現代社会で生きることになった泉の女神を中心に、様々なファンタジー世界の住人の悩みを描くヒューマンドラマ。泉の女神は森の中で200年間、泉や人間たちのために自分の役目を果たしてきた。ある日、泉の女神がくれたボールペンのお陰で大学に行けた藤沢という男性が、お礼を言いにやってくる。女神は藤沢にプロポーズされ、周囲の後押しもあり人間となり、「藤沢いづみ」として生きることになった。他に吸血鬼や人魚姫などをモチーフとしたエピソードも収録されている。
主人公の泉の女神は、寓話の「金の斧 銀の斧」に登場する女神がモデルとなっている。女神が棲んでいた泉は女神がいなければ枯れてしまう。しかし、藤沢にプロポーズされ、他の女神に泉を任せ、泉の女神は人間の女性として生きることになる。結婚して「藤沢いづみ」となり、可愛い娘も生まれ、育児の悩みを分かち合えるブログ仲間もでき、幸せな人生を歩んでいる。しかし、夫の実家に帰省した際に義父から出会った頃の神々しさが今はないと言われたことをきっかけに「自分らしさ」について悩み始めてしまう。いづみが抱える悩みはリアリティがあり、母親として生きることと自分らしさを保つことの両立の難しさや育児の悩みに共感を覚える読者も多いのではないだろうか。
男子大学生と古代エジプトの女神がアニメを通じて心を通わせていく青春コメディ。浅倉水貴(みずき) は、数々のアニメーターを輩出してきたという憧れのサークル「MAGI」に入るために大阪芸事大学に入学した。しかし、既に廃部になっており、アニメを下に見ている元顧問の影山十郎(じゅうろう) を見返すべく、部員を集めてサークルを再開させることを決意する。そして突然目の前に現れた古代エジプトの女神バステトにアニメの魅力を語り、MAGI部員第1号に任命するのだった。
本作のヒロインである豊穣と享楽の女神・バステトと、その妹で破壊神のセクメトは、エジプト神話に登場する女神として知られている。二人は長い眠りについていたが、バステトは1996年に大阪で目覚め、セクメトはそれより前に目覚めて水貴が通う大阪芸事大学に事務員として勤めていた。古代のエジプトでは激しい争いを繰り広げていたが、現代の大阪ではどちらもアニメに心酔し、平和な関係を築いている。多くの人に感動を与えるアニメには心を癒す力があり、バステトたちの魔力回復にも繋がるという。バステトはサークル「MAGI」復活に強いこだわりを持ちアニメを愛する水貴に協力するようになり、やがて水貴は映画フェスティバルへ出品するための作品作りに挑むことになる。
平凡な大学生が美しい女神と出会い、共に暮らし始めるラブコメディ。森里螢一(けいいち)はモテない生活を送る不運続きの大学生。ある日、大学の先輩に電話をかけようとして誤って「お助け女神事務所」に繋がってしまう。すると突然目の前に女神のベルダンディーが現れ、願い事を一つだけ叶えてくれるという。螢一の「君のような女神にずっとそばにいてほしい」という願いは受け入れられ、二人の共同生活が始まった。2000年劇場アニメ化、2005年テレビアニメ化。
本作では、北欧神話に登場する運命を司る女神たち「ノルン」をモデルにした女神三姉妹が物語に深く関わっていく。メインヒロインのベルダンディーは現在を司り、異母姉のウルドは過去を、実の妹のスクルドは未来を司る女神だ。ベルダンディーは「お助け女神事務所」に所属し、人間の願いを叶える役目を担っていた。螢一の願いによって同居生活が始まり、同じ大学にも留学生として通うことになる。更にはウルドやスクルドも加わり、共同生活はさらに賑やかになっていく。ベルダンディーは見た目が神々しいだけでなく心も美しく純粋で、家事スキルも高い。男性ならば好きにならずにいられないような完璧さだ。少しずつ心の距離を縮めていく二人の恋路をどうか最後まで見守って欲しい。
女神と原始人の恋愛模様を描くファンタジーラブコメディ。滅亡した星を蘇らせ勇者を導くために眠っていた創造の女神のアルテシア=ガイア=ナガサスは、勇者どころか人の影すらない氷河時代に目覚めてしまう。ようやく太陽の光が降り注ぐようになった頃、アルテシアはネアンデルタール人の戦士・アオと出会う。彼の妹・アイを助けたことで「神」として崇められるようになったアルテシアは、彼らを助けたいがために人類進化の過程に大きく介入するようになっていく。
創造の女神・アルテシアが目覚めたのは、今から70万年も前の過酷な環境にあった氷河時代。話し相手もおらず、孤独な時間を耐え抜き、やがて間氷期と呼ばれる比較的温かな気候に恵まれた時代が訪れる。そこでようやく彼女が出会い、恋心が芽生えたのはネアンデルタール人のアオだった。彼らの最大の敵は、現生人類の 直接の先祖と考えられているホモ・サピエンス・イダルトゥ。アオたちは狩猟能力やコミュニケーション能力に長けている彼らより劣勢であったが、アルテシアはアオたちの食生活を変え、知恵を与え始める。果たしてアルテシアの過干渉は、人類の進化にどのような影響を与えることになるのか。女神の恋心と人類進化を絡めた壮大なストーリーを堪能しよう。
不登校の高校生が異世界で新たな人生を歩み始める異世界転生ファンタジー。ゲームが好きな佐藤和真(かずま)は高校にも通わず引きこもり生活を送っていたが、たまたま外出した際に思わぬ形で命を落とす。突然現れた女神アクアから異世界への転生を勧められ、どんな魔法や能力も持っていけると言われた和真は、アクアを指名。彼女を道連れにゲームに似た異世界で新たなスタートを切ることになる。暁なつめ原作ライトノベルのコミカライズ作品。2016年テレビアニメ化。
アクアは水を司る女神で浄化能力にも優れ、アクシズ教団のご神体でもあるが、トラブルメーカーでもある。魔王を倒すまで元の生活に戻れなくなってしまったアクアが異世界で選んだ職業はアークプリースト。知力と幸運以外のステータスは最高レベルで、回復魔法を使って仲間を癒すことができる。しかし、魔王討伐への道筋を立てるのはゲーム好きの和真の方が向いており、トラブルを引き起こしがちなアクアは「駄女神」扱いされる始末。展開が進むにつれて、爆裂魔法(エクスプロージョン)一択のめぐみん、ドM気質のクルセイダーのダスティネス・フォード・ララティーナといったクセが強いながらも憎めない仲間が増えていく。読み進める内に少しずつ目標に近付いていく彼らの冒険に心躍らされることだろう。