中学生でありながら名料理人でもある主人公が、数々の料理人たちと料理バトルを繰り広げる姿を描いた料理漫画。主人公は中学生の料理人・味吉陽一(あじよしよういち)、通称「ミスター味っ子」だ。彼は下町の包宰と呼ばれた亡き父・味吉隆男の後を継ぎ、町の安食堂「日之出食堂」を母と2人で切り盛りしている。ある日、日之出食堂に日本料理界の権威である「味皇」こと村田源二郎が現れた。味皇に認められ、陽一の料理人としての運命が動き出す。1987年10月にテレビアニメ化。
味皇料理会を創始し、日本料理界の頂点に30年以上君臨してきた男・村田源二郎。彼は味の世界の天皇「味皇」と呼ばれている。味に対して一切の妥協を許さない厳しい彼が気まぐれで入った店が日之出食堂だった。そこで陽一が作ったカツ丼を食べた味皇は、高い食材を使うだけの高級レストランの料理とはまるで比較にならないその美味しさに驚く。すっかり陽一を気に入った味皇は陽一を招き、彼が他の料理人と至高の味を求めて勝負することで成長していくきっかけを作った。本作の注目すべきポイントは、料理を食べた人のリアクションだ。少し大げさな登場人物たちのリアクションは、他の漫画作品にも大きな影響を与えており、また読者の食欲を誘うものとなっている。
「数学」と「料理」が交わる異色の料理漫画。主人公は高校生の北田岳(きただがく)。彼の夢はレオンハルト・オイラーやカール・フリードリヒ・ガウスのような、偉大な数学者になることだった。その夢のために努力を重ねてきた岳であったが、国際数学オリンピック選考会で自身の能力の限界を知り、挫折してしまう。夢を失い、ぼーっと料理を作るだけの学食バイトを始めた岳。そんなある日、彼の前に謎めいた若き天才シェフ・朝倉海(あさくらかい)が現れた。海との出逢いが、岳の運命を大きく変える。
岳の通う私立ヴェルス学園は、開校以来ずっと国際数学オリンピック日本代表に名を連ねてきたのだが、岳の失敗によってその記録がストップしてしまう。それに不満を抱いた理事長は、岳から特待生の資格を取り上げてしまった。無料だった学費を支払わなくてはいけなくなった岳は、親の負担を減らすため、学食で調理のアルバイトを始める。そこに現れた不思議な少年・朝倉海。彼は、岳が無意識下で料理に数学を応用していることに気がついた。綿密な計算と理論をもって至高の一品を作り上げる、数学と料理のマリアージュ。自身の数学的思考が料理に通用することを海に教えられた岳は、料理人の道を歩み始めることになる。美味しい料理という「答え」を証明していく岳の姿を見守ろう。
天才料理人を母に持つ少年が自身も料理人として成長していく様を描いた、伝説的中華料理漫画。主人公は13歳の少年リュウ・マオシン、通称マオ。彼は四川省にある国営菜館「菊下楼」の総料理長を務めた天才女料理人パイの息子で、父も偉大な料理人であった。両親から料理の才能を受け継いだマオは、母を死に追いやった兄弟子のショウアンと料理対決をする。この対決以降、料理人として腕を磨くため修業の日々を送ることになる。1997年4月にテレビアニメ化された。
マオの母であるパイは、中華料理が隆盛を極めていた時代に四川省随一の天才料理人と謳われた人物だ。しかしパイは弟子であったショウアンに裏切られ、多額の借金を背負って過労により死亡。マオは母の仇を討つべく、ショウアンと新料理長の座をかけて料理対決をすることになる。ショウアンとの戦いは、マオの料理人として道の第一歩に過ぎない。戦いに勝ち「菊下楼」の総料理長になったマオは、さらに自身の腕を磨くため、四川省を飛び出す。その先で数々の料理人たちと出会い、成長していく。本作の魅力は、登場する料理が美味しそうであるだけでなく、斬新で面白いものであること。そして、奇想天外な調理方法が次々と描かれる点だ。マオの成長とユニークな料理・料理方法の数々から目が離せない。
イタリア料理の道を極めていく若き料理人の活躍を描いた、イタリアン厨房ドラマ。福岡市内にある人気イタリアンレストランでアルバイトをしている大学生・伴省吾(ばんしょうご)。彼は将来、恋人と自分の店を持つことを夢見ており、そのためにバイトをしながら調理師免許を取得。本格的にイタリア料理を極めるため、上京して「六本木バッカナーレ」という店で働くことになった。そこで省吾は、自身の腕がまだまだ未熟であるという現実を突きつけられる。2007年4月にテレビドラマ化。
省吾のバイト先は、福岡市内の飲食店激戦区・中洲にあるイタリアンレストラン「サンマルツァーノ」。そう大きくはない店だがそこでメインを任されていた省吾は、料理人としての自分の腕に自信を持っていた。そんな彼が、サンマルツァーノの店長の勧めで六本木バッカナーレのヘルプとして働き出すところから物語が動き出す。省吾の料理人としてのスキルは、六本木バッカナーレでは全く通用しなかった。彼は料理をナメていた、未熟過ぎる「バンビーノ(ガキンチョ)」だったのだ。初めての挫折でそれを痛感した省吾は、大学を休学。六本木バッカナーレに就職し、本気で料理に打ち込むことになる。食欲を誘うイタリア料理の描写と、省吾が成長していく様子に注目しよう。
男手ひとつで娘を育てるアラサー高校教師が娘のために料理に奮戦する、あったか食卓ドラマ。妻に先立たれ、幼い娘を1人で育てる高校の数学教師・犬塚公平(こうへい)が主人公。彼は味オンチで料理ができないため、食事はほとんど外食かコンビニ弁当だった。しかし女子高生・飯田小鳥(ことり)と出会ったことをきっかけに、娘にきちんとした食事を食べさせてあげたいと思うようになる。犬塚は、娘・つむぎと小鳥と共に、料理に挑戦することになった。2016年7月にテレビアニメ化。
昨今はコンビニ弁当も栄養に配慮されており、味も悪くない。そのため犬塚は、食事に関してあまり危機感を抱いていなかった。ある日、つむぎと共に花見にでかけた犬塚は、1人泣きながら弁当を食べていた女子高生・小鳥と出会う。小鳥が食べていたお弁当に興味を持ったつむぎ。つむぎは幼いながら、コンビニ弁当と誰かのために作られた食事の違いを感じ取っているようだった。それに気づいた犬塚は、母が料理屋を営んでいる小鳥と共に料理に挑戦することになる。本作はつむぎを笑顔にするために犬塚と小鳥が料理を始めるところからスタートするが、物語が進むにつれてつむぎも料理に参加するようになる。美味しそうな料理の数々と共に、つむぎの料理の腕前の成長も楽しめる作品だ。