あらすじ
オオカミのボスはうさぎ
ある時二匹のオオカミが、一匹のうさぎに窮地を救われる。二匹は命の恩人となった彼に恩義を感じ、やがて「ボス」と呼んで慕うようになる。ボスもまた彼らを気に入り、それぞれに「コマツナ」「バナナ」というあだ名を付ける。そして二匹を従えて、すべてのうさぎが幸せになれる国を作り上げるために旅に出る。ボスは趣味である穴掘りに興じたりと勝手気ままな振る舞いで、コマツナたちは振り回されながらも、ボスのあとをついていく。さらにボスは、かつてコマツナたちを苦しめ、群れを脱走するきっかけをつくったシイタケを懲らしめたり、自分と同じく各地を巡っている旅うさぎから、うさぎの国が実在するなどの助言を受けたりして、理想の実現に近づいていく。そんな中、ボスたちは小鹿のコムギ子と出会い、彼女から10メートルもの長身のでかいクマに食料を貢がされていることを聞かされる。ボスたちは、彼女の案内ででかいクマの住処へと赴くが、そこにいたでかいクマは、10メートルとまではいかないが3メートルほどの大きさで、ボスやコマツナたちの数倍以上の体軀を誇っていた。ボスたちは、コムギ子とその仲間から食料を横取りするのをやめさせようとして、その最中にまったく関係ないことでケンカを始め、でかいクマを困惑させるが、その時でかいクマの背後から、彼に悪さをするように焚き付ける声が響く。実はでかいクマは、もともとコムギ子たちの食料を奪うつもりはなかったが、彼のそばにいつの間にか住み着いていたシャケにそそのかされた結果、このような暴挙に及んだことが判明する。シャケはでかいクマをけしかけてボスたちを襲わせようとするが、その際にボスがシャケはクマの食糧であることを暴露すると、でかいクマはシャケに反逆し、彼を両断してしまう。
うさぎと合コン
男性との出会いを求めて合同コンパに参加したひとみは、参加者の一人であるタクヤに心を奪われる。そして、なんとかして彼に気に入られようと、自分が魅力的な女性であることをしきりにアピールしようとする。しかし男性陣の注目は、ひとみといっしょに参加していたきなこもちに集まっていた。きなこもちは、顔を洗ってみせたり、自らのふわふわの体毛を触ることをうながしたりするなど、うさぎならではの愛らしさを存分に発揮して、たちまちタクヤからも気に入られる。きなこもちに対抗心を抱いたひとみは、必死にタクヤの気を引こうとするものの人気を奪い返すことができず、結局、きなこもちのかわいらしさに完敗し、合同コンパが終了するまでタクヤからはいい反応を得られなかった。タクヤどころか男性陣の誰からも気に入られなかったひとみは、人気を独占したきなこもちについきつく当たってしまい、「ひとみに彼氏を作って欲しくなかった」というきなこもちの言葉を聞いてますます唇を尖らせる。しかし、きなこもちがひとみに彼氏をつくってほしくない理由が、いっしょに遊べなくなることを憂うためのものだったと知ると、ひとみは自分が意固地になっていたことを素直に認め、きなこもちに対する態度を軟化させる。
新入社員はうさぎ
見吉大悟は、勤めている会社で新入社員の面倒を見るように言い渡される。見吉はどのような後輩が入ってくるのか気にしていたが、新人として現れたのはなんと、うさぎの二階堂モコモコだった。見吉は、うさぎがしゃべることや、そもそも人間社会で働いているという事実に驚愕するが、そんな彼に対してモコモコは、「しゃべれるからこそ人間社会で働ける」と、微妙に答えになっていない反応を返す。こうして見吉はモコモコの教育係となり、彼の突拍子のない行動や相手をけむに巻くような発言に苦労させられつつも、息の合った漫才のようなやり取りで、なんだかんだでお互いに認め合うようになる。さらに、耳小路たれまろの恋愛相談に乗ったり、ライバル会社の社長である西園寺ぷうすけと直接交渉したりするなど、幾度も修羅場をくぐり抜けていく。見吉は、モコモコの妹である二階堂ふわふわに対する会社案内を滞りなく行ったことで、やがてモコモコ以外の社員たちからも一目置かれる。それから1年後。見吉やモコモコの部署に、新入社員の道明寺ぽこが配属される。見吉はうさぎが増えることに不安を覚えるが、さらにモコモコがぽこの教育係を任されたことを聞かされ、戦慄する。しかし、ぽこは稀に見るほどの優れた毛ざわりの持ち主で、見吉や遠ヶ峰を途端に魅了する。モコモコはそのことに嫉妬するが、試しにぽこの体に触れてみたところ、自らもたちまちその毛並みの虜になってしまう。それでもモコモコはぽこに対して厳しいながらも優しく接し、パソコンの扱い方や、仲間たちとの関係構築における礼儀などを叩き込み、ぽこを一人前の社員に育て上げる。その様子を見ていた見吉は、かつて手をかけたモコモコが立派に成長していることを内心で喜んだ。
名探偵ウサーロップ・ホームズ
ウサーロップ・ホームズは、人間の助手くんと共に活動している名探偵。ある時は、凶器の包丁から犯人の指紋を発見して逮捕に踏み切り、またある時は自ら人質となった際に、抱きかかえる体勢が気に食わないという理由で反射的に犯人を蹴り飛ばすなど、うさぎならではの方法であらゆる難事件を次々と解決していく。一方で、犯人を追うために臭い靴下を舐める必要にせまられたり、尾行中にうさぎでありながら犬のまねをしたことから相手を取り逃がしたりするなど忙しい日々の中、助手くんと他愛のない談笑を楽しんでいた。そんなある日、ウサーロップは怪盗と刑事が対決するTVアニメを見て心を躍らせる。それを見ていた助手くんは、ウサーロップの少年らしい姿になごみながらも、ウサーロップと同等の人気を誇る怪盗ラパンの存在に思いを馳せる。
怪盗ラパン
世間では怪盗ラパンと呼ばれる怪盗が現れ、夜な夜な美術品などが盗まれるという事件が頻発していた。怪盗ラパンは変装の名人でありながら、うさぎであることからすぐに変装がばれる傾向にあった。しかし、ただのうさぎになりすますことで警備員たちの目を欺き、獲物と定めた宝石を持ち去ることに成功する。怪盗ラパンは、不当な理由で奪われた物のみを盗み、それを本来の持ち主に返す義賊として認識されており、それゆえに市民からの人気は非常に高かった。ラパンを追っている札型警部も、彼の窃盗行為自体は糾弾しながらもラパン自身のことを嫌いになれず、そのことを部下くんから指摘されてうろたえる。さらに、ラパン本人から「あなたの心を頂きに参ります」と予告されると、憤慨しながらも喜びを隠しきれず、実際に目の前に現れたラパンの愛らしさにしばし呆然としてしまう。部下くんは札型警部のラパンに対する愛着をほほ笑ましく思いながら帰途に就くが、着いた先は名探偵であるウサーロップ・ホームズの事務所だった。部下くんの正体は、ウサーロップと共に活動している助手くんだったのである。
世界うさぎ話
家族からおつかいを頼まれたうさみみずきんちゃんは、にんじんを届けるため、鳥さんと共におばあちゃんの住む家へと向かう。しかし、忘れっぽいうえにやや常識外れな性格のうさみみずきんちゃんは、いつのまにかおばあちゃんを捕食対象と認定する。それを聞いた鳥さんは慌ててうさみみずきんちゃんに本来の役目を思い出させようとするが、彼女は野花を食べることに夢中で、鳥さんの話をまったく聞こうとしない。二匹はようやくおばあちゃんの家にたどり着くが、おばあちゃんはうさみみずきんちゃんたちの話を聞いて先回りしていた大きなオオカミに丸のみにされていた。大きなオオカミはおばあちゃんに成りすましてうさみみずきんちゃんも食べようとするが、うさみみずきんちゃんは彼に対し、うさぎより耳が小さいし、手足に肉球があるなど、1時間半以上にもわたってダメ出しをし続ける。我慢の限界を迎えた大きなオオカミは怒り出し、問答無用で食べようとするが、丸のみにされたはずのおばあちゃんが口の中から飛び出し、「意外と居心地がよかった」とのんきな言葉を発する。さらにまともな性格だと思っていた鳥さんまでもが大きなオオカミの存在を完全に無視するなど、身の回りの人物がことごとく暴走することで、大きなオオカミはツッコミ疲れしてしまう。
花村さん家の長男
