小説がテーマのサブカルドラマ
学生時代に文芸部に所属していた黒田マコトが、売れっ子小説家として活躍する後輩・黄泉野季郎との再会をきっかけに、再び小説家を目指すヒューマンドラマ。創作や文芸をテーマに、マコトがかつての夢と向き合う中で経験する苦悩やストレス、そして出会う人々との交流を通じて、小説を創作する楽しさと難しさを描き出す。プロ・アマチュアを問わず多様な小説家たちが登場し、小説以外の問題と創作意欲とのあいだで葛藤する姿や、創作に没頭する高揚感を巧みに表現した心理描写が特徴となっている。
夢に再挑戦するマコトの選択
マコトは、かつて周囲から文才を称賛されるものの、自身の才能に限界を感じて小説家になる夢をあきらめてしまう。大企業に就職し、仕事もプライベートも順風満帆な日々を送っていたが、それは一時的な幻想に過ぎなかった。マコトは知らぬ間に心の疲れが蓄積し、心を病んでしまう。会社を休職することになったマコトは、かつて羨望と嫉妬を抱いていた後輩の黄泉野に、心の奥底に封じ込めていた願望を見抜かれる。そして、黄泉野に焚き付けられる形で再び筆を執ることになるが、そのためには仕事や恋人・ミライとの関係を清算する必要があった。創作の楽しさを思い出したマコトの小説家になる夢は、さまざまな問題と向き合いながら苦悩や葛藤を繰り返す、茨の道へと変わっていく。
純文学界の最高峰である芥川賞を目指す
休職を経て、締め切りやパソコンのトラブルと格闘しながらも、マコトはなんとか作品を完成させる。文芸賞に応募した作品が編集部の目に留まり、紆余曲折の末、幸田が担当編集者として付くことになる。幸田や黄泉野の協力を得ながら、マコトは無名作家からのデビューを目指し、純文学の最高峰である芥川龍之介賞を狙う。そのために休職していた会社を辞め、恋人のミライとも距離を置くことで後戻りの道を断ち、覚悟を決めて小説家の道に飛び込む。しかし、幸田から作品の弱点を指摘されたマコトは、主人公の描写という新たな壁に直面する。かつての夢を再び追い始めたことで、マコトの人生は激変し、彼が小説業界にもたらすさまざまな影響も見どころとなっている。また、芥川龍之介をはじめとする実在の作家名が登場するほか、小説や文芸賞にまつわる豆知識や小ネタも盛り込まれており、無名作家や新人作家を取り巻く厳しい現実を垣間見ることができる。
登場人物・キャラクター
黒田 マコト (くろだ まこと)
大企業に勤務するサラリーマンの男性。初登場時の年齢は31歳で、身長は178センチ。学生時代、文芸部の部長として周囲から文才を高く評価されていた。しかし、黒田マコト自身の才能に限界を感じ、小説家の道をあきらめて会社員となる。多忙な日々を送る中で仕事は順調、恋人のミライとも順風満帆な交際を続けていたが、日常の小さなストレスが積み重なり、心身の不調から休職を余儀なくされる。休職中、後輩であり売れっ子小説家の黄泉野季郎と再会したことをきっかけに、あきらめかけていた小説家になる夢に再び挑戦することを決意する。純文学を得意としている。好みのタイプはいい香りのする人。
黄泉野 季郎 (よみの きろう)
黒田マコトの後輩。学生時代にはマコトと同じ文芸部に所属していた。初登場時の年齢は27歳で、身長は171センチ。在学中に文学賞を受賞し、現在は人気小説家として活躍している。灰色のショートヘアで、中性的な風貌をしている。小説家であるため、時間の感覚が少しルーズなところがある。会社を休職中のマコトと再会し、彼を刺激して小説家の道へと誘う。マコトを凌ぐ才能と実績を持ちながらも、彼の作品には圧倒的な魅力を感じていた。小説家を目指すと決意したマコトを叱咤激励しつつ、さまざまな形でサポートしている。大衆文学を得意としており、連載作品は若者を中心に安定した人気を誇っている。好みのタイプは、自分とは異なる人。
書誌情報
あくたの死に際 3巻 小学館〈裏少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2023-10-19発行、 978-4098528783)
第2巻
(2024-02-19発行、 978-4098531325)
第3巻
(2024-11-19発行、 978-4098537037)