ゲーム好きな老人が、死後にVRゲームの世界に転生し、様々な人と関わりながら穏やかな日常を送っていく、異世界転生ヒューマンドラマ。ジンは18歳の新米冒険者だ。だが、ジンは現実世界では70歳を過ぎた老人、神宮寺真一だった。VRゲームの世界で、街の兵士に美味しい食堂を紹介してもらったり、街をぶらついたりと満喫していたジンだったが、自身の想定以上にお金を持っていたことから何かがおかしいと気がつく。システムを調べてみたところ、自分がVRゲームの世界に転生してしまったことを知るのだった。原作は古河正次の同名web小説。
神宮寺真一は、子どもの頃からゲームが大好きで、いつかゲームのような世界で生きることを夢見ていた。それはVRという方法で叶うのだが、ここで問題が生じてしまう。現世での寿命が尽きた瞬間に、真一はVRゲーム世界の自分「18歳の新米冒険者ジン」に転生してしまったのだ。憧れのゲーム世界で実際に生きられる、と手放しで喜べる状況ではない。しかし、ジンは様々な人や出来事に感謝しながら、日々を生きる。ジンの現世での知識は、ゲームシステムに関するものではない。長い人生を生きてきた1人の人間としての経験が、多くの人の心を動かしていくのだ。穏やかなジンの生き方に、こんなふうに年齢を重ねていきたいと思わせられる。
広大な世界が舞台のオンラインゲームに転生してしまった主人公が、自分らしく生きるために無双していく異世界転生バトルファンタジー。大学生の相川徹は、鬱屈とした気持ちで日々を生きていた。そんなある日、少女を庇ってトラックに轢かれた徹は、気づけばオンラインゲーム「リアルワールドオンライン」の、自分で作成した中二病要素満載のネタキャラ、ナハト・シャテンに転生してしまったことに気がつくのだった。原作は音無奏の同名web小説。
オンラインゲームの一番の魅力は、やはり自分でキャラメイクができるという点ではないだろうか。現実の自分とは全く違う容姿、性別を持ったもう1人の自分。「リアルワールドオンライン」にハマっていた徹は、メインキャラクターだけではなくサブキャラクターまで作成していた。そうして転生してしまったのは、サブキャラクターであるネタキャラ、ナハトだった。ナハトは徹の考えた「中二病」の塊のような存在。派手な魔法演出、荘厳で漢字の多い呪文、外見も長い黒髪にゴスロリ風の漆黒のドレスをまとった異種族。しかもゲームをやり込んでいたヘビーユーザーでもあるので、装備も充実している。まさにチート、無双状態だが、徹の目的はナハトらしく生きることであるため、世界征服などは目論んでいない。ゲーム知識を悪用することがないので、設定とは裏腹に意外と良心的なのだ。とはいえ、誰かを守る時には、知識は大いに役立つことになる。
平凡なOLだった主人公が乙女ゲーム世界に転生し、フラグ回避と恋愛に奮闘する異世界転生お仕事ラブコメディ。ユリアは王城に勤める下級貴族の娘。彼女は前世の記憶を持っており、ここが前世でプレイしていた乙女ゲーム世界であることを知っていた。ユリアが仕えている王女プリメラは、乙女ゲームの中ではヒロインの邪魔をする悪役に成長してしまう。我がままに振る舞うプリメラを心配したユリアは、得意な手作りお菓子で、プリメラの心を開いていくのだった。原作は玉響なつめの同名web小説。
乙女ゲームに登場する定番キャラは、ヒロインを邪魔する悪役令嬢だろう。障害があるほうが恋愛は情熱的に燃え上がるだろうが、ストーリー的にはお邪魔虫に過ぎない。ユリアは乙女ゲームの世界に転生してしまったが、ゲーム世界では名もない侍女で、いわゆるモブだ。悪役令嬢ポジションになってしまうのは、彼女が仕えている王女プリメラである。物語開始当初はまだ幼く、年相応に我がままな振る舞いを見せるだけだ。愛らしいプリメラが悪役令嬢に成長することを阻止するべく、自身のゲーム知識を以てユリアは奮闘する。
交通事故で死亡した女子高校生が、乙女ゲーム世界の悪役令嬢に転生してしまい、破滅エンド回避のために奮闘していく異世界転生ラブコメディ。クラエス公爵家令嬢のカタリナは、ある日転んで頭を打った衝撃で前世の記憶が戻り、今の世界が前世で自分がプレイしていた乙女ゲームであることに気がつく。そして、乙女ゲームのカタリナの行く末はすべてバッドエンドだと思い出したカタリナは、最悪な未来を回避するためにひとまず剣と魔法の腕を磨くことを決めるのだった。原作は山口悟の同名ライトノベル。2020年4月にテレビアニメ化。
人の恋路をこれでもかと邪魔する悪役令嬢だが、人道にもとることさえやらかしてしまうので、ヒロインの恋が成就した後は大概ろくな目に遭わない。転生先としてあまりお勧めできないキャラクターなのだが、乙女ゲームが大好きだった主人公は、「FORTUNE LOVER」世界の悪役であるカタリナに転生してしまった。記憶が戻ったのは8歳の時であったため、自分が不幸になる未来を変えるために奮闘することになる。ゲームの知識では誰が攻略対象になるか、ヒロインは誰なのかといった基本情報はあるが、カタリナが不幸にならない攻略ルートの情報はない。カタリナが関わる攻略キャラクターのルートの知識はあるため、彼らが不幸になる道を回避することがカタリナの破滅ルートを回避することに繋がるのだ。とはいえ、カタリナの武器はゲーム知識ではない。貴族令嬢らしからぬ無邪気さだ。素直で元気で一生懸命で温かい、そんな女の子だからルート回避は必然なのである。
重い心臓病を患い余命宣告を受けていた主人公が、VRMMOの世界に転生し、ゲームで培った知識を武器に上位職への転職を目指す、転生冒険ファンタジー。治療法の見つかっていない心臓病を患ったことで生きる希望を失った主人公は、会社を辞めて兼ねてからの趣味だったVRMMOに没頭していた。攻略不可能と言われた敵を倒した直後、病気の発作を起こし、ついに自身の寿命が尽きたことを知る。しかし再び目を覚まし、自身が辺境貴族の四男「エルド」であると悟った主人公は、前世の記憶を持ったまま転生したことに気がつくのだった。原作は進行諸島の同名web小説。
ファンタジー世界における職業(ジョブ)は、現実世界のものとは少し違っている。モンスターを倒すことや、未開拓のダンジョンの探索が仕事となる場合があるからか、肉体労働となる冒険者関連の職業が多い。主人公は心臓病の発作で亡くなった後、プレイしていたVRMMOと似たシステムを持つ世界の少年エルドに転生した。転生先の世界では、15歳の成人の儀で職業を得るのだが、驚くべきことに転職ができないという。相性の悪い職業を選べば将来の苦労することになる。だが、エルドは前世で得たゲーム知識によって成人の儀式そのものを回避し、冒険者として上位職を目指していくことに成功する。世界のシステムがプレイしていたゲームと同じということは、すでに世界の真理を知っていると言っても過言ではないだろう。15歳の少年が後ろ盾もなく生きるには、世界に関する知識は何物にも代えがたい武器だろう。とはいえ、実際にはゲームと世界のシステムが全く同じというワケではない。模索しながら冒険者として成長していくエルドを見守っていきたい。