花村家で飼育されている花村みみやまたれぞうは、自分を花村家の長男であると考えていた。そして、花村家に娘の花村さくらが生まれると、みみやまたれぞうは彼女を自分の妹と認識し、兄として彼女の面倒をしっかり見たいと考える。さくらはすくすくと成長し、やがて自分の力で立つことができるようになる。しかしみみやまたれぞうは、うさぎゆえに二本の足で立ち上がることができず、兄としてのプライドに傷がついてしまう。さらに花村家の親が、みみやまたれぞうに留守番を任せてさくらを連れて散歩に連れて行くことも多くなり、さくらに対する羨ましさと、言いようのない寂しさに苛まれる。そんなある日、いつものように留守番を頼まれたみみやまたれぞうは、若干ふてくされながらも家族の帰りを待っていたが、帰ってきたさくらから、満面の笑顔で四つ葉のクローバーを渡される。さくらの優しさに触れたみみやまたれぞうは感動しつつ、自分が兄でよかったとしみじみ思うのだった。
うさぎ忍者ニンジン丸
兎賀の里で修行を重ねていたニンジン丸は、一人前の忍者として認められるための最終試験として、お師匠さまから那須野九里を護衛するように言い渡される。九里の特徴を大雑把に記した書物だけを持たされて街へと派遣されたニンジン丸は、まず護衛対象を見つけるだけでも骨が折れそうだとぼやく。その矢先に、特徴どおりの行動ばかりを起こす九里を発見し、護衛という名目でやや強引に彼の家に住み込む。九里は、うさぎでありながら人間の言葉をしゃべるニンジン丸の存在がほかに知れたら危ないと思い、できる限り隠し通そうとする。その意図をまったく理解しないニンジン丸は、さっそく九里の母親の前に出て自己紹介をしてしまう。しかし、九里の母親はその様子をあっさりと受け入れ、晴れてニンジン丸は九里の家に住むことを許される。すっかり人間社会になじんだニンジン丸は、九里が通う学校に興味本位で同行し、持ち前の愛らしさで生徒たちからたちまちのうちに人気者となる。そんな中、学校に九里の暗殺を命じられたチンゲン斎が襲撃を仕掛けてくる。チンゲン斎はかつてニンジン丸と共に修行をしてきたが、どうしても彼に勝つことができずにコンプレックスを募らせていた。そのため、彼に打ち勝とうと闘志を燃やしていたが、当のニンジン丸はチンゲン斎のことを覚えてすらいなかった。このことに打ちひしがれたチンゲン斎はすっかり意欲をなくし、なし崩し的に九里やニンジン丸たちと同居することになる。それからしばらくあと、九里の家にミョーガが訪れる。ミョーガは、ニンジン丸と共に修行をした仲間だったのだが、なぜか父親の仇と称してニンジン丸に襲い掛かってくる。
氷のうさぎのお話
氷のうさぎは、硬くて冷たい体であることから、誰からも触ってもらえずに思い悩んでいた。さらに、ふと家の中を覗いた際にふつうのうさぎが飼い主からかわいがられている様子を目撃し、自分の体に対するコンプレックスを深めてしまう。そして、涙を流しつつ道を歩いていたところ、一人の女の子から声をかけられる。氷のうさぎは、うさぎでありながら硬くて冷たい自分が嫌だと、悲痛な様子で語るが、女の子はそんな氷のうさぎを優しく抱きしめて、硬くて冷たい体は立派な個性であると諭す。氷のうさぎは、少女の腕の中でコンプレックスの対象だった自分の体に、生まれて初めて誇らしさと幸せを感じる。
彼女は姫子ちゃんに恋をしている
女子高校生の「私」は、クラスメイトでうさぎの姫子に恋愛感情を抱いていた。ご飯粒が毛に付着している様子や、授業中に眠る姿に見惚れるなど、姫子の一挙手一投足にいちいちときめいている。さらに自分が人間で、しかも性別が同じであることもまったく気にせず、家でも学校でも姫子のことを考えて暮らすほどまで深い思いにとらわれる。思いは次第に行動にも結びつくようになり、姫子の写真をスマートフォンの待ち受け画像に使用したり、換毛期を逐一記録したりと、「私」の日常は暴走していく。そんなある日、「私」は思い切って姫子をデートに誘い、これを快諾される。「私」はすっかり舞い上がりつつ、翌日に控えたデートの準備を整える。そしてデート当日。「私」はうさぎ用キャリーバッグを用意したり、かわいいヘアピンを買い与えたりするなど、積極的にリードしては姫子から気に入られていく。そして、映画館やカフェなどを巡って談笑を楽しむにつれて、姫子もまた、「私」を思っていることを知り、これ以上ないほどの歓喜に包まれる。月日は流れ、バレンタインデーが訪れる。「私」は姫子に心を込めたチョコレートを作ろうと張り切るが、その矢先に姫子が現在甘いものを食べられないことが発覚する。「私」はチョコレートの代わりとなるものを考え、悩んだあげく、甘さ控えめの牧草クッキーをプレゼントしようと思い立つ。
ぽぽたむさまのマフマフには敵わない!!!
うさぎ飼いちゃんは、家で飼っているぽぽたむさまの爪が伸びてきたことを思い出し、爪切りのために近所の動物病院に彼を連れて行こうとする。しかし、思いのほかリラックスしているぽぽたむさまを連れ出すことに難儀し、結局おやつで釣って無理やりケージに入れて動物病院に連れて行く。リラックスしている中で連れ出されたぽぽたむさまのショックは大きく、白目をむくほどストレスが溜まり、うさぎ飼いちゃんに深い罪悪感を植え付ける。それでもなんとか病院にたどり着くと、ぽぽたむさまはおとなしく外に出て獣医から爪切りを受ける。こうして爪の問題は解決したものの、ぽぽたむさまはすっかり機嫌を損ねて、しばらくうさぎ飼いちゃんを困らせる。
うさぎ編集者うさ野さん
うさぎ飼いちゃんは、漫画の原稿を描き終えて一息ついていたが、そこに編集者のうさ野さんが現れる。うさぎ飼いちゃんは、かつての経験からうさ野さんに原稿をかじられるのではないかと身構えていたが、幸いそんな事態が発生することはなく、何事もなく原稿は納品される。原稿を受け取ったうさ野さんは、今月はスケジュールが過密なので、ペースを少し早められないか尋ねてくる。うさぎ飼いちゃんは、かつてとても調子がいい時に一日で5ページの原稿を描き上げていたことを思い出すが、現状でそれは無理だと断ろうとする。しかし、うさ野さんの背中を撫でていたところ、見る見るうちにうさぎ飼いちゃんの体の調子がよくなっていく。すっかりやる気を取り戻したうさぎ飼いちゃんは、今月は150ページ前後の原稿が仕上がるだろうと安請け合いをしてしまう。
ひと×うさルームシェア
うさぎ飼いちゃんは、ぽぽたむさまのいる部屋にエアコンを設置していたが、その一方で、夏でも漫画の執筆をエアコンのない仕事部屋で行うことを強いられていた。そこでうさぎ飼いちゃんは、漫画を執筆しているあいだもエアコンの効いた同じ部屋でぽぽたむさまと過ごせるように、二つの部屋を隔てる壁を取り壊す計画を立てる。しかしぽぽたむさまは、環境の変化にストレスを感じる性質なことから計画は順調にいかず、ふだんは抱っこを嫌うぽぽたむさまが、新しい部屋に移そうとすると意地でも踏み入れまいとしがみついてくる。うさぎ飼いちゃんは考えた末に、まずは家具を一つずつ移していき、徐々に新しい部屋に慣れさせる作戦を立てる。そして、慎重に家具を移していくが、敏感なぽぽたむさまは警戒を続け、うさぎ飼いちゃんは悪戦苦闘を強いられる。しかし、3日も経つと新しい部屋に慣れていき、リラックスする様子を見せるようになる。こうして無事に部屋の統合作業は終了し、うさぎ飼いちゃんはエアコンの効いた部屋で仕事をしながら、ぽぽたむさまといっしょにいられるようになる。しかし、ぽぽたむさまは昼夜問わずあちこちで暴れ回ったり、時にはクッションにフンをしたりするなど、今まで以上に気ままに動き出す。その行動は、うさぎ飼いちゃんにとっての新たな悩みの種になってしまう。
うさぎメイドさん
