概要・あらすじ
19世紀、清朝末期の中国。少年マオは亡き母の後を継いで四川省随一の国営料理店・菊下楼の料理長の座を勝ち取る。その後マオは広州随一の大料理店・陽泉酒家で修行を始め、すぐに飛び抜けた実力を発揮。陽泉酒家の看板を背負ってフランス人シェフや餃子兄弟らと料理対決を繰り広げ、次々に勝利を収める。
そして中国料理界の科挙といわれる特級厨師試験に挑戦、合格を果たした。その後は料理の見聞を広める旅に赴く。
登場人物・キャラクター
マオ
13歳の少年。フルネームは劉昴星(リュウ・マオシン)。父親は国営料理店・菊下楼の料理長を務めていたが、11年前に他界。後を継いだ母親のパイも物語が始まる1カ月前に没した。マオは母の仇・ショウアンを料理勝負で下して料理長の資格を得た後、3カ月の予定で広州・陽泉酒家での修行を開始。 この間にフランス人シェフのジャン・バジャール、餃子兄弟ことカラオとアルらを料理対決で下した。その後も広州にとどまり、半年後に特級厨師試験で合格。やがて中国各地を回る旅に出る。微量な食材の味も見逃さない味覚と、10年前に食べた料理の味も正確に思い出す記憶力の持ち主。 熱血漢だが推理力や独創性も抜きん出ている。
メイリィ
陽泉酒家で働く若い少女で、チョウユの娘。広州にやってきたマオを陽泉酒家に案内して仲よくなり、何かと行動をともにするように。
チョウユ
陽泉酒家の副料理長にしてメイリィの父。ルオウ大師に代わって実質的に店を仕切っている。修行に来たマオを厳しく指導したが、すぐその素質を見抜いて信頼を置くようになった。常人離れした大食漢。
フェイ
マオより2歳年上の少年。広州・大同館の料理人。フルネームは蘭飛鴻(ラン・フェイフォン)。マオの母・パイに恩義があると言い、特級厨師試験では、味覚を失う針を刺されたマオを助けた。マオとともに試験に合格し、特級厨師となる。
ルオウ大師 (るおうたいし)
陽泉酒家の料理長。漢字表記は羅鋈。ふだんは厨房をチョウユに任せているが、重要な局面には姿を見せてマオらを助ける。広東厨師連合の次席長老。
カリン
マオの姉。リー提督からマオが広州餃子大会で勝ったことを聞き、四川の食材を携えて広州まで祝いに駆けつけた。
パイ
マオの母。菊下楼で歴代屈指の名料理長で、四川料理の仙女と称される。数々のメニューを編み出し、菊下楼の歴史を塗り替えた。10年育てた弟子ショウアンの裏切りで資金と料理人を奪われ、2年間にわたり借金返済に追われることに。その心労と過労から、物語が始まる1カ月前に病没した。
リー提督 (りーていとく)
宮廷料理の司膳太監(大厨房の総監督官)を長年務めている中央料理界の重鎮。10年前は兵士だった。菊下楼の料理勝負で審判を務め、勝ったマオに広州の陽泉酒家で3カ月修行をするよう促す。ローウェン大師とともに、マオが特級厨師試験を受けられるよう後押しした。
ジャン・バジャール
フランス人シェフ。ブラン仏領事のお抱え料理人として、広州へやって来た。パリで最も人気のあるレストランを持ち、その料理を食べずしてフランス料理は語れないとまで称されるほどの人物。だが米料理対決でマオに破れて地位と名誉を失い、復讐を図る。
ローウェン大師 (ろーうぇんたいし)
かつて皇帝の厨房を取り仕切った食の世界の伝説的権威。官職を退いた後、優れた料理を求めて全国を放浪していた。広州餃子大会で窮地に陥っていたマオら陽泉酒家チームの実力を認めて助け舟を出す。マオの特級厨師試験にあたり、推薦状を書いた。
餃子兄弟 (ぎょうざきょうだい)
