もののけ◇しぇありんぐ

もののけ◇しぇありんぐ

妖怪達とシェアハウスで暮らす事になった女子高校生・鏡ヤタの日常生活を描くコメディ作品。コメディであるが、人間と妖怪が共存していく過程で生じる軋轢など、心理描写は繊細に描かれている。「ヤングマガジンサード」15年VOL.2から17年VOL.10にかけて連載された。

正式名称
もののけ◇しぇありんぐ
ふりがな
もののけ しぇありんぐ
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
関連商品
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あらすじ

第1巻

苦学生の鏡ヤタは家賃を浮かせるために、月2万円の家賃で済むシェアハウスへ引っ越す事を決めた。しかし、そこはヤタ以外の住人は妖怪しかいない、特殊なシェアハウスだった。住人の鯨塚ミズチから妖怪といっしょに生活できるかと問われたヤタは、一度は入居を辞退する。しかし、妖怪とはいえちょっと個性が強い人間だと思えばいいのではと考え直し、妖怪達と暮らす事に決めるのだった。(第2日目「そもそもの話」。ほか、10エピソード収録)

第2巻

鯨塚ミズチ鏡ヤタを喜ばそうと花火を自作したところ、失敗してシェアハウスを爆破してしまう。この事態に管理人は、1か月で全壊した家を建て直すと宣言する。そのあいだ、ヤタ達は違う物件を借りて暮らす事となった。しかし、ミズチが苦学生のヤタのために気を利かせ、六人分の個室のある物件を探しているために、新居探しは難航していた。そんな中、モミがようやく条件のいい物件を見つけ出すが、そこはたくさんの幽霊が住み着く問題物件だった。(第12日目「家探しの話」。ほか、6エピソード収録)

第3巻

学校からの帰り道に智慧姫を見かけた鏡ヤタは、彼女が妖怪である事に一目で気づく。智慧姫が、自分達の暮らすシェアハウスを目指していると知ったヤタは、彼女を案内する。その道すがら、智慧姫から妖怪をどう思っているのかと尋ねられたヤタは、少しだけ人種が違う程度に考えていると答える。それを聞いた智慧姫はガッカリし、かつて人間から畏怖されていた頃の妖怪の立場を取り戻したい、とヤタに告げる。その後、シェアハウスにたどり着いた智慧姫は、住人達に立ち退きを宣言する。実は智慧姫は、妖怪全体の方針を決めている重鎮の一人だった。そんな彼女の言葉に住人達は困惑するが、今の生活を続けたいと智慧姫に抵抗する。そんな住人達に対し智慧姫は、シェアハウスで生活する権利を賭け、勝負しようと持ち掛ける。(第20日目「妖怪の話」。ほか、7エピソード収録)

第4巻

智慧姫との勝負に勝利した鏡ヤタ達は、罰ゲームとして智慧姫に命令を下せる権利を獲得する。罰ゲームの内容は、罰ゲームの内容を書いた紙を箱の中に入れ、それを智慧姫が3回引いて実行する事になった。最初に智慧姫が引いたのはよーこの罰ゲームで、内容はマイクロビキニを着てエッチなポーズで写真を撮り、それをSNSに投稿するというもの。二つ目は、クロの罰ゲームで一発芸を披露。そして最後の三つ目は、モミの罰ゲーム。それは「シェアハウスでいっしょに暮らす」というものだった。こうして智慧姫は、みんなといっしょに生活する事になる。(第27日目「罰ゲームの話」。ほか、7エピソード収録)

登場人物・キャラクター

鏡 ヤタ (かがみ やた)

高校生の女子。黒髪のショートヘアで、大きなリボンを付けている。目つきの悪さと胸が小さい事がコンプレックスで、普段は目つきの悪さを隠すために、伊達眼鏡をかけている。また寝相が非常に悪く、女の子といっしょに寝る際は無意識に抱きついてしまう癖がある。実家が貧乏なために高校には特待生枠で通っている。そのために成績を落とす事が許されず、学校にいるあいだはもちろん、家でも勉強ばかりしている。 その結果、模試では全国で100位以内に入るほど、成績は非常に優秀。生活費はアルバイトをして捻出しており、家賃を浮かせるために月2万円のシェアハウスに引っ越して来た。その際、共に暮らす住人達全員が妖怪である事に驚くも、ちょっと個性が強い人間と思えばいいと、あっさり受け入れた。 さらに妖怪達と暮らしていくうちに彼らに対する理解を深め、妖怪に対して肯定的に考えるようになった。高校卒業後は、人間と妖怪が共存していく社会を作るための橋渡し役を務め、妖界特区設立にも貢献している。