猫のだんなさまには、もっぷちゃんといううさぎのメイドがいた。もっぷちゃんは、掃除をしたりお茶を入れたりとかいがいしくだんなさまに尽くすが、おっちょこちょいな性格ゆえに失敗も多く、だんなさまに被害を及ぼすことも日常茶飯事だった。だんなさまはその様子に腹を立てるどころか、もっぷちゃんの世話を楽しんでいた。一方もっぷちゃんは、失敗を繰り返すうちに自らが至らないことを自覚し、だんなさんにメイドを辞めたいと願い出る。そこでだんなさまは、ミスをすることも含めてもっぷちゃんを高く評価していることを伝える。これを聞いたもっぷちゃんは、図々しいとすら思えるほどのポジティブさを発揮するが、だんなさまは、この明るさこそもっぷちゃんの取柄であると考え、それからも彼女の起こす騒動を温かく見守り続ける。
うさぎ飼いうさぎになるの巻
ある朝、ママが目覚めると、なんとうさぎの姿になっていた。ママは突然のことに驚きつつ、飼いうさぎであるちーちくに自分の姿を見せ、その際にちーちくと会話ができるようになっていることに気づく。一方、ちーちくは相手がうさぎの姿をしていることからママだと認識せず、明らかに不審そうな目を向ける。ママは言葉が通じることを好機と考え、自分がママであると説明するが、ちーちくはあろうことかママのことを召使いだと思っていた事実が発覚する。ママはうさぎとしての生活が快適なものであると考えていたが、ちーちくからはうさぎにはうさぎなりの苦労があることを知らされる。その一方で、これからも召使いとして働くことをせまられて憎らしさを感じるものの、仕草がいちいちかわいらしいのですぐに流されてしまう。ママはちーちくとの対話を経て、飼い主としてまだまだ不足であることを思い知り、うさぎの姿になった理由が、ちーちくの気持ちに寄り添うために違いないと考えるようになる。
スピンオフ
漫画
本作『うさぎは正義』のスピンオフ漫画に、井口病院の『ぽぽたむさまのマフマフに埋もれたい!!! ~うさぎは正義 エッセイ編~』がある。井口病院と、彼女の飼っているうさぎ「ぽぽたむさま」が織りなす日々を描いたエッセイ作品。かわいらしいうさぎの活躍を見られるのは本作と同様で、さらに井口のうさぎに対する愛情あふれるリアクションが楽しめる。
登場人物・キャラクター
うさぎ飼いちゃん (うさぎかいちゃん)
エピソード「ぽぽたむさまのマフマフには敵わない!!!」「うさぎ編集者うさ野さん」「ひと×うさルームシェア」に登場する。作者である井口病院の代理キャラを自称する人間の女性で、漫画家として活動している。無類のうさぎ好きで、飼育するぽぽたむさまのことをつねに考えて行動している。特に夏はエアコンの効いている自分の部屋をぽぽたむさま用に使い、うさぎ飼いちゃん自身はエアコンがない暑い仕事部屋で執筆作業に勤しんでいる。さらに、仕事中でもぽぽたむさまの世話ができるようにと、仕事部屋と自分の部屋を仕切る壁を取り除いてしまう。うさぎに関する知識も豊富で、ぽぽたむさまの一挙手一投足から、彼女の思いや願いを鋭く感じ取ることもできる。かつては、つねに本調子であることを前提とした原稿執筆をしていたが、現在は不調なときもあると思い知り、それが原因でうさ野さんと意見を対立させたこともある。
ボス
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。コマツナとバナナの窮地を救った、全身が真っ白い体毛に覆われたオスのうさぎで、それからは彼らから親分として慕われている。うさぎとは思えないほどの身体能力を誇り、オオカミ相手でも互角以上に戦えるほど。さらに、愛らしい外見や責任感の強さから、あらゆる動物から高い人気を集めている。その反面、ネーミングセンスが極めて適当で、コマツナやバナナのほかにも、のちに「ロマネスコ」と名づけられる恐竜の赤ちゃんを拾った際に、「キャロット」や「よくわからない草」、果ては「盲腸便」といった名前を付けようとして、コマツナから全力で阻止される。女性や子供には決して手を上げない主義で、肉食の鳥に巣へと連れ去られた際も、ヒナからかじられても無抵抗を貫いていた。食い意地が張っており、冬に備えて脂肪を蓄えておくと称して、必要以上にたくさんのエサを食べる。そのため、肥満体型になることも多いが、その状態でも並の肉食動物以上の運動能力を発揮するうえに、見た目がさらにかわいくなるため、特に問題視されていない。過去に人間と何事かあったことが示唆されているが、ボス自身はそのことを頑なに話そうとしない。
きなこもち
エピソード「うさぎと合コン」に登場する。ひとみと同じ職場で、アルバイトとして働いているメスのうさぎ。ひとみとは正反対といえるほどの天然ボケな性格で、自分を飾ったり、よく見られようとしたりすることにまったく興味がない。カラオケボックスでの合同コンパに参加した時も、お酒の代わりに牧草を頼んだり、休日はひたすらタタミをかじっていることを打ち明けるなど、つねにマイペースを貫くが、その飾らない姿勢が逆に好評を得る。さらに、ふわふわの毛が男性陣の人気を独占し、特にタクヤから大いに興味を抱かれる。しかし、きなこもち自身は彼氏をつくることにはまったく興味がなく、合同コンパに参加したのも、ひとみとなかよくなる口実をつくるためだったことがのちに発覚する。その後、ひとみといっしょに初詣に出かけるなど、すっかりなかよくなる。
見吉 大悟 (みよし だいご)
エピソード「新入社員はうさぎ」に登場する。とある会社で営業職として働いている青年で、年齢は20代。言いたいことをはっきりと口にするタイプで、自他共に厳しい性格をしている。一方で、学歴に軽いコンプレックスを抱いており、想定外の事態が発生するとうろたえてしまう短所を持つ。遠ヶ峰に淡い思いを寄せているが、まったく気づかれていない。彼女からはうさぎに好かれる体質だと指摘され、それを羨ましがられるが、見吉大悟自身はこの体質をあまり快く思っていない。のちに上司から二階堂モコモコの教育係を任されるが、有能でプライドが高いモコモコを扱いかねて、当初は対立することも多かった。しかし、うさぎならではの手法で営業に貢献するモコモコを次第に評価するようになり、やがてモコモコからも気に入られる。さらに、耳小路たれまろの恋愛相談に乗ったり、西園寺ぷうすけとの交渉を無事に乗り切ったりするなどの活躍を見せる。モコモコが入社して1年が経ち、彼が道明寺ぽこの教育係に就任したことに不安を隠せずにいたが、彼なりにしっかりと教える姿を目の当たりにして考えを改める。ただし、モコモコをはじめとしたうさぎたちに対して、素直になれないところは変わっていない。
ウサーロップ・ホームズ
エピソード「名探偵ウサーロップ・ホームズ」に登場する。街で探偵業を営んでいるオスのうさぎ。真っ黒な体毛に包まれ、チェック柄のハンチング帽とマントをまとっている。まじめな性格ながら、怪盗ラパンをモデルとした泥棒が活躍するTVアニメに夢中になったり、助手くんに突然冗談を言ったりと、おちゃめなところがある。その優れた味覚や、怒ると強力な後ろ足で蹴り上げるなど、うさぎならではの習性を捜査にうまく活用して、数々の事件を解決に導いてきた。一方で、浮気調査の依頼を受けて対象者を尾行した際に、うっかり犬のまねをしたために警戒されてしまうなど、天然気味な一面を見せることもある。アーサー・コナン・ドイルの小説に登場する探偵「シャーロック・ホームズ」がモデル。
怪盗ラパン (かいとうらぱん)
エピソード「怪盗ラパン」に登場する。夜な夜な出没しては、美術品や宝石などを盗んでいると噂されているオスのうさぎ。白い体毛に覆われており、ふだんは黒いシルクハットとマントを身につけている。七色の顔を持つといわれるほどの変装の名人だが、体がうさぎのままなので見破られることも少なくない。だが、これを逆手にとって、マントやハットを脱ぎ捨ててふつうのうさぎのふりをすることで難なくお宝を奪い去ったこともある。盗むのは盗難品に限定しており、窃盗を繰り返す理由も元の持ち主に返すためである。札型警部はこの事実を知り、一定の理解を示しているが、罪は罪ということでつねに追い回されている。一方で、怪盗ラパン自身は個人的に「あなたの心を頂きます」と予告状を出し、実際に札型警部が喜ぶような演出を見せるなど、彼を気に入っている様子を見せる。なお、怪盗ラパンの活躍を基にしたTVアニメが放送されており、ウサーロップ・ホームズからもひそかにあこがれられている。モーリス・ルブランの小説に登場する怪盗「アルセーヌ・ルパン」がモデル。
