あらすじ
両面宿儺
杉沢第三高校に通う虎杖悠仁は並外れた運動能力を持ちながら、虎杖倭助の見舞いのために5時までには帰宅したいという理由から、自由度の高い心霊現象研究会、通称「オカ研」に所属していた。そんなある日、いつもどおり見舞いに訪れた悠仁に、倭助は人を助けろという遺言を遺して亡くなる。悠仁が悲しみをこらえながら病院で手続きをしていると、伏黒恵という謎の少年が現れ、悠仁が持っている呪物を渡せと言い出す。恵は、悠仁が拾った呪物は学校に吹き溜まる呪いの魔除けになると同時に、邪悪な鬼神「両面宿儺」の指であり、「特級呪物」と呼ばれている危険物だと説明する。しかし悠仁が拾った宿儺の指は、学校に残ったままのオカ研メンバーたちが、すでに封印の札を剝がそうとしていた。恵と悠仁は学校へ急行するが、封印の解かれた呪物は呪いを発現させ、悠仁の先輩たちはすでに襲われていた。悠仁と恵は巨大な呪いの化物に苦戦し、悠仁の物理攻撃は決定打にはならず、彼は呪いを祓(はら)うための呪力を得るために宿儺の指を口に含んで一気に飲み込む。これにより、猛毒で死ぬか体を乗っ取られるかという状態に陥りながら、悠仁は呪物を抑え込むことに成功。呪力を得た悠仁は敵を一蹴し万事解決かと思われたが、恵は呪いと一体化した悠仁を殺すと言い出す。呪術規定に従えば、人間ではなくなった悠仁は祓いの対象なのだ。そこに五条悟が現れ、悠仁が宿儺をコントロールしていることに気づいた五条は、彼を拘束したうえで二つの選択肢を提示する。それは今すぐ死刑になるか、宿儺をすべて取り込んでから殺されるか、という提案だった。悠仁は亡くなった倭助の願いを叶(かな)えるためにも、すべての宿儺の指を見つけて取り込むことを決意。こうして悠仁は、地元を離れて東京にある呪術高専に転校し、修行を重ねたうえで残りの宿儺の指を探すこととなる。だがそれは、呪いや呪物を巡る壮大な戦いの幕開けを意味していた。
呪胎戴天
虎杖悠仁、伏黒恵、釘崎野薔薇の三人が呪術高専に集結してからしばらく経ったある日、西東京市にある少年院の上空に謎の呪霊の呪胎が出現するという緊急事態が発生。この呪胎は変態を遂げれば、「特級呪霊」と呼ばれている危険な呪霊に発展する可能性があった。悠仁たち三人は少年院に残った生存者を助けるために派遣されるが、内部に入った途端に無慈悲な現実に直面する。さらには完全変態を遂げていた特級呪霊と対峙(たいじ)した瞬間、野薔薇が消えたことに気づいた悠仁は、恵に彼女の救出を任せて一人で特級呪霊と戦うことになる。しかし、攻撃を繰り返してもまったく歯が立たず、死を直感した悠仁は肉体の主導権を両面宿儺に渡す。目覚めた宿儺は特級呪霊を瞬殺するが、今度は宿儺が恵の命を狙うようになり、悠仁の肉体から心臓を抜き取って人質にする。このままでは悠仁の意識が戻ったとしてもすぐに死んでしまうと考える恵は必死に戦うが、次々と式神を破壊されてしまい、宿儺との格の違いを痛感する。激闘の末に悠仁は宿儺の支配に抵抗し続けながらも、恵の眼前で宿儺と共に命を落とすのだった。悠仁の死を悟った五条悟は、呪術高専の上層部が悠仁に特級呪霊をぶつけることで死に追いやったのではないかと推測し、生徒を守れなかったことの悔しさと行き場のない怒りを嚙み締める。悟は死んだ悠仁の体を医師の家入硝子に預け、宿儺の器でもある彼の肉体の調査を依頼する。一方、悠仁の死に沈み込む恵と野薔薇は、秋に開催される交流戦に向けてやって来た2年生の先輩たちと対面する。
漏瑚急襲
死亡した虎杖悠仁は両面宿儺と契約を結んだことで蘇(よみがえ)り、自分の生存を仲間に知らせぬままで秋の呪術高専の交流会に向けて、五条悟の指導を受けて特訓を始めていた。2年生のメンバーと対面した伏黒恵と釘崎野薔薇も、交流戦に向けて特訓をしていた。一方、かつて「百鬼夜行」という最悪の事件を起こした夏油傑が、人間の殲滅(せんめつ)を目論む漏瑚をはじめとする強力な呪霊たちと手を組み、暗躍を始めていた。傑たちは悟を封印するという計画を立て、実行日の10月31日に向けて準備を始める。悠仁に映画鑑賞をさせて精神の修行を命じていた悟は、移動中に漏瑚の奇襲を受ける。しかし悟には攻撃を重ねても決して当たることなく、漏瑚は最強の呪術師と呼ばれている彼の強さを目の当たりにする。一瞬で呪術高専に向かい、修行中だった悠仁を連れて戻って来るほどの余裕を見せた悟に、漏瑚は怒りを爆発させて、ある手段に出る。自らの戦いを悠仁に見学させながら、悟は自分の術を展開して敵を圧倒するのだった。一方、呪術高専で交流会に向けた特訓の合間に、飲み物を買いに来ていた野薔薇と恵の前には呪術高専、京都校の禪院真依と東堂葵が現れ、二人にケンカを吹っかけてくる。葵は恵を腕っぷしで押していき、野薔薇は真依の言葉に嫌悪し彼女を挑発する。
幼魚と逆罰
川崎市の映画館で高校生の変死体が発見されるという怪事件を受け、虎杖悠仁は七海建人と共に修行を兼ねた調査を始めていた。現場に乗り込んだ悠仁と健人は2匹の呪霊に遭遇し戦うが、それがほかの呪霊によって呪霊化された改造人間であることが判明する。調査の結果、この事件の犯人である人型特級呪霊の真人と、現場を見ていた関係者と思われる人間、吉野順平の存在が明らかとなる。順平は学校で陰湿ないじめを繰り返す生徒と映画館で遭遇し、その生徒たちを怪死させた真人に接触していた。後日、悠仁に順平の調査を任せた健人は真人を見つけ出し、一対一のバトルを始める。真人に追い詰められた健人は、呪力の制限を解除して十劃呪法・瓦落瓦落で地下水脈の壁を破壊。瓦礫(がれき)の雨で真人を押しつぶし、その場から抜け出すも負傷してしまう。一方、悠仁は担任教師と話していた順平に接触し、映画の話で意気投合したことでなかよくなる。吉野凪も交えた交流を通して悠仁に友情を感じた順平は、自分をいじめてきた生徒への復讐をやめようと決心しかけるも、次の日には何者かによって凪が殺されてしまう。絶望と困惑の中で、真人との会話を通していじめグループのリーダーである伊藤こそが犯人と思い込んだ順平は学校を奇襲し、真人から学んだ呪術を用いて伊藤を殺そうとする。その場に止めに入った悠仁の拳を交えた必死の説得を受け、戦いを中断した順平は凪が怪死したことを悠仁に話す。順平は改心するも、背後から真人が現れて彼を改造人間に変えてしまう。真人に心酔していた順平はうまく利用され、最初から悠仁と戦うように仕向けられていたのだ。順平の死に激昂した悠仁は真人に明確な殺意を抱き、その場に駆けつけた健人と合流して激闘を繰り広げる。真人は体内に隠していた改造人間を繰り出して悠仁の精神を揺さぶるも、彼はそれを乗り越えて反撃に出る。しかし戦いの途中で、真人の作り出した球体型の領域に健人が閉じ込められてしまう。
呪術高専交流会・団体戦
それぞれ特訓の末に迎えた呪術高専交流会当日、東京校1年の伏黒恵と釘崎野薔薇、そして2年の禪院真希、狗巻棘、パンダが集合し、そこに東堂葵をはじめとする京都校の面々も到着していた。一方、五条悟は呪霊や呪詛師たちと内通している人間が呪術高専内にいると推測し、京都校側の調査を庵歌姫に依頼していた。悟の提案を受けてサプライズを仕掛けることになった虎杖悠仁は、さっそく東京校と京都校が一触即発な空気の中、悟が運んだ箱の中から恵たちの前に現れる。サプライズは失敗に終わり微妙な空気が流れる中、交流会初日の団体戦が開始された。この団体戦は、エリア内に放たれた呪霊を多く倒したチームが勝ちで、敵チームの妨害も許可されているというルールだった。ほぼ飛び入り参加状態の悠仁は、開始直後から東京校メンバーに襲いかかってきた京都校最強の3年生、葵の足止めを担当することになる。好戦的な葵のパワーに圧倒される悠仁だが、彼から唐突に女性の趣味を尋ねられる。最初こそ一方的に悠仁を痛めつけていた葵は、戦いの中で彼を気に入り親友と認める。さらに葵は、悠仁の技「逕庭拳」が特級クラスの強力な呪霊には通じないと指摘しながら、素直に助言を受ける彼を全力で相手しながら導いていく。一方、加茂憲紀をはじめとする京都校メンバーは、楽巌寺嘉伸の命令により、両面宿儺の器である悠仁の抹殺を目論んでいた。葵と行動する悠仁に襲いかかる京都校だったが、葵と東京校の妨害により失敗に終わる。そこから東京校と京都校による呪術のぶつかり合いが始まり、野薔薇パンダと共に、上空から索敵中だった西宮桃を挑発し地上に誘い出そうとする。だが、野薔薇の横にいたパンダに対して究極メカ丸が奇襲を仕掛けてくる。
黒閃
各所で勝敗が見え始めた呪術高専交流会1日目の団体戦の途中で、伏黒恵は加茂家の嫡男、加茂憲紀と対峙していた。自分の血液をあやつる「赤血操術」を使う憲紀に、恵は式神と体術で対抗する。同じ頃、狗巻棘は言霊の術式である「呪言」を活かして戦いを有利に進めていく。だが、森の中で棘が感じた不穏な気配に振り返ると、そこには外部から侵入した謎の呪霊が存在していた。それは真人たちと手を組み、交流戦に乱入して来た植物の特級呪霊、花御だった。さらには傑たちの手下によって結界術「帳」が張られ、恵と棘と憲紀は急遽(きゅうきょ)戦いを中止して花御の攻撃を防ぎながら、帳の外に向かって走り出す。追い詰められる三人だったがそこに禪院真希が参戦し、恵との連携で攻め立てる。しかしそれでもなお、特級呪霊である花御の圧倒的な実力を前に窮地に立たされてしまう。恵は負傷して真希と共に戦線離脱するが、花御討伐を任された虎杖悠仁と東堂葵は、術式を解禁したり黒閃を決めることで、連携プレー反撃していく。葵のトリッキーな術式で敵を攪乱(かくらん)しながら、二人で花御を翻弄していき、五条悟の乱入もあって圧倒的な強さで瀕死(ひんし)に追い込む。撤退した花御と合流した真人は、両面宿儺の指と特級呪物「呪胎九相図1番~3番」を盗み出して呪術高専を離れる。次の日、呪術高専の教師たちは真人らの目的を生徒たちに明らかにできぬまま、交流会中止を検討していたが、生徒たちの意思を汲(く)んで続行することになる。悟が作ったくじ引きの結果、交流会2日目はなぜか呪術に関係ない野球勝負で決着をつけることになった。
