訪れた。中・高・大と学生時代はずっと陸上800メートルの選手で、足の速さには自信を持っている。
林原 信介 (はやしばら しんすけ)
テレビ局でADを務める男性。大倉知世に言われるがまま、妻木が音無鈴美の依頼で「いい人」にお金を配っている騒ぎの取材に駆り出された。そこで「いい人」を演じるよう大倉に言われて公園のゴミ拾いをしていたところ、偶然その現場を見ていた妻木に「いい人」認定された。
レストレード
井上涼子が仕事で忙しく、なかなか事務所に来ないことを寂しがった妻木が飼いはじめたナメクジ。一号と二号が存在し、二号の方がちょっとだけ速く動くことができる。このナメクジを飼ったことにより、のちに「ああ探偵事務所」にナメクジが大量発生する事態を招く。
松島 美樹 (まつしま みき)
妻木が5年前に取り扱っていた事件の依頼主。当時17歳の女子高生で、弟の松島直樹を溺愛するあまり一緒に風呂に入るなど、少し変わった女の子。しかし、直樹がある日を境に一緒に風呂に入ることを極端に嫌うようになり、不審に思っていたところ彼の体にアザがあることを発見する。その後「ああ探偵事務所」に直樹のいじめ調査を依頼した。
松島 直樹 (まつしま なおき)
妻木が5年前に取り扱っていた事件の当事者。姉の松島美樹からは「天使ちゃん」と呼ばれており、その名の通り中学生当時は、身長も低くて顔つきも可愛らしい天使のような存在だった。中学では同じ中学校の柔道部の部員にいじめられており、お金をせびられていた。
猪熊 進 (いのくま すすむ)
松島直樹の中学校の社会科担当の教員。当時は「学校美化週間」の責任者で、掃除にあたる生徒の指導を厳しく行っていた。柔道部の顧問でもあり、直樹をいじめていた柔道部員の指導も日常的に行っていたが、その指導が厳しすぎるがゆえに柔道部の部員からは恨まれている。
西沢 恭平 (にしざわ きょうへい)
暴力団「白泉組」の組員を自称する男性。マンションに一人暮らしで、昼間はパチンコ通いをしている。目を付けたいじめられっ子に金を貸し付けるという、ケチな金貸しまがいのことをして収入を得ており、当時は松島直樹にもお金を貸していた。
栗山 千尋 (くりやま ちひろ)
昼は大学に行きながら夜はキャバクラで働いている苦学生の女性。高校生の頃にナンパ男に引っかかって困っていたところ、伝説のストリートミュージシャンに助けられたという過去を持ち、そのストリートミュージシャンを探して欲しいと「ああ探偵事務所」に依頼する。高校生の当時は気弱だったが、現在はナンパ男を殴って撃退するほどにたくましく成長している。
みっちゃん
栗山千尋が探している伝説のストリートミュージシャン。本名は「佐川美智彦」。当時、高校生だった千尋に対して「声を出さなきゃ何も始まらない」と諭して大きな影響を与えた人物で、いつも決まった場所で歌を歌っていたが突如として姿を消した。持ち歌は「グリーングリーン」。
ミサイル石井 (みさいるいしい)
妻木が調査の末に見つけた、みっちゃんではないかと思われる男性ミュージシャン。みっちゃんと同じ背丈、恰好、そして「グリーングリーン」を歌うなどの類似点が認められている。ファンもそれなりについており、ライブツアーも行っている。
渡部 勤 (わたなべ つとむ)
金槌刑務所で働く男性刑務官。囚人に対して独自の点数をつけており、その点数は所内の順守事項を破るごとに加算されている。点数が100点を超えた囚人はすべて自殺しており、囚人を自殺に見せかけて殺しているのではないかと噂されている。
福島 由季 (ふくしま ゆき)
「ウララ24時間保育園」に預けられている女の子。節分の日に鬼に扮装した妻木に豆を投げつけ、やっつけたことで一躍保育園のヒロインとなった。鬼役の妻木のことを心配するような心優しい性格。
福島 篤 (ふくしま あつし)
福島由季の父親。現在は無名ながらも劇団で主役を張っている役者。しかしそれだけでは食べていけないため、アルバイトも並行して食いつないでいる。現在妻とは離婚協議中で、由季との面会も却下されている。酔うと性格が一変し、暴力的になる。
羽毛田 弘 (はげた ひろし)
39年間一度も彼女ができたことがない、モテない人生を歩んできた男性。計量機器メーカーのカリスマエンジニアで、お見合いパーティーに合計700万円もつぎ込んでいる。最近は、佐田エリと順調に交際を続けていたが、突然エリが失踪。その行方を探して欲しいと「ああ探偵事務所」に依頼する。
佐田 エリ (さだ えり)
19歳のコンビニ店員の女性。コンビニで知り合った羽毛田弘に突然告白され、交際をスタートさせた。自分のことはあまり話さないミステリアスな人物で、分かっていることは弘に似た兄がいることと、実家を異様に嫌っていること。好物はピザ。
ティム・ライナー (てぃむらいなー)
英会話スクールの講師を務めていた男性。かつてピザ屋で働いていた、田舎から出てきたばかりの佐田エリに猛アプローチしていた。故郷はアメリカの田舎町で、白人至上主義の地域。
鶴田 奈美 (つるた なみ)
スーパー「大凶」の店長の娘で、時々スーパーを手伝っている。自分の店で横行している万引き被害に辟易しており、どうにかしたいと考えているが現状打つ手がなく困り果てている。偶然、スーパー「大凶」でアルバイトしていた妻木と知り合い、彼に万引き犯対策を依頼する。
