概要・あらすじ
ミニマリスト生活を送っていたサラリーマンの山上は、ある日突然、奈良時代にタイムスリップしてしまう。そこで出会った下級役人・小野老に拾われた山上は、質素で物のない理想の生活を満喫する。そんな中、山上がなんとなく中学生時代に習った和歌の枕詞「あをによし」を用いて感動を伝えたところ、「あをによし」が老を通じて貴族のあいだにはやってしまう。そんな事がたびたび続いてあっという間に出世した老は、山上に仕官を持ちかける。
登場人物・キャラクター
山上 (やまがみ)
現代で極力物を持たないミニマリスト生活を送っていたサラリーマンの男性。朝、会社に行くためマンションのエレベーターに乗っている時に奈良時代にタイムスリップしてしまう。奈良時代に来てからは「山上(やまのうえ)」と呼ばれている。小野老に拾われ、小さな家での質素な暮らしという理想の生活を満喫している。もともとシンプルである事を愛し、添加物を拒絶した生活を送っていたため、奈良時代の暮らしや食生活に満足している。考え方に関してもシンプルで無駄のない事を信条としていたため仕事もよくでき、現代では後輩に尊敬されていた。また老からも、他人にない物を持っていると評価され、仕官を勧められている。実在の人物、山上憶良がモデルとなっている。
小野 老 (おのの おゆ)
平城京の下級役人だった男性。ある日、スーツ姿で立っていた山上を拾い、家に居候させるようになった。その際、彼が着ていたスーツとシャツ、ネクタイを譲り受けた。そのスーツを殿上人に献上したり、山上が口にした和歌の枕詞「あをによし」をはやらせた功績で、あれよあれよという間にスピード出世していく。山上を拾ってからいい事尽くしと喜んでおり、山上にも仕官を勧めている。自分より立場が弱い人間には非常に高圧的な態度を見せる。実在の人物、小野老がモデルとなっている。
余 (あまり)
山上と小野老が平城京内に引っ越した際、引っ越し先の家の中に住みついていた逃亡農民の男性。凶作の豊後国から逃げ出し、事情を聞いた老が小作人として雇う事になった。ただし、農業が嫌いなため基本的にはニートで、山上と老について来た鹿の世話だけをしている。
大伴 旅人 (おおともの たびと)
小野老が山上に教えてもらった、「蘇に塩とオリーブオイルをかけた物」を気に入って老を出世させた従四位下の貴族の男性。酒好きで、日がな一日酔っ払っている。また、「あをによし」の語感が気に入り、自分も流行り言葉を作りたいと考えて老や山上と親しくなった。非常に愉快な気持ちになった時、部下をバシバシ叩く癖がある。実在の人物、大伴旅人がモデルとなっている。
藤原 不比等 (ふじわらの ふひと)
正二位右大臣を務める男性。元々は現代で山上と同じくミニマリストとして活動しており、ネット上でも有名人だった。2年ほど前に奈良時代に来ており、その際に、本物の藤原不比等が亡くなったため、藤原不比等を詐称して成り代わっている。実は元来のミニマリストではなく、単に他人と違う事をしたいだけの人間だったため、真のミニマリストである山上と仲違いする。