起首雷同
呪術高専交流会終了後、三人の男が共通の前兆のあとに、呪霊に刺殺されるという怪事件が発生。虎杖悠仁、伏黒恵、釘崎野薔薇の三人は補助監督に連れられてさいたま市に訪れるが、事件現場はバラバラなうえに被害者の共通点もわからぬままだった。被害者たちは同じ中学校に在籍していたことが判明し、さっそく中学校に調査に向かうが、現地に着いてみると、その中学校は恵の母校でもあった。恵の意外な中学生時代が明らかになる中、事件の被害者たちはかつて、自殺の名所である心霊スポット「八十八橋」でバンジージャンプをして遊び、橋の下で倒れていたという共通点が判明。さらに恵の同級生の話から、彼の姉である伏黒津美紀も事件に巻き込まれ、彼女がこん睡状態になった原因もその時に受けた呪いである可能性が高くなった。焦りを隠し切れない恵は、呪術高専に津美紀の護衛を要請する。八十八橋で作った結界で息を潜め、マーキングしていた人間をその内側から呪う呪霊が今回の事件を起こしたと推測した恵たちは、深夜に八十八橋に潜入し、呪霊が作った結界に入り込む。だがそれと同時に、夏油傑たちによって蘇った呪胎九相図の壊相と血塗が現れ、悠仁たちと鉢合わせになる。壊相たちの目的は、この事件の呪霊が取り込んだ両面宿儺の指を回収することであった。野薔薇は結界外に連れ去られて壊相と対峙していたが、そこに血塗と高速で追って来た悠仁も加わる。二人とはぐれたままの恵は、結界内で八十八橋の特級呪霊と交戦することとなる。以前に少年院で遭遇した特級呪霊よりも強い敵に一人で苦戦する恵は、津美紀との過去や、最近の修行中に五条悟に指摘されたことを思い出す。一方、壊相と血塗に反撃する悠仁と野薔薇だったが、2匹の毒のような血を浴びたことで、呪術により体内からの腐食が始まってしまう。窮地に立たされたかのように見えた野薔薇は、即座に自らの腕に釘を刺し、「共鳴り」を発動して自分と同様の苦痛を壊相たちに食らわせる。
懐玉と玉折
2006年、まだ五条悟と夏油傑が学生だった頃の呪術高専。強力な結界術を持つ呪術界の要、天元に、新たな器である「星漿体」となった人間と、同化する時がせまっていた。2年生になった悟と傑は、星漿体として選ばれた天内理子が天元と同化する時まで、彼女を護衛することとなる。悟たちは理子を狙う者たちを撃退し、時には理子のために沖縄や学校に行ったりしながら同化の日を迎えるが、金目的で理子の命を狙う伏黒甚爾が侵入して来る。彼は呪力がない代わりに凶悪な体術を使いこなす「術師殺し」で、宗教団体「盤星教」の依頼を受け、理子と呪術師たちの殺害を目論んでいた。足止めに来た悟は甚爾と戦うが、激戦の末に敗北し倒れてしまう。一方、理子を連れた傑は天元の近くに到着していたが、理子がまだふつうの少女として生きたいという本音を吐露したところで、内部に侵入していた甚爾が彼女を銃殺。傑のことも打ち負かした甚爾は、理子の遺体を盤星教に引き渡す。任務は失敗と思われたが、反転術式で戻って来た悟が甚爾と再戦する。死闘の末に悟が才能を開花させ、逆転された甚爾は過去や家族のことを思い出しながら命を落とす。理子の遺体を引き取りに向かうも、盤星教信者たちが笑顔で拍手する異様な光景に囲まれた悟たちは、複雑な感情を抱えながら呪術高専に帰還するのだった。この事件から1年後、3年生になった悟と傑は特級呪術師にまで成長していた。悟は最強の呪術師として名を馳せ、実力をさらに伸ばして単独の任務も増えていた。一方の傑は、理子を護衛した去年の事件以降、呪術師は非術師を守るためにあるという理念に歪(ひず)みが生じていた。夏になると九十九由基が訪れ、傑は彼女とのやり取りをきっかけに、非術師を排除すべきという考えを心の底に抱えるようになる。その後は傑も一人でいる時間が増え、後輩の死を体験したことなどから、呪術師のあり方に疑問を覚えるようになる。さらに秋の任務で訪れた田舎では、呪術師の子供が村人たちに迫害を受け、幽閉されているのを目の当たりにする。村人たちに強い怒りを覚えた傑は、ついに非術師の排除に乗り出し、村人を大量虐殺する「百鬼夜行」を起こした末に呪詛師となった。
宵祭り
過去の夢から覚めた五条悟は、彼に呼び出されていた虎杖悠仁たちに新たな任務を伝える。庵歌姫の調査の末に、呪術高専、京都校の2年生である究極メカ丸こと「与幸吉」が、夏油傑一派の内通者だったことが判明したのだ。悠仁たちは幸吉の居場所を調査するが、すでに幸吉は傑、真人と再会していた。幸吉は生まれつき欠損して不自由な体を持ち、メカ丸を傀儡として遠隔操作することで行動していた。そんな幸吉は傑たちに協力する代わりに、真人の能力で自分の体を治してもらうという契約を交わしていた。しかし、幸吉が示していた京都校のメンバーは襲わないという条件を真人たちが破ったのを受け、幸吉は内通者を辞退することを告げたうえで真人に体を治させ、自由に動く肢体を手に入れる。そのまま交渉は決裂し、幸吉は巨大化したメカ丸である装甲傀儡と、ある秘策で真人を追い詰めて撃墜する。勝利を確信した幸吉は死地を脱して友人たちに笑顔で再会することを願うが、次の瞬間には倒したはずの真人が装甲傀儡の中に侵入して来る。
渋谷事変-開門-
2018年10月31日、夏油傑と呪霊たちは以前より企てていた五条悟を封印するための計画「渋谷事変」を実行に移す。特殊な結界術「帳」を、渋谷駅を囲う形で張り巡らせたことでそこにいた一般人も閉じ込められ、呪術師たちは対応に追われていた。渋谷駅地下に単独で向かった悟は、閉じ込められた一般人と呪霊たちに遭遇する。悟が単独で任務をこなそうとする一方で、1級呪術師の七海建人、禪院直毘人、日下部篤也、冥冥が率いる形で複数班に分かれ、昇級査定中でもある虎杖悠仁たちも、次々と渋谷に派遣される。悟は地下に封じられ混乱する一般人を盾に取られながらも戦い続け、逃げ場のない惨烈な状況でも敵を圧倒して花御を撃破し、傑によく似た謎の人物、偽夏油と対峙。悟は死んだはずの傑が生きていたことに驚きながらも、「六眼」の力でそれが本物の傑ではないことを見抜く。だが、敵の手には悟を封印するための決定打があり、強力な結界「獄門彊」の中に悟が封印されてしまう。悟が抵抗を見せたことで封印を動かせないまま、漏瑚たちは誰が悠仁を狙うかで意見が分かれ、彼を巡る競争を始める。一方の悠仁は冥冥の班に入り、真人を追って明治神宮駅構内に入るが、すでに真人は電車で移動していた。そんな中で究極メカ丸が生前に残していた端末型の傀儡が起動し、悠仁たちに悟が封印されたことを伝える。悠仁たちはメカ丸から情報を得ながら、悟を奪還すべく渋谷駅の地下5階を目指す。その中で呪術高専を阻害する帳を解除しようとする悠仁は、帳を守る呪詛師や呪霊を倒していく。だが、呪詛師の降霊が不測の事態に陥り、かつて悟をも苦しめた伏黒甚爾が降霊術を通して蘇り、事態はさらに混迷を深めていく。一方、地下ホームの偽夏油に遭遇した冥冥は、弟の憂憂と共に彼の繰り出した呪霊を撃破し、再び偽夏油にせまる。後輩の補助監督たちが次々と被害に遭っているのを目の当たりにした健人は、今までにないほどの怒りを見せながら、重面春太と交戦する釘崎野薔薇のもとに駆けつける。
渋谷事変-霹靂-
呪術高専が攻勢に出る中、虎杖悠仁は脹相に遭遇し、究極メカ丸の指示を受けながら激闘を繰り広げる。メカ丸の作戦によって一度は脹相を追い詰めた悠仁だったが、不意打ちを受け重傷を負って倒れてしまう。止めを刺そうとする脹相だったが、今までなかったはずの記憶が脳裏に蘇ったことで困惑し、悠仁に何もしないままでその場を離れる。一方、禪院直毘人、禪院真希、七海健人の三人は、恐るべき呪霊へと変態を遂げた陀艮に遭遇していた。能力未知数の陀艮は、その際限なき呪力で次々と猛攻を仕掛け、直毘人たちは連携しながら対抗する。一方、夏油傑を慕う呪詛師たちは、偽夏油に奪われたままの傑の遺体を取り戻すために行動していた。彼らは気を失ったままの悠仁に両面宿儺の指を取り込ませ、悠仁の中で眠っていた宿儺を目覚めさせる。一方、陀艮に苦戦していた直毘人たちは、伏黒恵の参戦と降霊術で蘇った伏黒甚爾の乱入により勝利し、敵の領域から地上に生還する。だが、渋谷駅に現れた漏瑚の炎を受けた直毘人、真希、健人が負傷し、残った恵は甚爾が自分の実父であることに気づかぬまま激闘を繰り広げる。最終的に甚爾が自死したことでその場から離れようとする恵は、重面春太の不意打ちを食らって重傷を負う。一方、覚醒した宿儺は協力を求めてくる漏瑚と一対一になり、周囲を容赦なく巻き込むほどの激闘を繰り広げていた。一時的に自由を得た宿儺の暴虐で渋谷の街に甚大な被害が及ぶ中、重傷を負ったままの恵は、最後の手段に打って出る。恵が相打ち覚悟で呼び寄せたのは、最強の式神、魔虚羅だった。恵が調伏の儀を始めたことに気づいた宿儺は気配を頼りに駆けつけ、彼の命を取り留めたうえで制御不能状態の魔虚羅を止めようとする。
渋谷事変-変身-