うさみみずきんちゃん
エピソード「世界うさぎ話」に登場する。白い体毛に赤い頭巾をかぶったメスのうさぎ。おばあちゃんをアグネス・チャンと聞き間違えたり、友達の鳥さんからの助言をまったく聞こうとしなかったりなど、とぼけた性格をしている。凄まじく食い意地が張っており、道端に生えている花を食べようとするばかりか、おばあちゃんを食べようと考えたこともある。家族からおばあちゃんのお見舞いを頼まれるが、その際に持たされたにんじんを食べるのを我慢しているうちにストレスが溜まり、おばあちゃんの家に着いた頃にはお見舞いのことをすっかり忘れてしまう。さらに、先回りしていた大きなオオカミがおばあちゃんに成り代わっていることに気づかず、約1時間近く外見にダメ出しを行い、彼に精神的ダメージを与えた。グリム兄弟、ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリムとヴィルヘルム・カール・グリムの童話に登場する「赤ずきん」がモデル。
花村 みみやまたれぞう (はなむら みみやまたれぞう)
エピソード「花村さん家の長男」に登場する。つねに両方の耳が左右に垂れているオスのうさぎで、花村家で飼育されている。花村みみやまたれぞう自身が花村家の長男で、飼い主を両親と思い込んでいるうえ、最近生まれた花村さくらを妹だと考え、兄として彼女を守ることを心がけている。しかし、彼女が成長するにつれて、自分より先に二本の脚で立ったところを目の当たりにして、コンプレックスを抱くようになる。それでもさくらのことを大切に思う気持ちは変わらず、彼女に対して過保護ともいえるほどの行動で、さくらからも懐かれている。さくらが花村家の人たちにかわいがられていることに寂しさを感じているが、ある日さくらが散歩から帰ってきた際に、自分のために四つ葉のクローバーを取ってきてくれたことを知り、あらためて幸せを感じている。
氷のうさぎ (こおりのうさぎ)
エピソード「氷のうさぎのおはなし」に登場する。性別不明のうさぎで、全身が氷のように硬く冷たい皮膚で覆われている。自分がうさぎとしては特異な体質であると気づいており、ほかのうさぎのように柔らかく温かい体ではないことにコンプレックスを抱いている。コンプレックスは日に日に強くなり、飼い主に愛されているうさぎを見たことで、悲しみのあまり泣き出してしまう。だが、そこに現れた女の子に優しく抱きしめられ、硬くて冷たい体も、氷のうさぎが肯定すればいくらでも素敵なものになると諭される。この一件で自らを取り戻し、冷たくて硬い体を誇らしく思うようになる。
「私」 (わたし)
エピソード「彼女は姫子ちゃんに恋をしている」に登場する。人間の少女で、高校に通っている。同性でうさぎの姫子に恋心を抱いており、学校ではいつも彼女を見つめており、抱き上げて幸せを感じている。姫子の写真をスマートフォンの待ち受け画面にしている。また、ブルマを脱がすのに躊躇したり、体を転がしてゴミを取ろうとしたりする彼女を諫めている。ある日、姫子をデートに誘って楽しい時間を過ごし、帰り際にヘアピンを交換して互いの気持ちを伝え合うことで晴れて両思いとなる。その後も、バレンタインデーでプレゼントを交換するなど、良好な関係を築いている。
もっぷちゃん
エピソード「うさぎメイドさん」に登場する。だんなさまの屋敷でメイドをしている、メスのうさぎ。おっちょこちょいな性格で、やる気はあるもののミスが目立つ。また純粋なあまり、一度自信をなくしただけでメイドを辞めようとしたり、逆に褒められるとすぐに調子に乗ったりしてしまう。特技は掃除だが、掃除した先から散らかしてしまうために仕事ぶりは微妙。洗濯が苦手で、もっぷちゃん自身が洗濯用の大きな洗面器に落ちたこともある。しかしかわいらしい外見と、何事にも一生懸命な姿勢がだんなさまからは好評価で、彼からはメイドとしてだけではなく、手のかかる妹や娘のようにかわいがられている。
ママ
エピソード「うさぎ飼いうさぎになるの巻」に登場する。人間の女性で、うさぎを飼っている。うさぎに対して深い愛情を持っているが、名前を考えるのが苦手で、飼っているうさぎに好きなおつまみから「ちーちく」と名づけてしまう。ちーちくには自分のことを「ママ」と名乗っている。ある日、目覚めたらうさぎの姿になっており、びっくりしながらも自らの外見を観察したりと、人間とはまるで違う感覚をひとしきり楽しんだ。さらに、ちーちくと会話ができるようになり、ふだん彼が何を考えているのかを尋ねる。その答えは、ママ本人が望んでいたものとは違っていたが、ちーちくが何を望んでいるかをはっきり知ることができたため、あらためてうさぎになってよかったと感じる。
ぽぽたむさま
エピソード「ぽぽたむさまのマフマフには敵わない!!!」「ひと×うさルームシェア」に登場する。うさぎ飼いちゃんが飼育している、メスのうさぎ。ふだんはおっとりとした性格ながら、気まぐれな一面を持つ。また、キャリーバッグに入れられるとストレスを溜めるなど、繊細な一面もある。うさぎ飼いちゃんからは非常にかわいがられており、彼女が漫画家としての仕事をしている際は、飼い主である彼女を差し置いて、エアコン部屋の恩恵を与えられている。
コマツナ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。相棒のバナナと共に行動している、オスのオオカミ。「葉子」と呼ばれる葉っぱをいつも口にくわえている。バナナと比較すると目つきが悪く、よくも悪くもオオカミらしい外見をしている。生真面目かつ義理堅い性格で、ボスに対する忠誠心が強い。かつてはシイタケの群れに所属していたが、シイタケの振る舞いを横暴と感じるようになり、バナナと共に離反し、放浪の旅に出る。そんな中、窮地に陥っていたところをボスに助けられ、彼を自分たちの主として認める。かつてはボスに助けられた恩義が、彼に付き従う原動力となっていたが、現在では純粋な仲間意識によるものだと認識している。一方、ボスやバナナの奇行にツッコミを入れたり、嚙みつかれたりと、事あるごとに貧乏くじを引かされがち。自分に厳しく、他者に対しても厳しくあろうと心がけているが、ついつい甘やかしてしまう。ボスと共に旅に出てからは、まともな動物と出会う機会に恵まれなかったが、氷原で恐竜の夫と出会った時は、思わぬ幸運に喜ぶ。
バナナ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。相棒のコマツナと共に行動している、オスのオオカミ。オオカミらしからぬ温和な性格で、穏やかな目つきをしている。無類のかわいいもの好きで、ボスをはじめ、ロマネスコやパタリとその家族の愛らしい外見や、仕草を見ては暴走してしまうことが多い。かつてはシイタケの群れに所属していたが、シイタケの振る舞いを横暴と感じるようになり、コマツナと共に離反し、放浪の旅に出る。そんな中、窮地に陥っていたところをボスに助けられ、彼を自分たちの主として認める。ボスに対する忠誠心はコマツナ以上に強く、ふつうなら明らかにおかしいと思われがちな命令や提言も、嬉々として実行する。一方で、嫉妬深いところがあり、ボスに近づこうとする動物たちに対して敵意を隠そうとしない。コマツナとは幼い頃から仲がいいが、かわいいもの好きな性癖だけはまったく理解されずにいる。
