ピュアな女子大学生とイケメン社長が出会い、愛を育んでいく恋愛漫画。白城(しらぎ)リサは男子から「リサ様」と呼ばれ、高嶺の花扱いされている女子大学生。しかし、実は田舎育ちで恋愛経験ゼロだった。そんなリサの初彼氏となったのは、しつこいナンパに困っていたところをスマートに助けてくれたFUKAMIホールディングスの社長・深見宏斗(ふかみひろと)。健気なリサのことを深見は溺愛し、様々な困難を乗り越える度、二人の愛情や絆はより一層強くなっていく。2019年7月TVドラマ化。
本作は朱神宝の代表作ともいえる人気作。主人公のリサと深見が出会って早々に交際をスタートさせるという、スピーディーな展開が心地よい。だが、二人の物語は付き合い始めてからが本番。二人の本当の出会いについても描かれ、深見の想いの深さが明らかになる。リサは深見を完璧な人間だと思い、自分が恋人でよいのかと不安を感じるようになるが、深見も彼女が思っているほど完璧な訳ではない。ライバルの阿久津孝晃(あくつたかあき)に対して平常心を保てなくなるなど、独占欲もかなり強い。彼女の前では理性が利かず、セクシーなシーンも満載。恋愛初心者のリサが、ハイスペックな彼氏の深見に溺愛され、幸せの階段を駆け上がっていくシンデレララブストーリーだ。
『コーヒー&バニラ』のスピンオフ作品で、リサと同郷で親友の芦屋(あしや)なつきと、深見のライバルである阿久津孝晃の二人の恋路をメインに描くラブコメディ。なつきは、親友のリサのような素敵な恋に憧れを抱いている女の子。しかし、ひょんなことからバイト先のレストランの経営者・阿久津とセフレのような関係になってしまう。互いに意識はしているものの、意地の張り合いで本音が聞きだせず、前に進めない。二人のもどかしくも切ない恋の駆け引きが展開されていく。
スピンオフ作品である本作は、本編である『コーヒー&バニラ』よりもほろ苦く、甘さ控えめのラブストーリー。主人公のなつきの恋のお相手は、発展を続ける阿久津コーポレーションの社長の阿久津。社会的地位は高いが女癖が悪い男だ。経営者と雇用者の立場を超えて体を繋げ、互いに特別な感情を抱くものの、心の距離はなかなか縮まらない。他の女性の存在に嫉妬し、反発するなつきを可愛いと思いながらも、阿久津は意地の悪い対応ばかりしてしまう。素直になれない似た者同士の二人の恋は、ハッピーエンドへと辿りつけるのか。もどかしさも感じつつ、本編のカップルとはまた一味違う魅力を持つなつき&阿久津の恋の行方を見守りたくなることだろう。
ピュアな高校生男女の恋心を描いた恋愛漫画。主人公の桐生(きりゅう)は、周囲からは女子に不自由しない遊び人だと思われているイケメンの高校生。しかし、実は適当に話を合わせているだけで、心を寄せているのは、同じクラスで後ろの席の葉月(はづき)だけ。他の女子の前では格好つけられるのに、何故か彼女の前では空回りしてしまう。ある日、席替えを行うことになるが、葉月は今と同じ席を選び、桐生は彼女も自分と同じ気持ちなのではと希望を抱くのだった。
本作では、主人公の男子目線で、特別な思いを寄せている相手・葉月と交流を深めていく様子が描かれている。主人公の桐生は数多くの女子から毎日のように誘われるモテ男子。彼の心を射止めている後ろの席の女子の葉月は、大人しくて心優しく、他の女子とは異なるほんわかとした雰囲気を醸し出している女の子だ。素直に人を褒めることができる純粋で笑顔が似合う葉月は、桐生にとって太陽のような存在。席替えをきっかけに、物語が大きく動いていく。好きな葉月の前では上手く喋れないピュアな桐生、そしてそんな彼の心を無意識に掴む葉月の魅力が作中にはぎっしりと詰まっている。初々しさ満開の可愛らしい二人のやり取りに、読めば心が温かくなる一冊だ。
表題作を含め、4編の恋愛漫画が収録されている短編集。表題作の『隣人は蝶』は、モテ系女子大学生が年上の大人の男性に惹かれていく恋愛漫画。主人公の三井蝶花(みついちょうか)の携帯には誘いの着信が絶えず、多数の男性から言い寄られる今の状態を心底楽しんでいた。そんなある日、ひょんなことから隣人男性・高月(こうづき)の部屋で一晩過ごすことに。彼が30代だと判明した瞬間から恋愛対象から外した蝶花だったが、彼の仕事場での様子を見て大人の魅力を感じ、気持ちに変化が生じるのだった。
表題作『隣人は蝶』の主人公の女子大学生は、「蝶花」という名前の通り、蝶のように自由に飛び回っている女の子。様々な男性から言い寄られることが快感だったが、それは裏を返せば誰に対しても特別な感情が持てず、本物の恋にはまだ巡り合えていないということ。そんな蝶花がようやく出会えた本命の相手は、隣人の社会人男性の高月。彼は33歳で、20歳の蝶花とは一回り以上の年齢差。だが、高月は会社では後輩から頼られる社員で、仕事をきっちりこなす大人の魅力に満ちた男性だ。大学生活を満喫していた遊びたい盛りの蝶花は、そんな高月の姿にときめき、年齢差も気にならないほど惹かれていく。短編でありながらメリハリの利いた展開で、年齢差のある恋愛の魅力が存分に味わえる。
モテ系女子高校生とアラサー男が繰り広げる年齢差のある恋愛を描いたラブコメディ。女の園である女子高校に通う主人公の由香は、クラスの中で一目置かれている存在。ある日、学校の前で雑誌編集者の男性から雑誌の取材として写真撮影をお願いされたことが、クラスで話題となった。しかし、その男性は雑誌編集者ではなく、父親の知り合いで、篠原という探偵業者であることが判明。いくらイケメンでもアラサーなんてオジサンだと思っていた由香だったが、大人の魅力に少しずつ惹かれていく。
本作は朱神宝の初連載作品。ヒロインの由香は10代の女子高校生だが、恋のお相手の篠原はアラサーの怪しい探偵。初対面の時は、雑誌編集記者と偽っていたため好印象だったが、本当の職業が探偵であることを知り、途端に怪しい男へと評価はガタ落ち。由香は隙を見て情報を引き出そうとするが、彼の方が一枚上手でとても敵わない。一人の女性として見てくれず、子供扱いしてくることに腹を立てるが、様々な側面を知る内に次第に気持ちに変化が芽生えるようになる。由香にとってアラサー男性の篠原は「オジサン」だが、だからこそ同世代の男子には無い大人の魅力もある。背伸びしたい年頃の女の子と、謎めいた探偵業を営むアラサー男性が織り成すコミカルな恋愛模様が楽しめる。