渋谷で目覚めた虎杖悠仁は、灰燼(かいじん)と化した街を目にしながら、両面宿儺による大量殺人を思い出して強いショックを受ける。激しい罪悪感を覚えながらもせめて多くの人を助け出そうと単独行動する悠仁だったが、負傷した七海建人が真人に殺される光景を目の当たりにする。激しい怒りの中で悠仁は真人に戦いを挑むが、真人はひそかに自らの分身を作り出し、その分身は別の場所で釘崎野薔薇と対峙していた。真人の力は野薔薇の呪術と相性が悪く、彼女は目の前にいる真人が分身と気づかぬままで猛攻を仕掛けていく。だが、真人を追って悠仁が野薔薇のもとへ駆けつけた瞬間、真人は分身と入れ替わって野薔薇に不意打ちを食らわせる。顔に重傷を負って倒れた野薔薇の姿を見て、自らの罪の重さに悠仁の精神が限界を超えた時、親友の危機を察知した東堂葵が駆けつける。葵の言葉を受け、悠仁は健人が死ぬ間際に言った言葉を思い出し、士気を取り戻す。交流会の時のように再び葵とタッグを組み、次々と真人を追い詰めるが、真人は自らの魂のイメージを極めて新たな呪霊へと変貌する。葵は片手を失いながらも最後まで悠仁をサポートし、葵が作り出した一瞬のスキを突いた悠仁は真人に勝利。だが、そこに現れた偽夏油によって真人が捕えられ、彼は真人を取り込んで自らの呪霊操術の糧とする。究極メカ丸の仇を打とうと呪術高専、京都校の面々も駆けつけ、渋谷事変の最終局面に呪術師たちが集い、悠仁たちの前で偽夏油は自らの計画について語り出す。それを聞いた脹相は、夏油傑の遺体に寄生し呪霊たちと暗躍を続けていた偽夏油の正体に気づく。
死滅回游
渋谷事変によって東京を中心とする関東地方は大混乱に陥り、政府要人すらも行方不明になるという異常事態が発生。渋谷を蝕んだ多くの呪霊が倒され偽夏油たちが去ったあとも、その爪痕は街のあちこちに残り続けていた。さらにはこの混乱を受け、封印されたままの五条悟が行方不明となったことで、それまで彼が保持し続けた呪術界の均衡が崩れ始める。この影響により、今までは悟の提案で執行猶予がついていた虎杖悠仁に再び死刑の決定が下り、呪術師から命を狙われる立場となる。悠仁は脹相と共に街に残った呪霊を狩っていたが、悠仁の処刑を命じられたのは、以前に悟が話していた特級呪術師、乙骨憂太であった。さらには禪院家当主が命を落としたことで、禪院家の跡目争いを巡って伏黒恵の命を狙う禪院直哉も動き始め、渋谷には各地からの呪術師が集結。恵を捜す直哉は脹相と、憂太は悠仁と戦うことになるが、憂太の実力未知数の剣技と謎の呪霊による不意打ちを食らった悠仁は敗れてしまう。死に瀕した悠仁の脳裏に浮かんだのは在りし日の家族の光景で、そこにはある人物の姿があった。呪術師たちが殺し合う「死滅回游」で事態が急変する中、禪院真希は長らく離れていた実家である禪院家に向かっていた。
関連作品
漫画
本作『呪術廻戦』のプロトタイプにあたる作品として、芥見下々の『東京都立呪術高等専門学校』がある。『東京都立呪術高等専門学校』は呪術高専で起こった過去の事件をはじめ、本作の前日譚(たん)にあたるエピソードを描いたダークファンタジーで、「ジャンプGIGA」2017vol.1から2017vol.4にかけて掲載された。コミックスは2018年12月に『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』のタイトルで刊行された。
メディア化
小説
本作『呪術廻戦』を原作とする、北國ばらっどの小説『呪術廻戦 逝く夏と還る秋』が、2019年5月に集英社 JUMP j BOOKSより刊行された。また2020年1月には、『呪術廻戦 夜明けのいばら道』が刊行された。
テレビアニメ
2020年10月から2021年3月にかけて、本作『呪術廻戦』のテレビアニメ『呪術廻戦』が、毎日放送、TBS系列で放送された。監督は朴性厚、キャラクターデザインは平松禎史が務めている。キャストは虎杖悠仁を榎木淳弥、伏黒恵を内田雄馬が演じている。第2期「懐玉・玉折」「渋谷事変」は2023年7月から12月にかけて放送。
劇場版アニメ
2021年12月24日より、本作『呪術廻戦』と『呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校』を原作とする劇場版アニメ『劇場版 呪術廻戦 0』が公開された。死刑宣告を受けた乙骨憂太が呪術高専に入学し、呪いを巡る戦いに巻き込まれていく姿が描かれる。キャストは、乙骨憂太を緒方恵美、祈本里香を花澤香菜が演じている。
登場人物・キャラクター
虎杖 悠仁 (いたどり ゆうじ)
宮城県仙台市にある杉沢第三高校に通う男子。明るい茶髪の短髪で、学ランの下に赤いパーカーを着用している。快活で素直な性格をしており、誰に対してもフレンドリーに接する。昔から人間離れした身体能力を持ち、スピード、パワー共に優れているために運動部からのスカウトが絶えない。両親はおらず、たった一人の身内である虎杖倭助を亡くし、彼から「人を助けろ」「死ぬ時は大勢に囲まれて欲しい」という遺言を受ける。両親は生死・行方共に不明で倭助に育てられていたが、両親の詳細にはあまり興味を示していない。学校に現れた呪霊と戦うため、両面宿儺の指を取り込んで彼の呪力を授かった。人間ではなくなったために呪術界から死刑を宣告されるが、宿儺の力をコントロールできることから、五条悟の助けで執行猶予となった。これ以来、全部で20本ある宿儺の指をすべて見つけ出すまで、呪術高専に通い修行を重ねながら、宿儺の指を探している。倭助を失って以来、「正しい死」についてこだわっており、仲間や一般人をはじめ目の前の人間をできる限り救おうとする。本来猛毒とされる呪物を口にしても耐えられるだけでなく、宿儺に取り込まれることなく自我を保つことも可能で、宿儺の封印以来1000年以上生まれなかった宿儺の器として注目・期待される一方、爆弾のような存在として一部の呪術師からは危険視される。宿儺の魂を宿しているために強力な毒耐性を持つと共に、魂の輪郭を自然にとらえることができ、術式がなくとも真人に直接ダメージを与えられる力を持つ。さらに宿儺の影響で真人の「無為転変」も効かないため、真人にとっては天敵となっている。身体能力を活かした肉弾戦が得意で、呪力をまとわせた拳で2度の衝撃を与える「逕庭拳」という技を習得する。呪力をうまくコントロールできずにいたが、いくつかの怪事件や交流会での戦闘を通して経験を積み、黒閃も複数回にわたって成功させている。
伏黒 恵 (ふしぐろ めぐみ)
呪術高専、東京校に通う男子。2級の呪術師で、両面宿儺の指を回収するために、虎杖悠仁の高校に来た際に彼と知り合う。冷静沈着な優等生タイプで融通が利かないところがあるが、心根は優しく仲間思いな性格をしている。身を犠牲にして自分を救ってくれた悠仁には感謝し、一度は呪いと見なして祓おうとした彼が死刑の危機に陥った時は、五条悟に救って欲しいと願っていた。御三家の一つ「禪院家」の血筋であり、禪院家の分家出身とされている。実の両親は亡くなっており、小学生の時から義姉の伏黒津美紀と共に暮らしていた。さいたま市立浦見東中学校を卒業後は呪術高専に入学したが、担任である悟とは幼少期からの知り合いで、父親の伏黒甚爾が亡くなったことも悟から聞いていた。中学時代は不良でケンカばかりしていたが、津美紀が呪いを受けて昏睡(こんすい)状態になったことで彼女に冷たくしていた過去を後悔すると共に、不平等な現実が平等に与えられ善人が救われない現実に疑問を抱く。それでも多くの善人が平等を享受できることを願い、不平等に人を救うことを目指して呪術師になった。式神術「十種影法術」をあやつり、手で影絵を作ることで犬の式神「玉犬」をはじめとする式神を召喚できる。一度に2種類の式神を出すことが可能で、複数の式神を合体させることもできる。影を呪力の媒介としていることから影に呪具を収納することも可能だが、式神で繰り出す遠距離攻撃が戦闘の主流であり、複数の式神を連携させるなど幅広い攻撃ができる。反対に近接戦は苦手で、式神術のために両手を空けておく必要もある。窮地に陥った時の奥の手として、八握剣異戒神将、魔虚羅という式神を持つ。悠仁の体で目覚めた宿儺と戦って以来、目を付けられると同時に気に入られており、命を救われたこともある。高い能力を持ちながら使いこなせていないことや、本気の出し方を知らないことを宿儺や悟に指摘されていたが、八十八橋の事件で一人で戦った際に本気を出し、不完全ながら領域展開も実現した。
五条 悟 (ごじょう さとる)
呪術高専、東京校の男性教師。1年生の担任を務める。銀髪で黒っぽい服を身につけ、ふだんは黒い布やサングラスで両目を覆っている。飄々(ひょうひょう)としていい加減なところもあるが、呪術師としての能力は最強で、複数の強力な呪術を使いこなす希少な特級呪術師。御三家の一つ「五条家」の出身でもあり、六眼という特殊な目を生まれ持ち、呪力操作に使ったり術式情報などを見ることができる。これらの力を呪術高専でさらに躍進させ、呪術界全体のパワーバランスをも揺るがした。誰にでもフランクに接するがつかみどころがなく、ふざけたような態度で周囲を振り回すことも多い。しかし周囲の信頼は厚く、会ったばかりの虎杖悠仁からも好印象を抱かれている。上層部の腐敗や保身に走りがちな今の呪術界の革新を目標としており、楽巌寺嘉伸をはじめとする保守派とは対立している。一方で、呪術高専の生徒を含む若い呪術師には期待をかけ、破壊ではなく彼らを正しく育てることで、呪術界を内側から変えようと教師の道を選んだ。五条家に伝わる「無下限呪術」によって「無限」を現実に作り、自分を含む周囲の物体間の距離をあやつる。これを応用し狙った対象を押し潰したり弾き飛ばしたりなどの攻撃や、移動速度を低下させれば防御も可能。さらに領域展開「無量空処」も習得しており、身体能力も高く、自他共に認める最強の呪術師。その実力の高さは学生時代から続き、当時は同級生の夏油傑と二人で最強だったが、天内理子の護衛任務を通して遭遇した事件がきっかけで、傑と道を分かつ原因となってしまう。本来の力を最大限発揮できるのは一人の時で、ふだんは周りの人間を巻き込まないように気を配り、巻き込む際も被害を最小限に抑えようとしている。若くして強大な実力を持つことから呪術高専内でも高い発言力を持ち、その影響力のおかげで悠仁のように死刑を免れている者もいる。しかし渋谷事変で封印されてしまい、それまで保たれていた均衡が崩れようとしている。