シイタケ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。オスのオオカミで、中規模の群れを率いている。力による支配を絶対視し、草食動物を獲物として割り切るなど、よくも悪くも肉食動物らしい考えの持ち主。さらに、身体能力や狩猟能力も高いことから、群れのオオカミたちから信頼されている。コマツナとバナナを幼い頃から育てており、立派な狼として大成してほしいと願っていた。しかし、自然の中で力強く生活できるようにとあまりに厳しい教育を施したことが災いし、次第に二匹から反発されるようになり、ついには群れから出て行かれてしまう。それからは、コマツナとバナナを群れに連れ戻すために捜し回り、やがてボスの手下となった彼らと再会する。そして彼らを軟弱と評しつつ、ボスを仕留めようとしたが、返り討ちに遭ったうえに、バナナたちが彼を心から信頼する様子を見せたことで、その場から退散する。そして、かわいさと強さを併せ持つボスに対してオスだと知らないままに恋愛感情を抱く。のちに、ボスと二人きりで出会う機会に恵まれ、相変わらず自らの感情に戸惑いながらも、コマツナやバナナに対する思いを打ち明ける。そして、シイタケなりにコマツナやバナナを大切に思っていたことを語るにつれて、その内面をボスからも理解され、根はいい奴だと認められる。また「シイタケ」という名前は、左目の十字型の傷が、しいたけのかさの模様に似ているからと、ボスによって付けられたあだ名である。
旅うさぎ (たびうさぎ)
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。ボスと同様に、さまざまな地域を旅している、オスのうさぎ。真っ白な体毛に覆われ、首にマフラーを巻いている。冷静沈着な性格でつねに落ち着き払っており、肉食動物を前にしてもまったく動じない。また、肉食動物の精神をコントロールできると発言したこともあるが、ボスたちの前で実際にその能力を見せたことはない。動物が困っているところを見るのが好きと公言したり、助けを乞うコマツナやバナナにひざまずくように求めたりするなど、若干サディスティックな性癖を持つ。草食動物のボスに、肉食動物のコマツナとバナナが付き従っているという事実に興味を抱き、一時的に行動を共にする。そして、ボスとコマツナたちの絆が確かなものであることを認めると、彼らが探し求めているうさぎの国の存在をほのめかして去っていく。のちに、バナナトールが祀られている神殿の罠にはまり、海の中に押し流されたボスや副部族長たちの前に現れ、海鳥と共に彼らを救出する。しかしその時も、困っている彼らを見て満足するなど、性格はまったく変わっていなかった。
コムギ子 (こむぎこ)
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。ある森の中でボスやコマツナたちと出会った、メスのシカ。「グルテンフリー」の異名を持ち、コマツナやバナナからは「シカ女」と呼ばれることもある。奔放な性格で、気に入った動物の前に現れては、自由気ままな言動で彼らを振り回す。デカいクマからエサとして木の実を譲るように強要され、途方に暮れていたところでボスたちと出会い、彼らと共に事態を解決に導く。この一件からボスたちに仲間意識を抱くようになり、ボスの巡る地に時折姿を現すようになる。そして、ボスの三匹目の手下を自称するが、コマツナやバナナからは認められていない。のちに白馬に一目ぼれをするが、彼に付き合っている相手がいると勘違いして、勝手に失恋してしまう。
でかいクマ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。コムギ子が暮らしている森に突如として現れた、巨大なクマ。コムギ子からは「10メートルはある」と言われているが、実際の身長は3メートルほど。コムギ子をはじめとした森の住民たちと比較すると数倍以上の体長を誇ることから、みんなに恐れられている。コムギ子たちにエサとなる木の実を納めるように強要することから、凶暴かつ強欲な性格だと思われていた。しかし実際は臆病な性格で、森の住民たちにエサを要求していた理由が、共に暮らすシャケにそそのかされていたからだとのちに判明する。
シャケ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。でかいクマが背負っている、オスのシャケ。魚でありながら陸上でも行動可能で、言葉をしゃべることもできる。嗜虐的かつ狡猾な性格で、体こそ大きいが気の小さいでかいクマをうまくそそのかし、付近に住んでいる動物たちからエサになる木の実などを巻き上げさせていた。コムギ子もその被害に遭っており、彼女の意を受けたボスやコマツナたちがでかいクマに立ち向かった時も、彼をけしかけてボスたちを一掃しようとした。しかし、ボスからシャケがでかいクマを利用しているだけだと暴露されたことで、そのもくろみは潰されてしまう。
イル・タハラ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。オスのラクダで、砂漠で暮らしている。背中に動物を乗せて砂漠を渡る役割を担っていることから「ラクダタクシー」の異名で知られており、砂漠で口笛を吹くとどこからともなく現れる。生き物の口の中を見るのが好きという変わった性癖を持ち、半ば無理やりボスの口の中を覗いたことで、コマツナやバナナから敵視されてしまう。しかし、その癖さえなければ性格は温厚かつ紳士的で、ボスからは話のわかるラクダとして気に入られる。砂漠の地形や、そこに生きる動物の詳細を知り尽くしており、危険なサソリには近づかないようにしている。しかし、ボスがサソリを食い止めるようにコマツナたちに指令を下すと、彼を背中に乗せて二匹の活躍を見届けた。そして、みごとにサソリをおとなしくさせた彼らをあらためて見直し、ボスの彼らに対する信頼の深さを理解する。
きつねの姉弟 (きつねのきょうだい)
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。「霧の森」で暮らしている、きつね。森に足を踏み入れた動物を霧に紛れて騙し、場合によっては捕食する。砂漠を抜けて、霧の森を通りがかったボスを獲物として狙い、彼をバナナやコマツナと引き離そうともくろむ。そして姉がバナナに、弟がコマツナに近づいて幻影を見せようとするが、ことごとく失敗する。結局ボスたちからは、きつねの姉弟の存在を知らないまま、霧の森を抜けられてしまう。
メンフクロウさん
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。オスのフクロウで、山岳地帯を縄張りにしている。自分の賢さに絶対の自信を持っており、自らを「森の賢者」と称する。また、「コンプライアンス」や「イグザクトリー」など、無理に英単語を使って知識をアピールしようとする。羽音を立てることなく空を飛び、左右で高さの違う耳を使うことで獲物の位置を正確に把握するなど、感覚の鋭さと身体能力の高さを持つ。うさぎの国を求めて旅をしているボスやコマツナたちと遭遇する。出会った当初は、三匹に対して親切に応対して友好的な様子を見せる。しかし実際は、ボスを捕食する機会をうかがっており、彼が記憶をなくしてコマツナやバナナに恐怖心を抱いたことをきっかけに行動を開始する。だが、コマツナたちの活躍でボスの記憶が戻り、そのもくろみは潰されてしまう。さらに、オオカミでありながらうさぎを捕食しないコマツナたちを不自然だと責めるが、ボスから「自分を絶対的に賢いと思い込むことこそ最も愚かしい」と断ぜられ、プライドを傷つけられる。
海鳥 (うみどり)
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。ボスやコマツナ、バナナが漕ぎ出した大海の上空を根城にしている、オスの鳥。他者が困った顔を見るのが好きというひねくれた性格で、ボスたちが遭難した際にも、彼らが右往左往する様子を見て大喜びしていた。ただし、自ら誰かを貶める行為をすることはなく、自力で困難を乗り切った際には素直に褒めるなど、潔い一面もある。旅うさぎとは知り合いで、共に動物たちが苦難を迎えたり、それを乗り越えようとあがいたりする様子を見て楽しむ性格は似ている。また、彼が海を渡る際には自ら背中に乗せて飛び回るほか、ボスたちがサルの部族と共にバナナトールを入手した時は、二人でその健闘を称えるなど、非常に仲がいい。
副部族長 (ふくぶぞくちょう)
