世界観
舞台は天之御船学園という高校だが、登場人物がいずれも不幸体質を持つ生徒で構成されているのが、本作の最大の特徴となっている。そのため、学校のカリキュラムの中にも現実世界にはないような特殊なものが多数存在する。また、生徒はそれぞれ不幸の種類が異なっており、その不幸がキャラクターの個性を際立たせるアクセントとなっている。
あらすじ
生まれつき不幸体質を持つ花小泉杏は、名門校として名高い天之御船学園に入学する。そこで杏が配属された7組は、さまざまな不幸を背負う生徒が幸福になるために生活している、とんでもないクラスだった。その事実を知り戸惑う生徒たちの中で、ただ1人杏だけは「皆で幸せになれるなんて凄い」と目を輝かせていた。こうして、さまざまな不幸体質を持つクラスメイトに囲まれた杏のちょっと変わった学園生活が始まるのだった。
メディアミックス
TVアニメ
2016年4月から6月にかけて、大沼心監督によるTVアニメ版がAT-X、TOKYO MX、KBS京都、サンテレビ、BSフジにて放送された。キャラクターデザインは大島美和、音楽はMONACAが担当している。主なキャストは花小泉杏役を花守ゆみり、雲雀丘瑠璃役を白石晴香が務めている。
WEBラジオ
2016年4月から7月まで、毎月第2木曜日更新で、インターネットラジオステーション「音泉」にて『あんハピ♪しあわせラジオ』が配信された。パーソナリティは花小泉杏役の花守ゆみり、雲雀丘瑠璃役の白石晴香、久米川牡丹役の安野希世乃が務めている。
登場人物・キャラクター
花小泉 杏 (はなこいずみ あん)
天之御船学園の1年7組に所属する女子。この世に生まれてきてからすべてにおいて運がない、最強の不幸体質の持ち主。特に水運が悪く、よく水がらみのトラブルに巻き込まれている。しかし、本人は至ってポジティブな性格で非常に明るく人当たりも良い。大の動物好きながら、動物からは嫌われてしまうためなかなか可愛がらせてもらえない。 特技はほっぺが凄く伸びること。
雲雀丘 瑠璃 (ひばりがおか るり)
天之御船学園の1年7組に所属する女子。巻込まれ型の不幸体質の持ち主で、特に対人運がない。工事現場の看板が大好きで、過去にそのことを友達にからかわれたことでトラウマを抱えている。性格は一見クールだが実は姉御肌で面倒見が良く、世話焼きな一面もある。実は可愛いものが好きだが、自分のイメージには合わないと秘密にしている。 趣味は料理やお菓子作り。
久米川 牡丹 (くめがわ ぼたん)
天之御船学園の1年7組に所属する女子。異常なほどに病弱で不健康な不幸体質の持ち主。身体の至るところが弱く、人と握手をしただけで骨が折れてしまうほどだが治りは異常に早い。いつもニコニコとしていて物腰も柔らかいが、自分のことになるとかなりネガティブになる自虐的な性格。病院の院長の娘で、お金持ちのお嬢様。そのため、多くのブランド物の服を所持している。 さらに薬などの知識も豊富で、虚弱体質の自分の治療のために怪我をした際は素早く対応している。
萩生 響 (はぎゅう ひびき)
天之御船学園の1年7組に所属する女子。本人は認めていないが極度に方向音痴な不幸体質で、地図を見たり道を教えるのが大の苦手。幼なじみの江古田蓮に好意を抱いており、蓮に近づく者には過敏に反応し、敵視している。それは、たとえ相手が動物であろうとも変わらない。蓮以外の人と接する際には「貴様」呼ばわりするなど、基本的に上から目線でプライドが高い。 また負けず嫌いの性格で、どんな分野でも常に一番を目指している。
江古田 蓮 (えこだ れん)
天之御船学園の1年7組に所属する女子。人間はもちろん、犬、猫、鳥、牛、トラ、ウサギに至るまで性別がメスだと分類される生物をすべて魅了してしまう不幸体質の持ち主。いつもテンションは低めでボーッとしているが、幼なじみの萩生響に対しては厳しめのツッコミを入れている。何でも器用にこなすことのできる能力の高い人物だが、基本面倒臭がり屋なのであえてやらないことが多い。
狭山 椿 (さやま つばき)
天之御船学園の1年7組に所属する女子で、二学期の途中から登場する。日本人だが、隔世遺伝によりまるで外国人のような外見。極度の人見知りで、人と対面して話すことが大の苦手。しかし、天之御船学園の入試では高得点を叩き出し、鷺宮から直々に家まで挨拶に来られるほど頭脳明晰。また、プログラミングの腕にも長けており、チモシーをプログラミングしてしゃべらせたり、さまざまな機能を搭載させたりした。
チモシー
天之御船学園にいるウサギ型のロボット。特別幸福テストの一部であるジョブ相性バトルの際には、立体映像となって進行役を務めていた。人間と意思疎通もできる。普段は手足が短いが、いざという時は手足を長く伸ばし移動することもできる。
