藤島康介の連載デビュー作にして大ヒットを記録した、婦人警官コンビが所狭しと駆け回る痛快バディコメディ。舞台は東京都墨田区にある警視庁墨東署。辻本夏実と小早川美幸の二人は交通課に所属する若手婦人警官だ。この日も二人は路上駐車の取り締まりに勤しんでいるが、暴力団の名前を出して車を移動させるなど多少手荒である。そして、本物のチンピラの路上駐車を巡って二人はひと悶着起こす。1996年をはじめ複数回テレビアニメ化、2002年テレビドラマ化。
夏実が得意の怪力で車をどかそうとしていると、そこに現れたのはいかつい風貌の男であった。男は拳で彼女に凄むが、夏実も負けじと郵便ポストを破壊して応戦。このままでは街が破壊されると危惧した美幸は、こっそりと車に細工を施し動かなくした上で夏実を引き上げさせるのであった。ワンレングスをなびかせ豪快で大酒飲みの夏実と、大のメカ好きで頭脳明晰・女子力高めな美幸の迷コンビは、愛車のミニパト「トゥデイ」を走らせ次々と事件を解決してゆく。パトカーを走らせディスコに繰り出したりナンパに勤しんだりと、二人の大胆な行動を通して当時のバブリーな世相を知ることができる。また本作では、実際に製造・販売されていたホンダ・トゥデイなど車やバイクの描写がリアルであり、カーマニアの支持も集めた。
冴えない大学生の元に現れた、超絶美人な女神たちが巻き起こす非日常ドタバタラブコメディ。主人公・森里螢一(けいいち)は、猫実工業大学に通う平凡な大学生だ。奥手で低身長であることから女性と縁がない毎日を送っている。ある日螢一は寮の先輩から頼まれて電話をかけようとするが、間違えて「お助け女神事務所」につながってしまう。電話を切る間もなく、部屋の鏡から現れたのは絶世の美女・ベルダンディーであった。1998年をはじめ複数回テレビアニメ化。
ベルダンディーは困った人々を助ける女神であり、ひとつだけ螢一の願いを叶えてくれるとのこと。螢一はダメ元で「君のような女神にずっとそばにいてほしい」と伝えたところ、なんと願いが叶ってしまう。そのおかげで二人は女人禁制の寮を追い出されるも、彼女の力でとある一軒家で一緒に暮らすことに。そんな二人の元にベルダンディーの姉で薬フェチのセクシーキャラ・ウルドと妹で無類のメカ好き・スクルドがやってくる。意に反して女神たちと同居することになった螢一は、ドタバタな学生生活を送ってゆく。気立てがよく純粋なベルダンディーがキュートであり、多くの青年読者の心を鷲づかみにしたのが本作だ。20年以上にも及ぶ長期連載の中で、少しずつ愛を育む二人にも注目したい。
世界の頂を目指す天才少年レーサーの成長を描いた青春バイク漫画。世界最高峰のバイクレース・MotoGPの最終戦。18歳にして史上最年少チャンピオンを狙う宇野突風(とっぷう)は、空を見上げとある女性に思いを馳せていた。時は遡ること7年前、突風は小説家の父・宇野鉄平に連れられ筑波サーキットを訪れていた。鉄平が美少女中学生レーサー・新井真音(まのん)のバイクメンテナンスを副業で行っていたことから、突風はレースの世界に足を踏み入れることとなる。
突風は真音からバイクに乗ることを勧められるが、彼女に淡い憧れを抱いていた突風は真音が走っているのが見られなくなるからという理由で拒む。突風は、真音の姿を追ううちに彼女のレースの動きをトレースし、ラップタイムを言い当てることができるようになっていた。二人にすすめられ根負けし渋々バイクに乗ることになった突風は、その魅力に取りつかれレースの世界に足を踏み入れてゆく。ライバルであり後に仲間となる天才少年・高台吉哉 (たかだいよしや)が転校してきたこともあり、二人はMotoGPを目指して切磋琢磨するのであった。一般層に馴染みの薄いMotoGPを題材にした本作は、バイクレースのいろはが丁寧に描かれており、バイクに興味がなくても楽しめる。作者のマシンへの愛着を深く感じることのできる一冊だ。
山の上の女子寮を舞台に、そこで暮らす女子高生たちの賑やかな日常を描いた青春グラフティ。山の上にある橘花(きっか)学園第一寮で暮らす女子高生・小鳥遊初音(たかなしはつね)。朝寝坊でなかなか起きてこない彼女に業を煮やした寮長の小松理緒は、大好物のプリンの匂いを嗅がせ食堂まで誘導する。小松は寮母さんとの連携プレーで、プリンを彼女の大嫌いな納豆に差し替えることに成功。見事に頬張り、地獄の寝起きを味わう初音であった。
不機嫌になりながらも初音は親友・三沢寿々花(すずか)と共に登校するが、学食のカレーが牛・豚・鶏の「サブマリンカレー」と知り機嫌を直す。授業もそっちのけでカレーに異常な執着を示す初音だが、食堂の券売機で邪魔をしたのはかつてプリンを巡って争ったライバル・新田原(にゅうたばる)である。新田原に先を越されサブマリンカレーが売り切れてしまい、落胆する初音。しかし、彼女の分の食券を買っていた寿々花に救われるのであった。食欲旺盛でおバカな初音を中心とした寮生に、なぜか寮母さんが小学生などと個性的なキャラクターが目白押しである。そんな彼女たちの織りなす学園生活は、寮生活の経験者であれば懐かしさをおぼえるエピソード満載だ。
藤島康介がキャラクター原案を担当した、大正ロマン風バトルゲーム『サクラ大戦』のコミカライズ版。舞台は太正十二年の帝都・東京。帝国海軍士官学校を首席で卒業した大神一郎は、「帝国歌劇団」なる組織に配属される。だがそこは、世界各国から集められた少女たちが歌って踊る劇団であった。理想とかけ離れた劇場の「もぎり」の仕事や、支配人の米田一基も飲んだくれで頼りにならないことから大神は辞表を提出する。しかし、その直後歌劇団は大いなる変貌を遂げる。
正統派大和撫子の娘役・真宮寺さくらを中心とした歌劇団のメンバーは大神を受け入れるが、彼は仕事に耐えきれず帝都の窮状を憂い辞表を提出する。その瞬間、警報が劇場に鳴り響き、大神はさくらたちに劇場の隠し部屋へ連行される。そこには軍服を着た米田の姿があった。彼は米田から、帝国歌劇団の正体は霊的脅威から帝都を守る秘密部隊「帝国華撃団・花組」だということを知らされる。花組隊長に任命された大神は、帝都を脅かす天海(てんかい)率いる秘密結社・黒之巣会と闘うため彼女たちを指揮し、実力を発揮してゆく。かつて一世を風靡した人気ゲームの世界観やストーリーが、忠実に再現されているのが特徴だ。丸型のロボット「光武」を駆使してのバトルシーンも必見である。