いぬぼの

いぬぼの

いがらしみきおの『ぼのぼの』のセルフパロディ作品。擬人化ならぬ「擬犬化」したキャラクターたちが、お互いに交流を深めたり、時には縄張り争いを行うなど、シュールでほのぼのとした日常が描かれている。登場人物たちのキャラクター付けはパロディ元と大きく変わらないが、四足歩行であったり、嗅覚が優れていたりするなど、犬としての生態が強調されている。「月刊まんがくらぶ」2018年8月から2019年10月にかけて連載された作品。

正式名称
いぬぼの
ふりがな
いぬぼの
作者
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あらすじ

第一巻

東の森では、多くの特徴的な犬たちが寄り合って暮らしている。犬の少年であるぼのぼのは、シマリスくんアライグマくんなどといった犬の仲間たちといっしょに、大将さんの子供であるボーを捜したり、北の森の犬たちとのケンカに巻き込まれたりしながらも、ゆるく平和な日々を過ごしていた。そんな中、ぼのぼのはタカに子犬がさらわれるというアクシデントや、ぼのぼのと似たような姿をしたのぼとの出会いなどを通じて次第に外の世界に興味を持つようになる。そして、ついにはおとうさんに一人暮らしを始めたいと言い出すのだった。

登場人物・キャラクター

ぼのぼの

ラッコのような姿をした、犬の少年。自分が犬であることを楽しんでいる節があり、「犬ってなんだか楽しいよ」が口癖。聴覚と嗅覚に優れている一方で、足が遅くかけっこが苦手。犬でありながら犬食いを行儀が悪いと思っていたり、おしっこをするのを恥ずかしがったりと、変なところで羞恥心が強い。一方で、においを嗅ぐのが大好きで、大将さんがボーとはぐれて困っていた時は、においを頼りにボーを捜そうとするが、次第ににおいを嗅ぐこと自体に夢中になっていた。のんびりとした性格だが好奇心旺盛で、よく新しいことにチャレンジしようとするが、仲間内にはなかなか理解されない。ぼーっとしているようで意外と頭の回転が速く、物事の核心を突いた発言を行うことも多い。つねに貝殻を所持しており、本人によれば、これを持っていると落ち着くらしい。ふだんはシマリスくんやアライグマくんなどといった友達と遊んだり、おとうさんといっしょに行動したりしているが、北の森の犬たちとケンカをしたり、よその土地からやって来たのぼと交流を深めたりするうちに、森の外に広がる世界に興味を持つようになる。

シマリスくん

シマリスのような姿をした、犬の少年。「ひゃんひゃんひゃん」と、やや変わった声で吠える。ぼのぼのやアライグマくんと大のなかよしで、よくいっしょに遊んでいる。ぼのぼのとは対照的に走るのが得意で、ぼのぼのに走るコツを教授したこともあるが、致命的に説明が下手だったため、参考にされなかった。食い意地が張っており、木の実を見つけるとすぐに飛びついて犬食いしてしまう悪癖を持つ。これはぼのぼのやアライグマくんにも認知されており、自慢の脚力を頼りにスナドリネコさんを追いかけようとした時も、木の実を見つけたらすぐにあきらめるだろうと予想され、実際に木の実を見つけるや否や、スナドリネコさんを放置して犬食いを始めている。なお、「シマリスくん」の名前の由来は、本人いわく「シマリスに似ているから」とのこと。

アライグマくん

アライグマのような姿をした、犬の少年。ぼのぼのやシマリスくんと仲がよく、いっしょに遊んでいることが多い。どちらかといえばおっとりとしたマイペースな性格の彼らと異なり、やや短気なところがある。一方で、時折非常識な言動を見せるぼのぼのやシマリスくんに吠えつつツッコミを入れるなど、常識的な一面も併せ持つ。シマリスくんやクズリさんと同様に犬食いをするが、自分以外の誰かが犬食いをするのは気に入らない。ヒノキを好んでおり、中でもヒノキの根元のにおいが大好き。体にヒノキのにおいを付けたあとに、倒木に乗って遠吠えをするのが何よりの楽しみであると豪語しているが、ぼのぼのたちからはこれに対し、「こだわりが深すぎる」と言われている。

クズリさん

クズリのような姿をした、犬の青年。ぼのぼのやアライグマくんと家族ぐるみの付き合いをしている。匂いに強いこだわりを持っており、ぼのぼのとおとうさんに対して、匂いの嗅ぎ方についてレクチャーしたり、「匂いの森」と呼ばれる森に連れていったことがある。また、大人でありながら犬食いをする癖があり、アライグマくんから差し入れられたアジオシの実を、事もあろうにアライグマくんや、彼と同行していたぼのぼの、シマリスくんの前で犬食いしたため、アライグマくんから苦言を呈されたこともあった。

スナドリネコさん

スナドリネコのような姿をした、犬の青年。秘密主義な一面があり、ぼのぼのやシマリスくん、アライグマくんから興味を抱かれた際は、全速力で逃げ出そうとしたことがある。足の速さは折り紙付きで、同じく駆け足が速いシマリスくんにもせまるほど。魚を食べるのが大好きで、川を眺めては獲物となる魚を狙っている。

