身代わりでお見合いをすることになった女子高生と、残念イケメン御曹司の波乱万丈ラブコメディ。平凡な女子高生・野々村花は、大財閥である鷹羽(たかば)グループの御曹司・才原高嶺(さいばらたかね)との見合いの席にいた。花の父親が働く会社を訪れた財閥の会長が、偶然居合わせた花の姉・野々村縁(ゆかり)を見初めたことがきっかけである。会長は孫である高嶺との見合いを勧めたが、縁は彼氏がいたため断固拒否。姉の名を騙り、破談狙いで見合いに挑む花であった。
親のため見合いに参加した花だが、目の前に現れたのは超絶イケメン御曹司の高嶺だ。しかし高嶺は彼女を見るや否や容姿に対し暴言を吐き、上から目線の超オレ様系男子であった。花は耐えきれず啖呵を切り、カツラを投げつけその場を立ち去る。自らの振る舞いに後悔する花の前に、高嶺が「お前の事が気に入った」と花束を抱えて現れる。素性を隠したまま花は彼との逢瀬を重ねるが、最初から妹だとバレていたことが判明。付き合いを深める中で意外な一面を知り、少しずつ恋心を芽生えさせてゆく。傲慢かつ超ポジティブな高嶺と手厳しくツッコミを入れる花の掛け合いが、まるで漫才コンビのようだ。クスリと笑いつつ王道のラブコメを味わうことができる。
名門学園に紛れ込んだ庶民の少女が、いじめに負けず奮闘する学園ラブコメディ。主人公・牧野つくしはごく普通の一般家庭の少女だが、母親の見栄でお金持ちが集う超名門私立・英徳学園に入学する。周りから浮かないよう静かに過ごしていたつくしだが、友人を庇ったことがきっかけで学園を牛耳る眉目秀麗な男子生徒の集団「F4」に目をつけられてしまう。2005年・2007年に実写ドラマ化されたのをきっかけに、海外でリメイク版が製作されるなどメディア化多数。
F4のリーダーであり道明寺財閥の御曹司・道明寺司(どうみょうじつかさ)の機嫌を損ねたつくしは、学校中を巻き込んだ壮絶ないじめに遭う。負けまいと陰で涙を流すつくしを見かねて助け舟を出したのは、なんとF4のメンバー・花沢類であった。いじめも収まり類に親切にされるうちに彼に対する恋心が芽生えるつくしだが、なんと彼は幼なじみの令嬢・藤堂静に思いを寄せていた。失恋のショックを抱える中、事あるたびにちょっかいをかけてくる道明寺に、つくしは徐々に心を揺らしていく。道明寺はじめ御曹司たちのセレブぶりが桁外れであり、庶民のつくしとの対比が興味深い。また、恋の障害も持ち前の明るさとひたむきさで乗り越えてゆくつくしに、多くの女性が共感を抱いた。
バツイチ一文なしの崖っぷち元・専業主婦と、性悪金持ち男子高校生との歳の差ラブストーリー。桂木早梅(はやめ)は27歳の平凡な主婦だった。しかし、夫の不倫が発覚し離婚を突きつけられる。ショックで家を出た早梅は、スリの被害に遭い所持金も無くなり公園で寝泊まりすることに。そんな彼女の前に現れたのは、老舗旅館の御曹司の高校生・片岡壱成だ。以前、いじめの現場に出くわし壱成を注意した過去を持つ早梅は、彼から意外な提案をされる。2021年にテレビドラマ化。
当初は早梅を馬鹿にしていた壱成だが、彼女の窮状を見かねて自宅へ連れてゆく。そこで彼が提案したのは「リアル人生ゲーム」だ。壱成は早梅の寝食を保証する代わりに、理不尽なゲームを彼女に課そうとする。誤って片岡家の掛け軸を破損した弁償代で借金を背負うことになった早梅は、断れずゲームに奮闘する。やがて壱成の祖母に気に入られ、一族が経営する旅館で仲居として再スタートを切ることに。そこで出会ったのは、かつて人生のどん底にいた早梅を救った壱成の兄・片岡成吾であった。不幸な生い立ちだった早梅が、壱成と成吾の二人から見初められるさまはまさに現代の「シンデレラ」である。元夫や彼の不倫相手であるサイコパス女の登場など、スリリングな展開も見どころだ。
ツンデレ御曹司と庶民な女子高生が織りなすピュアラブストーリー。主人公の女子高生・灰音(はいね)りかは、歩きスマホが原因で階段から転げ落ちてしまい、彼女の下敷きになった少年を骨折させてしまう。しかし、彼の正体は大企業の子息令嬢のセレブが通う「私立麗涼学園高校」の生徒で、大神財閥の御曹司・大神長(おおかみつかさ)であった。病院に駆けつけた長の母親は激怒し、りかに24時間付きっきりで身の回りの世話をするよう命じる。
お世話初日、長は居合わせた友人たちに「他の使用人にはさせられない事をさせる」と告げりかを戸惑わせる。長は彼女に豪華な部屋を与え、喜んだのも束の間ペットが住んでいた部屋だと判明。メイド服を着せられた挙句下着までからかわれ、りかは怒りの余り長にビンタを見舞う。その夜、風呂の介助をする彼女に長は優しい言葉をかけ、意外な一面にりかの心は揺れ動く。その後二人は文化祭やクリスマス、アルバイトなど普通の高校生活を送る中で、初恋の相手やライバルの登場に嫉妬しながら心を通わせてゆく。当初はからかいの対象だった庶民のりかだが、身分の差を超えて恋人になっていくさまが胸キュンだ。クールかつ時にワイルドなツンデレ男子の長に思わず翻弄されたくなる一冊である。
平凡女子とイケメン御曹司が同じ高校で密かに愛を育む、秘密の学園ラブロマンス。主人公・東条琴子は容姿、勉強、運動すべてにおいて平凡な女子高生だ。しかし彼女はひとつだけ秘密を抱えている。なんと琴子は、同じ高校に通う西園グループの御曹司で容姿端麗な「氷の王子」こと西園伊誓(いちか)と婚約関係にあるのだ。一般クラスに属する琴子は何気ない「普通」の高校生活を満喫しようとするが、家に帰ると同居する伊誓が待っているのだった。
互いの祖父同士の縁がきっかけで、二人は子供時代に婚約者となった。中学生になり身分やスペックの違いから肩身の狭い思いをしていた琴子は、高校進学とともに上京を決意する。しかし、条件として彼女の母親から上京を許す代わりに伊誓と同じ高校に通い、同居することを命ぜられる。渋々条件を飲む琴子だが、過保護でヤキモチ焼きな伊誓を徐々に意識するように。彼との関係を知られないよう極秘の高校生活を続ける中、遂に一緒にいるところを同級生に目撃されてしまう。本作は、スリル満点の秘密の恋愛と、イケメン御曹司に溺愛される平凡女子という、乙女が夢見る妄想を見事に具現化している。その一方で、普通でいたいと願う琴子の目線から描かれた世界観も新鮮だ。