鬼灯の冷徹

日本地獄を会社運営に見立て、閻魔大王第一補佐官を務める鬼灯が、勤務中に上役や部下である獄卒、世界各国の地獄の悪魔や神話の登場人物たちと交流する日常を描く、江口夏実の代表作。

概要・あらすじ

主人公の鬼灯は、人材不足に悩む日本地獄全272部署を仕切るにおいて、有能な鬼神。彼は今日も閻魔大王を叩きつつ、裁判の補佐・現世や他宗教の地獄への視察・現場(地獄)への人材配置や労働環境改善・物品取引に地獄のイメージアップPRに他部署との折衝にとあらゆる仕事に精を出す。

登場人物・キャラクター

鬼灯 (ほおずき)

閻魔大王の二代目第一補佐官。初代は日本神話のイザナミで、彼女が黄泉をあまりにも私的に管理していたため、下積みを経て閻魔大王にその手腕を見込まれたあと中国に渡って裁判制度を学び、現在の体制に整備して半強制的に引退させた。裁判制度を学んだことが白澤とのファーストインプレッションであり、後に和漢親善競技大会で決定的な禍根を残すことになる。 非常に有能かつ強靭な肉体・精神力を有し、社会性も持ち合わせているが、性格はドS。額の一本角と三白眼が特徴。ストレートの黒髪を面倒くささから自分で整えているが、現世の労働環境の視察に出向く際に美容院でカットしてもらったりとたびたびエピソードになる。歯に衣着せぬ毒舌と、目上を丁寧かつさりげなく無下に扱ったり、または直属の上司である閻魔大王を金棒で躊躇いなく殴ったり地獄の釜に叩き込んだりと、言動の容赦のなさに周囲から畏怖されている。 唯一の趣味は金魚草の育成・品種改良と語っているが、知識の幅から漫画もゲームも嗜む程度で多岐に亘る。容姿が整っている上、女性の扱いが丁寧であるためモテるが、職務に徹するあまり朴念仁とも思えるほど無反応である。 ただし、レディ・リリスに密着されたことについて「嫌ではない」と発言しており、興味がないわけではないらしい。好みの女性は「自分が作った(脳)味噌汁を笑顔で飲める人」。無類の動物好きでもあり、現世に視察に行った際には必ず動物園に寄るほか、オーストラリアに動物目当てにわざわざ行くほどである。

閻魔大王 (えんまだいおう)

基本設定は仏教・ヒンドゥー教の閻魔大王に同じ。イザナミの死後渾沌としていた黄泉を日本地獄として秩序を設けるべく改革した発起人。さらに鬼灯の名付け親で、かつ下積みを経た彼を補佐官に抜擢した、優秀な人物。巨漢かつ髭に覆われた強面であるはずなのだが、温和な性格が災いして裁判中以外では威厳がない。 また生活態度がだらしないこともあり、鬼灯から常日頃情け容赦なく折檻される。EU地獄の王サタンが視察でやって来た際も地獄の釜で溺れる醜態を晒し、助けられるどころかまず真っ先に叱られてしまう。身長約185cmの鬼灯と並んで一回りも二回りも大柄な巨体であるため、トイレや寝具・食事等の設備を過失でよく破壊してしまい、鬼灯に自腹で専用のものを作らされた。 大食漢で肥満体質、加えて運動不足がたたり、しょっちゅう腰を痛める。部下とのいわゆる飲みニケーションを楽しむ前時代的な上司として描かれ、宴会の席では鬼灯にたびたび注意される。しかし前述の通り温和であるため、部下には(鬼灯に虐げられるその姿に呆れられながらも)概ね慕われている。

唐瓜 (からうり)

地獄に新卒採用された小鬼。眠そうな釣り目に二本角、黒いざんばらの髪型が特徴。背丈は茄子と同じく人間の小学生程度。初期は雑用で駆け回り、お香と出会ってからは衆合地獄への転属を希望するようになる。そこで鬼灯に依頼して衆合地獄への見学に連れて行ってもらった際、ドMであることが発覚。 以降もたびたびネタにされている。基本的に性格は至って真面目で、女性、特にお香には丁寧に接する。座敷童子の一子、二子とは外見年齢的に近いせいか、よく一緒にいるところを描かれることが多くなっている。精神的に非常にタフで、畏怖する鬼灯に対して強烈なツッコミを入れることが多い。現在は雑用から三年ほどが経ち、拷問係になるか十王庁の裁判補佐をするかの審査期間に入っており、茄子からは「庁内勤務の方が向いている」と評されている。

