気になる隣の席の彼女（彼）たち！オススメ漫画５選79 Pt.

阿波連さんは教科書を忘れたことを伝えるために、ライドウにキス寸前の距離まで顔を近づける。身体を密着させて教科書を覗き込んだり、一緒にお弁当を食べたり、放課後も一緒にカラオケやゲーセンに行ったりとカップルさながらだ。言葉を交わした直後から、距離感ゼロの態度を取る彼女にライドウは困惑するばかりである。そんなライドウに、阿波連さんはある過去を打ち明ける。実は阿波連さんは、人と接する時の距離感を測ることが不得手であり、それが原因で今まで人間関係がうまくいかなかったのだ。彼女の過去を知ったライドウは、自分は気にしないと彼女に伝えたことで、二人は打ち解けていく。思春期に誰もが悩むであろう「他人との距離感」について考えさせられる作品だ。二人の心の距離が縮まっていくさまを温かく見守っていきたい。

宿題を教えて欲しいと頼み込んだ関口の顔の横をかすめたのは、小林が投げつけた本だった。戸惑いながらも食い下がった関口の顔を、小林は本で叩き、二度と話しかけないで欲しいと告げて立ち去ってしまう。理由なき拒絶に関口は呆然とするも、彼女が投げた本を返そうと再び話しかけるが、やはり同じ目に遭ってしまう。実は、小林は極度の男性恐怖症かつ過去のトラウマのせいで、他人と上手くコミュニケーションがとれないことが判明。それでも関口は諦めず、友人らの協力を得て距離を縮めようと奮闘する。小林の厚い心の壁に立ち向かっていく関口への同情を禁じ得ないが、彼女が少しずつ心を開いていくさまが微笑ましい。そんな彼女に寄り添い、何があっても明るく声をかけ続ける関口のキャラクターにも好感が持てる作品だ。

三重さんは想像を絶する近眼で、教科書を見ても科目の判別がつかないほどだ。そんな彼女に教科書を見せてあげる小村くんだが、予想外に接近されてタジタジである。結局帰りの時間も下駄箱の靴を間違えたり、靴ひもを結べなかったりと困っていた彼女の世話を焼くことに。オクテ男子である小村くんは、無防備に距離を詰めてくる彼女に戸惑いつつも、再びめがねを忘れることを願うのであった。そんな三重さんもまた、小村くんのサポートにすっかり甘えきっていた。レンズが曇るのを彼にからかわれるのを恐れて、かけてきためがねを「忘れた」と言い張ったり、ある時は彼に迷惑をかけまいと気を使い、裸眼なのにコンタクトをしていると嘘をついたりといじらしい。じれったいながらも二人の距離感をほのぼのと楽しめるだろう。

悔しがる西片に、高木さんは「消しゴムに好きな人の名前を書いて使い切ると恋が成就する」と言い残し席を立つ。早速、西片は彼女の消しゴムを手に取った。そしてカバーの中に文字が書いてあるのに気づいて中を見ると、「ろうかみろ」と書いてあり、廊下にいた高木さんにまたもや笑われ悔しがる。実は、消しゴムの裏面に西片の名前が書かれていたのだが彼は気付かず、ちょっぴり意味深な顔をする高木さんであった。その後も、体育の見学の理由を当てさせたり、雨宿りの際に制服が透けたため西片の体操服を借りたりと、思わせぶりな態度で彼をからかっていく。実のところ、高木さんが彼をからかうその裏には、西片への秘めた思いがあったのだ。付かず離れずの恋を「からかい」を通じて育てていく二人が甘酸っぱい。田舎町の描写と相まって、ノスタルジックな気分に浸れる作品だ。

横井さんは、関くんのドミノに気を取られて授業に集中できず、却って関くんよりも先生に怒られる始末だ。彼のせいだと訴えるが、隣を見ると机はすっかり片付けられているのだった。要領のいい関くんの一人遊びは、福笑い・手品・将棋・ヨーヨーといったオーソドックスなものから、カブトムシの飼育・富士山のジオラマ作製・化石採掘・ラジコンを使った救命ごっこといった奇矯なものまで、枚挙にいとまがない。横井さんは毎度彼に振り回され、先生に怒られたり勉強が手につかなかったりするため、注意したり遊びをやめさせようとする。だが、少しずつ感銘を受け、一緒に参加したりアドバイスを送ったりするようになり、彼のよき理解者になっていく。遊びの域を超え、もはや「哲学」と化した関くんの机で繰り広げられる小宇宙に感動すらおぼえるだろう。