仙べえ

仙べえ

仙人としては落ちこぼれながらも勢いと愛嬌で周囲を振り回す仙べえと、彼に負けず劣らずの強烈な個性を持つ峯野モヤ夫やその家族たちが織り成す、ユニークな日常を描くギャグ漫画。「週刊少年サンデー」で1971年37号から1972年3+4合併号まで連載された作品。

正式名称
仙べえ
ふりがな
せんべえ
作者
作者
ジャンル
ギャグ・コメディ
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概要・あらすじ

峯野モヤ夫とその家族が暮らす新築の家に、謎の男性が現れた。彼は仙べえと名乗り、モヤ夫とその家族に対して、この家で暮らすことを宣言する。見ず知らずの仙べえのあまりに唐突かつ理不尽な言葉にモヤ夫たちは反発し、仙べえを追い出すことを決める。しかし、モヤ夫の父親が発見したガラス板に、仙べえの居住権を認める証明が書かれていたことから、モヤ夫たちはしぶしぶながら仙べえとの同居を認める。仙べえは、見た目はモヤ夫とあまり変わらないが、実際は明治時代から生きていることが判明。長い時を経ても姿形が変わらない仙べえを不思議に思いつつも、モヤ夫は次第に仙べえの存在に慣れていく。仙人としての修行を積んでいた仙べえは、何もないところから火を起こす火焔不動の術や、壁を通り抜けて移動する壁ぬけの術など、さまざまな仙術を使いこなす。その仙術に目を付けたモヤ夫の姉は、友人たちを招いて仙べえに仙術を披露させ、鑑賞の見返りとして小銭を稼ごうと試みる。しかし、仙べえが見世物になることを嫌ったことや、仙術の精度は彼の精神状態に大きく左右されるため、モヤ夫の姉の計画はあえなく失敗に終わる。一方で仙べえもまた、俗世を厭(いと)いながらも、クーラーなどの文明の利器に注目するなど、峯野家の生活の中で以前とは異なる一面を見せ始める。そんな中、峯野家に仙べえの旧友であるという久佐米仙人が訪ねて来る。仙べえは、彼と二人で話すうちに神妙な表情を見せ始める。その様子を訝(いぶか)しむモヤ夫に対し、仙べえは峯野家を出ていくつもりであると語る。驚くモヤ夫をよそに、峯野家の家族たちはトラブルメーカーである仙べえがいなくなることを喜ぶが、仙べえは彼らが悲しんでると疑わず、後ろ髪を引かれる思いで最後の夜を過ごす。しかし、モヤ夫から餞別として小銭と手紙を受け取ると前向きな気持ちになり、いつか立派な仙人になって再びモヤ夫に会いに戻って来ることを約束するのだった。

登場人物・キャラクター

仙べえ (せんべえ)

峯野モヤ夫の家に突如として現れた男性。見た目はモヤ夫と変わらない少年だが、明治時代から生きており、ふつうに年を重ねていれば老人といえる年齢であると主張している。モヤ夫の曽祖父の兄にあたり、モヤ夫の家が建てられている土地の所有権を持っていたことから、暫定的に峯野家の一員として迎えられる。葉っぱを縫い合わせたような衣装を身につけ、手には木製の杖を持っている。基本的には素直な性格で、他者が望むことを自分のできる範囲で叶えようとする。物事を中途半端に終わらせることを好まず、仙べえ自身の意思にせよ巻き込まれた結果にせよ、誰もがある程度納得できる程度に努力するため、その心意気自体は評価されることも多い。仙人としての修行を積んでおり、「センベラ」と唱えることで、木の葉換金の術やさまざまな仙術を発動させられる。しかし頻繁に不調をきたしたり、意図したものとは逆の効果が発動するなど、術の腕前はお世辞にも優れているとは言いがたい。一方で、電車と同じ速度で走ったり、いくら移動しても疲れることがないなど、身体能力は非常に高い。ただし、泳ぐことだけは苦手としている。モヤ夫たちからは、当初は物珍しい仙術を生活の役に立てたり、お金を儲けるためなどに利用されそうになったこともある。だが、仙術をおよそ思い通りに使えないことが発覚すると、徐々にトラブルメーカーとして扱われるようになり、峯野キリ子やモヤ夫の母親からは距離を置かれることも増えていく。また、あらゆる生き物と心を通わせることが可能で、人間より動物に好かれやすい。久佐米仙人とは共に仙人としての修行を積んだ間柄で、落ちぶれた彼のために役に立ちたいと願っている。