釘崎 野薔薇 (くぎさき のばら)
呪術高専、東京校に通う女子。3級の呪術師で、盛岡から4時間かかる田舎から上京して来た。茶髪のボブカットの髪型で、東京をはじめとした都会にあこがれを抱いている。サバサバした性格でやや口が悪いが、芯が強く仲間思いで優しい一面もある。故郷に住んでいた頃、小学生の時に東京から転校して来た沙織という年上の少女と親しくなる。しかし沙織が周囲に仲間外れにされ、僻(ひが)んだ村人たちが家に落書きをするなど陰湿ないじめや嫌がらせを繰り返し、のちに彼女が引っ越してしまったことから、田舎の体質を毛嫌いしている。つねに死のリスクが高まるのを承知で呪術師になったのは、上京資金を気にせずに東京に住めるからと言い張る変わり者だが、閉鎖的な地元に縛られることなく、自分らしく生きるためでもある。上京してからは出会ったばかりの虎杖悠仁たちと東京見物を楽しんだり、ヒマがあれば観光や買い物に出かけたりなど、東京での暮らしをそれなりに満喫している。呪力を込めた釘を打ち込んで相手を攻撃する術式「芻霊呪法」を使いこなし、体の一部など対象から得た部分に釘を打ち込むことで、本体にダメージを与える「共鳴り」や、対象に直接打ち込むことでダメージを与える「簪」などを得意としている。武器は五寸釘や金槌(かなづち)で、時おり藁(わら)人形も使用する。反面、近接戦闘は苦手としている。自分らしさやアイデンティティーを大切しており、丸腰の状態で禪院真依に背後を取られてもケンカを売るなど、肝が据わっている。また、交流会前に出会った禪院真希を尊敬し、慕っている。八十八橋の事件で壊相と血塗と戦った際に、初めて黒閃を成功させた。
両面宿儺 (りょうめんすくな)
呪術全盛の時代に封印された、強大な呪霊の男性。単に「宿儺」と称されることが多い。残虐な性格で、戦闘力以外の序列には興味がない。当時の呪術師たちとの死闘の末に、特殊な呪物として指の屍蠟(しろう)に封印され、計20本の指が日本中に散逸し、何本かは呪術高専で保管されている。4本の腕と二つの顔を持つ伝説上の鬼神とされるが、もともとは1000年以上前に存在した人間であった。虎杖悠仁が指の1本を取り込んだことで受肉して以降は彼と一体化し、分身ともいえる指を多く取り込んで力を取り戻し、復活する時を待っている。悠仁の体内にいる時は、白い和服を着た短髪の男性の姿をしている。悠仁の肉体の主導権を握った時は体表に文様が浮かび、爪が鋭く伸びる。強者と認めるごくわずかの相手には人間でも興味を抱き、弱者と見なした者は、女子供でもいっさい容赦なく惨殺する。指をすべて取り戻すまでは不完全な状態だが、それでも多くの呪霊や呪術師を圧倒するほどの力を誇る。領域展開や反転術式をはじめとしたさまざまな呪術を使いこなし、厨子(ずし)のような巨大な建造物を出す「伏魔御厨子」を領域展開すると、攻撃の必中効果範囲を大幅に広げることができる。ふだんは悠仁の体内に作った伏魔御厨子に息を潜め、一時的に肉体の主導権を行使することがある。少年院の事件で伏黒恵と戦って以来、彼を宝の持ち腐れと評しながらも強い興味を抱き、再戦するまでは死なせないようにしている。この際に祓った特級呪霊が持っていた指を取り込み、恵との戦いの中で悠仁の心臓を人質に取ったが、肉体の主導権を悠仁が取り戻したことで共に死亡する。その後は悠仁の魂を自らの領域に呼び出し、ある契約を交わしたうえで悠仁の肉体を蘇生(そせい)したが、契約条件の一つによって彼は契約自体を忘れたままになっている。
夜蛾 正道 (やが まさみち)
呪術高専・東京校の学長を務める中年男性。1級の呪術師で、黒いサングラスをかけている。生徒たちに気づきを与えることこそが教育という信条を持つ。厳しいが生徒思いの実直な性格で、新入生として迎えた虎杖悠仁に厳しい教育を施した。「呪骸」という呪術で作った人形をあやつる「傀儡(かいらい)呪術学」の第一人者で、パンダを作り出した親でもある。呪骸は戦闘能力を持ち、人形であるが故に痛覚や恐怖心を持たず、つねに怯(ひる)むことなく襲ってくる。無自覚ながらかわいいデザインを好み、呪骸もファンシーな外見が多い。かつては五条悟や夏油傑の担任を務めていた。
家入 硝子 (いえいり しょうこ)
呪術高専の医師を務めている呪術師の女性。五条悟と夏油傑の同期。悟にすら不可能な、反転術式による治療ができる希少な呪術師であり、卒業後に医師免許を取得した。少年院の事件で死亡した虎杖悠仁の肉体の調査を任されていたが、解剖直前に彼が生き返った。真人が作った改造人間のことを調べた際には、改造人間を殺(あや)めてしまった悠仁が気に病まぬようフォローするなど、クールでドライに見えて優しく面倒見のいい一面がある。喫煙者だったが、周りにタバコを止められて今は吸わないようにしている。学生時代から治療術を習得しており、悟と傑のほか、先輩の庵歌姫とも親しい。
七海 建人 (ななみ けんと)
呪術高専の卒業生で、元サラリーマンの呪術師の男性。五条悟の後輩でもある。祖父はデンマーク人。白っぽいスーツを着用した短髪七三分けで、ゴーグルのような眼鏡をかけている。あまり表情を崩さず冷静沈着で、丁寧語で話すが無愛想なところがある。冷淡な性格に見えて実は情に厚く、認めた相手には敬意を示し、仲間の死には心を痛め、仲間を殺した者には激しい怒りをあらわにする。責任感も強く、さまざまな物事に果敢に挑む。悟に信頼されると共に彼を信頼しているが、尊敬はしないと言い張っている。武器は呪符を巻いた大鉈で、黒閃を連続的に発生させた記録を持ち、最高は4回。映画館の怪死事件で虎杖悠仁と共に任務にあたるが、最初は彼を子供扱いし呪術師とは認めていなかった。しかし共闘するうちに悠仁の実力や人柄を認めていき、二人で真人と戦って撃退した。悠仁からは「ナナミン」の愛称で呼ばれ、信頼されている。学生時代に仲間の死を体験し、卒業後は呪術師にはならずに、金融会社に勤務していた。儲(もうけ)け主義の上司に呆(あき)れつつも、適当に稼いだら物価の安い海外で暮らすつもりだったが、とある出来事で人に感謝され、再び呪術師を志すようになった。パンにはこだわりがあり、特にカスクートを気に入っている。長さを線分することで、あらゆる対象に弱点を作り出す術式「十劃呪法」を駆使する。割り出した弱点を的確に攻撃できれば、確実なダメージを与えられる。さらに時間による縛りを持たせており、戦闘時間が定めた時間を超えた時に、ふだんは制限されている呪力を底上げできる。
乙骨 憂太 (おっこつ ゆうた)
呪術高専・東京校に通う男子。呪術師で、五条悟からは、虎杖悠仁と共に自らに並ぶ呪術師になると期待される実力者。一般家庭出身だが、実は超大物呪術師の子孫であり、悟の遠い親戚でもある。昔は自信が持てず気弱だったが、他者の強さや優しさに敏感で、仲間想いな性格の持ち主。呪いの被害に遭うと共に他人を巻き込んでしまい、呪術界から危険視されて死刑となっていたところを悟に救われ、彼の勧めで呪術高専に編入。編入後は、さまざまな戦いに巻き込まれる中で、前向きでたくましくなっていった。若くして特級呪術師だが現在は海外で行動しており、交流会にも参加しなかった。渋谷事変のあとに帰国し、上層部から悠仁の死刑を命じられる。
禪院 真希 (ぜんいん まき)
呪術高専・東京校に通う女子。御三家「禪院家」の出身の呪術師だが、実家を嫌っており、苗字で呼ばれるのも好きではない。黒のロングヘアをポニーテールにまとめ、いつも呪具を中心とする武器を持ち歩いている。男勝りで荒っぽい口調で話し、反骨精神が強いく不遜な言動もあるが、面倒見がよく仲間思いな性格をしている。後輩の釘崎野薔薇からもあこがれを抱かれ、慕われている。呪力や術式がない代わりに人並み外れた高い身体能力を有する「天与呪縛」を生まれ持ち、肉眼では呪霊を視認することもできないため、特殊な眼鏡をかけている。素手で呪霊を祓(はら)うことができず、呪具を用いて敵と戦う。術式がなくともほかの呪術師や呪霊を圧倒できるために実力は2級相当だが、禪院家から落ちこぼれ扱いを受けているため、妨害によって現在も4級のままになっている。これらの経験から、いつか禪院家の当主になって実家の者たちを見返そうとしている。双子の妹である禪院真依とは、幼少時は仲がよかったが、禪院真希が実家を出てからは真依に憎まれるようになった。このため現在はかなり不仲に見えるが、本音では昔と変わらず真依をかわいい妹と思っている。
狗巻 棘 (いぬまき とげ)
