人外と孤独少女の純愛ラブコメディ
人間の女性・ミヨは村人から傷モノ扱いされ、500年以上生きている山の主「大蛇」に生贄として嫁ぐことになった。嫁入りした当初は大蛇に怯えながら逃げることばかり考えていたミヨと、身の回りの世話をしてくれる優しい妻を娶った喜びを隠せない大蛇。ミヨは大蛇に命じられた仕事をこなしながら、華やかとも平穏ともいえない複雑な新婚生活を送っていた。不器用ながらもミヨを真剣に愛する大蛇と、大蛇の思いやりあふれる優しさに触れたミヨが織りなす、奇妙な日常と恋愛模様が耽美なタッチで描かれる。孤独な心と不器用な性格という共通点を持つ二人が、種族を超えて絆を深めていく姿が見どころとなっている。本作の舞台は昔の日本だが、大蛇や狸の八兵衛をはじめとする、長寿の生物は人語を話せるという設定になっている。
畏怖されつつも心優しい大蛇×傷モノ扱いされた村娘
ヒロインのミヨは家族が起こしたある事件をきっかけに、村人から忌み嫌われ、唯一のよりどころであった優しい祖父も亡くした孤独な女性。顔に傷を持つことから、村人から生贄にちょうどいいと山に放り出されてしまう。だが、ミヨを生贄としてではなく花嫁として迎え入れたのが、山の主でもある巨大な蛇だった。最初は怯えていたミヨだったが、実はどんな人間より優しく、寛容な大蛇はミヨと夫婦になれたことを素直に喜んでいた。しかし、その愛情表現が人間の常識とは大きくかけ離れているため、結局はミヨを恐がらせたりカン違いさせたりしてしまう。
大蛇の意外な一面に惹かれるミヨ
人語を話せる大蛇は人間と意思疎通ができるものの、ミヨへ向ける深い愛情は異種族であるがゆえの空回りや、すれ違いを繰り返していた。それでも大蛇の意外な一面や優しさを知ったミヨは、次第に理解を深めていき、お互いの気持ちを分かり合えた二人は深い絆で結ばれる。しかし、幸せな新婚生活を満喫していた二人の周囲に、不穏な空気が漂う。大蛇を憎悪する謎の僧侶・安憬の存在やミヨの過去、理解し合えない異種族間の溝が複雑に絡み合い、二人の仲を引き裂く深刻な問題へと発展していく。
登場人物・キャラクター
ミヨ
大蛇の妻となった人間の女性。年齢は18歳くらい。額の右側に傷跡があることから、村人たちから傷モノとして扱われ、供物として山の主である大蛇のもとへ嫁がされることになった。嫁いでからの日々の仕事は家事だけにとどまらず、大蛇の世話や本殿の掃除、薪割りなど多岐にわたる。嫁いだ当初は大蛇から逃げ出そうとするほどの恐怖心を抱いていたが、生活を共にするうちに大蛇の優しさを知り、大蛇を愛するようになる。山奥で知り合ったしゃべるたぬき・八兵衛と仲がよく、日頃の不満やストレス解消の相手になってもらっている。父親・清之助が殺人の濡れ衣を着せられ、村の子供たちから凄惨ないじめを受けていた。
大蛇 (だいじゃ)
ミヨの夫となった500年生きているといわれる巨大な蛇。人の言葉を話すことができ、外見によらず紳士的な性格をしている。山の主として動物たちからは崇められているが、村人たちからは恐れられている。山の主とはいえ、単純に長生きしただけだと自称しており、どれだけ人を愛しても、人に優しくしても、化け物と気味悪がられてしまうことに寂しさを覚えている。そのため、ミヨが自分に嫁いできてくれたことを心底喜び、ミヨが身の回りの世話をしてくれたり、ミヨといっしょに朝を迎えたりすることに大きな幸せを感じている。食事は罠にかかったウサギや狐などを丸のみにしている。脱皮時期や冬から春にかけては、洞窟の中で冬眠する。過去の因縁から僧侶を嫌っている。
書誌情報
大蛇に嫁いだ娘 6巻 KADOKAWA〈ビームコミックス〉
第1巻
(2021-11-12発行、 978-4047368446)
第2巻
(2022-04-12発行、 978-4047370043)
第3巻
(2022-10-12発行、 978-4047372443)
第4巻
(2023-05-12発行、 978-4047374379)
第5巻
(2024-01-12発行、 978-4047378186)
第6巻
(2024-08-09発行、 978-4047380387)