峯野 モヤ夫 (みねの もやお)

小学校に通っている少年。新築された家を誇りに思っており、友人たちに自慢をすることが多い。ある日、突然現れた仙べえと同居することが決まり、彼の浮世離れした行動や不思議な仙術を、間近で観察することになる。峯野家の中では比較的常識的な性格ながら、若干調子に乗りやすく、物事を深く考えずに実行する悪癖を持つ。また、出羽口から理不尽な仕打ちを受けたり、竹子に気に入ってほしいと考えながらも空回りし続けるなど、人間関係にはあまり恵まれていない。仙べえと暮らすようになってからは、彼の突拍子のない行動に家族ともども頻繁に巻き込まれるようになるが、仙べえとは相性がよく、振り回されながらも彼の仙術を頼りに行動することが多くなる。オーバーなリアクションを取りがちで、よく仙べえと共に場を賑やかす要因となる。

峯野 キリ子 (みねの きりこ)

峯野モヤ夫の姉。気が強いうえに容姿端麗で、男女問わず友達も多い。自分の容姿に自信を持っており、面食い鳥が美しいものを好むと聞いた際には、こっそりと彼のもとに出向いて自分を評価してもらったことがある。要領がいいが損得勘定で動きやすく、仙べえをふだんは煙たがりながらも、お金を儲けるために彼の仙術を頼りにすることも多い。また、仙べえの巻き起こす奇想天外な事態にいち早く適応する度量を持っており、入魂の術で動き出した竜に懐かれた時はまったく物怖じせず、子犬に接するような気軽さで向き合った。モヤ夫の母親とは女性同士気が合い、二人で峯野家の男性陣を引っ張ることが多い。

モヤ夫の母親 (もやおのははおや)

峯野モヤ夫と峯野キリ子の母親。若々しい姿を保っており、キリ子同様に自分の容姿に自信を持っている。仙べえが峯野家に同居することになった際に最も反発し、一時は彼を追い出そうとした。のちに、峯野家の遠縁の親戚であることが発覚すると、ひとまずは家に置くことを認めるが、彼の仙術によって被害を被ると、叱ることも少なくない。ただし、ふだんは比較的穏やかな性格で、仙べえもモヤ夫の母親の言うことは素直に聞くことが多い。また、息子のモヤ夫に似て調子に乗りやすい一面があり、久佐米仙人が面食い鳥を連れてきた際は、こっそりと面食い鳥のもとに出向き、容姿を褒められたことですっかり上機嫌になる。

モヤ夫の父親 (もやおのちちおや)

峯野モヤ夫と峯野キリ子の父親。要領が悪いうえに自己主張があまり得意ではなく、ふだんはモヤ夫の母親の尻に敷かれている。調子に乗りやすいところは妻や子供たちと変わらず、それが災いして痛い目を見ることもある。愛用の薬をいくつも所有しており、会社に出かける際には毎朝服用しているが、薬を飲むために時間をかけすぎて遅刻しそうになることもある。専務の接待からゴルフや猟銃などの趣味に手を出しているが、運動神経は鈍いためいずれもうまくいかず、モヤ夫の父親自身もそのことを自覚している。また車が大好きで、自家用車と専用のガレージを持っているが、運転技術が絶望的なまでに拙(まず)いため、長らく免許を取得できておらず、モヤ夫をはじめとした家族たちも、永久に免許が取れないよう願っているほど。