小平 (こだいら)
天之御船学園の1年7組の担任を務める女性教師。7組の授業をほとんど受け持っている。普段はニコニコしているが、生徒を叱責する際には非常に恐ろしい形相と威圧的な口調で相手を黙らせる。最高に運の悪い生徒を守るためにさまざまな資格を取っており、銃を扱える資格まで持っている。常に銃などの武器を所持しており、海外の特殊傭兵部隊にいたことがあるという噂もある。
鷺宮 (さぎのみや)
天之御船学園の勉強ができるクラス、1年1組の担任を務める女性教諭。常に白衣を着用しており、性格は真面目だが融通が利かない。他のクラスよりも能力が劣っている7組の生徒を快く思っておらず、7組の存在そのものに疑問を抱いている。また、勉強だけでなく家庭科や自分のスキルが活かせる分野では進んで何でもやるタイプ。
花小泉 桜 (はなこいずみ さくら)
花小泉杏の母親。久米川牡丹が初めて会った際に、姉と勘違いしたほどに見た目が若々しい女性。杏の不幸体質を気遣って家の中の危険地帯にクッションを置くなど優しい性格だが、自身も杏と同様に不幸体質の持ち主。
久米川 小百合 (くめがわ さゆり)
久米川牡丹の妹。姉とは違って、非常に健康体の女性。スポーツも得意で色んな部活の助っ人をしている。牡丹のことになると過保護になることが多く、牡丹のために巨大プールを作ったこともある。
梅婆 (うめばあ)
幸運の花の情報を知っているというおばあさん。頑固で気難しいため、花小泉杏が幸運の花を見つける際には話を聞くのも困難と思われていたが、江古田蓮を見るなり「天使」だと思い込み呆気なく幸せの花がある丘を教えてくれた。
ホッキョク太郎 (ほっきょくたろう)
子ども向け番組の主役を務める四足歩行のウサギ。白熊を倒せるほどの高い戦闘能力を持っている。しゃべることができないため基本的に感情は心の声で表現されている。花小泉杏は、ホッキョク太郎がボス白熊を倒した後に手を差し伸べて「同じ北の大地に生きる仲間じゃねえか」と言うシーンが大好き。
教授 (きょうじゅ)
小平から「教授」と呼ばれている男性。小平とは顔見知りで、久しぶりに再会した際にはひざまずかれていた。また、花小泉杏のことも昔から知っている。小平に笑顔を教え込んだ人物でもある。
工事現場の看板 (こうじげんばのかんばん)
工事現場にある、男性のイラストが描かれている看板で雲雀丘瑠璃はこの看板が大好き。瑠璃が足しげく工事現場に通う理由ともなっており、小中学生の頃はこのことが原因で友達にひどく馬鹿にされたりからかわれたりしたことがあり、トラウマとなっている。瑠璃はこの看板の写真をパスケースに入れて大切に持ち歩いている。
集団・組織
7組 (ななくみ)
天之御船学園の不幸体質の生徒だけを集めた特別クラス。その目的は不幸体質を克服したうえで幸せになること。このクラスの生徒は幸福になるための特別授業の受講を義務づけられている。
場所
天之御船学園 (てんのみふねがくえん)
花小泉杏が通う高校で、勉強も運動も専門的なクラスがある。周囲からも名門校として認知されている。それぞれ所属するクラスによって勉学、スポーツのスペシャリストを育成することを目的としている。7組は不幸体質の生徒を集めた特殊なクラスとなっている。
七組専用課外授業施設 (ななくみせんようかがいじゅぎょうしせつ)
天之御船学園の校内にある7組専用の課外授業施設。生徒が自らコマとなりすごろくをする屋内施設で、前半はわりと普通のマスが多いが、後半になると「好きな人の名前を発表する」など普通ではないマスが多数用意されている。
ベリハピ
天之御船学園の近くに新しくできたカラオケ店。兄から余っていた大量の30%オフ券を譲られた江古田蓮が、花小泉杏やその友達数人で訪れた。ここでも杏は不幸体質を発揮し、マイクをダメにしてしまう。
イベント・出来事
開運オリエンテーリング (かいうんおりえんてーりんぐ)
7組で行われるオリエンテーリング。天之御船学園の近くにある開運パワースポットとなる小山を3人一組となって回るもの。開運初心者用のコースだったが、花小泉杏はお弁当を猿に取られたり川に流されたりクマに襲われたりと、散々な不幸に苛まれて小平を驚かせていた。
林間学校 (りんかんがっこう)
天之御船学園の行う林間学校。所属するクラスにより行き先が異なる。7組は三度ほど施設を火の海にしたことがあるため、生徒が料理を作るなどの火を使用したイベントは催されていない。周りを壁で囲まれている敷地内で箱庭鬼ごっこなどが開催された。
文化祭 (ぶんかさい)