兄・カラオ、弟・アル。大道芸人として各地を回りながら、カラオのすぐれた餃子の腕前と悪巧みでカネを集めていた。巨漢のアルが怪力で練り上げる餃子の皮とあんも味の秘密。広州餃子大会ではアルがチョウユを闇討ちして右手を骨折させた。2回戦で対決したマオに敗れたが、カラオは料理人としての誇りを思い出して態度を改める。
シロウ
菜根館の日本人女将の息子。中国人の父はすでに他界している。各地を回る旅に出たマオが南方の宿場町を訪れた際に出会った。マオを慕って旅に同行するように。
ラン・フェイフォン (らんふぇいふぉん)
男性。冷静沈着で物事に動じない性格。広州の特級厨師であり、特級厨師の試験で劉昴星と争ったライバル。広東省の料理店大同館で修行したことがある。
シェル
男性。料理人。山西省出身。明るくさっぱりした性格。焼売にかけては、「大陸一」を自負する。特級面点師でもある。焼売の皮を伸ばすための鋼棍を持ち歩いており、通称「鋼棍のシェル」。中国大陸全土を旅して料理修業をしている。
ルオウ
男性。広州の料理店陽泉酒家の総料理長。特級厨師。普段は飄々としているが、腕は確か。人望も厚い。
レオン
男性。料理人。七星刀を愛用し、通称「七星刀のレオン」。陽泉酒家で修行をした、料理長ルオウの直弟子生真面目でやさしいが腕っぷしも強い。多彩な刀工技を持つ。向上心から裏料理界に入ったことがある。
周 梅麗 (ちょう めいりぃ)
女性。周瑜の一人娘。料理の腕はない。姉御肌。
劉 昴星 (りゅう まおしん)
10代の少年。頭にはバンダナを巻いている。四川省にある菊下楼に生まれ、両親の才能を受け継いだ、鋭い味覚と発想力を持つ天才料理少年。広州にある料理店陽泉酒家に修行にくる。精密な細工料理も得意。「料理は人を幸せにする」という信念を持っている。正義感が強い。中国料理界最高の称号である「特級厨師」となる。 母親は料理人のパイ。
場所
陽泉酒家 (ようせんしゅか)
『中華一番!』に登場する料理店。伝統を覆すことを伝統とし、食の本場・広州で随一との評判を持つ。総料理長はルオウ大師、副料理長はチョウユ。かつて伝説のおこげ料理を開発したカユウ大師が厨房を取り仕切っていた。マオが修行を始めて間もなく、フランス人シェフのジャン・バジャールに放火されて焼失してしまう。 ブラン仏領事の見舞金、広州餃子大会の賞金100万元などを元手に、再建を図る。
菊下楼 (きっかろう)
『中華一番!』に登場する国営料理店。代々の料理長が四川省最高の料理人と称される。新料理長は料理勝負で選ばれるならわし。
その他キーワード
特級厨師 (とっきゅうちゅうし)
『中華一番!』に登場する用語。料理人が尊敬と羨望の対象となる世界において、最高位の料理人資格。4年ごとに行われる試験に合格すると称号を得られ、合格者には料理界で最も日の当たる道が用意される。試験では「食材」と「テーマ」が提示され、指定された食材を用いて、テーマに沿った料理を作る。
続編
真・中華一番! (しん ちゅうかいちばん)
独創的な発想力を持つ中華料理人の少年が、中国料理界を牛耳ろうとする悪の組織を相手に、伝説の料理道具を巡る料理対決を繰り広げる。『中華一番!』の直接的な続編で、主人公の劉昴星をはじめとする、主要キャラク... 関連ページ：真・中華一番!
中華一番!極 (ちゅうかいちばん きわみ)
小川悦司の『真・中華一番!』の続編。久しぶりに帰郷した特級厨師の少年・マオは父親・マリウの法要中に事件に巻き込まれ、彼の死の真相を知るための旅に出る。清朝末期の中国を舞台に、マオと仲間たちの冒険や料理... 関連ページ：中華一番!極
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