鯨塚 ミズチ (くじらづか みずち)

鏡ヤタと共にシェアハウスで暮らす女子大学生で、その正体は河童。クールな見た目で、眼鏡をかけている。頭にある皿を隠すために、普段は水色の髪のかつらをかぶっている。非常に気が利く、世話好きな性格をしている。河童をまとめる頭首の家の生まれだが、ほかの妖怪との混血であるために実家では厄介者として扱われており、幼少の頃は座敷牢の中で本を読んで過ごしてばかりいた。 その後、管理人が管理しているシェアハウスでの生活を望み、その生活の権利を賭けて、妹のマミズと対決。その際、マミズに対して強い敵対心を抱くが、彼女の本心を知ってからは和解。その後はマミズと頻繁に連絡を取り合う仲になった。しかしマミズとの勝負の際に、本家の河童に妨害を受けた事から、本家に対しては強い恨みを抱き続けている。

モミ

鏡ヤタと共にシェアハウスで暮らす引きこもりの女性で、その正体は鬼。癖のある青色のロングヘアで、爆乳の持ち主。頭からはギザギザの角が生えており、この角は定期的に伸びたり、生え変わったりする。日々を怠惰に過ごし、お風呂に入る事も面倒くさがる。趣味はネットゲームと、小さくてかわいい男の子と淫らな行為をする事。実はこの世界を創造した神の一人。 ただし、世界を創造したのち、一人でいる事に耐え切れずコミュニケーションの取れる「妖怪」を作り出した。また妖怪は、代を重ねる毎に人間に近づいていくように設定した。しかし智慧姫のように、人間と同等の力しか持たない妖怪がいる事に気づき、自分のした事に対して苦悩を抱えている。智慧姫達とシェアハウスでの生活の権利を賭けて勝負する事になった際は、モミ自身の力を発揮する事を怖れて勝負を棄権した。 ちなみに妖怪の存在が世間に露見したあとは、少しだけ考え方を改めて、工事現場などで働くようになった。

よーこ

鏡ヤタと共にシェアハウスで暮らす無職の女性で、その正体は妖狐。赤色の髪で、頭からは狐の耳、尻からは狐の尻尾が生えている。爆乳の持ち主で関西弁をしゃべり、性格は明るく楽観的。その一方で敵対する者に対しては、好戦的な態度で応じる事がある。また、かなりの男好きで、性行為が大好き。さらにバイセクシャルであるために、女性とも肉体関係を持っている。 これは単に淫らな行為が好きという理由もあるが、婿探しを兼ねての行いでもある。ちなみに婿に最適な人物にはまだ巡り合っていない。智慧姫とシェアハウスでの生活の権利を賭けて争った際は、幼なじみのソウコと、どちらがより多くの男性をナンパする事ができるかで争っている。

クロ

鏡ヤタと共にシェアハウスで暮らす女子高校生で、その正体はろくろ首。黒髪のポニーテールで、家ではジャージなどのラフな恰好をしている事が多い。その昔、人間に住処を追われた事から富士の樹海で人を驚かしていたところ、コジワしらたきと出会った。そこで芸人だった彼から笑わせられた事から、お笑いに興味を抱くようになった。 さらに彼を師匠と呼んで、慕うようになった。その後、人間達と生活する事を希望するようになる。また、お笑いのネタになるかもと考え、お嬢様高校に学生として入学を果たす。しかし、学校では高嶺の花として周囲から一線を引かれており、ミステリアスな雰囲気も相まって「黒薔薇の君」というあだ名で呼ばれている。智慧姫とシェアハウスでの生活の権利を賭けて争った際は、お笑いの勝負を希望した。 しかし、相手がのっぺらぼうののんこだったため、相手を笑わせる事ができずに敗北してしまう。ちなみに妖怪の存在が世間に対して露見したあとは、妖界特区の往来で人間達を相手にお笑いを披露した。

越後 ユキ (えちご ゆき)

鏡ヤタと共にシェアハウスで暮らす女子高校生で、その正体は雪女。癖のある白髪のショートヘアで、巨乳の持ち主。雪女としての能力に秀でているが、パワーが強過ぎてコントロールができなくなる。それにより幼い頃は、周囲に冷気を発し続けて友達を作る事ができなかった。そのため、人間達と生活する事を望むようになった。ヤタが冷気を発しても拒まなかった事から、恋愛感情にも似た気持ちを抱くようになる。 ヤタとのスキンシップを取りたがり、ヤタとほかの住人がなかよくしていると激しい嫉妬をあらわにする。高校にも通うようになったが、力をコントロールできないというコンプレックスもあり、クラスメイトとは馴染めていない。そんな中、ユキの担任教師のアドバイスを受けて、クラスに溶け込めるようになった。