石川 角造 (いしかわ かくぞう)
スケさんの知り合いの男性。あだ名は「ゴエモン」。泥棒歴30年の大ベテランで、まず万引きをして自分の集中力を研ぎ澄ませてから本格的な窃盗に及んでいる。逮捕歴は窃盗後に偶然職務質問をされた際に発覚した1件のみで、現在も窃盗を続けている。
玉川 江玲奈 (たまがわ えれな)
モデル志望の18歳の女性。両親はホテルのオーナーを務める資産家で、本人は小学校まではカナダでのびのびと育った。ホテルの従業員たちからも持ち上げられ、自分がモデルになると信じて疑っていない。実際の容姿はお世辞にも芳しくなく、かなりの巨体の持ち主。
草間 悠 (くさま ゆう)
人気アイドルグループ「スナップ」のメンバーを務める男性。杉浦太陽にスニーカーマニアの間で幻とされている「シャーロック・ホームズ・スニーカー」を探して欲しいと依頼している。草間自身もかなりのスニーカーマニアで、そのスニーカーの所有者と思われる家を自ら訪れるほど。
雲国 綾乃 (くもくに あやの)
藤島薫の美容院の常連だった女の子。占いに熱心で、占い師に運気の上がる名前の命名を頼み、自分の通称を「マシュマロ☆キス綾乃」としていた。そのため、薫からは「マシューちゃん」と呼ばれていた。薫の美容院と同じビルに入っている「ああ探偵事務所」にも出入りしており、妻木とも顔なじみ。
新條 美咲 (しんじょう みさき)
20歳の女性。ヒモ男に捕まっており、それを快く思っていない両親がなんとか別れさせたいということで「別れさせ屋」の森野泉に仕事を依頼した。両親が本屋を経営していることもあり、幼い頃から本に囲まれる生活を送っていたため、かなりの本好き。特にミステリーが好きで重度のシャーロック・ホームズマニア。
棚橋 学 (たなはし まなぶ)
アーティストを自称する24歳の男性。新條美咲のヒモ男で、現在判明しているだけでも6人の女性と性的関係を持っている。かなりの女たらしでモテるためには努力を惜しまず、美咲をオトすためにシャーロック・ホームズの知識を片っ端から暗記していた。
上野 真琴 (うえの まこと)
21歳の女子大生。父親がVIP御用達会員制ゴルフ場「白泉カントリークラブ」のオーナーで、自身もマスコミやネットでアイドル的に扱われているセレブの令嬢。その人気は高く、生写真が1枚1万円で売られているほど。何故か井上涼子に関心があるようで「ああ探偵事務所」に涼子の素行調査をするよう依頼した。
白田 護 (しろた まもる)
工場に勤務している26歳の男性。上野真琴の熱狂的なファンで、その好意がいきすぎて真琴を誘拐してしまう。前科があり、拳銃を使用した強盗で3年の実刑判決が下っている。犯行の際に使用された拳銃は「海に捨てた」と供述していたが、現在もその拳銃は発見されていない。
本田 宗六 (ほんだ そうろく)
妻木の探偵の師匠の老人。現在は引退して農業をしている。井上涼子も認めるほど妻木に雰囲気の似ている男性で、特に「でたらめな推理」をするところに類似性が感じられる。私立探偵ばかりを殺害する「探偵狩り」の話をするために「ああ探偵事務所」を訪れた。
手塚 直樹 (てづか なおき)
探偵の男性。しかし、殺人以外はなんでもやるという悪徳探偵で、性格も残忍で容赦がない。もともとはそんな人間ではなかったが、探偵という職業に就いて人の汚い部分ばかりを見続けた結果、性格が歪んでしまった。私立探偵ばかりを殺害する「探偵狩り」の犯人で、現在は何度も顔と名前を変えて生活している。
田宮 三郎 (たみや さぶろう)
アクセサリー職人の男性。一方で「改造銃職人」という裏の顔も持っており、自分の改造した銃をマニアや外国人、組織の人間などに売りつけていた。8年前に手塚直樹にペン型銃を売ったことがあるが、その時の代金である90万円を踏み倒されている。
高橋 宏 (たかはし ひろし)
新聞配達員の男性。女性のかけているメガネを盗む「メガネ強盗」の犯人。学生時代、好きな女の子のメガネをかけた際にメガネの魅力に目覚めてしまい、以来メガネを狙うハンターとなった。盗んだメガネはどれが誰のものかすべて把握しており、綺麗にコレクションしている。
集団・組織
ホームレス・ネットワーク (ほーむれすねっとわーく)
街を一番良く知るスケさんが使用する街のホームレス、及び彼らを利用した情報網のこと。街で起こったすべての出来事をすぐに集められるというもので、いわば「人間監視カメラ」。街のホームレス全員と顔なじみであるスケさんだからこそ可能にしたネットワーク。
場所
ああ探偵事務所 (ああたんていじむしょ)
妻木が所長を務める貸しビルの2階にある探偵事務所。その名前から「電話帳の一番上に出ている探偵事務所」というのが売りだが、依頼はほとんどない。のちに依頼者であった井上涼子が助手として手伝いに来るようになり、妻木と2人で切り盛りするようになる。相談は無料で、調査料は1日1万円の格安価格。
イベント・出来事
フェスタ金槌町 (ふぇすたかなづちちょう)
商店街の活性化を目指して、年に1回広場で行われるお祭り。実行委員に妻木が選ばれ、妻木が企画した「ドキドキ☆推理クイズ大会」が開催された。景品は海外旅行をはじめプラズマTVや最新ゲーム機とゲームソフトなど豪華なものを取りそろえている。