犯罪被害者の遺族に代り、仇討ちを行う執行代理人の業務を描く、ダークなバイオレンス・アクション。物語の舞台は、戦争で経済が低迷し、治安の悪化した架空の現代日本。そこでは犯罪被害者の遺族による復讐が合法化される「敵討ち法」が施行されている。主人公の叶ヒロシは一見、暴力とは縁遠い地味な青年だが、実は軍の特殊部隊出身。持ち前の特別な能力を駆使し、困難な仇討ち業務を遂行していく。
本作の舞台では、殺人を行った犯罪者への遺族による復讐、即ち仇討ちが法的に認められている。ただし、仇討ちには厳格な規定が存在する。まず仇討ちを行う際には、裁判所に申請を行い、対象者に書類を提出し、仇討ちを行う旨を通達する必要がある。実際に仇討ちを行うのは、通達から4日後だ。仇討ちを行う遺族は代理執行人を3人、犯人側は警護人を2人まで雇用できる。また、仇討ちを行う際は、執行側、犯人側共に銃器の使用が可能(弾倉は各人につき1つのみ)。当然、仇討ち側が返り討ちに遭うケースも起こりうるわけだ。ちなみに、当事者以外が仇討ちに加勢することは重罪になる。主人公・叶ヒロシは、この仇討ち業務を行う法律事務所の新人代理執行人だ。物語は、ヒロシの過去を紐解きながら、執行の過酷な現場と、それに関わる人々の内面を描いていく。
謎の女・怨み屋が、怨みを抱く者の復讐を代行していく様子を描いた、ドラマティックなクライム・サスペンス。「怨み屋本舗」シリーズの第6部で、『怨み屋本舗 EVIL HEART』の続編に当たる。主人公・怨み屋こと宝条栞は、復讐の代行を行う裏稼業「怨み屋本舗」社長。彼女は法の手の届かない悪人や、不当に罪を逃れた犯罪者たちに対する復讐を、報酬と引き替えに遂行する。
主人公・怨み屋は、晴らせぬ恨みを抱える者の前に、どこからともなく現れ、彼らの復讐を代行する。彼女は、スラッとしたモデル体型の艶やかな美女だが、ターゲットは確実に仕留める冷徹な仕事人だ。復讐の手段は「社会的な抹殺」、もしくは「実質的殺害」。怨みを抱く相手の身元が不明の場合、その捜索から行うこともある。そして、怨み屋は頭脳明晰なだけでなく、格闘技の腕も超一流。彼女の協力者たちも、それぞれが優れた分野を持つエキスパート揃いだ。復讐に際しては、ターゲットの性格や日頃の行動、犯した犯罪などを入念に調査し、巧妙な罠に嵌めるパターンが多い。怨み屋は、相手が子供であろうとも、一切容赦はしない。ただし、依頼人が嘘をついていた場合は報復するなど、彼女なりの確固たる流儀を持っているのが大きな特徴だ。
イジメ被害者による凄絶な復讐劇を描いた、精神破壊型サイコ・サスペンス。主人公・野咲春花は、父の転勤で東京から雪国の大津馬中学校に転校してきた3年生。そこで春花は、閉鎖的で余所者を嫌う生徒たちから、執拗なイジメを受ける。やがてエスカレートしたイジメは家族にまで害を及ぼす。春花の家が放火され、両親は焼死し、妹も意識不明の重体に陥ってしまったのだ。それまで健気に耐えてきた春花の心は崩壊し、復讐の鬼と化す。
本作の舞台は、過疎化が進んだ雪国の片田舎。それぞれが鬱屈した感情を抱えた中学生たちは、都会からの転校生・野咲春花をストレスの捌け口にした。イジメは日増しにエスカレートするが、担任教師は見て見ぬ振り。春花の父がイジメの相談を行った際も、一切取り合わない始末。当然、イジメは収まらず、むしろ過激さを増す。ついには、春花の家が放火されるという事態にまで発展。超えてはならないラインを逸脱した同級生たちに対し、春花もまた狂気に染まっていく。全てを覆い尽くすように雪が降る中、凄惨な復讐劇が幕開く。ドロドロとした心理描写に、グロテスクなシーンを交えて展開される、サスペンスフルなストーリーだ。
夫を死に追いやった者たちへ復讐する妻の姿を描く、狂気とカタルシスに満ちたストーリー。主人公・鈴木密は、とあるIT企業に務める派遣エンジニア。気立てが良く、仕事もバリバリこなせる彼女は、会社になくてはならない存在となる。しかし、密の夫・優吾は、かつてこの会社に勤めており、過酷な労働環境のすえに死亡していた。彼女は夫の死に関与した者たちを残らず特定し、復讐を企てていく。
本作の主人公は、復讐のために夜叉となった女性だ。彼女の夫・優吾は、仕事ができる有能な男だった。しかし、責任感が強く優しすぎる性格の彼は、余計な仕事を抱え込み、精神を磨り潰されていく。そして彼は鬱となり、自ら死を選んだ。夫の復讐を決意した彼女は、身元を隠すため名前を美月から密へと改名。派遣エンジニアとして、優吾の務めていたIT企業へ潜入する。そこで彼女は、人付き合いの良い女性を装いつつ、探偵の義弟・陽史と共謀しながら、夫の死に関わった人々を次々と失脚させていく。本作の特徴は、密が一切罪悪感を抱かず、復讐を心から楽しんでいること。しかも復讐のためには、自らの身体を使った色仕掛けすら辞さない。彼女の狂気を孕んだ姿勢は、背筋が寒くなるほどだ。
被害者の依頼を受け、彼らの代わりに仇を討つ「復讐屋」の活躍を描くバイオレンス・アクション。主人公の鴨ノ目武(カモ)と島田虎信(トラ)は、憎しみを抱えながらも一線を越えることのできない「弱き者」に代って、恨みを晴らす「復讐屋」だ。表の商売として古書店を営む彼らは、「善悪の彼方」という本を手にした依頼主から事情を聞き、収入3ヶ月分の依頼料で復讐を代行していく。
重罪を犯しても、犯人が罪に相応しい罰を受けるとは限らない。証拠不十分で逮捕できないこともあれば、未成年であるが故に軽い処罰しか受けないこともある。また、裁判としては「まとも」な量刑だとしても、遺族が納得できないケースもある。そんな被害者たちが抱える怨みを、非合法な形で解消するのが「復讐屋」だ。彼らの手法は、直接的かつ暴力的。ターゲットを気絶させて拉致し、自分たちのアジトなどでしかるべき報いを受けさせる。彼らは単に殺すだけでなく、犯人たちに自らの行いを後悔させる制裁を加える。特にカモメ古書店・店主の鴨ノ目武(カモ)は、一切躊躇することなく、残虐極まる制裁を淡々と行う。一方、パートナーの島田虎信(トラ)は甘さがあり、カモのやり方に反発することもある。幾分主義が異なる2人だが、罪を憎む心は同じ。彼らは弱者に代り、過激な復讐稼業を続けていく。