あおい

鏡ヤタ達が暮らすシェアハウスに、アルバイトとしてやって来た少女。その正体はぬりかべで、本来は大きな壁に似た姿をしている。人間に化ける事もでき、その際は黒髪ショートヘアの童女のような姿になる。もともと管理人がシェアハウスの壁の材料を確保できていなかった事から、しばらくのあいだ、アルバイトとして壁の代わりを務める事となる。 当初、人間に化ける能力も未熟だった事もあり、住人達には出て行くように言われたが、ヤタがみんなを説得した事により、シェアハウスの壁役を続ける事になった。その後は壁役のアルバイトを続けつつも、壁の補修作業が終了した事で、元住んでいた里へ帰る事になった。もともとぬりかべには名前を付ける文化がなかったために名前がなかったが、帰る前にヤタにより「あおい」という名前を付けてもらう。

智慧姫 (ちえひめ)

妖怪全体の方針を決めている重鎮の女性で、その正体は般若。薄紫色のロングヘアで、般若のお面をかぶり、着物を着ている。妖怪の力をほとんど持たずに生まれて来ており、見た目もほとんど人間とは変わらない。そのため強烈なコンプレックスを持ち、独学でさまざまな知識や知恵を身につけた。その後、妖怪に寄り添った政策を行い、妖怪総大将の一角として妖怪達の信頼を集めるようになった。 妖怪が人間と交友を持つ事に対しては否定的な考え方を持ち、各地に散らばっている人間と妖怪とのシェアハウスを潰して回っている。鏡ヤタ達のシェアハウスにも現れ、即刻退去するように指示したが、その要求を飲まない住人達と生活を賭けて勝負する事になった。その勝負に敗北したうえ、妖怪としての力を持たない事が周囲に露見してしまうが、その後も妖怪達の信頼を集めていた。

宮城 カズ (みやぎ かず)

鏡ヤタのクラスメイトで、高校生の男子。黒髪の短髪で、中性的な顔立ちをしている。またオネエ口調でしゃべるほか、化粧品などに詳しくオカマっぽい。面倒見がよく、クラスメイトの真田ミホといっしょにいる事が多い。ヤタが風邪を引いた際、ミホと連れ立ってシェアハウスにお見舞いにやって来た。

真田 ミホ (さなだ みほ)

鏡ヤタのクラスメイトで、高校生の女子。長い髪を頭の後ろで束ねている。小柄な体格で制服のサイズが合っておらず、袖が余っている。明るい性格で、非常に騒がしい。授業で質問をされた際にヤタに教えてもらった事で、彼女に恩義を感じている。そのためヤタが風邪を引いた時には、宮城カズといっしょにシェアハウスにお見舞いにやって来た。 その際は寝ぼけたヤタといっしょに同じ布団に入り、恋愛感情にも似た気持ちを抱くようになった。

管理人 (かんりにん)

各地にある人間と妖怪のシェアハウスを管理している女性で、その正体は鬼。長い黒髪を一本のおさげにして束ねている。人間と妖怪が共存する事に対して非常に肯定的で、各地のシェアハウスを運営している。ほかに妖怪が人間社会に住むにあたっての問題事の解決を担当しており、鯨塚ミズチがシェアハウスを花火で爆破した際は、1か月で新たなシェアハウスを建て直してみせた。 また、鏡ヤタに無償でスマートホンを渡すなど、人と妖怪の交流に役立つのであれば資金援助もしている。ちなみにミズチいわく昔は凶悪だった。

ユキの担任教師 (ゆきのたんにんきょうし)

越後ユキの担任を務めている女性教師。癖のある髪をショートヘアにしている。ユキが雪女だと知っており、彼女が普通に学生生活を送れるよう配慮している。ユキがクラスメイトと馴染めなかった際には、彼女に対して人と接するためのアドバイスを送っていた。

コジワしらたき

うどん屋「しらたき」の店主を務めている男性。禿頭で、頭にはねじった鉢巻を巻いている。昔は、お笑いピン芸人として活躍していたが、そのネタはつまらなさ過ぎて逆に覚えられてしまうレベル。生活に困窮して自殺しようと富士の樹海に向かった際、ろくろ首のクロと出会って、咄嗟に持ちネタを披露。そのネタがなぜかクロにウケて、彼女から師匠と呼ばれるようになる。 その後、クロに笑ってもらえた事で元気を取り戻し、一念発起してうどん屋の経営を始めた。クロからはその後も尊敬され続けており、たびたび店を訪れる彼女にお笑いの修行を施している。ちなみに自分のギャグセンスが世間からズレている事は自覚している。

