セクシー田中さん

セクシー田中さん

『砂時計』『Piece』などの代表作を持つ芦原妃名子が『Bread&Butter』の連載中に開始した長編連載作。舞台は現代の東京。婚活に励む23歳の派遣OLの倉橋朱里は、経理部の40歳独身OLで変人扱いされている田中京子の裏の顔を知り、すっかりファンになってしまう。昼は経理部のOL、夜は妖艶なベリーダンサーという田中さんと周囲の人々の夢と現実、恋を描いたラブコメディ。小学館「姉系プチコミック」2017年9月号から2024年1月号まで連載。作者死去により絶筆となった。2018年、第9回ananマンガ大賞を受賞。2022年、第1回「CREA夜ふかしマンガ大賞」にて9位にランクイン。木南晴夏主演でテレビドラマ化。2023年10月22日~2023年12月24日まで日本テレビ系にて放送された。

正式名称
セクシー田中さん
ふりがな
せくしーたなかさん
作者
ジャンル
ラブコメ
レーベル
フラワーコミックス α(小学館)
巻数
既刊7巻
関連商品
Amazon 楽天 小学館eコミックストア

田中さんの秘密を知り、ファンになる朱里

倉橋朱里は、ごく普通の堅実な結婚相手を探す23歳の派遣OL。そんな朱里が最近気になっているのが、同僚の田中京子のことだった。田中さんは40歳の独身女性。「経理部のAI」と評されるほど優秀だが、ものすごく地味で極度のコミュ症のため、周囲から変人扱いされている。その田中さんの体のラインが、すごくキレイに変化しているのだ。ある日、ペルシャ料理店「サバラン」でベリーダンスショーを見ていた朱里は、田中さんの変化の原因を知る。美しくセクシーなそのダンサーは田中さんだったのだ。恥ずかしいから誰にも言わないでと懇願する田中さん。秘密を知った朱里は彼女に憧れ、ストーカーまがいの大ファンになる。

年齢差がある二人の女性の友情を描く

田中さんは、周囲から疎外され、勉強・仕事に打ち込むあまり、いつの間にか老婆のような猫背になっていた。そんな田中さんを変えたのは、ベリーダンスであり、ペルシャ料理店「サバラン」のマスター、三好の「キレイだ」という言葉だった。田中さんは自分の居場所を見つけ、曲がった背筋をピンと伸ばした。さらに朱里との出会いで、初めて女友達と、恋バナや化粧、人生相談といった話ができるようになった。一方、若くて可愛らしい朱里は、周囲から見ると「勝ち組」のようだが、本人は、若さや外見しか自分の価値はないと焦り、不幸にならないためのリスクヘッジとして婚活に励んでいた。そんなとき、好きなことに一途にのめり込む田中さんと出会い、自分の生き方を見つめ直すきっかけを得る。年齢差がありタイプもまったく違う女性同士の友情と交流が、本作の魅力の一つである。

田中さんのブレない姿勢が周囲に影響を与える

朱里の合コン相手だった、都銀勤務で36歳の笙野浩介は、ひょんなことから田中さんとも知り合いになる。笙野は、朱里を「男に媚(こび)を売る遊び人」と蔑み、田中さんのことを「おばさん」と呼ぶ、失礼の天才である。「サバラン」で田中さんのダンスを初めて見た笙野は「いい歳をして痛々しい」と痛烈な言葉を吐く。その後、笙野は田中さんへの態度を反省するが、「なぜふしだらな格好で踊るベリーダンスなのか」と疑問を呈する。それに対する田中さんの答えは「ベリーダンスには正解といえる形がないため、自分で正解を選び取るしかない」「自分の頭で考えて自分の足を地にしっかりつけて生きたかったから」というものだった。それを聞いた笙野は、次第に田中さんを尊敬するようになり、その後紆余(うよ)曲折を経て、ベリーダンスショーで使用する打楽器「ダラブッカ」を習い始める。本作は、背筋を真っ直ぐに伸ばしたブレない田中さんが周囲を変えていく物語でもある。

登場人物・キャラクター

田中 京子 (たなか きょうこ)

倉橋朱里と同じ会社に勤務する、40歳の独身OL。TOEIC900点超え、税理士の資格を持ち「経理部のAI」と評されるほど優秀な人物。黒いロングヘアーを後ろで一つにくくり、メガネをかけている。背が高く、手足が長いのも特徴。ファンシーなマンションに住み、「真壁くん」という名のハムスターを飼っている。会社では地味で誰とも話をしないため、変人扱いされているが、夜はペルシャ料理店「サバラン」のショーで踊る、Saliという名の妖艶なベリーダンサーに変身する。ベリーダンス教室に通っており、将来は独立したダンサーになるため、たゆまぬ努力と節約を行う。料理店「サバラン」のマスターで既婚者である三好に恋している。

倉橋 朱里 (くらはし あかり)

田中京子と同じ会社に務める、23歳の派遣OL。ショートボブが特徴の可愛らしい外見の女性。歳を取ればちやほやされなくなると考えており、ごく普通で堅実な相手を探して婚活中。大学時代からの腐れ縁でつながる男友達の存在や、陰でビッチ呼ばわりされる合コンへの参加などで、モヤモヤした日々を過ごす。経理部の田中さんの体の変化にいち早く気づき、ペルシャ料理店「サバラン」でベリーダンスを踊る田中さんを偶然発見する。それ以来、田中さんの大ファンになる。自身もベリーダンス教室に通うが、踊りは致命的に下手。

書誌情報

セクシー田中さん 7巻 小学館〈フラワーコミックス α〉

第1巻

(2018-04-10発行、 978-4098700615)

第2巻

(2019-08-09発行、 978-4098705603)

第3巻

(2020-10-09発行、 978-4098711895)

第4巻

(2021-08-10発行、 978-4098714315)

第5巻

(2022-04-08発行、 978-4098716500)

第6巻

(2023-02-09発行、 978-4098720200)

第7巻

(2023-10-10発行、 978-4098724512)

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