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。サルの部族のNo.2を務めている、オスのメガネザル。No.2であることに強いこだわりを持っているが、下克上を起こさずにはいられないという困った性格の持ち主。そのうえ、よくも悪くも行動力に富んでおり、実際にかつて部族の長だったメガネザルを殺害したこともある。さらに、トップに立つ存在は命を狙われるに違いないと考えていることから、副部族長自身はNo.1になる気は微塵もなく、結果的にサルの部族の混乱を引き起こしてしまう。ボスがサルの部族の領域に漂流すると、彼を拉致して半ば無理やりサルの部族の族長に据えようとする。そして、彼を取り返しに来たコマツナやバナナとひと悶着起こしながらも、ボスの執り成しによってなんとか丸く収まり、ブラックペッパーやマヨマヨと共に、彼らとバナナトールの探索を行うことになる。そんな中、ボスの勇敢な態度や、他者を思いやる姿を見るにつれて群れの上に立つ資質を感じ、部族のトップやNo.2の矜持を学んでいく。バナナトールを発見したあとは、自分とボスたちの違いを見せつけられたことから、副部族長としての自信すら失いかけるが、バナナから尊敬できる主を盛り立てることこそが本当のNo.2だと諭され、下克上の癖を改めることとなる。
ブラックペッパー
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。サルの部族に所属している、オスのメガネザル。黒い体毛に覆われており、部族の中では「ブラペ」の愛称で呼ばれている。声が小さいうえに、極端な恥ずかしがり屋であることから他者とはしゃべることができず、最も心を許しているマヨマヨに通訳を担当してもらっている。小柄な体格で、身長は副部族長の半分にも満たない。ジャングルの植物に詳しく、毒のある野草や樹木を知り尽くしているため、サルの部族の中でも重宝されており、副部族長からの信頼も厚い。サルの部族の長として祭り上げられたボスの命令によってバナナトールを取りに行く際に、副部族長やマヨマヨに同行する。道中の神殿の中では、ボスやコマツナの頭上の天井に蛇が潜んでいることを見抜き、マヨマヨを介して警告を発し、視力が並外れていることを知らしめた。また、ボスから活躍を認められた際は、小声ではあるものの、マヨマヨに頼らず直接お礼を言うなど、恥ずかしがり屋ながら、褒められることに喜びを感じるタイプでもある。
マヨマヨ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。サルの部族に所属している、メスのメガネザル。ブラックペッパーとは対照的に白い体毛に覆われている。サルの部族の中では数少ないメスで、ボスやコマツナたちのような、島の外からの来訪者に対してはアイドルのように振る舞う。一方で、無視されるとブラックペッパーに対して毒性の強い草を取り寄せるように頼むなど、腹黒い性格をしている。また、バナナトールを取りに行く際に「紅一点」と紹介した副部族長に対して厳しい言葉をかけ、女性扱いされることを快く思っていない。ブラックペッパーとは互いに信頼を寄せており、内気で無口な彼のために通訳を担当している。スフィンクスのクイズで不正解になった時は、副部族長やブラックペッパーと共にスフィスフィビームを受けるが、女性のために手加減をされ、不本意な助かり方をしたことに微妙な表情を浮かべる。
スフィンクス
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。サルの部族が暮らす密林の奥地にある神殿で、バナナトールの番人をしている生きた石像。オスのネコの姿をしている。眼前に姿を現した侵入者たちに対してクイズを出題し、その三問を誰か一人でも正解すれば通行を許可する役割を担っている。不正解だったメンバーに対しては、目からスフィスフィビームを発射して攻撃するが、女性のマヨマヨに対しては手加減するなど紳士的な一面がある。なお、クイズは基本的にバナナトールに関するものだが、ボスを見てうさぎについてのクイズを出題するなど、侵入者たちに関するクイズを出題することもある。
ロマネスコ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。バナナが拾ってきた卵から生まれた、トカゲっぽい姿の性別不明の赤ちゃん。当初は、卵であることを知らなかったボスが抱き枕として利用していたところ、彼が温める形となって誕生した。そして、生まれて初めて目にしたボスのことを親だと思い込み、強く慕うようになる。生まれたばかりで名前がなく、ボスたちに「麗子」や「ほうれん草」「よくわからない草」、果ては「盲腸便」などさまざまな名前候補が出されるが、最終的に「ロマネスコ」という名前を付けられる。生まれた時から鋭い歯が生えていたため、その様子を目の当たりにしたボスたちを驚愕させた。赤ちゃんながら厳つい容姿で、身体能力もボスたちに劣らないが、性格は無邪気そのもの。また、つねに素直な仕草を見せることから、かわいいものが好きなバナナからは特に好かれている。しかしコマツナからは、腕に嚙みついた出来事が原因で快く思われておらず、当初は厳しく当たられることもあったが、ほどなくして和解した。その後、ボスたちの旅の仲間となり、共にさまざまな場所を巡るうちに、恐竜の赤ちゃんである可能性が浮上し、はぐれたところで恐竜の妻に連れ去られてしまう。
アザラシ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。性別不明のアザラシで、氷原で暮らしている。ふだんは氷が張られている湖の中で暮らしており、氷上に誰かが現れると、氷に穴をあけて這い出てくる。ボスと外見が似ており、バナナやコマツナすらも、どちらが本当のボスかわからなくなるほど。温厚かつ好奇心旺盛な性格で、氷原を訪れたボスやバナナ、コマツナ、そしてロマネスコを歓迎し、カーリングで遊ぶなど楽しい時間を過ごす。さらに、ロマネスコが恐竜の妻に連れ去られた際は、ボスを追いつかせるために思いきり前方に向けて滑らせるが、進行先に穴があいていたため、水の中に落下させてしまう。
恐竜の妻 (きょうりゅうのつま)
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。メスの恐竜で、氷原の洞窟で暮らしている。ロマネスコとは見た目が大きく異なるが、ボスたちからはなんらかの関係があると思われている。おっとりとした性格だが遠慮を知らず、悪気なく辛辣な言葉を吐くことも珍しくなく、まじめな性格の恐竜の夫とは意見を違えることが多い。母性本能が強く、住処に立ち寄った動物を有無を言わさずに温める癖がある。ボスたちとはぐれたロマネスコを、恐竜の仲間と考えて住処に連れ帰り、体を温める。さらに、ロマネスコを追ってきたボスたちのことも歓迎し、体を温めることですっかり打ち解ける。なお、他者を温める癖がついたのは、恐竜の妻自身と恐竜の夫だけが、なんらかの理由によって氷漬けから解放され、ほかにも氷漬けの仲間がいるのではないかという考えによるものである。
恐竜の夫 (きょうりゅうのおっと)
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。オスの恐竜で、氷原の洞窟で暮らしている。やや猜疑心が強いものの常識的な考えの持ち主で、コマツナからは「久々にまともな奴に会えた」と言われていた。どこか抜けた性格の恐竜の妻に難儀しており、彼女の奇行にツッコミを入れることも少なくない。外出中に恐竜の妻がロマネスコを連れ帰り、さらにロマネスコを追ってきたボスやバナナ、コマツナを温めている姿に戸惑い、ボスたちに警戒心を向ける。ボスからロマネスコを返すように要求された時は、同じ恐竜の仲間であることを理由に一度は拒否する。しかし、彼らとのあいだに恐竜の妻が割って入り、誤解が解けると素直に謝罪した。そしてボスから、同じ恐竜のロマネスコを育てるように頼まれ、これを快諾する。なお、ボスたちに警戒心を向けた理由は、うさぎのボスとオオカミのバナナ、コマツナが同行していたことに加え、彼らがロマネスコや恐竜の妻を食べてしまうのではないかと疑っていたためである。