呪術高専・東京校に通う男子。準1級の呪術師で、銀髪の短髪にハイネックを着用している。クールで冷静沈着ながら仲間思いで優しい性格をしている。狗巻家出身の「呪言師」で、言霊を利用した高等術式「呪言」を駆使する。自分の声に呪力を乗せ言霊の力を増幅させることで、「止まれ」や「眠れ」などと発して敵の動きを止めるなど、言葉どおりの状況を実現化させることが可能で、携帯電話や拡声器を使えば有効範囲を広げられる。しかし連続で使用したり、強力な言霊を使用すると負荷がかかってのどが潰れたり、乱用すると術者自身に影響が降りかかることがある。これらの性質から意図せずに呪言の悪影響が周囲に及ぶ可能性もあるため、ふだんは会話の語彙を絞り、「しゃけ」や「おかか」などおにぎりの具の名前しか発さない。このため慣れない者はその意図を理解できず、それぞれの言葉が何を示しているのかを理解できるのは、付き合いの長い同級生や後輩の伏黒恵など一部の者に限られている。虎杖悠仁や禪院真希ほどではないが、身体能力も高い。口の両端と舌にはヘビの目と牙を模した呪印が刻まれており、ふだんは服の襟で口元を隠している。
パンダ
呪術高専・東京校に通う男子。準2級の呪術師。人間ではなく人語を話すパンダで、個性的な呪術師の中でも常識的な言動が多い。つねに仲間に気を配ると共に、窘(たしな)めたり注意したり、時にはからかったりもする。その正体は、夜蛾正道の作り出した呪骸。ただの呪骸ではなく、人間と同等の感情を持って生まれた「突然変異呪骸」であり、正道の最高傑作。交流会の途中で究極メカ丸と対峙(たいじ)し、敵意を向けられながらも彼を理解し、素直に接していた。ふだん表に出ているメインの核のほかに二つの核を秘めており、メインの核と入れ替えることで、それぞれの性質に応じたパワーアップができる。そのうち「お兄ちゃん」や「ゴリラ核」と呼ばれている核に切り替えると、名前どおりゴリラのような屈強な見た目になり、攻撃力が増す。呪力とは別に怪力の持ち主で、肉弾戦が得意。
楽巌寺 嘉伸 (がくがんじ よしのぶ)
呪術高専・京都校の学長を務める老齢の男性。和服の下にTシャツを着用している。顎髭(あごひげ)をはやした小柄な体型で、耳や鼻にピアスを付けている。呪術界における保守派の筆頭で、呪術界改革を目指す五条悟とは気が合わず、対立している。奏でた旋律を通して呪力を撃ち出す、音楽を活用した術式を使う。自分の体をアンプに見立てて、エレキギターを演奏することで衝撃波を繰り出すなど、中距離攻撃を得意としている。両面宿儺を宿した虎杖悠仁を危険視して処刑しようとしており、交流会のどさくさに紛れて殺害することを京都校メンバーに命じていたが、花御たちの乱入で失敗した。ドラマーを募集している。
庵 歌姫 (いおり うたひめ)
呪術高専・京都校の教師を務める女性。2年生の担任をしている。準1級の呪術師で、巫女(みこ)装束を着用し、左頰を中心に幅広い傷痕がある。やや勝気な性格で、後輩の五条悟や夏油傑からからかわれがちだった。このため悟のことを快く思っていなかったが彼からは信頼されており、交流会が始まる前に彼の依頼を受けて京都校側に内通者がいないかを調査していた。後輩の家入硝子とは学生時代から仲がいい。趣味はカラオケとスポーツ観戦で、特に野球好きなことから交流会の後半が野球勝負になった時は喜んで監督を務めた。
伊地知 潔高 (いちじ きよたか)
呪術高専の補助監督を務める男性。会議の司会進行や呪術師の任務の割り振り、報告係などを担当している。よくも悪くも事務的な態度が多く気弱なところもあるが、心根は善良で常識人。もとは呪術師志望で、五条悟や七海建人の後輩。補助監督の中心的な役割を担い、結界術「帳」などの基本的な術式をこなす。革命を目指す悟と保守的な上層部の板挟みになることも多く、苦労している。
虎杖 倭助 (いたどり わすけ)
虎杖悠仁の祖父で、育ての親。仙台市の病院に入院していたが、いつものように見舞いに来ていた悠仁との会話中に亡くなる。短気で頑固な性格で、孫の悠仁以外は見舞いに来ることはなかった。口は悪いが親のいない悠仁にとっても唯一の身内であり、慕われている。死ぬ間際に「人を助けろ」「大勢に囲まれて死ね」という言葉を悠仁に言い残しており、この遺言は悠仁が人の「正しい死」について考えるきっかけとなっている。
伏黒 津美紀 (ふしぐろ つみき)
伏黒恵の一つ年上の義姉。小学2年の時に、母親と恵の父親である伏黒甚爾が付き合うも蒸発して以降、残された恵と二人で暮らすようになった。弟思いで優しくまじめな性格で、中学時代にケンカが絶えなかった恵を心配し、ケンカしているのを見かけるたびに叱責していたが、恵からは口うるさいと冷たくあしらわれていた。高校1年生の時に友人と心霊スポットの八十八橋に肝試しに行った際に呪いの被害に遭い、病院で昏睡状態になっている。
東堂 葵 (とうどう あおい)
呪術高専・京都校に通う男子。1級の呪術師。筋肉質な体型で、ドレッドヘアが目立つ強面(こわもて)の大男。左頰の辺りには、大きな傷跡がある。粗暴でマイペースな性格で、退屈と他人の指図を嫌っている。つまらないと感じる相手には攻撃的になることが多く、同級生からも孤立しがち。一方で、親友と認めた相手を「ブラザー」と呼んで熱い友情を抱き、どんな時でも積極的に力になろうとする。長身アイドル、高田ちゃんの大ファン。異性の好みに強いこだわりがあり、性癖にはその人のすべてが反映されるという信条から、初対面の男性には必ず好みを尋ねるようにしている。交流会1日目に、虎杖悠仁抹殺を命じられるも反発して単独行動を取る。団体戦開始直後に悠仁と対峙(たいじ)し、好みの女性を聞いた際に意気投合して一方的に親友扱いすると共に、彼の技が呪霊には通じないのに気づいて呪力の扱いを指導する。効果範囲内であれば、一定以上の呪力を持った物体の位置を入れ替える「不義遊戯」という術式を駆使する。入れ替える対象は自分を含む人間や生物のほか、呪具などにも有効で、手を叩(たた)くことで発動する。1級までの呪霊が相手なら術式を発動せずとも祓うことができ、肉弾戦を得意とするが、ごくわずかな時間で作戦や分析を行うなど頭脳戦も得意としている。交流戦後も悠仁を親友と認め、彼のピンチにも駆けつけて助けている。小学生時代からケンカが強く、退屈な毎日を送っていた頃に九十九由基と出会う。退屈な日々からの脱却を夢見て彼女についていき、呪術師の道に進んだ過去を持つ。
加茂 憲紀 (かも のりとし)
呪術高専・京都校に通う男子。御三家、加茂家の呪術師。まじめで冷静な性格で、着物を着用している。表向きは加茂家嫡男だが実際は側室の息子で、正室が術式を継いだ子を産めなかったために、代わりに嫡男として迎えられた過去を持つ。立場上辛い思いをしてきた母親を助けるために、立派な当主になることを目指しており、両面宿儺の器となった虎杖悠仁を処分すべきと考えている。交流会では反発した東堂葵以外のメンバーと共に、悠仁を狙い伏黒恵と対峙するも、花御たちの乱入により中断し、恵たちと共闘する。加茂家に代々伝わる、血液をあやつる術式「赤血操術」を駆使する。自分の血液そのものや、血液が付着した物であればあやつることができるほか、血液パックに保管していた血液も活用できる。体内の血流操作による身体強化や、流れ出た血液を武器のように扱える。また、武器の弓矢に血液を付けると放った矢の軌道を変えることもできる。
究極 メカ丸 (あるてぃめっと めかまる)
呪術高専・京都校に通う男子。準1級の呪術師。生まれ持った「天与呪縛」の影響から、不自由な体で肌が極端に弱く、究極メカ丸と名づけたロボット型の傀儡を遠隔操作することで行動している。本体である「与幸吉」は暗い地下室で過ごしているが、体が不自由な代わりに日本全土にわたる非常に広大な術式範囲と呪力放出力を持ち、「傀儡操術」によってメカ丸をあやつることで戦闘や会話を行える。傀儡は戦闘力も持っており、複数を同時操作することも可能。交流会1日目はパンダと対峙し、人に作られた人形でありながら人のように生きる彼に嫉妬のような怒りを見せていたが、戦いを通して親しくなった。実は真人たちとつながる内通者で、彼の術式によって健康な四肢にしてもらうために情報提供をしていた。条件の一つとしていた約束を真人たちが破ったために、内通者を辞めると告げたうえで体を治してもらい、健康な体を手に入れる。交渉が決裂したためにそのまま戦うことになり、巨大ロボットの傀儡装甲をあやつって真人と激闘を繰り広げる。健康な体になったことで術式の範囲は狭まったが、肉体が不自由だった年月分溜め込んだ、巨大な呪力を使えるようになった。本体である幸吉自身が外に出られずメカ丸を通しての会話しかしていないことから、同級生たちとあまり打ち解けられておらず、自由な体を手に入れたら仲間と直接会いたいと思っていた。特に三輪霞に好意を寄せ、彼女の幸せを願っている。真人に勝利したのを確信するも装甲内に侵入した彼に逆転され、命を落とす。渋谷事変の際は、生前にあらかじめ残していた端末型の傀儡を通して、虎杖悠仁に真人たちの情報を伝えてサポートした。
西宮 桃 (にしみや もも)
呪術高専・京都校に通う女子。2級の呪術師で、日本人とアメリカ人のハーフ。黒いワンピースを身につけ、ホウキを持ち歩いている。小柄な体格でおとなしそうに見えるが、機嫌を損ねると口が悪くなる。ホウキに乗って自由に飛行でき、飛行能力を活かして索敵を務める。また、呪力で人を浮かせる風を作り出すことで、攻撃も可能。見た目も実力も完璧が求められるなど女性が呪術師として生きることの難しさと苦労を知り、幼少期から苦労を重ねながらも呪術師として生きる禪院真依を大切に思うよき理解者であり、尊敬している彼女が馬鹿にされると怒る。人に舐(な)められないように、ピアスを付けるなど見た目にも注意している。仲間思いな性格で、後輩の三輪霞が悲しんでいた時は、彼女を悲しませた敵に対して激しい怒りをあらわにしていた。