竹子 (たけこ)

峯野モヤ夫や出羽口と同じ学校に通っている少女。気の強い性格で、言いたいことははっきりと口にする。ただし、わがままというわけではなく、特定の誰かをえこひいきすることもない。男女を問わず高い人気を誇り、竹子を家に招くだけでも予約が必要なほど。ただし、何を行うにしても面倒が付いて回るため、自らの人気の高さをあまり快く思っていない。一方で、面食い鳥に審査してもらおうと意気込むなど、ナルシストな一面もある。出羽口からは特に好意を抱かれており、竹子も彼を頼れる人として見ている。一方で、仙べえに対しては、彼の使う仙術でひどい目に遭うことが多いため、苦手意識を持っている。モヤ夫からもあこがれられており、一度は彼の家に上がったことがあるが、仙べえの仙術の暴走によって家の中が暑くなっていたため、すぐに出ていってしまう。

出羽口 (でばぐち)

峯野モヤ夫や竹子と同じ学校に通っている少年。横暴な性格で、人を悪者扱いした挙句、力で言うことを聞かせようとする。モヤ夫に対しても例外ではなく、適当な因縁をつけて決闘を申し込み、腕力に物を言わせて公衆の面前で彼を辱(はずかし)めようとしたこともある。一方で、好きな相手には紳士的に接する傾向があり、竹子からは頼れる人として好感を抱かれている。仙べえの仙術が出羽口の都合のいいように発動することが多いことから、運に味方されている節もある。当初、仙べえが仙術に失敗ばかりすることから侮っていたが、山彦の術が成功したことで見直し、指導している野球チームの顧問になるように願い出る。

お巡りさん (おまわりさん)

警察官の男性。ブルドッグのような顔で、拳銃を2挺所持している。疑わしきは罰する都合のいい性格で、お金持ちの家を尋ねられたという理由だけで、仙べえを逮捕しようとしたこともある。また、一方で金に汚く、金為好五郎や二人組の泥棒から、仙べえが木の葉換金の術を使えることを聞き出すと、彼らに便乗して木の葉を金に換えてもらおうと詰め寄り、仙べえを呆れさせる。

二人組の泥棒 (ふたりぐみのどろぼう)

金為好五郎の財産を狙うべく、家に忍び込もうと目論む二人組の男性。大柄な兄貴分と小柄な弟分で組んでいるが、弟分を足場にしようとして失敗するなど、お互いの長所を活かすことができないでいる。当初はこっそり忍び込もうと考えていたが、仙べえが壁ぬけの術を使って金為の家に潜入したことでしびれを切らし、強硬策に出ることを決める。そして、仙べえに追いつくと銃を取り出して脅そうとするが、彼の仙術で銃を無力化されてしまうなど、何をやっても彼に先を越されてしまう。のちに、仙べえが木の葉換金の術を使えることを知ると、泥棒をあきらめて木の葉を集めようと躍起になる。

金為 好五郎 (かねため すきごろう)

峯野モヤ夫が住む街で、最も多くの財産を保有している男性。お金持ちであるゆえに財産を狙われることが多く、泥棒などに対する警備として番犬を飼育しているが、肝心の番犬が怠け者であるため、その扱いに苦慮している。ある夜、仙べえが忍び込んで来たことから半ばパニックに陥るが、彼の見た目が子供であることから落ち着きを取り戻し、出ていくようにうながす。しかし、彼が木の葉換金の術を使えることを知ると即座に態度を改め、お巡りさんや二人組の泥棒と共に、木の葉を金に換えてもらおうと目論む。

久佐米仙人 (くさめせんにん)

