若き助産師・大橋満(みちる)が自身も「産めない」という苦悩を抱えながらも、妊娠や出産を前に戸惑う女性たちに寄り添う姿を描くヒューマンドラマ。満は29歳の若さで「ミチル助産院」を開いた。助産師の仕事に邁進する満は、スタッフや妊婦からの信頼も厚く、育児相談に訪れる母親や子供たちで助産院はにぎわっている。そんな満のもとに、ある日、妊娠したものの出産を迷う会社員の女性・松井理恵が訪れる。理恵は結婚しておらず、出産にふみきれない事情を抱えていた。
助産院は、妊産婦や新生児への保健指導や、出産のサポートを行う場だ。満が経営するミチル助産院も、かわいい赤ちゃんの誕生を心待ちにする妊婦や、新生児の世話に追われる新米ママが訪れる場となっている。しかし、出産には昼も夜もなく、いつ始まり、いつ終わるかもわからないだけに、助産師の仕事はなかなかにハード。満も若くして自ら助産院をたちあげて日々忙しいだけに、恋愛も結婚も視野に入れず、お産の仕事だけに人生を捧げているようにみえる。しかし、彼女がそんな人生を送っているのには、自らが「産めない」体になったことが影響していた。「産む」「産まない」「産める」「産めない」、それぞれに事情を抱え、妊娠や出産をめぐり人生の岐路に立たされる女性たちを、満は助産師として支えていく。
助産院を舞台に新しい命の誕生をめぐって人々がつむぐハートウォーミングな人間ドラマ。橘素子(たちばなもとこ)は、助産師になって2年目の新米助産師だ。小さな助産院だからこそできる仕事があるはずと、大学病院をやめて生方(うぶかた)助産院で働き始めることを決意。大ベテランの助産師・生方先生のもと、妊婦に寄り添い、妊娠、出産をサポートしていく。助産院を訪れる人々の、初めての出産への不安や、育児の悩み、そして新しい命をめぐる感動の物語を素子の目を通して一話完結方式で描いていく。
主人公の素子が働き始めた生方助産院は、スタッフは素子の他は生方院長一人だけという小さな施設。そのため、分娩だけでなく、母親と赤ちゃんの産後の世話から食事の支度まで、助産師自らすべてこなすことになる。しかし、だからこそできる一人一人の事情にそった、きめ細やかでアットホームなサポートを頼りに、妊娠中から出産後まで様々な人が生方助産院の門をたたくのだ。また、助産院は、医療行為の介入しない自然な分娩を扱う場なだけに、自分らしい出産を求めて、水中出産をのぞむ夫婦や、自然分娩を体験してみたいという女性医師がやってくることも。素子は産まれてくる赤ちゃんと母親のために、助産師として奔走する。命の誕生に寄り添う感動が味わえる作品だ。
作者自身が、看護師見習いとしてアルバイトをした経験をもとに描いたリアルな産婦人科医院ストーリー。准看護学科に通う高校3年生の沖田×華(ばっか)は、近所の産婦人科で看護師の見習いとしてアルバイトを始めた。たくさんある仕事の中で、×華の仕事の一つは、妊娠中絶となった胎児の欠片を集めて火葬業者に渡すこと。産婦人科を訪れるのは、赤ちゃんの誕生に心躍らせる人だけではなかったのだ。産婦人科医療の赤裸々な舞台裏を連作短編の形で描く。2018年に実写ドラマ化されている。
産婦人科というと、出産が行われる場であるというイメージが強い。笑顔で退院していく母親と赤ちゃんの姿を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、実際に産婦人科を訪れる人が抱える事情は様々で、時に複雑だ。主人公の×華が、アルバイトで通う産婦人科「××クリニック」も例外ではない。様々な事情から妊娠の継続が難しいために妊娠中絶を選択する人の来院は絶えることはない。分娩中の急変で、双子の赤ちゃんを残して亡くなる人や、せっかく生まれても短い間しか生きられない赤ちゃんもいる。誰にも相談できないまま出産し、産後に赤ちゃんを残して病院から逃げ出す人も。本作は×華の目を通して、産婦人科医療の闇の濃さを伝え、それとともに命の尊さを呼び掛けてくる。
産科医・鴻鳥(こうのとり)サクラを主人公に、産科医療の厳しい現実を描くヒューマンドラマ。鴻鳥サクラは、聖ペルソナ総合医療センターの産科医として働くかたわら、謎のジャズピアニスト・ベイビーとしても活動している。出産に休みはなく、病院から呼び出されれば開演10分でステージから消えてしまうこともある。命の危険と隣り合わせの出産もある中、鴻鳥は妊婦とその家族に寄り添う医療を目指していく。2015年にテレビドラマ化、2017年に続編が放送された。
妊娠、出産は自然なもので、病気ではない。しかし、実際には出産により命をおとす妊婦もおり、新しい命が無事に生まれるとは限らない。本作の冒頭では、妊娠しているにもかかわらず妊婦健診を受けていない「未受診妊婦」の出産が描かれる。未受診妊婦を受け入れることは、病院にとってリスクが大きい。母体や胎児に関する情報がなく、危険な出産となるからだ。それでも、鴻鳥は「未受診なのは赤ちゃんのせいではない」と受け入れを決断、無事に取り上げる。優秀な産科医として活躍する鴻鳥だが、ベテランの助産師・小松留美子のサポートによって難しい分娩をのりきったこともあり、彼女には頭があがらないなど、医師や助産師、看護師らのチームとしての産科医療の側面を知ることもできる作品だ。
女性特有の病気や婦人科受診に関する素朴な疑問に答える医療Q&Aコミック。原作はほのか。ナデシコ婦人科のナデシコ先生が、女性特有の病気についての基礎知識や、受診するのが恥ずかしくて躊躇してしまいがちな婦人科の「内診」についての疑問等、きちんと知る機会のない婦人科の諸々についてQ&A方式で教えてくれる。婦人科を受診する際にしておくといい準備や、性感染症や健康のバロメーターとなるオリモノのチェックの仕方など、女性のヘルスケアに関わる知識をコメディタッチで解説する。
産婦人科と婦人科の違いは何だろうか。素朴な疑問だが意外と知らない人が多いのではないだろうか。ナデシコ先生によると、答えは「産婦人科」=「お産も扱っている」、「婦人科」=「お産は扱っていない」とのこと。産婦人科は出産も扱うが、婦人科系の病気についてももちろん診てくれるので、妊娠中の人だけが来診するわけではないのだ。女性特有の病気で受診したい時はどちらを受診してもOK。また、体の大事なところをオープンにする婦人科の「内診」についても、ナデシコ先生が詳しく教えてくれるので、受診のハードルが下がるだろう。他にも、適切な避妊の仕方やちょっと聞きにくい性感染症のことなど、婦人科にまつわるあれこれをナデシコ先生が赤裸々にかつ、しっかり教えてくれる。