1996年連載開始、卓球少年たちの青春を描いたスポーツ漫画。舞台は神奈川県藤沢市。ペコこと星野裕(ゆたか)とスマイルこと月本誠は幼なじみで、同じ高校の弱小卓球部に所属していた。ある日ペコとスマイルは、他校に上海ジュニアユースのエリート選手が留学してきたことを知り偵察に向かう。ペコは留学生と試合をするが結果は惨敗。一方スマイルはその才能に目をつけた他校の卓球部顧問から、執拗なラブコールを受けていた。2002年に劇場映画化され、2014年にテレビアニメ化。
卓球の才能に恵まれ、幼少期から大人にも負けないと、その強さを誇っていたペコ。ペコのおかげで孤独から脱却できたスマイルにとって、ペコはヒーローだった。そんなペコの前に現れた留学生のチャイナこと孔文革(コン・ウェンガ)。才能ゆえに傲慢になっていたペコは彼に敗北し、格下と侮っていたもう1人の幼なじみ、アクマこと佐久間学にも負け、自信を喪失してしまう。一方、ペコの陰に隠れていたが実はペコ以上の才能を持つスマイルは、他校の卓球部顧問の指導で徐々にその実力を発揮するようになる。ペコは再起することができるのか。ペコというヒーローの陰に隠れ続け暇つぶしに卓球をしていたスマイルは、高みを目指すことができるのか。迫力ある卓球シーンの描写と、才能を巡る少年たちの青春模様が魅力的な作品だ。
2008年連載開始、競技かるたに青春を懸ける高校生たちの日々と成長を描いた熱血競技漫画。小学6年生の少女・綾瀬千早(あやせちはや)は福井から転校してきた少年・綿谷新(わたやあらた)との出会いをきっかけに、小倉百人一首競技かるたの世界に引き込まれた。千早はかるたで世界一になることを夢見て高校生になり、競技かるた部を創設。仲間やライバルと切磋琢磨していく中で、競技かるたの選手としてだけではなく、人としても大きく成長していく。2011年にテレビアニメ化、2016年に実写映画化。
いち早く札を見切り手を伸ばす瞬発力、札の位置を把握する記憶力、集中力を維持し続ける精神力など、いくつもの能力が必要とされる競技かるたは「畳の上の格闘技」とも言われている。そんな競技かるたに魅せられた千早は、かるた競技の名人・クイーンを目指し、高校で競技かるた部を立ち上げた。仲間たちと腕を磨き、友情や恋に心を揺らしながら、千早は少しずつ競技かるたの頂点へと歩みを進めていく。魅力的な登場人物たちによる熱いストーリーと、息を呑むほど躍動的な競技かるた描写、きゅんとする恋愛模様などで人気を集めた『ちはやふる』。本作は日本のみならず世界でも注目され、競技かるた人口の拡大に貢献した。美しくも激しい競技かるたの世界に、読者はきっと魅了されることだろう。
2008年連載開始、ぬらりひょんの血を受け継ぐ少年が活躍する妖怪任侠活劇。奴良(ぬら)リクオは妖怪の総大将「ぬらりひょん」の血を4分の1受け継いでいる少年だ。幼い頃、リクオは祖父が率いる「奴良組」を継いで首領になることを夢見ていたのだが、妖怪が人間たちから嫌われていることを知り、中学生になる頃には普通の人間として生活することを望むようになった。しかしリクオの望みとは裏腹に、彼の周囲では妖怪関係のトラブルが頻発することになる。2010年にテレビアニメ化。
関東最大の任侠妖怪組織「奴良組」。リクオはその3代目若頭であり、次期首領だ。祖父のぬらりひょんは今すぐにでもリクオに跡を継いでもらいたいのだが、それができない理由があった。ぬらりひょんの血を4分の1しか受け継いでいないリクオは、妖怪の姿もまた一日の4分の1の時間しかもたないのだ。また妖怪姿のリクオは妖怪たちを纏めるカリスマ性があるのだが、昼間のリクオは妖怪化していた間の記憶がなかった。リクオは自分の立場に悩みながらも、奴良組の妖怪たちの「奴良組を存続させたい」という想いを知って首領の座を継ぐことを決意。敵対する妖怪や陰陽師との戦いを経て、少しずつ妖怪の長へと成長していく。ストーリーを追うごとにリクオが妖怪たちを従えていく様は圧巻だ。
1984年連載開始、どんな願いも叶えてくれる秘宝を求めて個性豊かなキャラクターたちが冒険を繰り広げるバトルアドベンチャー。地球の山奥で暮らしていた少年・孫悟空の元に、美少女・ブルマが現れた。彼女は7つ集めるとどんな願いも叶えてくれるという秘宝「ドラゴンボール」を探しており、その1つを偶然悟空が持っていたのだ。紆余曲折の末、悟空はブルマのドラゴンボール探しに協力することになり、壮大な冒険が幕を開ける。1986年に初のテレビアニメ化。
日本を代表する漫画作品『ドラゴンボール』は、連載が終了した現在でも根強い人気を誇り、今なお様々なメディアミックスが展開されている名作中の名作だ。主人公の孫悟空は、ブルマとの出会いがきっかけでドラゴンボールの存在を知り、以降様々な形でドラゴンボールに関わることになる。本作は物語当初こそドラゴンボールを探す冒険ものの色が濃かったが、徐々に宇宙最強の戦士に成長していく孫悟空を描いたバトルアクションの色合いが強くなった。数々の人気キャラクターと名シーンを生み出した本作は、どこを取っても見所ばかり。『ワンピース』など、後の名作漫画誕生にも大きな影響を与えたと言われる『ドラゴンボール』に、ぜひ一度触れてみてほしい。
1972年連載開始、変身ヒーローが戦うホラーアクション漫画。主人公の不動明(ふどうあきら)は親友の飛鳥了(あすかりょう)から、デーモン族が復活し人間と敵対するつもりであることを聞かされる。デーモン族に対抗するには、デーモンと合体することで得られる超能力を利用するしかない。明は人間を守るため、デーモンと合体することを決意。デーモンの勇者アモンと合体し、悪魔の身体と人間の心を持つデビルマンとして戦いに身を投じていく。1972年にテレビアニメ化。
アニメでは正統派ヒーロー作品として扱われている『デビルマン』だが、原作の『デビルマン』はホラーアクションということもあってかなりダークで重たい作品だ。内気だが純粋な心を持っていた主人公の明は、人間を守るためにデビルマンになる道を選んだ。そのせいで性格が強気で好戦的なものへと変わってしまう。本作では、そうまでして彼が守ろうとした人間という生き物の醜悪さが描かれており、ただ敵を倒せばいいという物語にはなっていない。次々と明を襲う絶望的な展開と明かされる衝撃的事実、想像もつかないどんでん返しの連続に読者は翻弄されることだろう。仲間たちと敵を倒しハッピーエンドを迎えるというありきたりな物語じゃ物足りない、という人にオススメの作品だ。