禪院 真依 (ぜんいん まい)
呪術高専・京都校に通う女子。3級の呪術師。黒色のボブカットの髪型で、ノースリーブの制服を愛用している。禪院真希の双子の妹で、呪力を持たず生まれた彼女を見下している。実家を見返そうと真希が出て行ったために、残った自分はなりたくもなかった呪術師になって努力せざるを得なかったという理由で、彼女を心底恨んでいる。幼少期は呪霊を見るたびに怖がっていたが、呪霊が見えない真希に手をつないでいっしょに歩いてもらうなど、姉妹仲は良好だった。仲間以外に対しては皮肉屋で冷淡だが、西宮桃とは仲がよく、数々の苦労を抱えながらも呪術師として努力している姿は彼女から敬愛されている。ピストルに呪力を込めて弾丸のように打ち出す「構築術式」を使用する。銃をリボルバー式にすることで弾を使い切ったと偽り、不意打ちを食らわせることもできるが、呪力を激しく消費する。交流会1日目は森の中で遭遇した真希と一騎打ちになるも敗れ、体力が尽きてリタイアとなった。
三輪 霞 (みわ かすみ)
呪術高専・京都校に通う女子。3級の呪術師。水色のロングヘアでパンツスーツ風の制服を愛用しており、日本刀を持ち歩いている。大人たちの前では五条悟に毅然(きぜん)とした態度を取るが、実際は彼の大ファン。平安時代から伝わる「シン・陰流」を使用し、半径2メートルくらいの「簡易領域」を作り出し、その範囲に侵入した者をフルオートで攻撃できる。また、呪力で覆った刀身を加速させて正面の敵を最速で斬る技「抜刀」も使用する。中学生の時にアルバイト先でスカウトを受け、貧乏な家族を支えようと入学した過去を持ち、早めに自立しようと昇級を目指している。京都校メンバーの中では比較的常識人であり、争いや横暴な行為を好まず、虎杖悠仁の暗殺にも内心では乗り気ではなかった。
冥冥 (めいめい)
呪術高専の卒業生の女性。1級の呪術師。五条悟や庵歌姫の先輩でもある。教師ではないが呪術高専に協力している。銀髪のロングヘアで、長い前髪を編んで垂らしている。冷静で飄々(ひょうひょう)としているが、お金への執着が強い守銭奴。弟の憂憂を溺愛している。ふだんは単独活動をしており、個人から報酬を受け取りながら依頼をこなすことも多い。武器として背丈と同じくらいの巨大な斧(おの)を使用するほか、カラスをはじめとする鳥をあやつる術式「黒鳥操術」を駆使し、あやつった鳥と視界を共有しながら、その光景をモニターに映すこともできる。命を懸ける縛りにより、術式効果を高めている。鍛錬や呪力で肉体を強化し、術式なしでも十分な戦闘力を持つ。渋谷事変では途中まで虎杖悠仁と行動し、途中で夏油傑に再会するも、すぐに本物の傑ではないことを見抜いていた。
禪院 直毘人 (ぜんいん なおびと)
呪術師の老齢な男性。禪院家26代目当主。豪快な性格で、着物を気崩している。見たり触れたりしたものをフレームに捕らえ、フレームを破壊することで対象を攻撃する術式「投射呪法」を使用する。1秒を24分割して禪院直毘人自身の視界を画角とし、その画角内で作った動きをトレースする。発動中に掌(てのひら)で触れた対象にも有効。しかし、うまく使いこなすには天性のコマ打ちセンスや時間感覚が求められる。渋谷事変では、禪院真希たちと共に陀艮と死闘を繰り広げるも重傷を負う。酒が大好き。
漏瑚 (じょうご)
人々が大地を恐れる心から生まれた呪霊。特級クラスの実力を誇るが、呪術界には未登録。頭が火山の形になった一つ目の小柄な男性の姿をしており、大きな耳栓をしている。人語を話すが、少々せっかちで短気な性格をしている。呪いの源でもある人間を紛(まが)い物だと考え、自分たち呪霊こそが真の人間であり、人類を滅ぼして呪霊が成り代わるべきという過激な思想を持つ。最終的に呪霊が人間を滅ぼすという悲願を果たすためであれば、自らを犠牲にすることも厭(いと)わず、五条悟を倒すという目標においても死を覚悟していた。炎や火山をあやつる術式や、領域展開を駆使する。花御と共に真人たちと手を組んで、悟の暗殺を目論む。移動中の悟に奇襲をかけるも、返り討ちにされて死にかけ、首だけになったところを花御に救出された。これ以降は、虎杖悠仁に両面宿儺の指を取り込ませることで、宿儺を復活させることを目論むようになった。趣味は呪物の蒐集(しゅうしゅう)。
花御 (はなみ)
人々が森を恐れる心から生まれた呪霊。真人たちと手を組んでいる。屈強な大男のような姿だが、性別は不明。特級クラスの実力を誇るが、呪術界には未登録。呪霊というよりは精霊に近い存在。人語を理解できるが独特な言語体系を持ち、何を話しているかわからないがテレパシーのように頭に伝わるため、ほかの呪霊や人間にも意味は理解できる。一人称は「私」で、誰にでも丁寧語で話す。冷静で紳士的な一面もあり、呪霊としてはかなり理知的で人間相手でも比較的温和に接する。自然を愛し、人類を滅ぼしてでも地球を守ろうとしている。植物を生やしたりあやつったりする術式を使用し、直接攻撃から不意打ちまで多種多様な植物による攻撃を可能とする。屈強な体格で耐久力も高いが、目のあたりから生えている小さな樹木が弱点。ふだんは布で覆っている左肩には「供花」という花があり、左腕で周囲の植物のエネルギーを呪力に変えて開花させることで、その呪力を放出する必殺技を放つ。当初は戦いを目的成就のための手段としか思っていなかったが、交流会に潜入した際に遭遇した虎杖悠仁と東堂葵との死闘の中で、戦うことに高揚感を覚えていた。
重面 春太 (しげも はるた)
真人たちに協力する呪詛(じゅそ)師の青年。サイドテールの髪型をしている。華奢(きゃしゃ)で小柄な体型の中性的な容姿で、不気味な雰囲気を漂わせて無邪気な笑みを浮かべている。相手を一方的に痛めつけるのを好む残忍な性格で、特に女性を狙いに定めている。日常生活で起こる小さな奇跡を忘れる代わりに、それらを貯め込めるという不思議な術式の使い手で、貯まり具合は目元の文様に反映される。だが自分の術式についてはよくわかっておらず、文様への自覚もない。貯め込んだ奇跡が、命の危険を救うこともある。武器として、仲間の呪術師が作った剣の呪具を使用する。
天元 (てんげん)
不死と結界の術式を持つ呪術師。高度な結界術により呪術高専の結界を守り続ける謎の人物で、呪術界の要でもある。ふだんは人前に姿を現さず高専の深部に身を隠し、結界の維持運用以外に現世には干渉しない。高専に保管される呪物などを守りながら隠すと共に、建物などを覆っている。ただし守るよりは隠すことに長(た)けており、植物や呪力を持たない対象には機能しない。このため、花御のように精霊に近い呪霊や、呪力を持たない天与呪縛の持ち主は、敵であっても侵入を許してしまうことがある。一定以上年齢を重ねると術式が肉体を作り変えて人間とはかけ離れた存在になるため、500年に1度は適合する「星漿体(せいしょうたい)」と呼ばれている人間と同化することで、肉体の情報を書き換えている。
夏油 傑 (げとう すぐる)
呪術高専の呪術師だった男性。かつて「百鬼夜行」という最悪の事件を起こした特級呪詛師。黒髪の長髪で、五条袈裟(けさ)を着用している。五条悟のかつての親友。悟に似て飄々としているが彼よりまじめな性格で、学生時代には不遜な発言の多い彼を諭すことがあり、呪術も非術師のためにあると考えていた。学生時代は同級生の悟と共に任務にあたることが多く、二人で最強の呪術師として活躍していた。呪霊を取り込んで自在にあやつる「呪霊操術」を使用し、調伏させた呪霊を飲み込むように取り込み、一度取り込めば出し入れも自由になる。視界の共有はできないが、呪霊が払われた際には離れていても感知ができる。このため、式神使いのように呪霊を放った遠隔攻撃を得意としているが、体術にも優れている。悟と共に天元の器として選ばれた天内理子の護衛任務にあたるが、この事件をきっかけに呪術師のあり方や非呪術師について疑問を抱くようになり、さらに力を強めて単独任務が多くなった悟とも離れて任務をこなすことが増えていく。とある田舎村の任務で村人が呪術師を迫害しているのを見て、非術師を排除する道を選び、村人たちを呪霊で大量に惨殺する百鬼夜行を起こし、呪術を悪用する呪詛師に認定された。これ以来、ほかの呪詛師たちを集めて行動し、仲間には優しい一方で非術師のことは猿呼ばわりして見下すようになる。虎杖悠仁が両面宿儺と融合したあとは、真人をはじめとする呪霊たちと手を組んで行動していると思われたが、夏油傑自身は百鬼夜行後に亡くなっており、偽夏油によって遺体を乗っ取られている。
吉野 順平 (よしの じゅんぺい)
