４コマ漫画の名手「重野なおき」特集！『信長の忍び』などオススメ漫画５選28 Pt.

笑いはもちろん、時にはほろりとさせるホームドラマを展開させる重野なおきの代表作の一つ。コミックスは15巻を数える。しっかり者の長女・愛子を中心に、威厳の足りない父・茂雄（しげお）、自称ミュージシャンの長男・音也（おとや）（19歳）、家計を圧迫する大食いの次男・大吾（だいご）（17歳）、今時ギャルの次女・キリカ（16歳）、勤勉な眼鏡っ子の三女・智佐（ちさ）（14歳）、音也が大好きなブラコンの四女・みゆ美（11歳）、冷静すぎる不思議少年の三男・とおる（10歳）、好奇心旺盛な幼稚園児の五女・リン（5歳）と、性格も個性もバラバラな面々が一つ屋根の下に暮らす。おかずの争奪戦から兄弟喧嘩まで大家族ならではのコミカルな場面が展開される。重野なおきの出身地・千葉県千葉市花見川区を舞台にしており、千葉の地元ネタも楽しい。

織田軍を中心にして史実に基づき乱世の日々を描いた本作は、4コマ漫画ならではのギャグをまじえつつも本格的に戦国時代を描き、歴史ファンからの人気も高い。主人公の千鳥は架空の存在だが、彼女の目を通して描かれる武将たちは、織田信長はもちろん実在する偉人ばかりで、フィクションと史実を絶妙なバランスでミックスしてキャラクターが造詣されている。木下秀吉（後の豊臣秀吉）はお調子者のボケ役として、明智光秀は真面目すぎる性格の突っ込み役だがとにかく間が悪く貧乏くじをひく役回りとして描かれており、史実と重ね合わせて思わず笑ってしまう。戦国時代の細かな蘊蓄や、史実のエピソードも描きこまれ、歴史ものとしても、ギャグ漫画としても読み応え充分な作品だ。

東大法学部を首席で卒業、国家試験を満点で合格し、異例の出世をはたした24歳。驚異的な経歴からは想像もつかない童顔と小柄さを誇るのの美が本作のヒロイン。ロングヘアをツインテールにしたのの美の姿はまさに小学生だ。頭はきれるが天然すぎて「パトカー三台を興味本位で解体して二階級降格」、「火の不始末で警察庁を半焼させて三階級降格」となってしまう。警視から一転、巡査として桜台警察署に赴任するも、軍平には落とし物を届けにきた小学生に間違われる始末だ。それでも、天才的な頭脳の持ち主には変わりなく、「真相見っけ!!」の決め台詞とともに、その威力を発揮して事件を解決していく。世話焼き役の先輩刑事・軍平との淡い恋模様もほのぼのと楽しめる。

漫画家が自らの育児の悲喜こもごもを描く育児エッセイ漫画は数多くあるが、夫婦ともに4コマ漫画家というのは珍しい。重野なおきの妻・藤島じゅんも、『ピンポン☆ブー』等で知られる4コマ漫画家。そんな二人の間に2006年に長男のるいが、2009年には長女・あいが誕生した。本作は二人の子供の誕生から始まり、長男のるいが10歳、長女・あいが8歳の小学生になるまでの成長が描かれていく。単なる家族の記録ではなく、子供との何気ない日常が笑いを誘う4コマに昇華されるあたり、さすが名手といえる。育児経験のある読者の共感を呼ぶあるあるネタも多く、親子で読むのも楽しいだろう。家族で過ごす楽しさや温かさも感じさせてくれる作品だ。

学園生活を明るいタッチで描く、重野なおきの初期の代表作。進太郎は地理と歴史を担当する24歳。担任する2年A組には、進太郎に恋する剣道少女の内田沙耶佳（さやか）や、さぼりの常習犯・由井唯（ゆいただし）、規律を重んじる学級委員長・海野綾、クールな天才少年だが悪戯好きな上原正充（まさみつ）、留年続きで実は20歳の最強の番長・飯田清尚（きよひさ）といった生徒たちが在籍する。若い新任教師なのもあって進太郎と生徒たちとの距離感は近く、やり取りはフレンドリーで楽しい。進太郎が想いを寄せる陽子先生の天然キャラもかなりなもので、のんびりすぎて寝坊が多く「遅刻の女王」と異名をとるほど。教師も生徒ものびのびしていて、ちょっとゆるく、どこにでもありそうだけど、楽しい。そんな高校生活が描かれる。