人捜し専門の探偵社
会社が倒産し求職中の青年、麦野が、ある光景を目にしたことから物語が始まる。それは、犬養探偵社の寺崎が行方不明の男性を探し当てた瞬間だった。20年前に別居した妻の依頼だと知った男は、妻が自分を許してくれたことに涙を流す。人の人生が動く瞬間を目の当たりにした麦野は、犬養探偵社を志望する。犬養探偵社は普通の探偵社とは異なり、家出少女、夜逃げ人、生き別れの兄弟、初恋の人、煙のように消えた人などのあらゆる「人捜し」を請け負う会社である。天才だが道徳的意識に欠ける寺崎、IT関連に強い東大生で寺崎の大ファンであるために麦野をライバル視する諸戸、寺崎に好意を抱く紅一点の藤枝など、個性的な面々に囲まれ、麦野は3か月の試用期間を過ごすことになる。
天才探偵と新米探偵による社会派人間ドラマ
新人の麦野は、教育係の寺崎とコンビを組み、様々な事件を追う。最初に手掛けたのは、認知症の男性が1年前にいなくなった事件で、家族の介護の問題が背景にあった。また、人気女子アナウンサーが行方不明になった事件では、彼女の実の母親の存在が関係していた。本作は、残された「あしあと(痕跡)」と失踪者の心理を手掛かりに事件を解決する推理ドラマだが、その背景にある失踪者の事情にスポットを当てる社会派人間ドラマでもある。
執筆のきっかけ
本作最大の特徴は、人捜しだけにスポットを当てた探偵漫画であること。そんなユニークな探偵漫画誕生のきっかけは、作者の園田がスカイプでライターの早田哲也と知り合いになったことだという。元探偵という経歴の持ち主である早田から聞いた、行方不明者の捜索の話がとても面白かったため、園田は実話に大幅な脚色を加え、本作の誕生となった。したがって、漫画に描かれている内容はまったくの絵空事ではなく、探偵の実像を含んだ内容となっている。
登場人物・キャラクター
寺崎 紺 (てらさき こん)
犬養探偵社に勤務する25歳の青年。探偵歴は7年で、黒縁眼鏡と小柄な体格が特徴。仮採用された麦野の教育係としてコンビを組む。いつも無表情で道徳的意識に欠けた変人だが、推理にかけては天才的。探偵業界でも名前が売れていて、警察から協力依頼が来ることも多い、犬養探偵社のエース。いつ寝ているかわからないほど仕事に没頭しており、トマトジュース以外に食事を取っている様子もない謎の存在である。
麦野 千尋 (むぎの ちひろ)
犬養探偵社で働く28歳の青年。社会人5年目にして勤務していた会社が倒産してしまう。街で偶然、寺崎の探偵ぶりを目にしたことをきっかけに犬養探偵社の面接を受け、仮採用となる。教育係の寺崎とコンビを組み、様々な事件に関わる。変人揃いの犬養探偵社の中では平凡だが、体力があり行動力にも優れている。