仙人として活動している男性。面食い鳥を引き連れている。仙べえはかつての修行仲間で、よくいっしょに酒を飲んでは、思い出話に花を咲かせていた。かつては山の中で暮らしていたが、住処が開発されて分譲別荘地に変えられてしまったため、やむなく山を下りて子孫のかみさんがいる大阪で暮らしている。居候先では、屋根裏部屋での暮らしを強いられている。さらに、かみさんから内職やお使いなどを強要されるなどこき使われており、その様子を目の当たりにした仙べえを激怒させた。しかし、「艱難汝を玉にす」を心がけていることから今の生活を受け入れており、久佐米仙人自身より仙べえを優先するなどの計らいを見せる。のちに、修行のために別の山に移ることを決め、仙べえにも同行するように呼び掛けた。

面食い鳥 (めんくいどり)

久佐米仙人が飼育している鳥。カラスのような外見をしている。仙人たちのあいだでは、美を理解し愛する仙鳥として知られており、美しいものを見ると「イカース」という不思議な声で鳴き、美しくも醜くもないものを見ると目を逸らす。さらに、醜いものを目の当たりにすると攻撃性を抑えられなくなり、猛然と襲い掛かる性質を持っている。厳しい審美眼を持ち合わせており、自他共に美しいと思われている竹子を見ても目を逸らすほど。しかし、峯野キリ子やモヤ夫の母親に対しては美しいものとして認識し、二人から気に入られる結果となった。また、久佐米仙人がかみさんを恐れているところを目の当たりにしたことからお世辞を覚えており、部長の奥さんに対しては、醜いながらも風格があることから、嫌々ながら美しいものとして扱った。

部長の奥さん (ぶちょうのおくさん)

モヤ夫の父親の上司の妻。モヤ夫の母親や峯野キリ子とも知り合いで、その醜い外見を密かに話題にされることがある。娘の結婚相手を探しており、いい人がいたら紹介して欲しいと方々に頼んでいる。面食い鳥が訪れている最中に訪問したため、彼に見つかったら修羅場になる可能性があると、仙べえや峯野モヤ夫から恐れられていた。部長の奥さん自身は自分が醜いことをまったく自覚しておらず、面食い鳥の存在が発覚すると、自分が褒められるに違いないと上機嫌になってしまう。

人食い竜 (ひとくいりゅう)

峯野モヤ夫が学芸会で使用した竜のぬいぐるみ。ペットを欲しがる仙べえから入魂の術をかけられ、生命を得た。しかし、学芸会での設定が狂暴な人食いの竜であることから、仙べえのコントロールがまったく利かず、家の中で暴れ出す。すかさず仙べえから消魂の術を受けるが、術が不調であったため止まることを知らず、仙べえの手に負えなくなるばかりか、モヤ夫や峯野キリ子、モヤ夫の母親も騒動に巻き込まれる。女性が好きで、キリ子やモヤ夫の母親に懐くことで一度は落ち着きを見せるが、調子に乗ったキリ子に虫歯を刺激されたことで、よりいっそう暴れ出してしまう。

かみさん

久佐米仙人の子孫にあたる女性。大阪に住んでいる。山が開発されたことで行き場を失った久佐米仙人と同居するが、屋根裏部屋に住まわせるうえに内職やお使いを強要し、少しでも不備があったら夕飯抜きなどの折檻を行うなど、理不尽かつ乱暴な性格の持ち主。面食い鳥からも恐れられており、顔を合わせるたびにお世辞を言われるが、聞き飽きたとばかりに彼に対しても暴力を振るうことが多い。このような立ち振る舞いから、久佐米仙人のもとを訪れた仙べえにも嫌われている。

専務 (せんむ)

モヤ夫の父親の会社の上司である男性。かつて太平洋戦争に従軍した経験があり、軍人としての癖がそこかしこに見受けられる。その影響から今でもスポーツなど、身体を動かすことが大好きで、特にゴルフや狩猟などを好んでいる。狩猟では、戦時の体験を活かしてさまざまなトラップを仕掛けることを得意としている。しかし運動神経は、モヤ夫の父親と大して変わらないお粗末なもので、トラップを仕掛けても、まったく獲物を取れないことも少なくない。一方で、現代の人間を軟弱であると考えている節があり、モヤ夫の父親や仙べえに対して、現在の若者は厳しい教育を受けて生まれ変わるべきだと力説した。その結果、仙べえが死午鬼を召喚するきっかけを生んでしまい、峯野家に騒動を起こす原因の一つとなった。

