ひとつの戦闘機に乗り合わせた、身分違いの男女が織りなすひと夏のラブストーリー。中央海を挟んだ西方の神聖レヴァーム皇国と東方の帝政天ツ上(あまつかみ)の2国は戦闘状態が続いていた。天ツ上にあるレヴァーム自治区の屋敷が襲撃され、皇太子のカルロ・レヴァームは許嫁であるファナ・デル・モラルを天ツ上から奪還すべく極秘作戦を遂行する。その作戦に選ばれたパイロットこそが主人公、狩乃(かりの)シャルルだった。2011年にアニメ映画化。
シャルルは経験豊富で操縦技術もエース級の一等飛行士だ。ファナを水上偵察機「サンタ・クルス」に乗せ、レヴァーム皇国に送り届けるミッション「海猫作戦」に抜擢されたが、出自により将来の皇妃であるファナとは身分違いのため口をきくこともままならない。しかし、幼き頃にファナと一度だけ邂逅したことをシャルルは心の支えにしており、ファナもシャルルとふれあう中で心を開き、許されざる思いを互いに抱くようになる。シャルルたちは天ツ上の戦闘機「真電(しんでん)」を中心としたさまざまな敵機の攻撃をかい潜り、命がけの逃避行を続ける。恋の行方もさることながら、本作のクライマックスでもあるライバル・天ツ上の千々石武夫(ちぢわたけお)との空中戦も迫力満点だ。
機械の身体に改造された中年サラリーマンが、己の生きる意味を問うため奮闘するバトルアクション漫画。主人公・犬屋敷壱郎(いぬやしきいちろう)は58歳のサラリーマンだが見た目は老人のようで、家族からも忌み嫌われ疎外感を味わう毎日だった。ある日、胃がんにより余命3ヶ月と診断され途方にくれる中、犬の散歩中に宇宙人の起こした事故により命を落とす。翌朝目覚めた犬屋敷は、自分の死と身体に起こった異変を悟る。2017年にテレビアニメ化、2018年に実写映画化。
犬屋敷は、死んでしまった自分と機械の身体を持った自分との狭間で葛藤しながら、困った人を助けることを生きる糧にしていく。一方、犬屋敷と共に事故に巻き込まれ同じく改造されてしまった高校生・獅子神皓(ししがみひろ)は、授かった特殊能力を使い殺人を繰り返していた。同級生の渡辺しおんに匿われ説得を受ける中で一度は改心する皓だったが、特殊部隊の銃撃の巻き添えになりしおんは倒れ、復讐のために殺人鬼と化してしまう。皓の凶行を止めるべく、犬屋敷は皓と激しい空中戦を繰り広げる。背中のロケットエンジンで空を飛び、腕に仕込まれた銃などを駆使し2人がぶつかり合う描写は躍動感に溢れている。
ひょんなことから空軍の傭兵となった青年が、仲間と共に内戦を戦い抜くバトル群像劇。主人公・風間真ことシン・カザマは大和(やまと)航空のパイロットだったが、親友・神崎悟の裏切りにより中東・アスラン王国で行われている内戦の傭兵として雇われることになる。シンが配属されたのは「エリア88」と呼ばれる作戦地区で、選りすぐりの傭兵が集う外人部隊だった。部隊を抜けるために必要な違約金を稼ぐために、シンは戦闘機を操ることとなる。2004年にテレビアニメ化。
シンはいち早く部隊を抜け、恋人である津雲涼子(つぐもりょうこ)との再会を果たすべく、危険度の高い戦闘に自ら加わり賞金稼ぎとなる。しかし、戦闘を通じ傭兵業の魅力に徐々に取り憑かれ、エースパイロットとしての地位を確立していく。また、エリア88の司令官で政府軍のサキ・ヴァシュタールや傭兵生活で戦友となるミッキー・サイモンなど個性的な仲間たちと絆を深めていくさまは、殺伐とした中で微笑ましくもある。本作にはアメリカや旧ソ連などで実際に使われていた戦闘機が登場し、空中での戦闘シーンや爆撃で仲間が命を落とすさまがリアルに描かれている。後にシンの敵として登場する神崎との生死をかけた一騎打ちから、衝撃のラストまで目が離せない。シンに強い思いを寄せる涼子との恋の行方も要注目だ。
近未来の東京を舞台にした、反政府ゲリラと政府軍の戦いを描いたバトル漫画。温暖化が進んだ近未来の東京では、森林化が進みジャングルと化していた。政府は東京を捨て超高層都市「アトラス」を建設し、地上の人々はスコールや巨大生物に怯える日々を過ごしている。そんな中、少年院の最重要隔離房に収監されていたひとりのテロリストが脱獄を果たす。脱獄囚は18歳の少女で、彼女こそが反政府組織「メタルエイジ」の次期総統となる北条國子(くにこ)だった。2009年にテレビアニメ化。
國子は地上にあるスラム街「ドゥオモ」で育ちメタルエイジの総統となる。ジャングルと化し、豪雨に見舞われる東京では、森の巨大生物に殺されるか雨に殺されるかの二択を迫られ、人の住む場所はほぼ残されていない。そのような中、政府軍は地上に弾圧をかけ続ける。アトラスを陥落させるべく、國子は養母の北条凪子や参謀の武彦、ニューハーフの教育係・モモコら仲間と力を合わせ、巨大ブーメランを武器に襲撃を仕掛ける。しかしアトラスには真の敵である鳴瀬涼子が率いる政府軍が控えており、壮絶な空中戦と爆撃の末、メタルエイジは惨敗を喫してしまう。國子は重傷を負うが、アトラスの中枢ともいえる「ゼウス」の謎に迫るため再び地上へ舞い戻る。最終決戦が控える怒涛のラストまで目が離せない作品だ。
とあるサラリーマンが幼女として転生し、異世界の戦火に巻き込まれるバトルファンタジー漫画。日本のエリートサラリーマンであった主人公は、合理性優先の冷酷な人事を行ったことで恨みを買い、何者かに線路に突き落とされ命を落とす。死後の世界でもその性格は健在で、創造主から信仰心の欠如を咎められ転生を命ぜられる。ターニャ・デグレチャフという名の孤児として「帝国」の地に生まれ変わった彼は、図らずも戦火の最前線で戦いに身をやつす。2017年にテレビアニメ化。
大戦時のヨーロッパを彷彿とさせる「帝国」に生まれ育ったターニャは、前世の記憶を残したままだ。生まれながらにして魔導適性を持ち合わせており、自ら士官候補生となり幼女ながら帝国航空魔導士としてのキャリアをスタートさせた。さっそく国境哨戒の任務に就き、魔法で空を飛びながら偵察をするターニャは敵軍である「協商連合」の航空魔導士たちの襲撃を受ける。本作での空中戦は「魔術」をメインに行われているのが特徴だ。空を飛ぶのも、攻撃や防御もほぼすべて魔術ひとつで行われる。協商連合の総攻撃を創造主への恨みからヤケクソの魔術へと転化させ壊滅状態にしてしまったり、前世の記憶を利用して行動したことが評価されたりと、本人の意図するところとは別に戦果をあげていくさまが面白い。