天之御船学園の行う文化祭。7組の出し物は「演劇」。小平が7組の生徒に書かせた「将来なりたいもの」のアンケートで答えたものになりきって行う即興劇で、ランダムに決められた順にステージに出て、その役を最低5分間演じなければならない。クラスの生徒が全員参加することが決められている。
体育祭 (たいいくさい)
天之御船学園の行う体育祭。勉学クラスはこの日「一日耐久五教科試験マラソン」を実施しているので参加せずに、体育クラスと7組が参加するイベント。午前中は玉転がしやパン食い競争などの普通のプログラムだが、午後は全員参加の競技ビンゴ☆スペシャルレースなど少々変わった種目が登場する。
その他キーワード
魔のループゾーン (まのるーぷぞーん)
七組専用課外授業施設において行われたすごろくで、7組の生徒が全員避けて通りたいと思っているルート。このすごろくにおいての罰ゲーム的なルートで、「ロシアン牛乳」「科学クイズ」「ドキドキ衣装ロシアンルーレット」など怪し気なマスばかりある。
77 (せぶんてぃせぶん)
七組専用課外授業施設において行われたすごろくで、最下位の組が決まらず時間切れとなった場合に行われるデスマッチ方式のすごろく。ルールはサイコロを2つそれぞれのチームで交互に投げ、サイコロの目の合計をポイントとして加算していき、先に77点へたどり着いた方が勝ち。ゾロ目がでた場合は、お題をクリアすればさらに得点をもらうことができるが、6のゾロ目が出た際にはそれまでの合計点数がリセットされる。
幸運の花 (こううんのはな)
天之御船学園の近くにある小高い丘にあると言われている花。実際は花ではなく、丘の背後にある木々でできたアーチが夕日に照らされることでできる、花の形をした光のことである。めったに見られないことから「幸運の花」の名前で呼ばれている。
夏の輝きと切なさと愛しさの岩塊 (なつのかがやきとせつなさといとしさのふぇるぜん)
萩生響が調理実習で作った食べ物。見た目は普通のおにぎりだが、中にはスイカと砂糖が入っている。響いわく「野菜兼デザート」という自信作だが、試食した江古田蓮はすぐに吐き出していた。鷺宮の評価も低く-300点という点数を付けられていた。
特別幸福テスト (とくべつこうふくてすと)
7組専用の特殊枠試験のこと。期末試験の一部で幸福を計測するためのテストとなっている。この試験は「心理性幸福度テスト」と「実技幸福度テスト」の2種類が存在する。詳細は試験当日まで知らされないので予習することができない。
ジョブ相性バトル (じょぶあいしょうばとる)
特別幸福テストの「実技幸福度テスト」の中で行われたもの。生徒が2人で行う対戦方式のもので、火・水・風・地・空という5つの属性が運によって決められ、その属性の相性で勝敗を決めるというもの。また、生徒は各属性ごとに衣装がチェンジされる。
箱庭鬼ごっこ (はこにわおにごっこ)
7組が林間学校で行った鬼ごっこ。生徒側は5人一組となり、鬼である小平とチモシーから逃げるルールとなっている。どのように逃げても隠れてもいいが、上位優秀チームから豪華な部屋と食事が与えられることになっているため、生徒は本気モードになっていた。
和風カフェ (わふうかふぇ)
天之御船学園の文化祭で1年1組が行った出し物。お茶を楽しめる本格的カフェで、クラス全員に茶道の様式から抹茶の点て方まで念入りに指導されている。指導したのは担任を務める鷲宮。
KY訓練・活動 (きけんよちくんれんかつどう)
7組で行われた幸福授業。不幸体質の生徒が不幸を回避するためにあらかじめ降りかかるであろう不幸を予知・予防するというもの。小平いわく「中規模な不幸、大きな不幸さえも事前に食い止めることが可能」とのことだったが、花小泉杏はSランクの不幸を引き寄せてしまうのでほとんど意味をなさなかった。
炎と共に去りぬ (ほのおとともにさりぬ)
萩生響と江古田蓮が見に行った恋愛映画で、チケットは響が用意した。蓮は「展開が面白くていい映画」と評していたが、響は1時間半もの間、蓮の横顔に見とれていて映画を見ていなかった。
ストレッチの基本 (すとれっちのきほん)
花小泉杏が図書室で見つけた本。さまざまなストレッチ方法が書いてあり、体育祭に向けて軽く身体を動かすという名目のために使用した。しかし、杏の不幸体質によりストレッチ自体がまともにできなかったり、久米川牡丹が負傷したりと効果はなかった。
競技ビンゴ☆スペシャルレース (きょうぎびんごすぺしゃるれーす)
体育祭の午後の部で行われた生徒全員参加の競技。同じクラスの同性生徒と2人一組になり、ビンゴカードに明記されている競技をクリアしてビンゴを完成させるというもの。また、移動中はペアとずっと手を繋いでいなければならない。