死午鬼 (しごき)

専務から現代の若者による教育の必要性を説かれた仙べえによって召喚された生物。鬼のような外見をしており、その外見に見合った厳格な性格の持ち主。仙べえが修行を行う際に呼び出され、弱気になったり修行をサボりたくなった時などに、喝を入れるなどの役割を果たす。呼び出されるや否や、峯野家の家族たちにスパルタ教育を施そうと思い立ち、さながら軍隊のような立ち振る舞いを見せて峯野モヤ夫たちを大混乱の渦に陥れる。家族の中でも死午鬼の評価は割れており、専務に対して啖呵を切って見せた仙べえやモヤ夫の父親と、いち早く地獄の特訓から解放されたいモヤ夫や峯野キリ子、モヤ夫の母親のあいだで対立が発生する。しかし、やがて仙べえとモヤ夫の父親も特訓に耐えかねて、満場一致で死午鬼を追い出すことが決まってしまう。

集団・組織

四角谷プロダクション (しかくやぷろだくしょん)

主に怪獣映画などの特撮を担当しているプロダクション。放映している作品は高い人気を誇り、峯野モヤ夫やその家族からも視聴されている。ある時、特撮作品を視聴していた仙べえに興味を抱かれるが、こともあろうに実際に怪獣を飼育している会社と勘違いされてしまう。そして、撮影の最中に侵入してきた仙べえが入魂の術を発動したことによって、怪獣の着ぐるみに意識が宿り、仙べえと共に逃げられてしまう。のちに、四角谷プロダクションが実際に怪獣を飼っているわけではないことを理解した仙べえによって着ぐるみを返却されるが、意識が宿っている最中にエサを与えられたことで着ぐるみが巨大化しており、その対処に追われる羽目になった。

その他キーワード

愛用の薬 (あいようのくすり)

モヤ夫の父親が愛用している複数の薬品。複数のビタミン剤で構成されている「ビタミンナ」や、肉体の老化を防いで若さを保つ効果のある「ローヤング」、筋肉を増強させる「マムシロン」、滋養強壮の効果のある「強力ニンニクゲン」や「人参ゴールドX」、便秘を予防する効果のある「ストレート」など、多種多様なバリエーションが存在する。あまりにも量が多いため、仙べえからは「変わった食事」と表現されるほど。モヤ夫の父親は、朝会社に出かける際に毎日愛用の薬を服用しているが、そのために時間をかけることが多く、遅刻しそうになることもしばしば。また、これらの薬を目の当たりにした仙べえと峯野モヤ夫がオリジナルの仙薬を作ろうとして騒動を巻き起こすなど、二次的な被害の原因にもなってしまう。

金庫 (きんこ)

仙べえが開発した新型の金庫。木の葉を入れて数分待つとお金が出てくるという、木の葉換金の術を簡略化したような機能が搭載されているはずだった。しかし機能不全を起こしており、木の葉を入れてまったくも効果が見られず、峯野モヤ夫から借り受けた千円札を入れたところ、逆に木の葉に変化してしまう。その後もさまざまな試行錯誤を行うが、結局失敗に終わったため、開発は凍結された。なお、仙べえが金庫を造り上げようとしたのは私利私欲によるものではなく、久佐米仙人をかみさんの所から助け出すための資金源にしようとしたためである。

月光行 (げっこうぎょう)

仙人が満月の日に実行する特殊な修行法の一つ。修業したい仙術を一つだけ選定して、それをひたすらに使い続けることで、完成に大きく近づける。木の葉換金の術を完成させるために峯野モヤ夫の家の庭で行われたが、術を唱える声がうるさいという理由で峯野キリ子たちに禁止されてしまう。これを受けて仙べえは、仕方なしに峯野家から離れて、最も強い金運を持つ金為好五郎の家に侵入して月光行を継続する。金為から不法侵入をとがめられたうえに、金為の財産を狙う二人組の泥棒といがみ合うなどのトラブルに見舞われるが、修行の結果、ほんのわずかながら木の葉換金の術を完成に近づけることができた。