里桜高校に通う男子。呪術師ではないが呪霊を視認できる。マイナー映画が好きで、一人で学校をサボって映画鑑賞に出かけることがある。母親の吉野凪と二人暮らしで、学校は嫌いだが母親のことは大切に思っている。友人たちと共に学校で映画研究会を結成したが、伊藤という不良生徒たちに部室を占拠されてしまい、それに反抗したことからいじめに遭っていた。これらの経験から、無関心こそが美徳と考え、心のどこかでは伊藤たちへの復讐を望んでいる。映画館で遭遇した真人がマナーの悪い高校生を呪殺しているのを目撃し、彼の危険性を知らぬままで心酔するようになる。真人に興味を持たれて呪術師となり、彼の教えで毒を作り出す術式や、「澱月」というクラゲの式神を得た。真人との会話を通してより強い復讐心を抱くようになったが、家の前で出会った虎杖悠仁と意気投合し、凪を交えた交流を楽しんでからは復讐をあきらめようと考えていた。しかしその後、何者かによって凪が殺害され、真人に唆(そそのか)されて伊藤が犯人と思い込み学校に乗り込んで復讐を目論むが、駆けつけた悠仁によって止められ彼と戦うことになる。悠仁の説得により戦いを止めて、彼に凪が亡くなったことを話すも、そこに現れた真人によって呪霊のような異形に変えられてしまう。真人に駒として利用された末に無理な改造に耐えられず、悠仁の目の前で死亡した。
吉野 凪 (よしの なぎ)
吉野順平の母親。若々しい見た目の美女。愛煙家で、順平よりも大雑把なところがあるが、彼の登校拒否を咎(とが)めることなく受け入れるなど、かなり懐が広く大らかな性格をしている。初対面の虎杖悠仁のこともすぐに受け入れ、順平を交えて親交を深めた。悠仁を家に招いた夜、リビングに置かれた両面宿儺の指を発見したことで、それに引き寄せられた呪霊たちに惨殺された。
真人 (まひと)
人間を恐れる心から生まれた人型の呪霊。特級クラスの実力を誇るが、呪術界には未登録。体のあちこちが継ぎ接(は)ぎになった、灰色の長髪の青年の姿をしている。一見、子供のように無邪気で誰に対しても親切に見えるが、冷酷非情な狂気を秘めており、人間のことも玩具や実験台のようにしか思っていない。生まれてから日が浅いため呪霊としては未熟なところもあるが、成長速度が非常に速い。漏瑚や花御をはじめとする特級呪霊だけでなく、夏油傑とも手を組んでいると思われたが、のちにこの傑は彼の遺体を乗っ取った偽夏油であることが判明した。生物の魂の形を変え、人の肉体すらも自由に改造できる「無為転変」を駆使し、相手に直接触れることで変形させて殺害するだけでなく、呪霊のような姿をした改造人間に変えて使役することもできる。また、自分の魂の形を把握してイメージすることで、自分の体をさまざまな形に変えたり、大きさを変えたりすることもでき、攻撃を受けても呪力で即座に再生が可能。ただし魂に攻撃された時のダメージは肉体にも現れ、両面宿儺のように格上の相手の魂には触れることすらできない。これらの性質から、宿儺を宿す虎杖悠仁とは相性が悪い。街中で生きた人間を改造する実験を行う中で吉野順平と出会い、彼の才能を見込んで呪術を教えた。順平に親切に接して慕われているが、実際は駒として利用しているだけであり、偽夏油と共に吉野凪を死に追いやったうえで順平の復讐心を煽(あお)り、里桜高校を襲わせた。悠仁に止められた順平が改心しかけた瞬間に現れて彼を無為転変で改造して死に追いやり、怒りが頂点に達した悠仁、七海建人と交戦することになる。この戦いの中で宿儺に接触を試みるも失敗し、そのまま悠仁たちに撃退される。その後は呪術高専の交流会に乱入し、校内に隠されていた呪物を盗み出した。
天内 理子 (あまない りこ)
廉直女学院中等部に通う女子。天元と適合する「星漿体」として生まれる。当時呪術高専の2年生だった五条悟と夏油傑が護衛任務を担当した。天元との同化阻止を目論む呪詛士集団「Q」や宗教団体「盤星教」に命を狙われていた。両親はすでに亡くなっており、メイドである黒井美里とは家族のように親しい。悟たちと出会った当初は、自分と天元を同一視するかのように気高く振る舞っていたが、本音ではふつうの少女として生きたいと願っていた。傑に連れられて高専深部に入った瞬間、侵入していた伏黒甚爾によって銃殺される。
伏黒 甚爾 (ふしぐろ とうじ)
「術師殺し」の異名を持つ殺し屋の男性。伏黒恵の実父で、元は御三家の一つである禪院家の生まれ。かなりのギャンブル好きで、実の息子である恵の名前を忘れていたうえに、博打(ばくち)の資金のために幼い彼を担保にするなど、冷酷でいい加減な性格をしている。特殊な天与呪縛を生まれ持ち、呪力を完全に持たないために素手では呪霊を祓えない代わりに、呪縛体質を強化することで尖(とが)らせた五感を用いて呪霊を感知することができる。人並み外れた身体能力に加え強力な呪いへの耐性を持ち、飼いならした呪霊を腹に入れて連れ歩くこともでき、その呪霊に呪具を持たせる形でさまざまな武器を携帯している。これらの才能を持ちながらも呪力を持たないために、実家の禪院家では過酷な扱いを受けていた。禪院家を出たあとは婿入りして伏黒に改姓し、妻と恵の影響で一時的に丸くなっていたが、妻が亡くなったあとは伏黒津美紀の母親と付き合い、恵と津美紀を残して蒸発。それ以降は、女性のもとを転々とするヒモのような生活を送っていた。宗教団体から天内理子の暗殺依頼を受け、彼女を護衛をしていた学生時代の五条悟と交戦し、瀕死(ひんし)に追いやる。さらに呪力を持たない天与呪縛を活かして呪術高専の結界を潜り抜け、理子を銃殺して遺体を依頼主に引き渡す。この直後に反転術式で復活した悟と再戦するも、新たな才能に目覚めた彼に敗れ、恵が数年後に禪院家に売られることを告げたうえで死亡した。
九十九 由基 (つくも ゆき)
呪術高専の関係者で、呪術師の女性。陽気で豪快な性格で、初対面の男性にも遠慮なく女性の好みを問う。単に呪霊を祓うだけでは対症療法でしかなく、呪い被害の根本的な解決にはならないと考えている。根本的な原因を解決し、呪霊の発生を防いで呪いのない世界を作るために、任務を受けることもなく世界を回っている。小学3年生の頃の東堂葵に出会い、退屈な毎日を送っていた彼が呪術師を目指すきっかけと共に、さまざまな影響を与えた。また久しぶりに呪術高専を訪問した際には、当時3年生だった夏油傑と出会い、呪術師のあり方に疑念を持つ彼の考えを否定することなく、いくつかの助言を与えた。渋谷事変では偽夏油と対峙した虎杖悠仁たちのもとへ駆けつけ、偽夏油と戦った。
脹相 (ちょうそう)
呪術高専に保管されていた呪物「呪胎九相図」1番から生まれた人型の呪霊。長男で、黒髪を二つに結い、厚手の和服を着た男性の姿をしており、鼻筋あたりに黒い長方形の模様がある。大半のことには無頓着で無表情なことが多いが、弟たちのことを何よりも大切に思い、長男としての責任感も強い。呪術高専の交流会に乱入した真人たちによって呪物が回収され、人間に受肉する形で壊相、血塗と共に現れる。しかし、八十八橋の戦いで壊相と血塗が敗死したことで、虎杖悠仁たちへの復讐を決意し、高専に残った呪物の回収によるほかの弟たちの呪霊化も目論むようになる。御三家の一つである加茂家に伝わる「赤血操術」と肉弾戦を得意とする。その一つである「苅祓」は、体の一部から血液を排出・操作しながら攻撃し、非術師の体であればあっさり切断するほどの威力を持つ。しかし、体外に出して捜査している血液は水に溶けやすく、むやみに血液を凝固させると威力が落ちたり血栓症を発症するなど、リスクや弱点もある。渋谷事変では弟たちの仇(かたき)である悠仁を真っ先に狙い、駅構内で発見した彼を襲撃。トイレの水を利用した悠仁の反撃でピンチになるも、一瞬のスキを突いて逆転した。しかし止めを刺そうとした瞬間、他人であるはずの悠仁が弟としていっしょに過ごしているという、身に覚えのない記憶が脳裏に浮かび、困惑しながら逃走した。その後は悠仁のことを弟の一人と認識するようになり、一方的にお兄ちゃんを自称しながら彼のサポートに回るようになった。
壊相 (えそう)
呪術高専に保管されていた呪物「呪胎九相図」2番から生まれた人型の呪霊で、次男で、モヒカン頭の筋肉質な男性の姿をしており、ボディハーネスを着用している。背中あたりに不気味な顔があり、そこから悪臭が発せられるためコンプレックスになっている。むやみに隠すと蒸れるので露出しているが、極力前を向いて相手に背を向けないようにしている。振る舞いが紳士的で兄弟愛も深いが、怒ると口が悪くなる。呪物を回収した真人たちの助けで人間に受肉し、彼らの命令で弟の血塗と共に、八十八橋に両面宿儺の指の回収に向かう。そこで任務中だった虎杖悠仁たちに遭遇して戦うことになる。毒のような血液を相手に浴びせることで腐蝕させる術式「蝕爛腐術」を駆使し、人間が浴びると激痛が起こり、やがて毒が回って死亡する危険がある。ただし自分の体内の血液を使用するため釘崎野薔薇の「芻霊呪法」とは相性が悪く、彼女の「共鳴り」を受けて心臓にダメージを負っていた。悠仁と野薔薇を追い詰めるも、死闘の末に血塗と共に死亡した。
血塗 (ちけず)
呪術高専に保管されていた呪物「呪胎九相図」3番から生まれた呪霊。三男で、兄たちとは異なり、手足が生えた水色の怪物のような姿をしており、大きな口から血を垂らしている。まともに言葉を話さないが、兄の脹相と壊相のことを慕っている。壊相と同様に、毒のような血液を口から浴びせて相手を腐蝕させる術式「蝕爛腐術」を駆使するが、壊相の血液ほどの威力はない。自分の体内の血液を使用するため釘崎野薔薇の「芻霊呪法」とは相性が悪く、彼女の「共鳴り」を受けて心臓にダメージを負っていた。悠仁と野薔薇を追い詰めるも、死闘の末に壊相と共に死亡した。
日下部 篤也 (くさかべ あつや)
呪術高専・東京校2年生の担任を務める男性。1級の呪術師で、黒髪を縛った強面の剣士。いつも日本刀を帯刀しており、棒付きキャンディを舐めている。術式なしで1級まで上り詰めたかなりの実力者だが、厄介事を苦手にしている。平安時代から伝わる「シン・陰流」使い手で、弱者を守るために戦っている。渋谷事変ではパンダと共に渋谷で行動していたが、その途中で漏瑚と目覚めた両面宿儺の激闘に巻き込まれる。
