日掛け金融にスポットを当てた作品『こまねずみ常次朗』の続編漫画。主人公の服部常次朗(つねじろう)は、勤めていたサラ金会社「ドツボファイナンス」の内部抗争を利用し、会長を半ば脅すようにして独立資金の3000万円を手に入れた。彼は自身の浮気が原因で子供と共に実家に帰っていた妻・捺子(なつこ)を説得し、独立資金を使って福岡で日掛けローン会社「ハッタリ融資」を設立する。しかしその喜びもつかの間、常次朗に早速難題が降りかかってきた。
福岡で店舗となる物件を探し始めた常次朗。いくつもの不動産会社を訪ね歩き、ようやく彼は理想の物件を紹介してくれる不動産会社「奥野不動産」に辿り着いた。早速契約しようとする常次朗だが、そんな彼に奥野不動産の社長は1つの交換条件を出す。社長には20歳の息子がいるのだが、内気な性格ゆえなかなか職に就けず困っていた。この息子をハッタリ融資で雇ってくれるのであれば、物件を貸し出すというのだ。思いがけない申し出に困惑する常次朗だったが、理想の格安物件のため、その条件を呑むことに。ところが後日、借金を抱えた社長が息子を残して失踪してしまう。独立早々、大きな問題に直面した常次朗がどのようにそれを解決し、自身の会社を成長させていくのかに注目しよう。
主人公・島耕作を中心に日本の企業で働くサラリーマンのリアルを描いた社会派人間ドラマ。島耕作は、大手電器メーカー「初芝電器産業」で働く34歳のサラリーマンだ。彼は出世欲があまりない男だったが、その働きぶりが評価され若くして課長に昇進。誠実で魅力的な人柄を武器に多くの人を味方につけ、派閥抗争や経営展開などに関する様々な問題を解決し、さらなる高みに上っていく。1992年に映画化され、1993年にはテレビドラマが放送された。
出世漫画の代表作といえば、島耕作が様々な仕事に打ち込みどんどん昇進していく様子を描いた「島耕作シリーズ」だろう。本作は「島耕作シリーズ」の記念すべき1作目であり、物語は島が上司から課長への昇進を打診されるところから始まる。企業に勤める多くの人間にとって、自身の実力が評価され昇進するということは喜ばしいことだろう。しかしその一方で、昇進すればするほど責任は増し、降りかかってくる問題は難解になっていく。島の身にも上司・部下との軋轢や社内の派閥争い、他企業との競争や陰謀など様々な問題が降りかかることになる。島が問題とどう向き合い、解決して成功を収めていくのか。そこが本作最大のポイントであり、長年多くの読者に愛されている理由の1つだ。
サラリーマン・矢島金太郎の活躍を描いたビジネス漫画。主人公の矢島金太郎は、暴走族「八州連合」の元頭。彼は亡き妻の故郷で漁師として働いていた。しかしある日、釣り船で漂流していたヤマト建設の会長を助けたことがきっかけで上京し、ヤマト建設の見習い社員となって働くことになった。異色の経歴を持つ金太郎の型破りな行動は社員たちを突き動かし、やがて会社を大きく変えていく。1999年に初めてテレビドラマ化され、実写映画化。2001年にテレビアニメ化。
ヤマト建設で中途仮採用の見習い社員として働くことになった金太郎を待っていたのは、鉛筆削りの毎日だった。しかし金太郎は持って生まれた男気と人間的魅力で周囲の心を掴み、その存在は会社の中でどんどん大きくなっていく。本作の魅力は、サラリーマンとして組織の中で働きながら、しかし組織に縛られることはない金太郎の姿勢だ。会社に勤めた人の多くが一度は経験するであろうしがらみの煩わしさや理不尽を、金太郎は強い意思で振り払っていく。その様子に、多くの読者が爽快感を抱くのだ。働いて出世するのに誠意と協調性は必要だが、会社のために自分を殺す必要はない。金太郎の行動や言葉は、社会で働く人々に多くの勇気と学び、そして救いを与えてくれる。
異世界召喚に巻き込まれたおじさんが織りなす異世界ファンタジー・ノベルズのコミカライズ作品。イケメン勇者・剣崎神威の異世界召喚に巻き込まれ、異世界にやってきた32歳のおじさん・タナカ。彼には特別なスキルなどなく、ステータスも最底辺だ。しかし彼は生来の前向きさで、モンスターや魔法が存在する夢の異世界生活を満喫していた。タナカはまだ知らない。自身のステータスにとんでもない真実が隠されているということを。
タナカは少々厨二病の気がある男。そんな彼が異世界にやってきて魔法に興味を抱かないはずがなかった。ある日、タナカは初心者用の魔法が載っている魔導書を購入。早速魔法を試してみることになる。するとどうしたことか、タナカが試した魔法は庶民が料理などで使うちょっとした魔法であるにもかかわらず、凄まじい規模と威力で森を消し、川を増水させた。タナカは、自身が最底辺ステータスの異世界人であるため制御ができていないのだと考えるのだが、実はそうではなかった。タナカ本人が気づいていないだけで、実は彼は超チートなステータスを授かっていたのだ。タナカはそれに気づかぬまま、斜め上の方向に突っ走り続ける。タナカがどんな成り上がりを見せるのか、自身の目で確かめよう。
サラリーマンが異世界で幼女に生まれ変わり戦火の中を駆け抜ける、異世界架空戦記ノベルのコミカライズ作品。主人公は、同僚の逆恨みで線路に突き落とされた超合理主義エリートサラリーマン。彼は魔法が存在する異世界に、天性の魔導の才能を持つ幼女ターニャ・デグレチャフとして生まれ変わった。ターニャは軍人になり、安全な後方勤務に就いて理想的な人生を送ろうと目論むのだが、その優秀さゆえに戦場の最前線へと送られることになる。2017年1月にテレビアニメ化、2019年にアニメ映画化。
死後の世界で自らを創造主と名乗る「存在X」と邂逅した主人公は、信仰心を持たないことを責められ、「苦労をして信仰心を取り戻せ」と戦乱の世界に幼女ターニャとして転生させられた。ターニャは存在Xの思惑を潰すため、軍でキャリアを積み後方勤務で安全かつ快適に過ごすことを決意。前世の記憶と自身の合理的思考、魔導の才能を活用して次々と戦果を挙げ、軍上層部からも一目置かれる存在となる。しかしあまりに優秀すぎたせいで、ターニャは最前線での重要な任務ばかり任されるようになり、逆に後方勤務への道が遠のいてしまうことになった。ターニャの、軍人として優れた力を持つがゆえの活躍と、優れているのに何故か一番の目的は達成できないという苦悩のギャップが魅力的な作品だ。