シマリスさん
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。オスのシマリスで、冬ごもりに備えてひたすら食事を摂り続けている。好物はひまわりの種だが、どんぐりなどの木の実も好んで食べる。必要以上に食べることからまるまると太っており、ボスには茶色いスイカと間違えられたり、コマツナにはボスの頭に乗った姿を雪だるまのようだと言われたりする。必要以上に食べることを指摘されがちだが、生きるために食べるのではなく、食べるために生きると言い切っており、ボスたちからその姿勢を潔いと認められる。
リカっち
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。メスのリカオンで、サバンナで生活している。明るく朗らかな性格で、初対面のボスたちに対しても屈託なく接する。一方で、遠慮というものを知らず、悪気なく辛辣な発言をすることもある。コムギ子からは、明るいところが自分に似ていると主張されるが、コマツナに全否定される。メスの友達が神隠しに遭うという事件が頻発していることを恐れている。リカっち自身は地域神と呼ばれる謎の存在が、サバンナで悪さをしていると考えている。また、あまりにかわいらしいことからボスをメスだと勘違いして、彼やバナナたちに即刻サバンナから出ていくように警告した。しかし、ボスから神ではなくサバンナで暮らす何者かの仕業だろうと言われ、事件を解決して友達と再会するために、彼らと同行する。
バジル
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。オスのハイエナで、サバンナで生活している。リカっちの友達を助けるために戦力を欲したボスたちによって、同行するように誘いかけられる。その際、コマツナが女装して声をかけ、コマツナ自身はうまくいくはずがないと内心思っていたが、彼の予想とは裏腹にコマツナに一目ぼれをして、彼についていく形でボスの傘下に加わる。神隠しについてはリカっち以上に詳しく、頼られる一因となっている。メスのハイエナに比べると体が小さいが、女性は守るべき存在と考えている。一方で、バナナをコマツナの彼氏だと疑ったり、コマツナがボスを褒め讃える姿を目の当たりにしてボスを敵視したりするなど、嫉妬深い一面がある。やがてボスがただ者ではないことに気づくが、コマツナに惚れた弱みを彼に利用されてしまう。のちにコマツナがオスであることを聞かされるが、彼に敵意を向けることはなく、あらためて友人としてかかわりたいという意思を見せてボスたちから見直される。
ラーテルのボス
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。オスのラーテルで、サバンナの地中で暮らしているラーテルたちを束ねている。小柄ながら身体能力は非常に高く、バジルからはサバンナの中でもトップクラスの戦闘能力を持つと言われている。サバンナで頻発している神隠し事件の首謀者で、落とし穴を仕掛けて目標となる動物を地中に落とし、そのまま住処へ拉致するという手法を取っている。サバンナに娯楽がないことを懸念し、その土台を築き上げることを目指している。その一環として、拉致した動物たちをアイドルに仕立て上げようと考えており、メスばかり狙う理由もこれに起因する。建設的かつ明確な目標を持つことから、仲間内からは信頼されている。また、さらってきた動物に対しては、アイドルになることを求めながらも手厚くもてなしている。しかし、自分の計画を達成した暁には、すべての動物が幸せになれると信じて疑わないなど、いささか独善的な性格であることから、さらわれた動物たちからは賛否を集めている。
パタリ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。サバンナから帰ってきたボスやコマツナ、バナナの前に姿を現した、オスのうさぎ。耳がぱたりと倒れていることから、いつのまにか「パタリ」と呼ばれるようになり、自らもパタリを名乗っている。おこめという妻と、彼女とのあいだに生まれた複数の子供がいる。穏やかな性格で子供たちからも慕われており、パタリ自身も子供たちに惜しみない愛情を注いでおり、おこめとの仲も良好。ボスや旅うさぎと異なり、ふつうのうさぎ程度の身体能力しか持っておらず、「うさぎはオオカミより強い」と思い込んでいるバナナを驚かせる。危険がせまると死んだふりをして乗り切ってきたが、オオカミのコマツナから死んだふりをした時の方がおいしそうと言われ、実際は大した効果がないことを思い知る。ボスたちを住処に案内し、美しい妻やかわいい子供を紹介すると、うさぎが大好きなバナナに天国のようなひとときを味わわせる。かつて母親から、うさぎは死後に月に行けると教えられており、今も死んだ母親が月にいると信じている。
よもぎ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。生まれて間もないメスのうさぎ。パタリとおこめの娘で、「あんず」や「かがみ」「ミルク」という名の兄や姉がいる。姿形はパタリによく似ており、その愛くるしさは、無類のうさぎ好きであるバナナが一目見ただけで魅了されるほど。きょうだいの中では一番活発的でおてんばな性格で、しょっちゅう誰かに歯を立てているが、嚙む力が強くないために迷惑をかけることはない。バナナとコマツナのことは、生まれて初めて出会ったうさぎ以外の動物であるために興味を持ち、物おじしない性格もあってすぐに懐く。さらに、別れ際にボスの背中に乗り、彼らについて行こうとしてバナナを喜ばせるが、パタリとおこめが心配しているからと、ボスによって送り返される。
おこめ
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。パタリの妻で、メスのうさぎ。純白の毛皮と黒い耳、宝石のように輝く瞳がチャームポイント。パタリからは、これまでに出会ったうさぎの中で一番綺麗だと思われている。もともと気が強いうえに、現在はパタリとのあいだに生まれた子供たちを守るために気性が荒くなっており、近づいてきたコマツナを反射的に蹴り上げてしまう。その威力から、バナナやコマツナからはボスに匹敵する戦闘能力を持つと思われるようになる。パタリの優しい性格を高く評価しながらも、頼りない一面を懸念しており、バナナやコマツナにパタリを鍛えるように頼んだこともある。周囲に広く顔が知られており、おこめの知り合いであることを伝えれば、大抵親切にしてくれると周囲のうさぎたちは語っている。
白馬 (はくば)
エピソード「オオカミのボスはうさぎ」に登場する。オスのウマで、森の中で暮らしている。美しい毛並みや雄々しい体軀を誇ることからコムギ子に一目ぼれされ、彼女の心の中で「白馬の王子様」と名づけられる。そして、ボスから助言を受けた彼女に声をかけられ、その飾らない性格に好感を抱く。しかし、その最中に白馬と同じ毛並みを持つ美しいメスのウマが現れると、恋愛相手がすでにいると勘違いしたコムギ子に逃げられてしまう。なお、メスのウマは白馬の妹なのだが、コムギ子がそれを知ることはなかった。
ひとみ
エピソード「うさぎと合コン」に登場する。きなこもちと同じ職場で、アルバイトとして働いている人間の女性。美容や身だしなみに気を遣っており、髪も高級なシャンプーを惜しまず使ってセットしている。趣味は料理で、肉じゃがを得意料理としている。スタイルにコンプレックスを抱いており、ふくよかな体軀を持つきなこもちを羨ましがっている。合同コンパに参加した時はタクヤに目をつけ、なんとかして彼に気に入られようとするが、タクヤをはじめとする男性陣の注目は、きなこもちに注がれて惨めな気持ちとなる。結局最後までタクヤは振り向くことなく、合同コンパが終わったあとはすっかり意気消沈していた。しかし、そこできなこもちが合同コンパに同行した理由が、ひとみとなかよくなりたかったためと聞かされ、潔く自分の視野の狭さを認識する。