陀艮 (だごん)
海を恐れる心から生まれた呪霊。特級クラスの実力を誇るが、呪術界には未登録。真人たちと手を組んでおり、筋肉質な腕を持つタコのような姿をしている。まだ幼く臆病だが、仲間思いな性格をしている。陸地でも水を生み出してあやつれる術式を使用し、大量の水を流して水没させたり、防御に活用したりできる。高い耐久力と体力で、長期戦にも耐えられる。もとは未熟な呪胎だったが、渋谷事変で大量の人間を捕食したあとに変態を遂げて呪霊に成長し、コウモリのような翼を得ると共に勇ましい性格に変わり、人語も流暢に話せるほどに成長した。「蕩蘊平線」という生得領域を持ち、領域展開すると砂浜のような光景になる。この中では、獰猛(どうもう)な魚の式神を大量にあやつって敵を襲撃できる。渋谷駅構内で禪院直毘人、禪院真希、七海建人と激闘を繰り広げるも、伏黒恵の参戦によって不利になり、死闘の末に敗死した。
偽夏油 (にせげとう)
夏油傑の姿をした謎の人物。真人をはじめとする呪霊たちと手を組んで行動している。性格は本物の傑と同様に飄々としており、不敵な笑みを浮かべている。「百鬼夜行」を起こした傑の術式に目を付け、五条悟との関係性を利用し、百鬼夜行後に死亡した傑の体を乗っ取っていた。特殊な術式により脳を入れ替えることで、遺体を含む他人の体を乗っ取ることができ、入れ替えたあとは額に縫い目が生じる。さらに、乗っ取った人物の術式も使えるため、傑が使用していた「呪霊操術」も駆使している。真人たちと手を組んだあとは、人類滅ぼして呪霊が人類に成り代わることを目指す彼らに、悟の封印と両面宿儺への接触を提案していた。呪術高専の交流会に乱入するなどさまざまな準備を整えていたが、傑を知る高専関係者からは身を隠し続けていた。予定どおり、真人たちと共に悟を封印するための渋谷事変を決行。渋谷に駆けつけた悟を待ち伏せ、封印用の呪物「獄門彊」によって彼を封印した。悟救出のために駆けつけた虎杖悠仁たちと対峙するが、悟が封印されたままの獄門彊(ごくもんきょう)を持ったままで姿を消した。
場所
東京都立呪術高等専門学校 (とうきょうとりつじゅじゅつこうとうせんもんがっこう)
呪術師を養成する4年制の教育機関。正式名称は「呪術高等専門学校」。日本には東京校と京都校があり、どちらも表向きは宗教系の私立校とされている。卒業生はここを拠点に呪術師として活動し、教育だけではなく呪いや呪物に関する事件を解決する任務の斡旋やサポートも行うなど、呪術界の要となっている。敷地は山奥にあり、天元の結界に囲まれている。結界内に未登録の呪術師が侵入すると警報が鳴り、結界の影響で施設などの配置が変わることがある。学生でも任務への給料が支払われており、任務が減少しやすい秋頃には東京校と京都校による「交流会」が開催されている。呪術師以外にも呪霊を視認できる「窓」という者たちが各地に派遣されており、いち早く呪霊を察知して知らせることで呪術師たちの活動を支えている。
イベント・出来事
渋谷事変 (しぶやじへん)
2018年10月31日に、真人をはじめとする呪霊たちと偽夏油が渋谷で起こした凶悪事件。結界術「帳」によって多くの一般人が閉じ込められ、渋谷平定に向かった五条悟の封印をはじめ、渋谷駅に残された人々や駆けつけた呪術師が大量に犠牲になり、関東地方を巻き込んで多くの人が死亡・行方不明となった。渋谷事変後は、呪術界における重要人物だった悟が不在となったことで、それまで彼の影響で保たれていた呪術界の均衡が崩れるなど、多くの影響を残した。
その他キーワード
領域展開 (りょうきてんかい)
人間や呪霊が生まれ持った「生得領域」と呼ばれている領域に術式を付与すること。外部に結界のように展開させて敵を引き入れる技で、実力のある呪術師や呪霊の中でも、ごくわずかな者しか習得していない。術者自身のステータスを上昇させたり、術式を必中にさせたり、相手の術式を中和させたりなど、戦いを有利に運ぶためのさまざまな効果を持つ。ただし呪力の消耗が激しいため、長時間展開することはできない。
黒閃 (こくせん)
打撃とのごくわずかな差に呪力が衝突した瞬間に生まれる、空間の歪(ゆが)み。名前どおり歪みが生じた瞬間に、呪力が黒く発光する。通常攻撃の威力が上昇するが、意図的に出すことはできない。一度発生させればゾーンの状態になるため、連続して出しやすくなる。
呪物 (じゅぶつ)
呪いがこもったアイテム。呪霊やその一部が封じられていることもある。威力などによって4級から1級と、特級に分けられる。一部は学校のように呪霊の発生しやすい場所で魔除け道具代わりに使われていることもあるが、封印は次第に緩んでいくため、逆効果に作用することもある。呪いや呪力などを宿す武器や道具として作られた物は「呪具」と呼ばれ、呪力を持たない者やコントロールができない者にも扱える。
呪い (のろい)
人間をはじめとする生物より発せられる、恐怖や恨みなどの負の感情から生み出される呪霊や怪奇現象のこと。日本国内で呪いの被害を受けた怪死者や行方不明者は、年間平均1万人を超えている。学校や病院のような多くの人間が集まる場所や、思い出に残りやすい場所は負の感情が溜まりやすく、呪い発生の原因となりやすい。呪いや呪術のもとになる力を「呪力」と呼ぶ。
呪霊 (じゅれい)
人間から漏出した呪力が積み重なり、なんらかの形を形成した存在。化け物のような姿をしている呪霊が大半だが、人型や知性を持つ者も存在し、いずれも人間を呪って時には呪殺する危険な存在である。呪術師から呪霊が生まれることはほとんどなく、大半は非術師によって生まれており、その発生数は日本がもっとも多い。呪力を帯びた攻撃を浴びせると祓うことができるが、呪術師以外には祓うことができず、大半は視認や接触もできない。ただし、両面宿儺のように呪物になったあとに人間に受肉した場合は、死んでも消滅はしない。呪術高専を中心とする呪術界では、戦闘力などに合わせて呪霊を4級から1級に分けており、それを超える強力な呪霊は特級呪霊と呼ばれている。4級にも満たない低級呪霊は蝿頭と呼び、体も手に乗るほどに小さい。
呪術師 (じゅじゅつし)
呪術を使う人間。呪霊の討伐を中心に呪いによって起こるさまざまな事件を解決するため、呪術高専を主な拠点に暗躍している。呪術師以外の一般人は、「非術師」と称されることもある。呪術師になれる者は非常に限られており、極秘の任務も多いため、その存在が一般人に知られることはほとんどない。呪霊を視認し祓えるほどの呪力を宿しているが、例外として「天与呪縛」という特異体質を生まれ持った場合は、呪力を持たない代わりに身体能力などが優れている者もいる。戦術は多種多様だが、大半が呪力を使ってさまざまな現象を起こす「術式」を行使することで、呪霊やほかの呪術師と戦うことができる。術式は生まれ持った「生得術式」と「結界術」に分けられ、代表的な結界術に「帳」がある。呪いに関する任務において、秘匿死刑の実行や任務先の情報を得られるなどの特権があるが、呪術を使って非術師を殺すことは呪術規定により禁じられており、破った者は「呪詛師」に認定されて命を狙われることになる。実力・実績などに合わせて4級から1級に分けられており、2級以上は単独行動が許可されている。1級を超える強力な呪術師は特級に昇格できるが、大半は2級や準1級止まりで、1級や特級になれる者はごくわずかとなっている。昇級には推薦も必要だが、教師は自らが担当している生徒を推薦できないようになっている。推薦を受けた者は1級と共に任務を遂行する中で適正と判断されれば、準1級に昇格できる。古くから続く呪術師の家系もあり、その中でも特に強い力を持つ五条家、加茂家、禪院家は「御三家」と呼ばれている。
関連
呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校 (じゅじゅつかいせん ぜろ とうきょうとりつじゅじゅつこうとうせんもんがっこう)
芥見下々の代表作『呪術廻戦』のプロトタイプにあたる作品。呪術を使用する呪術師が、人類に害をなす「呪霊」を討伐するために暗躍している現代日本と、呪術師を育成する教育機関「東京都立呪術高等専門学校」(通称... 関連ページ:呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校
書誌情報
呪術廻戦 28巻 集英社〈ジャンプコミックス〉
第1巻
(2018-07-04発行、 978-4088815169)
第10巻
(2020-03-04発行、 978-4088822747)
第20巻
(2022-08-04発行、 978-4088832012)
第21巻
(2022-12-02発行、 978-4088833118)
第22巻
(2023-03-03発行、 978-4088834344)
第23巻
(2023-07-04発行、 978-4088836287)
第24巻
(2023-10-04発行、 978-4088836706)
第25巻
(2024-01-04発行、 978-4088837994)
第26巻
(2024-04-04発行、 978-4088838847)
第27巻
(2024-07-04発行、 978-4088841151)
第28巻
(2024-10-04発行、 978-4088842110)