空中遊歩術 (くうちゅうゆうほじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。空を地面のように渡り歩けるようになる効果を持つ。修行のために峯野モヤ夫に杖で殴ってもらった際に、暴発する形で発動し、峯野家の屋根から空に向けて走り回るという物珍しい光景を見せつける結果となる。しかし効果時間は短く、わずかの距離を移動するとすぐに効果が切れ、モヤ夫以外の誰も仙べえが空に浮いている場面を見ることはできなかった。

万物浮揚の術 (ばんぶつふようのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。物体にかかる重力を解除し、あらゆるものを浮かせる効果を持つ。空中遊歩術や火焔不動の術と同様に、修行のために峯野モヤ夫に杖で殴ってもらった際に、キッチンルームに移動したのちに暴発する形で発動する。そして皿や鍋、やかんや包丁など、台所に置かれていたあらゆる物体が宙に浮き、それらが一斉に飛び回るために峯野家はパニックに陥る。

火焔不動の術 (かえんふどうのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。周辺を発火させるという効果を持つが、使用者自らに引火することはない。空中遊歩術や万物浮揚の術と同様、修行のために峯野モヤ夫に杖で殴ってもらった際に、半ば暴走する形で発動する。さらにタイミングが悪く家の中で炎が発生したため、あやうく火事になりかけたが、その様子を見ていたモヤ夫とモヤ夫の母親によって水をかけられ、すんでのところで火を消し止められた。

壁ぬけの術 (かべぬけのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。物体を通り抜けて移動できるという効果を持つ。名前こそ壁ぬけの術となっているが、接地面を透過して屋根の下に降りることもできるなど、仙術の中でも汎用性が高い。さらに、仙べえの使う仙術としては異例といえるほど成功率も高いため、昇天の術と並んで多用されている。反面、他者の目から見ると不法侵入に映ることも多く、金為好五郎の家に侵入した際は、好五郎本人のみならず、二人組の泥棒やお巡りさんからも注目される羽目になった。

昇天の術 (しょうてんのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。壁や崖などにかかる重力を無視して、平地のように歩き回る効果を持つ。仙べえが使う仙術の中では成功率が比較的高く、元々備わっている高い身体能力もあって、切り立った丘の上などの難所も楽々と踏破するために役立てられている。また、結果としてほかの人間では到達できない箇所への移動にも役立つため、壁ぬけの術と並んで、他者から逃げのびるための術としても活用されている。

木の葉換金の術 (このはかんきんのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。木の葉を現金に換える効果を持つとされているが、一度として成功したことがない。それどころか、逆にお金を木の葉に変える効果が発動したこともある。仙べえは木の葉換金の術の完成を第一に考えており、峯野モヤ夫の家に住み着くようになってからは、月光行などを利用して術の精度を上げるために躍起になっていた。そして、良質な木の葉であるほど成功率が高まる点に着目すると、モヤ夫の住む街で最も多くの財産を持っている金為好五郎の家を訪れ、その庭にある木の葉を利用して発動したところ、わずかながら完成に近づく。また、久佐米仙人がかみさんから理不尽な仕打ちを受けていると知ると、より深く木の葉換金の術の研究を推し進めるようになり、その産物として特別な金庫を開発するに至る。

寒冷の術 (かんれいのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。「センベラ、ダンベラ」の掛け声によって発動し、周囲の大気を凍てつかせる効果を発揮する。仙べえの不始末によって、峯野モヤ夫の家のクーラーから熱気が発生した際に使用され、夏の暑さと熱気によって耐え難い環境を改善する一手になると思われた。しかし、効果があまりにも強力すぎたため、熱気の中で仙べえやモヤ夫の身体が凍りつく羽目になった。

