焼いてるふたり

焼いてるふたり

作者・ハナツカシオリの代表作。マッチングアプリで出会った福山健太と福山千尋は、友人として時々会って食事をするだけの関係だったが、健太の転勤が決まったことをきっかけに、千尋の方から結婚を提案。二人は交際ゼロ日での東京浜松間の遠距離結婚を決める。互いのことを詳しく知る前に夫婦になった二人が、週末のスローライフをのんびり楽しみながら徐々に仲を深めていく姿を描く、結婚から始まる恋のステップアップストーリー。講談社「モーニング」2020年43号から掲載の作品。2024年7月テレビドラマ化。

正式名称
焼いてるふたり
ふりがな
やいてるふたり
作者
ジャンル
夫婦
 
料理
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
既刊17巻
関連商品
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あらすじ

運命の出会い

30歳の福山健太は、結婚したい気持ちはあるものの出会いがまったくなかった。そのため、マッチングアプリを利用するようになるが、肝心の出会いがない状況が続いていた。そんなある日、健太はマッチングアプリで知り合った四人目の女性と会う約束をしていたが、遅刻するとの連絡を受け、また今回もだめだったかと肩を落とす。これまでの経験から、遅刻の連絡は約束をすっぽかすための常套句であることを知っていた健太は、メッセージに返信しないまま店をあとにする。すると、そこに来ないと思っていた約束の相手・福山千尋が姿を現す。待ち合わせの店を出てしまった健太は、思いがけない美女を前に動揺し、テンパりながら急遽連れて行った店は、なんと七輪で焼くスタイルの庶民派の焼肉屋だった。自分の大失敗を後悔しつつ、肉の焼き方を丁寧にサポートするなど、趣味のバーベキュースキルを生かしてその場をやり過ごす。なんとなく気が合った二人は、それからも時折会って食事をする関係を続けたが、付き合っているわけでもなく、特段なんの進展もなかった。そんな中、健太は会社から浜松への転勤を言い渡される。健太は千尋に運命の出会いを感じ、千尋のことがもっと知りたいと思っていただけに、落ち込んでしまう。そして健太は、千尋に転勤の事実を伝え、これまでの関係が続けられなくなったことを打ち明ける。しかし千尋が口にしたのは、「私たち、結婚しませんか?」という思いがけないものだった。その後、二人は互いに素の自分を出して人に嫌われるのが怖いという、共通点があることを知る。そして健太は、もっと相手を知りたい、もっと自分のことを知ってほしいと思える人に出会ったと断言する千尋の提案を受け入れ、二人は交際ゼロ日での結婚を決める。結婚後は、東京で仕事を続ける千尋が、毎週末に健太の住む浜松の家を訪れるという週末婚スタイルで、遠距離間での新婚生活をスタートさせる。そんな二人の共通の楽しみは、庭でのバーベキューだった。まだお互いをきちんと知らないままの二人は、週末婚を楽しみながら、時間をかけてじっくりと仲を深めていく。

夫婦

福山千尋は会社を辞め、元上司・宇佐美の事務所を手伝いたいという思いを福山健太に打ち明ける。自分がフリーランスになれば在宅での仕事が可能となり、浜松に引っ越すことができるという期待があってのことだった。そんな中、健太はキス以上のことをしたいという気持ちはあっても、思うようにスマートに振る舞えない自分に苛立ちを感じていた。そんな健太の思いをくみ取り、千尋は気負わないスキンシップを提案し、手をつなぐところからのんびりと始めようとする。そんな千尋は、会社を辞めることを入社以来世話になっていた上司・伏見に伝えることができないでいた。週末、千尋はそのことを健太に相談するが、予想外にもこれが初の夫婦げんかに発展し、千尋は混乱してしまう。その後、健太との仲直りを経て、勢いに乗った千尋は伏見に退職の意思を伝えることに成功する。その後、二人にとってハードルが高かった結婚指輪も無事購入し、少しずつ物事が進んでいくことを実感した千尋は、頑張った自分にご褒美が欲しいと、思い切って健太にハグを要求する。健太は動揺しながらも、千尋からの要求に応えてたどたどしく抱きしめるが、千尋がハグ以上のことを望んでいると気づいた健太は、そんな千尋の気持ちから逃げてしまう。

