非日常空間ホテルが舞台！オススメ漫画5選37 Pt.

東京プラトンはただのホテルではない。レストラン、美容院、宝石店などの店舗や、病院、靴磨き、クリーニングなどのサービスなど、もはや巨大都市のような空間だ。ホテルを訪れる客層は、大物政治家やお忍びの芸能人、海外の大富豪はもとより、田舎から上京してきた受験生やワケありな老人などさまざまだ。お客様への接客やトラブルを通じて、「ホテル」という空間が織り成す人間模様が描かれている。どのような局面でも、笑顔でサービスに徹する従業員たちの姿を通して伝わってくるのは、真のホスピタリティ。東堂と共に物語の中心人物となっていく赤川のホテルマンとしての成長物語として楽しむのも一興だ。

スパロウズホテルは、いかにも治安の悪そうな都会の繁華街を想像させる立地にあり、危険でいっぱいだ。新人フロント係の小百合は、新人ゆえに接客ミスばかり。言葉遣いもなかなか直らないが、長身美人でセクシーなフロントガールとして常連客の酒井に熱を上げられるほどの人気ぶりだ。彼女の正体は、ホテルの酔客や客同士のケンカを仲裁する「用心棒」。相手の急所を突き一定時間失神させる「暗殺」を得意技とし、涼しい顔で相手を倒していく様は回を重ねるごとにキレを増していく。そんな小百合の過去は、本人曰く「守秘義務」とのことで、ホテルを仕切る塩川でさえも知らない謎のベールに包まれている。塩川の兄や、御園(みその)などユニークな従業員との掛け合いも面白い。

ヴィオニッチホテルに滞在している客や従業員は、タイゾウだけでなく、皆個性的でワケありだ。客室で麻薬を栽培する女や、締め切りに追われる麻薬中毒の漫画家、敏腕スナイパーの同性愛者、自殺願望の強いコックの少女などが、それぞれ騒動を巻き起こす。やがて、島全体を巻き込んだ謎の連続殺人事件が起こったり、幽霊やゾンビも登場する。オカルトや血しぶきの飛び散る殺りくシーンも多いが、不思議とあまり抵抗を感じないのは、絵柄の可愛らしさとファンタジー要素が根底にあるからだろう。現実の喧騒を忘れ、非現実の空間に囚われてゆくような読後感を与える作品だ。

本作のメインは、沙耶と柘植の波乱万丈のオフィスラブ。彼女にとってホテルは「職場」であり、社内恋愛は普遍的であることを感じさせる作品だ。沙耶は、柘植が仕事人間のため、なかなか甘い雰囲気にならないことに戸惑う。さらに、元カノの存在、彼の海外転勤による遠距離恋愛、沙耶に思いを寄せる男の登場など、2人の気持ちを試すような出来事が次々に起こる。また、沙耶の同僚である谷上一葉と松沢里李香は、不倫などの不毛な恋愛に苦悩中だ。恋の渦に巻き込まれながらも前を向き、最後はそれぞれの愛を手に入れる3人の姿が多くの女性たちの共感を呼んだ。

つづれ屋は、昭和のホテルを思わせるような外観をしており、法被を着た父の20エモンがのぼりを持って客を呼び込むなど、懐かしさを覚える雰囲気が漂う。客は、他の惑星の宇宙人がほとんどで、彼らの星の空気に合った部屋をセッティングしたり、故郷の料理を提供するなど、「おもてなし」の精神満載だ。客が宿代代わりに置いていったペットのモンガーや、従業員ロボットのゴンスケなど、個性豊かなキャラクターに振り回される21エモンのドタバタ劇も面白い。近未来という設定になってはいるが、その年代は2018年とされているため、当時の人々が思っていた近未来の描写と現代の風景とを比べてみるのも面白い。