茄子 (なすび)

地獄に新卒採用された小鬼。父は朧車、母は小鬼で、父から目の下に隈のあるたれ目と位星のような眉を受け継いでいる。三本角、白くてふわふわのくせ毛が特徴。背丈は唐瓜と同じく人間の小学生程度。物覚えが悪く、学校の成績も芳しくなかったため、就職活動に大変苦労したが、唐瓜に助けられて獄卒として就職できたと明らかにしている。 しかし閻魔殿の城壁に壁画を描ける人材を探していた鬼灯に抜擢されて以降、元々あった美術的センスを開花させ、白澤から絵を実体化させる術「剪紙成兵術」を学んでからは美術祭にコラボ出展したり、イザナミの屋敷の玄関の彫刻を制作したり、春一と八寒の氷細工祭に出す像を共同制作したりなど、活動の幅を広げている。 現在は雑用から三年ほどが経ち、拷問係になるか十王庁の裁判補佐をするかの審査期間に入っているが、希望としては地獄のデザイン課を新設したいと鬼灯に希望している。

桃太郎 (ももたろう)

基本設定は日本の昔話の桃太郎に同じで、室町時代の人物。当初見た目は古風で見目麗しいと評されたが、現在は普通一般人の男性のように落ち着いてきている。普段は天国に住む資格を与えられているが、「鬼を退治しなければ桃太郎ではない」という強迫観念めいたアイデンティティを守るために地獄へ鬼退治にやってくる。 しかし鬼灯に正論で責められたあげく、金棒一振りで刀を折るあまりの強さに心をも折られる。その後鬼灯に諭されたあとは改心し、天国に属する桃源郷の仙桃農家でお爺さん(父か祖父にあたるのかは不明)のように柴刈りに従事するようになり、さらに白澤のもとで薬学を習うようになって薬剤師を目指す。独立を目指して日々勉強する傍ら、元家来となったシロたちとも親交は続いており、他にも一寸法師や地獄の面々と交流を深め、人脈を広げつつある。

シロ

基本設定は日本の昔話の桃太郎に登場する犬と同じ。不喜処地獄の獄卒獣。真っ白でふわふわな毛並で、人懐っこく歌うのが大好き。落ち着きがなく、お調子者であるところが珠に瑕。犬種は不明で、自分が何犬なのか思い悩むエピソードがある(結局不明のまま)。桃太郎の家来であったために桃太郎を一番に慕っており、その桃太郎を改心させて自分たちも雇ってくれた鬼灯に感謝し、初江王からスカウトされた際も上記理由で断っている。 オフになると鬼灯の視察やイベントごとに付いていく姿がたびたび描かれ、あまりに休みが取れない彼の為に各庁を回ってお休み券をプレゼントするなど思いやりも深い。歌のレパートリーが作品中もっとも幅広く、ピーチ・マキとミキのユニット「まきみき」の最新曲も歌える。 閻魔大王の要望でカラオケに行くことになったメンバーの1頭に入っている。

柿助 (かきすけ)

基本設定は日本の昔話の桃太郎に登場する猿、および猿蟹合戦に登場する猿と同じ。不喜処地獄の獄卒獣。「チームのブレーン」を自称していたが、当初は猿蟹合戦において犯した過ちを悔いたトラウマ持ちキャラで、死因にちなんだエピソードでいじられることが多かった。最近は自称通り、エピソードの進行役にあたることが多く、掛け合いのトスや説明、冷静な分析・ツッコミとオールラウンダーな役回りを見せる。

ルリオ

基本設定は日本の昔話の桃太郎に登場する雉と同じ。不喜処地獄の獄卒獣。男気のある性格で、ボケることはまれである。「ロケットランチャー」を自称し、鬼灯に負けず劣らずの魅惑の声を持つ。歌が得意で、桃太郎の家来仲間であるシロが大衆寄りとするならば、ルリオは芸術寄りの歌声であり、聴く者の心を掴むほど。 大変な努力家で、地獄に登用されてからは地獄鳥の一羽としてロケットランチャーの技を磨き続けている。

お香 (おこう)

