かわいいペンギンが登場する漫画46 Pt.

疲れたときにはかわいい動物に癒されたくなるもの。今回は、特にペンギンを取り上げた。かわいらしいペンギンが人間と触れあったり、時に人間社会を風刺したりする作品を特集する。テレビアニメ『おこしやす、ちとせちゃん』の原作漫画をはじめ、ペンギンが主役の漫画は数多く発表されている。

本作は、嵐山、伏見稲荷大社といった京都の名所を、背丈の小さい主人公のペンギン・ちとせちゃんが見ている視点で描く、短編形式の漫画だ。もふもふの毛並みに短い手足という、かわいらしい姿のちとせちゃんが、行く先々でおいしいものを食べたり、食べさせてもらったりする。街の人々は、京都を満喫するちとせちゃんを見て心を和ませる。本作には、読んだ人が自然と笑顔になれるような、ちとせちゃんのほっと心がやすらぐようなエピソードが数多く綴られている。観光ガイドブックとは異なる、ちとせちゃんの目線で描かれる京都の名所は、一風違った姿に見えること請け合いだ。その場所に行ったことがある人でも、また行ってみたくなるような、素敵な風景が描き出されている。

本作の動物たちは、主人公のペンギン・まん丸と同様に、人間の言葉を話せて、2本足で立って歩くのが特徴だ。まん丸は天然ボケな素直すぎる性格で、周囲の動物をたびたびずっこけさせる。先輩である忍者見習いのタヌキ・タヌ太郎と、キツネ・ツネ次郎はボケとツッコミの応酬を繰り広げる。まん丸の師匠であるクマ・ネンガは、渋い男だがどこか天然気味。本作には、そんな彼らが繰り広げる抱腹絶倒のギャグが満載だ。また、まん丸たち念賀流忍者に敵対する存在として、サルのみの甲賀流忍者や、イヌのみの伊賀忍者が登場する。伊賀忍者と甲賀忍者の頭領たちには、互いの家族を相手に殺されたという深い因縁がある。まん丸たちと彼らの戦いは、とてもシリアスに描かれる。まん丸は忍者同士の戦いの中でも、素直さを失うことなく強く優しく育っていく。バトルものしてもおすすめの作品だ。

本作には、主人公・碇シンジの保護者兼直属の上司・葛城ミサトが飼っているペンギン・ペンペンが登場する。ペンペンは、たびたび人間のような仕草をする。ミサトの家に居候することになったシンジが、風呂上がりにくつろぐペンペンの姿を見て驚くほどである。後にミサトの家の居候として加わる少女・惣流・アスカ・ラングレーも、ペンペンの人間くささには何度も驚かされている。シンジとアスカとの痴話げんかにうんざりしたペンペンが、ため息をつくシーンもある。一方でペンペンは、実験動物として育てられたという重い過去を持つ。廃棄処分寸前のところで、ミサトに引き取られたのだ。ミサトがペンペンを飼っているのは、ペンペンへの同情だけでなく、自分の寂しさを紛らわせるためでもあった。ミサトが、「シンジを居候させたのも寂しさを紛らわせるためだ」と告白するシーンはとても印象的だ。それはシンジにとって大きな救いになる言葉だった。自分が単なるエヴァンゲリオンの部品ではなく、人に必要とされる存在だと、思い直すことができたのだ。

本作に登場する動物は、主人公のペンギン・ベッカムだ。ベッカムの見た目は、普通のペンギンだ。その実、人間の言葉を喋ったり、学校の廊下で腹滑りをしたり、皮が剥けたら中身が熊だったりと、変幻自在で不思議なペンギンである。ベッカムは、読者が「そもそもベッカムは本当にペンギンなのか？」と思わずにはいられないほどの、正体不明ぶりを発揮する。きりかぶ小学校に初登校した日に、校則に厳しい嵐山先生と、持ち物検査をめぐって丁々発止のやりとりを繰り広げる。生徒や先生たちは、ベッカムの常識に囚われないフリーダムぶりに翻弄される。しかし、ベッカムを取り巻く人間にも、独特なキャラクターが多い。ときに彼らの自由さはベッカムさえも上回るほどである。息もつかせぬほどの、途切れないギャグが楽しめる一作だ。

本作に登場する動物はペペンだ。可愛らしいペンギンのような見た目だが、ペペン自身は「かっぱ」だと言い張っている。頭に皿があり背中に甲羅があるため、ペペンにはかっぱらしい要素が備わっている。だが、ひれ状の翼、短い足、ずんぐりむっくりな体型は、まるでペンギンだ。海野貝の妹・幸が、頭の皿を指して「ハゲのペンギン」と言うほどだ。最初は人間を警戒していたペペンは、貝や幸たちの優しさに触れ、だんだんと人間に心を開いていく。また、貝と出会った頃のペペンは、海野家以外の人間には姿が見えない。けれど、貝の友人の伏見や木村など、親しくなることでペペンの姿を見られる人が増えていく。「ペンギンのようなかっぱ」ペペンは、海野家をはじめとした優しい人間たちに囲まれて、人間の世界で楽しく暮らしていく。