十日間

福山健太は中学生の頃、好きだった先輩からせがまれて図書室でキスをしたが、それ以降その先輩から無視され続けるようになった過去があった。それがトラウマとなった健太は、女性とどう接したらいいのかわからないまま大人になってしまう。嫌われることを恐れるあまり行動を起こせずにいた健太は、福山千尋にどう接したらいいのかわからずにいた。そんな精神的抑圧に悩んでいた健太だったが、自分が千尋から逃げることで、千尋を傷つけたことも十分に理解しており、なんとか現状を打破するしようと努力を開始していた。戸田からのアドバイスを受け、映画を観てロマンチックな雰囲気を作ろうとした健太は、庭にプロジェクターを用意し、ポップコーンも準備してリラックスした状況で二人で映画を見始める。そして二人は映画を楽しんだのち、自然体で千尋にキスすることに成功する。そんな中、退職に先駆けて、千尋は有給の消化と夏休みを利用して、浜松の家で健太と過ごそうと考えていた。朝は「いってらっしゃい」のキス、そして愛妻弁当を持参して出社し、仕事から家に帰ると千尋がいる。そんなベタな新婚生活を楽しむイベントが盛りだくさんで、健太と千尋は互いに新婚生活のくすぐったさに悶絶しながらも、幸せな時間を過ごすのだった。そんな生活が8日目を迎えた頃、あと2日で千尋が東京に帰ってしまうことにふと思い至った健太は、河原で楽しんだバーベキューからの帰り道、ナーバスになって家に帰りたくないと言い出す。

テレビドラマ

2024年テレビドラマ化。7月4日より読売テレビ、中京テレビほかにて放送。主人公の福山健太を黒羽麻璃央、福山千尋を松村沙友理が演じる。

登場人物・キャラクター

福山 健太 (ふくやま けんた)

メーカーでエンジニアを務める男性。年齢は30歳で、結婚願望はあるものの出会いがまったくない。しかし友人から、それは甘えだと言われたことがきっかけで、マッチングアプリを始めた。だが、やり取りの途中で音信不通になるほか、実際に会う段階になってもドタキャンされること三回。現実はアプリでも出会いがないと落胆する中、四人目の福山千尋と運命の出会いを果たす。基本的にはポジティブ思考だが、要領の悪さからうまく立ち回れない自分に自信がなく、相手に嫌われるのが怖くて恋愛には臆病になりがち。千尋と出会った時のアクシデント的な状況により、思いがけず飾らない場所でいっしょに焼き肉を食べたことで、千尋には最初からある程度自分の素を出すことができた。これをきっかけに、時折会っていっしょに食事をする関係となる。すべてはこれからと思っていた矢先、会社から浜松への転勤の辞令を受ける。やむを得ずに千尋との関係に終止符を打とうとしたが、千尋から思いがけず結婚の提案がなされ、交際ゼロ日で結婚することが決定。その後、週末婚という形で東京と浜松を行き来する遠距離結婚生活を始める。結婚したら奥さんと庭でバーべキューするという長年の夢をかなえるため、浜松に一軒家を借りる。妻となった千尋のことが好きすぎて、何かと突っ走っては我に返って後悔、反省を繰り返している。千尋とは手をつなぐところからなかなか前に進まないでいるが、実は、中学生の時に好きだった先輩とキスしたものの、それ以降無視され続けたのがトラウマとなり、それ以来女性とどうやって接したらいいかわからなくなっている。千尋から行動してくれることに助けられ、時間をかけて慎重に少しずつ関係が進展していく。生まれ育った那須の実家では、もともと親戚が集まってバーベキューをする環境で育った。バーベキューが趣味で、特に火を見ることが大好き。また、料理全般を器用にこなすことができるが、アウトドア的な外食に走りがち。バーベキューに関しては積極的になり、饒舌となる。

福山 千尋 (ふくやま ちひろ)

広告代理店でデザイナーを務める女性。有名ファッションビルの広告デザインも担当している。クールな外見と口数の少なさから、周囲には冷たい印象を与えがちだが、そんな思い込みをすべて受け入れ、相手をがっかりさせないように配慮して生きてきた。だが、マッチングアプリで福山健太と出会い、アクシデント的な状況から思いがけず飾らない場所でいっしょに焼き肉を食べることになった。そして、相手に嫌われるのが怖くて自分をさらけ出せないという健太の言葉を受け、親近感を感じる。これがきっかけで時折会っていっしょに食事をする関係に発展するが、健太が浜松への転勤の辞令を受けることとなる。それを知った福山千尋は、健太に思い切って結婚を提案し、交際ゼロ日で結婚することが決定。千尋自身は東京に住んで仕事を続け、週末婚という形で東京と浜松を行き来する遠距離結婚生活をすることになった。その後、健太との時間を共有したい思いから今の会社を辞めることを考え始める。元上司・宇佐美の事務所でフリーランスとして働けば、浜松に引っ越して在宅で仕事が続けられると考え、実行に移そうとするが、生真面目な性格から、今の上司である伏見になかなか言い出せずにいた。実は外見からは想像できないほどスキだらけで、意外と情熱的な一面を持ち、行動力があり、思い立ったらすぐ行動するタイプ。一方で生の人参が苦手だったり、健太に会いに行くのが楽しみすぎて眠れなくなったりするなど、子供っぽいところがある。料理は少々苦手だが、料理動画を繰り返し見てカレーを作ったり、健太にお弁当を作ってあげたりと、料理に対する意識が少しずつ変化していく。また健太との関係は、手をつなぐところで止まっており、その先になかなか進めないが、自分から積極的にほっぺにキスするなど、時間をかけながら少しずつ進展させていく。母親を早くに亡くしたため、男手一つで育てられた。千尋の父からは溺愛されているが、何かと心配しすぎる父親に対し、厳しく接しがち。旧姓は山口。

