内気な女子高校生が片思い相手に巻き起こす、一途なストーキングラブコメディ。主人公・須藤ほのかは、ごく普通の16歳の高校生だ。ほのかが思いを寄せるのは、成績優秀かつ気さくな性格の瀧川大地(たきがわだいち)である。しかし彼とは「住む世界が違う」という理由で声をかけることができず、盗撮したり遠くから見守ったりするだけのストーカーと化していた。ある日、瀧川の家を突き止めようと決心したほのかは、放課後に尾行をするが意外な光景を目にしてしまう。
ほのかが瀧川に好意を寄せるのには理由があった。小学生の頃、濡れ衣を着せられそうになって困っているところを助けられたことがきっかけである。高校生になっても思いを貫く彼女だったが、瀧川に冷たい態度を取られ、昔とは変わってしまったのかと思う。それでも諦めきれないほのかは瀧川を尾行するが、なんと彼が向かったのは「BL喫茶」であった。バイトがバレてしまった瀧川は口止めをするが、秘密を共有する嬉しさからほのかは店に通い詰めるなどヒートアップ。そんな彼女に瀧川は意外な心の内を明かすのであった。小さなきっかけでストーカーになってしまったほのかだが、彼女の純粋さがなせる業であり好感が持てる。晴れて付き合うことになった二人のラブコメ展開にも胸キュンだ。
不思議女子にストーキングされる冴えない系男子の恋を描いた、ほのぼのラブコメディ。主人公・花丸藤乃助(はなまるふじのすけ)は、クラスメイトの「神春(かんばる)」さんこと神春ラララになぜかストーキングされている。本人はバレていないつもりらしいが、待ち伏せされたり盗撮されたり尾行されたりとあからさまな行動の数々に、友人の遠山から「お前のこと好きなんじゃないか?」と言われる。そういわれても彼女の真意が分からず、悩む藤丸であった。
神春さんは不思議な雰囲気があるが、美しく長い黒髪に物静かな性格であり、おまけに巨乳の美少女だ。以前から彼女を意識していた藤丸はまんざらでもないが、真意が掴めず悩んでいた。しかし、興味を持った遠山からなぜストーキングするのかを尋ねられたことをきっかけに、神春さんの行動はピタリと止んでしまう。平穏な日々を送るかと思われた藤丸だったが、付き纏われない寂しさから自分は彼女のことを好きだったことに気づく。意を決した藤丸は神春さんに告白するが、返事はなんと「NO」であった。ストーキングから恋が始まるかと思いきや、生徒会や不良を巻き込んだ予想外のドタバタ劇で物語が進むのが面白い。似たもの同士な二人の恋の行方にほのぼのとした気持ちにさせられる。
人外少女と不幸体質な男子高校生が織りなす、ちょっぴり切ない「つきまとい」ラブストーリー。主人公・しめるは顔良し・性格良し・オカルトな趣味持ちの高校生・甘楽匡(かんらまさし)につきまとっていた。しめるは授業中居眠りしているところを先生に指された彼にこっそり答えを渡したり、交通事故に遭いそうなところを助けたりと至れり尽くせりのストーカー行為を繰り返していたが、一向に気付かれる気配はなかった。何を隠そう、彼女の正体は妖怪「濡女子(ぬれおなご)」であったのだ。
濡女子とは、雨の日にだけ少女の姿で現れ、微笑み返してくれた人間に死ぬまでとり憑き続けるという特徴がある。しめるは甘楽に微笑まれたことがきっかけでとり憑くが、なぜかその特性を「死ぬまで見護る(ストーキング)」と勘違い。彼を救う中で出会った妖怪たちや陰陽師・土御門(つちみかど)ありせといった理解者に囲まれ、しめるは事あるごとに不幸が訪れる彼を全力で守るのであった。しかし、甘楽の体質の元凶が自分にあると知ったしめるは苦悩の末、とある行動に出る。ストーキングとは気付かれそうになるギリギリの行為にスリルがあるが、しめるは妖怪ゆえ姿を見てもらえない。それでも「見護りたい」という一心でつきまとう彼女の純愛に心打たれる作品である。
スポーツ女子をこよなく愛する男子高校生が、アイスホッケー部の監督となりチームを導く青春偏愛スポ根漫画。舞台は北海道。しがない運動音痴の男子高校生・常磐木松明(ときわぎたいまつ)は、花籠(はなかご)女学園のアイスホッケー部に夢中であった。特にエースの薔薇紅羽(そうびくれは)にご執心で、彼女を「嫁」呼ばわりするほどである。ある日常磐木は、学園に忍び込んだところを見つかってしまいつまみ出されるが、紅羽に向かって自らを監督にして欲しいと申し出る。
常磐木が監督を志望するのには、偏愛からくる情熱だけでなく明確な理由があった。現監督のスパルタ指導が、元フィギュアスケート選手の梅ヶ枝風花(うめがえふうか)を潰していることを見抜いていたからである。5000通にも及ぶアドバイスのメールが的確であると気付いた紅羽は、風花のスケーティング技術を見抜いたことを評価し彼をアイスホッケー部の「仮監督」として就任させる。常磐木は正式な監督を目指して、ストーキングで培った観察眼を武器に強豪校を撃破すべくチームを率いてゆく。運動部系の女子に異常なまでの執着を示す常磐木の情熱が、「指導」となり昇華していくさまが面白い。彼の行動は一歩間違えれば犯罪であるが、一方で論理的な戦術や人間模様の描写も丁寧で、スポ根漫画の要素も織り交ぜられている。
暗殺者の少年と、彼をストーキングする少女が織りなす、スプラッタ・ラブストーリー。辻侘救(たすく)は、見た目こそ平凡な少年だが、実は世に蔓延る悪人を始末する「世界お掃除機構」に属する暗殺者だ。侘救は中学の卒業式で陰湿ないじめを繰り返していた同級生を殺害するが、その光景を同級生・白雪厘子(りんこ)に目撃されてしまう。口封じのために彼女を手にかけようとするが、厘子は殺害を気にする素振りを見せず侘救の第二ボタンを所望するのであった。
厘子いわく、侘救が殺人を犯していたことを3年間見続けていたとのこと。ストーキングを受けていたことから侘救は、彼女を殺すかどうかを決めるべくデートに誘うことに。しかし、彼の好物を入れた弁当を作ったり家まで送ってくれたりと献身的な姿に絆され、手を出すことが出来なかった。実は、厘子は幼少時に母親から虐待を受けていたが、侘救の「お仕事」により救われた過去を持つことが判明。同じ高校に入学した二人は、学校内に潜む悪を成敗すべくさまざまな事件に首を突っ込んでゆく。本作は、暗殺者とストーカー少女のアンバランスな恋人未満の関係がコメディタッチで綴られている。しかし、刺激的な殺しの描写も多く、スプラッタアクションとしても楽しめること間違いなしだ。