理倍張の術 (りばいばるのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。使用者の周囲の空間に過去の光景を投影する効果を持ち、さらにかつて出会った人物と会話や交流を行うことも可能となる。かつていっしょに修行していた久佐米仙人との交流を懐かしむために、峯野モヤ夫の家の客室で使用され、久佐米仙人のみならず、彼の飼育している面食い鳥も呼び寄せるなど、優れた効果を発揮する。しかし、客室に部長の奥さんが訪れることになったため、術を解除することを余儀なくされる。また、術を解除しても土や葉っぱが消えずに残るなど、完全な術としては作用していなかったことが発覚する。

金剛身の術 (こんごうしんのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。全身を硬質化させ、攻撃力や防御力を増強させる効果を持つ。出羽口と決闘をすることになった峯野モヤ夫にせがまれた仙べえが、彼のサポートを行うために使用する。しかし、対象を細かく選定できないという弱点を持っていたため、モヤ夫ではなく出羽口を硬質化させてしまい、事態を余計に悪化させる羽目に陥る。のちに、出羽口と戦う際に再び使用されるが、欠点は改善されておらず、またしても出羽口を硬質化させてしまった挙句、仙べえ自身が彼の拳を受けて倒されるという結末を迎えた。

入魂の術 (にゅうこんのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。着ぐるみなどの無機物に命を与えて、本物の生物のように活動させる効果を持つ。命を与えられた無機物は、作られた目的に沿った人格を与えられる傾向にあり、人食い竜が入魂の術をかけられた時は、女性を好みつつも虫歯が痛むために暴れ出すという設定のままに動き、峯野キリ子やモヤ夫の母親に懐いていたが、虫歯を刺激されて狂暴化してしまう。なお、入魂の術をかけられた無機物は、消魂の術をかけられることでもとに戻る。

消魂の術 (しょうこんのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。入魂の術によって動き出した無機物を、もとに戻す効果を持つ。入魂の術をかけられた人食い竜が暴れ出して仙べえの手に負えなくなった際に、もとに戻すために使用された。しかし術が不発に終わり、人食い竜がもとに戻らなかったばかりか、よりいっそう暴れ出すという結果に終わった。

魚身の術 (ぎょしんのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。身体を魚に変身させて、水の中でも自在に移動できるようにする効果を持つ。自分自身に対しても他者に対してもかけることが可能で、泳ぐことが苦手な仙べえでも水の中で活動できるため、重宝されている。地下水道にあるという仙術百科を回収するため、峯野家のメンバーが見守る中で仙べえ自身に対して使用される。しかし失敗し、魚ではなく金槌に変化するという結果に終わった。

山彦の術 (やまびこのじゅつ)

仙べえが修行の末に会得した仙術の一つ。術をかけた相手の数秒前の姿を具現化する効果を持つ。具現化した姿は、スローモーションをかけたり、同じ行動を複数回繰り返すなど、さまざまな応用が可能。峯野モヤ夫が所属している野球チームの練習に役立てられ、モヤ夫に感謝されたほか、かつて仙べえを侮っていた出羽口の認識を改め、彼からチームの顧問になって欲しいと願い出られる。ただし、実際は仙べえは山彦の術を得意としておらず、彼らに掛けた際には偶然うまくいっただけで、コツを忘れないうちに精度を高めるため、野球チームを実験台にして練習を繰り返した。

仙術を見る会 (せんじゅつをみるかい)

仙べえが色々な仙術を使えることに着目した峯野キリ子が、学友たちを集めて開催した会合。その名前の通り、仙べえが使用する仙術を鑑賞することを目的とする。入会には500円の会費を必要としており、キリ子の友達は半信半疑のまま入会した。しかし、金もうけのために仙術を披露することを拒否されたため、会合はうまくいかず、結局のところ、キリ子が回収した会費を返却する羽目になった。

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