おとうさん

ラッコのような姿をした、犬の男性。ぼのぼのの父親。息子に似て好奇心が強く、新しいものを発見してはぼのぼのと二匹で騒ぐことが多い。散歩を好んでいるが、その理由も好奇心に由来するものであると自ら語っている。それが高じてか、物知りな一面があり、いっしょに散歩などをしている最中にぼのぼのに新しい知識を披露しては、感心されている。その一方で、自分で木の枝などを遠くに放り投げて、それを自分で取りに行くなど、一見すると意味がなさそうな行動を好むこともあり、そんな時は若干白い目で見られている。また、ぼのぼのに自分のおなかのにおいを嗅がせるのが好きで、彼がにおいのことを話すたびに、おなかのにおいと絡めようとする。大将さんとは大人同士ということもあって仲がよく、たびたび気が合う素振りを見せている。

大将さん (たいしょうさん)

クマのような姿をした、犬の男性。ふだんは洞窟の中で、妻や息子のボーといっしょに暮らしている。体が大きく性格は穏やかであるため、多くの犬たちから頼られている。また、威圧感に近い風格を備えており、子犬を連れ去ったタカを脅かして、子犬を解放させたこともある。ぼのぼのやおとうさんとは家族ぐるみで交流があり、特におとうさんとは大人同士ということもあって仲がよく、たびたび気が合う素振りを見せている。吠え声に貫禄があり、ぼのぼのから吠え方の教授をお願いされたこともあった。

ボー

クマのような姿をした、犬の少年。大将さんの息子で、ぼのぼのからは「コヒグマくん」と呼ばれている。体のにおいが独特で、ぼのぼのからは「洞窟のにおいに、少しイナゴのにおいが混ざった感じ」と表現されている。ぼのぼのやシマリスくんなどと違い、社交的ではなく率先して外で遊ぶような性格ではないが、時折好奇心から一人で出かけることがある。ただし、その過程で迷子になってしまい、大将さんやぼのぼのたちに心配をかけたこともあった。

北の森の犬 (きたのもりのいぬ)

「北の森」と呼ばれる場所に住んでいる、犬の少年。ぼのぼのたちの住む「東の森」を通りがかった際に、ちょうどアライグマくんと遭遇するが、警戒するあまり吠えてくるアライグマくんとケンカになる。そこに現れたぼのぼのによって仲裁されるが、さらにこじれる結果となり、北の森の犬が仲間を呼ぶことで騒ぎを大きくしてしまう。しかし、それを聞いた大将さんが、北の森に住む大人の犬と直談判をしたことで、アライグマくんと仲直りすることができた。

シシローくん

イノシシのような姿をした、犬の少年。ぼのぼのの家の近所に住んでいる。3日ほど前から母親と連絡が取れず、現在はすっかりふさぎ込んでしまっている。ぼのぼのやおとうさんからもその様子を心配されており、母親の捜索に協力してもらった。その末に、崖から落ちてケガをしている母親を捜し出すことができ、再会を喜ぶと同時にぼのぼのやおとうさんに深く感謝した。

小さき (ちいさき)

ぼのぼのやシマリスくんが、森の中で出会った小さな犬。おとなしい性格だが、警戒心がまるでなく、初対面のぼのぼのやシマリスくんを前にしても臆することなく、のんきに歯ぎしりをして見せていた。のちにタカに狙われるが、それに気づかずにいたため、ぼのぼのやシマリスくんを焦らせた。そしてついにはタカに捕まってしまい、爪でつかまれたまま空に連れ去られる。それを見たぼのぼのとシマリスくんは慌ててあとを追うが、大将さんによって救出されており、駆け付けた彼らを安心させた。

アナグマちゃん

アナグマのような姿をした、犬の少年。タカが小さきを連れ去ろうとした際にタイミングよく現れ、さらに長い棒を咥えていることから、タカを追い払うのではないかとぼのぼのやシマリスくんから期待された。しかし実際には、タカを追い払うどころか、なんの反応も示さないまま立ち去ったため、ぼのぼのやシマリスくんから失望されてしまう。

タカ

小さきを狙って飛び回っているタカ。ぼのぼのやシマリスくんに警戒されていたものの、肝心の小さきはまったく反応を示さないままのんびりしていた。そのため、あっさりと爪でつかんで連れ去ることに成功し、ぼのぼのたちを大いに焦らせた。しかし、飛んでいる最中に大将さんに吠えられたことで大いに驚き、小さきを落として逃げ去った。

のぼ

ラッコのような姿をした、犬の少女。森の外から訪れたところ、偶然通りがかったアライグマくんからぼのぼのに似た容姿に興味を持たれ、やがて彼を介してぼのぼのと知り合った。ぼのぼのに負けず劣らずのマイペースな性格で、自分に似た姿のぼのぼのを見かけても、互いに興味を持つことなく素通りしようとするなど、行動パターンもぼのぼのと似通っている。一方で、きれいな風景などが大好きで、見ると嬉しさのあまり駆け回るという癖を持つ。のちにおとうさんと合流し、彼の勧めで共に海に行ったところ、初めて見る光景に感動していた。

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