あらすじ
第1巻
平凡な生徒の大橋チカは、生物担当の教師である西目耕一に人知れず片思いをしていた。そんなある日、チカは西目との接点をつくるため、西目が顧問を務めている美化委員の仕事を手伝うことを考える。放課後、計画どおりにチカは西目と二人きりで委員会活動をすることに成功。しかし大満足のチカの前に、本来ならば西目と協力して美化委員の仕事に取り組むはずの才色兼備の優等生、猪乃原愛矢が立ちふさがる。愛矢はチカに対して自分も西目に片思いをしているとカミングアウトし、今後はいっさい卑怯な手を使うなと恫喝する。こうしてこれまでかかわり合いのなかったチカと愛矢は、西目を巡るライバルとして接点を持つことになり、顔を合わせればケンカばかりの日々を送るようになる。そんな中、チカと愛矢は一色崇から、西目が職場の教師に無理やり合コンへ連れていかれたという情報を得る。二人は西目の行動を監視するため、会場になっているはずのレストランへと向かうが、高校生が故に入店することができない。(第一話。ほか、3エピソード収録)
登場人物・キャラクター
大橋 チカ (おおはし ちか)
生物担当教師の西目耕一に片思いをしている女子高校生。1年3組に在籍している。ふつうの容姿と成績で目立つタイプではない。生物の授業以外で西目との接点がないことを悩んでおり、西目と少し会話ができただけで舞い上がるほど、片思いをこじらせている。同じクラスの猪乃原愛矢とはほとんど接点がなかったが、彼女も西目に恋をしていることを知ってからは、ライバルとして恋の駆け引きを繰り広げている。愛矢とはいつも西目のことでいがみ合っているが、少なからず友情も感じている。ちなみに西目を好きになったきっかけは、雨の日に自らが濡れてしまうにもかかわらず、傘を貸してくれたから。年の離れた弟の大橋けんすけがおり、「チカブー」と呼ばれて懐かれている。
猪乃原 愛矢 (いのはら あや)
生物担当教師の西目耕一に片思いをしている女子高校生。1年3組に在籍している。美化委員に所属しており、担当教師の西目とは授業以外でも何かと接点が多い。学校でも有名な清楚な美少女で、学年を越えて男子生徒たちからあこがれのまなざしを向けられている。また成績も優秀で、完璧すぎるが故に親しい女友達はいない。同じクラスの大橋チカともほとんど接点がなかったものの、彼女が西目に思いを寄せていることを知ってからは、水面下で恋の駆け引きを繰り広げている。ふだんはおしとやかに振る舞っているが、チカへの対応は辛辣で、西目の心を奪うためには手段を選ばない。チカとはいつも西目のことでいがみ合っているが、かかわる時間が増えるうちに次第に友情が芽生えていく。これまで友達がいなかったこともあり、チカとのかかわりを内心嬉しく思うことも多い。西目に好意を寄せるようになった明確なきっかけはなく、一目ぼれである。
西目 耕一 (にしめ こういち)
大橋チカたちが通う高校で、生物の教師を務めている若い男性。独身で恋人はいない。猪乃原愛矢、一色崇が所属する美化委員の顧問を務めている。天然気味で少し抜けたところがあるが、素直な性格で西目耕一自身は無自覚ながらも周囲から好意を寄せられることが多い。チカと愛矢から恋愛感情を抱かれていることは察しているが、10代特有の一過性のものだろうと鈍感を装って気づかないフリをしている。特撮戦隊シリーズ「ニャンレンジャー」の大ファンで、一人で劇場版映画を見に行ってグッズを買うほどハマっている。
一色 崇 (いっしき たかし)
大橋チカたちと同じ高校に通う男子。1年3組に在籍しており、猪乃原愛矢と同じ美化委員に所属している。サッカー部員で、1年生ながらもエースとして活躍している。ルックスもよく、女子生徒たちからも人気はあるが、一色崇自身はモテることを自覚していない。チカと愛矢が西目耕一に片思いをしていることは気づいており、不本意ながらも二人の恋の駆け引きに巻き込まれている。また、一途に西目を思うチカの姿を見ているうちに、異性として意識するようになる。
元木 (もとき)
大橋チカたちと同じ高校に通う上級生の男子。生徒会長を務めており、周囲からの信頼も厚い。成績優秀な優等生で、見た目もまるでアイドルのような整った容姿なことから、女子生徒たちのあこがれの存在。非の打ちどころのない完璧な人物のため、周囲からは男版「猪乃原愛矢」と評されることも多い。愛矢にアプローチを繰り返しているが、好きだからという感情よりも、元木自身の存在を際立たせるためのアクセサリーとしてしか考えていない。のちに愛矢のことはあきらめ、周囲からどう見られているかを気にしてばかりいる自分を叱ってくれた、西目耕一にあこがれるようになる。
大橋 けんすけ (おおはし けんすけ)
大橋チカの年の離れた弟で、姉のチカのことが大好き。特撮戦隊シリーズ「ニャンレンジャー」の大ファンで、チカにねだってニャンレンジャーの劇場版映画を見に行った際、偶然一人で鑑賞に来ていた西目耕一と知り合う。