しずり

越後ユキの姉で、その正体は雪女。ショートヘアで、和服を身につけている。巨乳の持ち主。妖怪の中でも名の通った雪女で、氷をあやつる能力は里の中でも1、2を争う。その能力を活かして、氷細工を生業としている。人間社会で生活しているユキの事を心配しており、彼女を里に連れ戻すために智慧姫の誘いに乗って、ユキと氷細工で勝負をする事になった。 その勝負では立派な龍を作ってみせて、勝利を収めている。勝負の中でユキが人間社会に溶け込んでいる事に気づき、ユキを残して一人で里に戻った。

のんこ

巨乳の持ち主で、表情がまったくない女性。その正体はのっぺらぼう。髪を頭の後ろで束ねており、前髪には髪留めをつけている。お人好しであるため、智慧姫の誘いに乗ってクロとお笑いで勝負をする事になった。相手を笑わせたら勝ちというシンプルなルールで、クロとの勝負中はずっと笑っていたが、表情に出なかったために負けとはならなかった。 最終的に、顔芸でクロを笑わせる事に成功し、勝利を収めた。その後、クロとは連絡先を交換して交流を続けている。

マミズ

鯨塚ミズチの妹で、その正体は河童。ショートカットの髪型をしている。河童をまとめる頭首の家の生まれで、姉を差し置いて自分が頭首の座に就いた事に強い誇りを抱いていた。その事由を自分の能力が優れているからだと考えていたが、座敷牢の中のミズチの姿を一目見た事で自分との力の差を痛感する。そしてミズチを尊敬する一方で、能力の劣っている自分が頭首の座に就いた事に対して強い後ろめたさを感じていた。 その後、ミズチの力をほかの河童達に見せつけるために、あえて智慧姫の誘いに乗ってミズチと戦う事になった。勝負の最中、河童の親族達の妨害からミズチを助けた事で、彼女とのあいだにあったわだかまりを解消。さらに頭首としての力を利用して、いびつな考え方に支配される里を変えようと思うようになる。

ソウコ

よーこの幼なじみの女性で、その正体は化け狸。ボサボサの髪をロングヘアにしている。頭からは狸の耳が、尻からは狸の尻尾が生えている。爆乳の持ち主で、露出の多い服装を身につけている。よーこが里にいた頃から互いに妖術を競い合っていた仲で、好色趣味が合う事から今も親交が続いている。またバイセクシャルである事から、よーことは何度か性行為の経験がある。 面白そうだと言う理由から智慧姫の誘いに乗って、よーことどちらがより多くの男性をナンパできるか競い合うが、あと一歩のところで敗北を喫してしまう。

ぬらりひょん

妖怪達の総大将を務める男性。禿頭で長い顎鬚を生やし、大きな後頭部に長い福耳を持っている。普段は都心にあるマンションで暮らしている。温厚な性格で、時には厳格な姿を見せる事もある。人間と妖怪の共存についても一定の理解を示しており、今世紀で妖怪の存在を公にしようと考えている。智慧姫が鏡ヤタ達と争った際は、審判として参加した。 少々調子のいいところがあり、よーことソウコがナンパ勝負で争った際には、審判そっちのけで彼女達のナンパについて行ってしまう。

カナ

人間社会で学生として暮らしている女性で、その正体はあかなめ。黒髪をロングヘアにしている。周囲には妖怪だと明かさずに人間社会で暮らしていたが、親友の篠崎けいこの前で思わず垢を舐めてしまった事で、妖怪だとバレそうになる。この出来事をきっかけに親友とのあいだに隠し事を持ちたくないと考えるようになり、智慧姫に相談した。 のちに、けいこには自分が妖怪のあかなめだと打ち明けた。

篠崎 けいこ (しのざき けいこ)

カナの親友の女学生で、髪を頭の後ろで編み込んでいる。ある日、カナが水道の垢を舐めていた事に驚き、なぜ水道を舐めたのかと疑問に思っていた。その後、自分も水道を舐めてカナの行動を理解しようと試していたところ、カナの身辺調査をしていた智慧姫に声を掛けられた。その際、自分の考えを素直に話した事で、智慧姫からは妖怪の事を話してもいい人物だと認識される。 その後、カナに自分が妖怪のあかなめだと打ち明けられる事となった。

場所

妖界特区 (ようかいとっく)

妖怪が公にいるものだと世間に明かされたのち、人間と妖怪がいっしょに暮らすようになった街。妖怪が普通に闊歩しており、妖界特区に暮らしている人間達は、妖怪の存在をごく普通の事として受け入れている。

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