衆合地獄の主任補佐に就く女性獄卒。ウェーブがかかったロングの白髪、二本角で、身長が高い。鬼灯とは黄泉の教え処からの付き合い。妖艶な化粧とは裏腹に人当たりが良く優しい性格で、女性にも好かれる性質である。衆合地獄の主任補佐に抜擢されたのは、この性質によるところが大きいと鬼灯が説明している。 さらに天然なところもあり、男性受けも非常に良い。鬼灯と白澤の諍いを仲裁したり、鬼灯と買い物に出かけた際も女性らしい可愛らしい一面があったりと、才色兼備である。しかし結婚はしておらず、蛇獄卒を自宅でしつけたり帯留めに蛇を巻くほど大の蛇好きで、おそらく男が寄り付かないのはこれが原因であろうと言われている。

芥子 (からし)

基本設定は日本の昔話のかちかち山に登場するうさぎどんと同じ。舟の櫂とベルト・太い鎖を装備している、日本最強の昔話アイドル。お爺さんとお婆さんに育てられていたが、兎の寿命ゆえに先に天国へと行き、桃源郷の白澤の下で薬剤師として修行を積む。ちなみにこのとき主人の女癖の悪さを見ていたことによってチャラい男が嫌いになる。 辛子味噌の作り方も白澤から直伝されたもので、製法を日々改良しているらしい。その後晴れて地獄の獄卒として働くことになるが、その前に晴れ姿を見てもらおうとお爺さん・お婆さんの元に里帰りした際に、かちかち山の悲劇が起こる。現在も「狸」の単語を聞くとリミッターが外れるようになっており、このリミッターを外さず、より冷静で的確な呵責を行えるようになりたいと考えている。

ピーチ・マキ

末広がりな黒髪ショートカット、二本角の女性タレント。ショップ店員からグラドルに転身後、清純派アイドルとして売り出すも元飼い猫の小判にゴシップネタにされて小悪魔キャラになる。「キャラメル桃ジャム120%」をリリースしてCDデビューを果たし、クイズ番組で天然系・おバカ系として定着するも、鬼灯と結びつきが強くなったために金魚草のイメージガールを務めることになり、さらに金魚草大使を決めるコーナーで選定中のハプニングから大使に抜擢されるなど、キャラが常に迷走している。 このときからカマ彦がスタイリストとしてつくようになった。現在は野干でアイドル歌手のマキと「鬼卒道士チャイニーズエンジェル」で共演したことがきっかけで組んだユニット「まきみき」で一躍人気者へ、イベントやテレビ・ドラマ出演で幅広く活動している。

カマ彦 (かまひこ)

デザイナー、スタイリスト。地獄の記録課に所属する葉鶏頭(はげいとう)の兄。元獄卒。自分は長女だと言い張るオカマで、5人兄妹の長男。二本角、パーマを掛けたロングヘアをうなじで一本に結っている。兄妹全員が芸術技能に秀でており、彼らにプロデュースされた者は必ずヒットするという。また、彼自身もCMに出演するタレントという一面も持つ。 長男から順に結婚しなければならないという一家の掟があるが、上述の通り長女であると主張しているため、次男の葉鶏頭に先に結婚しろと常々強要している。金魚草コンテストの創設し、審査員であるために鬼灯とは元々顔見知り。

小判 (こばん)

猫又。『週刊三途之川』編集部所属のゴシップ記者。カメラマンの仕事を引き受けることもある。元は吉原の女郎屋で飼われていた猫で、飼い主に心中で肥溜めへと道連れにされたために「肥溜め心中の猫」と不名誉な蔑称を付けられる。当初えげつないぐらいのゴシップ精神であったために、鬼灯に胃潰瘍になるくらいにこっぴどく痛めつけられる。 それ以降は改心したのか、「ゲスパパラッチ」などと渾名されているものの芥子にはわりと真面目な取材を行うなど、仕事の関係性としては悪くないようである。

座敷童 (ざしきわらし)

