タイトルに「星」が入っている漫画37 Pt.

「論語」に記された歴史上の偉人・孔子の「四十にして惑わず」という言葉から、40歳は「不惑」と呼ばれる。しかし、現代の40代で、「不惑」の境地に達する人はごく少数だろう。中年、熟年であっても、人の心は様々なことで揺れ動く。それは恋愛においても同じことだ。社会的な立場や世間体、そして人生経験を経て得た分別もあるため、10代の頃のような無茶はなかなかできない。それでもなお、燃えるような恋をしてみたいと思う人物が本作には多数登場する。その恋は、黄昏の空に糸を引く流れ星の最後の輝きのようなものだ。黄昏期の人々の甘く切ないロマンスは、成熟した大人の読者の心に特に響くものがあるだろう。

物語の舞台は2030年以降の未来世界。安価で無尽蔵なエネルギーの普及により、世界経済が安定し、紛争も軍隊も激減。各国の軍隊は「国連宇宙軍」として統合され、中には宇宙開発事業団に生まれ変わった軍隊もあった。「宇宙服を着た5万年前の人間の遺体」は、そんな恒久的な平和が実現しつつある状況で発見され、世界を大きく動かしていく。ハードSFの世界的な大家・ジェイムズ・P・ホーガンと、日本のSF漫画界の巨匠・星野之宣。2人の組み合わせは、まさにゴールデン・タッグという言葉が相応しい。名作として揺るぎない地位を築いている「巨人たちの星」シリーズを、星野之宣が読み応えたっぷりの漫画に仕上げている。SFファンならずとも、見逃すことの出来ない作品だ。

主人公・雨宮夕日は、ある日「悪者から姫を守る騎士になれ」という命を受ける。けれど、特別に選ばれ使命を託されたことに対して、全くもって心を動かされなかった。むしろ、どんなことが起きようとも、自分の知ったことではないという冷め切った態度である。騎士になることを受け入れるなら、願いを1つ叶えると言われても、一向に興味を示さない。そんな雨宮夕日の心を変えたのは、姫・朝日奈さみだれの予想外の言葉だった。「魔法使いなどに地球は壊させない。地球を砕くのは、誰よりも地球を愛する私の拳だ。」姫が語った、この地球破壊宣言は、ひねくれた性格の主人公・雨宮夕日の心を鷲づかみにした。かくして雨宮夕日は、型破りの姫・朝日奈さみだれに忠誠を誓う。2人は地球という惑星を「砕く」ために、動き出す。

主人公・星野まりあは、毎晩眠る前に「誰よりも優しく思いやりのある子になること」や、「明るくかわいく、周囲の人々を幸せにして、皆からも愛される女の子になること」を心に誓う。ところがそんな気持ちとは裏腹に、星野まりあの行動は、とてもエキセントリックだ。小学校入学当日に担任教師にキスをし、クラスメイトに対しても強引で過激なスキンシップを行う。そんな主人公・星野まりあの前に、強力なライバル・三好すなおが現れる。三好すなおは、可憐な容姿と人当たりの良い性格で、誰からも好かれる優等生。彼女に対し、星野まりあは対抗意識を剥き出しに。かくして、2人は何かと競い合う関係となっていく。さらにクラスの人気者・京極サトシも加わり、騒動はより激しくなっていく。

「流星王子」とは、作中で撮影されている映画のことを表す。主人公・天草鉄太郎は、この映画にエキストラとして参加している中学生だ。彼は、類稀なる怪力と強い正義感を持っており、困っている人を見かけると、自らの危険を顧みず危地に飛びこんでいく。中学生離れした能力を持つため、映画「流星王子」の主演・桂龍郎を始めとした、多くの人々が彼の素性に興味を抱く。しかし彼は、自分の素性については口を閉ざしている。「映画が少年に与えるマイナスの影響」をセンシティブな感性で描き出している作品だ。