蝿の王・ベルゼブブが登場する漫画58 Pt.

複数の聖書に登場する大悪魔、ベルゼブブ。実はソロモン七十二柱の悪魔の中に名前がない。豊穣や予言を司るとも言われるベルゼブブだが、漫画に登場すると、かわいい女の子だったりコメディ要員だったり。数多くの解釈から、作者がどれを採用しているかにも注目してほしい。

本作に登場するベルゼブブは、タイトルに「ベルゼブブ嬢」とある通り、かわいい女の子だ。魔界の重鎮としてテキパキと仕事をこなしているが、私生活ではゆるふわな雰囲気で、もふもふしたものが大好き。万魔殿を闊歩する威風堂々としたベルゼブブの姿に憧れていた新人近侍・ミュリンは、そのギャップに四六時中振り回されっぱなしだ。ベルゼブブは私生活ではとても無防備な女の子なので、ウブなミュリンが赤面してしまうようなハプニングがしばしば発生する。ベルゼブブへの憧れが打ち砕かれてがっかりしつつも、ミュリンは懸命に彼女に仕える。その健気さに、ベルゼブブは徐々にミュリンを意識するようになっていく。ギャップいっぱいの悪魔たちが繰り広げるラブコメが微笑ましい1作。

本作に登場するベルゼブブは、魔界の王である、サタンに仕える配下だ。サタンと桜井ミウが永遠の愛を誓ったことを知り、嫉妬に燃えた魔界の少女・セーラの陰謀によって、サタンが魔界に呼び戻された際に登場した。紆余曲折の末に桜井ミウと想いを通じ合わせたサタンは、彼女を連れてともに魔界へ帰還し、2人はそこで結ばれる。それまでどんな悪魔も、魔女も入れたことがなかったサタンの寝所に、桜井ミウが初めて招き入れられたことに対し、セーラは怒り、ベルゼブブはサタンが本気であることを悟る。サタンと結ばれた後の桜井ミウを見たベルゼブブが、彼女の色香に心を動かされ、顔を赤らめるシーンもある。

本作に登場するベルゼブブは「サタン王に仕えるEU地獄のナンバー2」である悪魔だ。エリートでプライドが高く傲慢なベルゼブブは、平獄卒からのたたき上げである鬼灯とは、とことんそりが合わない。鬼灯のほうが1枚上手なので、ベルゼブブはたびたび言い負かされたり、テニスで打ち負かされたり、何かと酷い目に遭っている。ベルゼブブは面倒見が良く、サタン王や妻・リリスのわがままに根気よく付き合う一面もある。また、ベルゼブブと鬼灯は同じメイド服を好んだり、妙に息が合ったりすることもある。2人ともそれぞれの地獄のナンバー2という立場なので、互いに共感を得るところがあるのだろう。

本作に登場するベルゼブブは、ペンギンのような姿をしたカレーが大好物な悪魔・ベルゼブブ優一だ。彼は魔界の貴族・ベルゼブブ一族のお坊ちゃまで、獄立大卒のエリート。彼が本気を出すと魔界を滅亡させかねないほどの、実力の持ち主である。魔界にいる時のベルゼブブは、甘いマスクと溢れる気品、その優雅な立ち居振る舞いから「王子」と呼ばれるほどのイケメン。しかし人間界では王冠を被り、くるんとした巻き毛が愛らしいペンギンのような姿になっている。本作では、ベルゼブブ優一が、ミスをした佐隈りん子にとんでもない暴言を浴びせるのがお約束。また、ベルゼブブは「蝿の王」らしく糞尿を好み、敵対した相手に便意を催させるという能力を持つ。ペンギンというかわいい見た目に反したイロモノぶりが人気を博しているキャラクターだ。

本作に登場するベルゼブブは、魔界の第2王子である「ベル坊」ことカイゼル・デ・エンペラーナ・ベルゼバブ4世。不良高校生・男鹿辰巳が育てることになる赤ん坊だ。ベル坊は人間でいうと2歳ほどの年齢で、泣き出したり癇癪を起したりすると、電撃を放つ。この電撃に、男鹿辰巳が黒焦げにされるのが本作のお約束だ。さらに、ベル坊がおもらしをすると部屋が洪水もかくやという状態になるのだから、スケールの大きい赤ん坊である。ベル坊は、男鹿辰巳に世話を焼かれているうちに彼になついていき、共に強敵に立ち向かうまでに成長する。男鹿辰巳と出会った頃は、死にかけの蝉の鳴き声にも怯えて大泣きしていたベル坊が、巨大な敵と戦えるまでになる物語だ。