基本設定は日本の民間伝承の座敷童子と同じ。鬼灯が岩手県へ視察に行った際、廃墟・廃屋巡りをしていたところ写真に写り込むという悪戯をしかけ、それがきっかけで保護される。鬼灯と波長が非常に合っていて、桃太郎から「エキセントリック不思議幼女」と称されたり、唐瓜からも鬼灯と一緒に並べられて「能面鋼鉄三尊像」などと秀逸なあだ名がつくことも多い。 鬼灯の計略によって一時的に白澤の薬局に住みつくも、急に繁盛したことを不審に思った家主から出ていくよう図られ、しかもこれが予測済みであったために今度は閻魔殿に引き取られることになる。現世では目撃されることが稀であったために口数が少なかったが、閻魔殿に住みついてからは色んな獄卒から声をかけられるようになり、言葉数が徐々に増える。 その過程で自我が芽生え、鬼灯に「名前が欲しい」とねだったところ、黒い方が一子、白い方が二子と名付けられ、現在に至る。普段は獄卒たちを脅かしたり裁判の様子を眺めていたりするが、金魚草の世話をしたり面倒な亡者の相手をしたりすることもあり、鬼灯からは大変可愛がられている。 表情に乏しかったこともあって唐瓜から「もっと笑った方が可愛いぞ」と言われるが、鬼灯に感謝されて照れを浮かべている描写もある。

白澤 (はくたく)

基本設定は中国の神獣の白澤と同じ。鬼灯と顔の造りが似ているためによくネタにされるが、本人たちは犬猿の仲。牛の神獣であるが人型の女の子、女性が大好きで、常に人の姿でいるのは彼女らと遊ぶため。牛頭を紹介されてもあまり食指が動かない模様。無類の酒好きでもあるが、鬼灯ほど肝臓は強くない。 知識の神なだけあって物事については非常に造詣が深く、中でも薬学界の権威でもある。しかし薬学知識を深めたのは上述の通り、女の子たちと遊ぶためだったので、雇った桃太郎に心底呆れられている。裁判制度を学びに来た鬼灯に裁判制度を教えた張本人だが、へべれけに酔わされたために足を踏み外して地上に落ち、黄帝に捕えられてしまうという踏んだり蹴ったりな経緯があった。 薬学以外の技能は概ね壊滅的で、特に芸術センスは絵は何を描いているのかわからない、私服の趣味はじじくさい、ファッションセンスは皆無と三拍子揃っているため「右脳に致命的欠陥がある」と他方から評されている。ただし知識の神らしく鬼灯がシロのおかげで休暇をもらった際は閻魔大王の補佐官代理として急遽裁判補佐を務めたが、きっちり仕事をこなしていたために彼のただれた私生活を知る座敷童子からも「案外飲み込み早い」と評価された。

アニメ

鬼灯の冷徹

戦後の人口爆発や悪霊の凶暴化を原因とし、溢れかえった亡者によって混乱を極めた今日の地獄。そこで働く獄卒たちはあまりの人手不足に喘いでいた。そんな中、頼りない閻魔大王に代わり地獄を取り仕切るのは第一補佐... 関連ページ:鬼灯の冷徹

書誌情報

鬼灯の冷徹 既刊25巻 講談社〈モーニングKC〉 連載中

第1巻

(2011年5月発行、 978-4063870176)

第2巻

(2011年8月発行、 978-4063870350)

第3巻

(2011年11月発行、 978-4063870619)

第4巻

(2012年2月発行、 978-4063870862)

第5巻

(2012年5月発行、 978-4063871104)

第6巻

(2012年8月発行、 978-4063871357)

第7巻

(2012年11月発行、 978-4063871593)

第8巻

(2013年2月発行、 978-4063871906)

第9巻

(2013年5月発行、 978-4063872125)

第10巻

(2013年8月発行、 978-4063872408)

第11巻

(2013年11月発行、 978-4063872699)

第12巻

(2013年12月発行、 978-4063872736)

第13巻

(2014年2月発行、 978-4063872958)

第14巻

(2014年5月発行、 978-4063883336)

第15巻

(2014年8月発行、 978-4063883619)

第16巻

(2014年11月発行、 978-4063883930)

第17巻

(2015年2月発行、 978-4063884265)

第18巻

(2015年5月22日発行、 978-4063884579)

第19巻

(2015年8月21日発行、 978-4063884869)

第20巻

(2015年11月20日発行、 978-4063885248)

第21巻

(2016年3月23日発行、 978-4063885736)

第22巻

(2016年7月22日発行、 978-4063886184)

第23巻

(2016年11月22日発行、 978-4063886603)

第24巻

(2017年3月23日発行、 978-4063887013)

第26巻

(2018年3月23日発行、 978-4065111086)

鬼灯の冷徹 シロの足跡 既刊2巻 〈KCデラックス なかよし〉 連載中

第1巻

(2016年11月22日発行、 978-4063930771)

第2巻

(2017年7月21日発行、 978-4063932317)

SHARE
EC
Amazon
無料で読む
マンガリスト
logo