三船 (みふね)

福山健太が転勤した浜松の会社で働いている男性。健太の後輩にあたる。健太とは浜名湖へ釣りに行ったりして、プライベートでも交流がある。遠距離結婚となった健太ののろけ話をよく聞いているが、妻の福山千尋が浜松に来るたびにバーベキューをしていることを知り、デートに行かないのかと素朴な疑問を投げかけたことで、二人がデートをするきっかけをつくった。

戸田 (とだ)

福山健太の元同僚で、現在も東京で勤務している男性。同期の健太からはよく福山千尋との恋愛相談を受けていた。健太が浜松に転勤したあとも連絡を取り合っており、二人が結婚した際には、お祝いとして大量のビールを送った。口は悪いが面倒見がいい性格で、結婚後も二人のことを気にかけている。千尋との関係を前進させたい気持ちにあふれる健太から、ロマンチックなムードの作り方を聞かれ、恋愛映画を観てドライブし、夜景でも見に行けばと半ば投げやりに答えた。

宇佐美 (うさみ)

福山千尋の元上司の男性。ノリが軽く、チャラい雰囲気を漂わせている。ちょっと強引なところがあるが、部下思いの優しい性格をしている。現在はデザイン事務所を起業し、千尋を自分の会社にスカウトし続けていたが、断られていた。最近、福山健太と結婚したことで、千尋が自分の誘いに乗ってきたため、千尋の退社に向けて協力している。千尋の結婚相手がどんな男性か気になり、東京に来ていた福山健太とバーベキューを楽しんだことで、健太の人となりを知って安堵した。

伏見 (ふしみ)

福山千尋の直属の上司にあたる女性。仕事には厳しいタイプながら、千尋とは上司と部下というよりも姉妹のような関係。千尋が入社した当時から面倒を見続けており、非常にかわいがっていた。仕事中、千尋から話があると言われたが、忙しかったために終業後に飲みに誘った。久しぶりに千尋と飲める嬉しさから、酒が進んで酔っぱらってしまい、千尋の話を聞かないままとなる。千尋から結婚の報告を受けた時にも、べろべろに酔って眠ってしまう醜態をさらしたことがあった。結局、後日千尋から退職を考えている旨の連絡を受け、退職を承諾する形となった。千尋を手放すことの惜しさを感じる一方で、独立を決意した千尋を全力で応援している。人に気を遣いすぎる千尋に対して、身近な人はもっと信用し、甘えていいと温かい言葉を贈った。

千尋の父 (ちひろのちち)

福山千尋の父親。妻を早くに亡くし、一人娘の千尋を男手一つで育ててきた。研究者として大学にこもりっぱなしの日常を送っていたため、千尋に寂しい思いをさせたのではないかと今でも心を痛めている。料理をはじめとする家事のいっさいが苦手だが、妻が生きていた頃から毎朝コーヒーを淹れることが日課となっているため、コーヒーをおいしく淹れるのがうまい。表面上、理想の父親像を演じようとしているが、千尋を溺愛するあまり融通が利かず、千尋からは叱られることが多い。ある時千尋から、会社を辞めて浜松に引っ越すことを報告され、動揺してしまう。結婚に反対しているわけではないが、千尋のことが心配で、二人の様子を見に浜松までついて行った。結局福山健太に見つかるが、健太から誘われて二人の家に一泊させてもらうことになった。三人で食事を共にした翌朝、日課であるコーヒーを淹れ、健太に対して素直な気持ちを伝え、心配やわだかまりがなくなった。

書誌情報

焼いてるふたり 17巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2020-12-23発行、 978-4065215395)

第2巻

(2021-03-23発行、 978-4065223864)

第3巻

(2021-06-23発行、 978-4065234877)

第4巻

(2021-09-22発行、 978-4065245583)

第5巻

(2021-12-23発行、 978-4065262566)

第6巻

(2022-03-23発行、 978-4065269961)

第7巻

(2022-06-22発行、 978-4065280539)

第8巻

(2022-09-22発行、 978-4065290194)

第9巻

(2022-12-22発行、 978-4065300091)

第10巻

(2023-03-23発行、 978-4065308608)

第11巻

(2023-06-22発行、 978-4065318232)

第12巻

(2023-09-22発行、 978-4065328385)

第13巻

(2023-12-21発行、 978-4065337752)

第14巻

(2024-03-22発行、 978-4065349212)

第15巻

(2024-06-21発行、 978-4065357750)

第16巻

(2024-07-23発行、 978-4065359839)

第17巻

(2024-09-20発行、 978-4065367292)

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