タクヤ
エピソード「うさぎと合コン」に登場する。きなこもちやひとみの合同コンパに参加した、人間の青年。男性陣の中では比較的整った容姿で、性格も温和であることからひとみに気に入られる。変わったものを好む傾向があり、きなこもちの言動に興味を持つが、このことがひとみに強い敗北感を与えるきっかけとなる。ただし、ひとみに対しても髪の毛を褒めるなど、女性に興味がないわけではない。
二階堂 モコモコ (にかいどう もこもこ)
エピソード「新入社員はうさぎ」に登場する。見吉大悟の勤める会社に新しく入社したオスのうさぎ。名家出身の帰国子女で、名門校として有名な「T大学」を卒業している。人間の言葉を理解できるうえに、パソコンの扱いや社会の常識も心得ている。入社当初は、人間の言葉をしゃべれることを見吉以外には秘密にしていたが、ライバルの耳小路たれまろや白鳥エルメスが現れたことで公にする。幼い頃から甘やかされて育ち、二階堂モコモコ自身の能力も高いことから挫折を知らずに過ごしてきた。妹の二階堂ふわふわからも慕われている。たれまろとはライバル意識を抱き合い、会社でも仲が悪かったが、見吉に仲裁される形で互いに歩み寄る。プライドが高く、思ったことははっきりというタイプで、当初は教育係として就任した見吉とは折り合いが悪かった。しかし嫌っているわけではなく、職場を共にするにつれて、彼の性格を高く評価するようになる。また、彼と漫才をすることを好み、彼のツッコむ姿が好きだと公言している。愛らしい外見で人間たちからはつねにちやほやされており、通勤中は満員電車であるにもかかわらず席を譲られることも多い。ほかの会社の顧客からも好感を持たれ、大口の契約をいくつも締結している。入社して1年経った頃には、上司から直々に道明寺ぽこの教育を依頼されたり、うさぎだけが参加するリモート会議を立ち上げたりと、会社からの信頼も厚い。
遠ヶ峰 (とおがみね)
エピソード「新入社員はうさぎ」に登場する。見吉大悟の勤める会社で営業職として働いている人間の女性。ポジティブ思考の持ち主で、女子会社員としての生活を心底楽しんでいる。うさぎが大好きで、二階堂モコモコや白鳥エルメスを見るなり即座に気に入る。つねに笑顔を絶やさず、柔らかい物腰から会社の中でも高い人気を誇る。しかし、見吉やモコモコ以外には容赦のない性格で、笑顔のまま辛辣な言葉を吐く。また、権力になびくことを嫌っており、西園寺ぷうすけから西園寺カンパニーに来ないかと誘われた時は、全身の毛を刈り取ると脅し、見吉やモコモコに恐怖感を植え付けた。同じ部署であることから見吉と、モコモコや耳小路たれまろの交流を直に見ることが多く、さまざまなうさぎに好かれる見吉を見て楽しんでいる。そして、素直じゃないながらもしっかりとうさぎたちの面倒を見る姿勢を見て、うさぎに好かれる資質を持っていることをあらためて認識する。ただしマイペースな性格は相変わらずで、見吉から思いを寄せられていることにもまったく気づいていない。
耳小路 たれまろ (みみのこうじ たれまろ)
エピソード「新入社員はうさぎ」に登場する。見吉大悟が勤める会社で働いている新入社員のオスのうさぎ。「ロップイヤー」と呼ばれる種別で、大きな耳と糸のように細い眼が特徴。営業部の同期である二階堂モコモコとは旧知の間柄で、愛らしい外見に加えて高貴な家の出身であることから、学生時代は人間の女性から高い人気を得ていた。モコモコとは違い、うさぎや人間を問わず穏やかな物腰で接することから、見吉からはモコモコよりまともなうさぎだと思われていた。しかし、実際は悲観的な腹黒い性格で、飼い主にいいところを見せないと捨てられると思い込んでいる。出世して飼い主に自分の優秀さをアピールしようと考え、モコモコの締結した契約書をひそかに奪おうとしていた。しかし、モコモコからはあらかじめ警戒されており、彼の忠告を受けた見吉と共に現場を抑えられ、観念する。そして、見吉から諭されたことで彼を尊敬するようになり、モコモコとも和解した。それからは腹黒さが鳴りを潜め、礼儀正しいうさぎへと変貌を遂げる。のちに受付の白鳥エルメスに好意を寄せ、モコモコや見吉に相談するが、エルメスは三人が思う以上にガードが固く、まったく相手にされなかった。
白鳥 エルメス (しらとり えるめす)
エピソード「新入社員はうさぎ」に登場する。見吉大悟の勤める会社に新しく入社したメスのうさぎ。「フレミッシュジャイアント」と呼ばれる種別で、二階堂モコモコの3倍以上の全長と10キロ以上の体重を誇る。若さとかわいらしさを買われて受付嬢として会社にスカウトされ、会社の人間とうさぎの両方からアイドルのような扱いを受けている。生真面目な性格で受付の仕事も真摯に取り組んでおり、見吉や耳小路たれまろが声をかけた時も、「仕事中なので」の一言であっさりと追い払ってしまう。また、モコモコが企画したリモート会議では、たれまろや道明寺ぽこと共に参加し、不在だった見吉の代わりにモコモコたちにツッコミを入れていた。恥ずかしがり屋な一面もあり、シャイニング・ウィークエンドの最中に牧草バーで食事をした時は、顔を真っ赤にしながら給水ボトルをうまく使えないことを告白した。
受付嬢 (うけつけじょう)
エピソード「新入社員はうさぎ」に登場する。見吉大悟の勤める会社で、受付嬢をしている人間の女性。二階堂モコモコが美人と認めるほどの容姿を誇り、同僚の白鳥エルメスに並ぶ人気を集めている。一方で、性格は遠ヶ峰に匹敵するほどシビアで、エルメスにあしらわれる見吉の姿を見て嘲笑していた。受付嬢は若さとかわいらしさがなければ務まらないと考えており、エルメスのことを高く評価している。耳小路たれまろがエルメスに思いを寄せていることを見吉から聞かされた際は、たれまろを応援する姿勢を見せ、見吉にエルメスのプロフィールを教える。二階堂ふわふわがエルメスを訪ねた際も同行し、ふわふわによる受付嬢のまね事を見届けるが、彼女が途中で眠ったことから「なめてるなー」と辛辣なコメントを残す。
西園寺 ぷうすけ (さいおんじ ぷうすけ)
エピソード「新入社員はうさぎ」に登場する。見吉大悟の勤める会社と共同プロジェクトを進めている一流企業「西園寺カンパニー」の社長を務めているオスのうさぎ。種別は「ライオンラビット」で、年齢は2歳。語学が堪能で、日本語を含めた七か国語をあやつる。しかし、うさぎの口では日本語しか発音することができず、ほかの国の言葉は通訳のマツハシに任せている。幼いながら大会社の社長としてのプライドを持ち、同じくプライドの高い二階堂モコモコに敵意を向けている。アポイントメントを取ることなく強引に会社に押しかけ、一社員に過ぎない見吉やモコモコに対して、唐突に会社の買収を持ち掛ける。さらに遠ヶ峰に一目ぼれして、彼女を引き抜くことを宣言し、見吉を大いに驚かせる。しかし、現在の会社を気に入っている遠ヶ峰から、「毛深い男はタイプじゃないので、全身の毛を刈り取ったら考えてもいい」と脅され、恐怖のあまり逃げ出してしまう。
マツハシ
エピソード「新入社員はうさぎ」に登場する。見吉大悟の勤める会社と共同プロジェクトを進めている一流企業「西園寺カンパニー」で通訳を務めている人間の女性。語学が堪能であることはもちろん、コミュニケーション能力が高く、二階堂モコモコからは見吉以上のツッコミの才能を持つ人間として注目されている。また、買収を持ち掛ける際になぜか照れるなど、ふつうの人間やうさぎとズレた思考回路を持つ。西園寺ぷうすけには基本的に忠実だが、彼からモコモコに宣戦布告をするように命じられた時は「うさぎの分際で何ができる」と発言し、ぷうすけにも精神的ダメージを与えてしまう。
二階堂 ふわふわ (にかいどう ふわふわ)
エピソード「新入社員はうさぎ」に登場する。良家出身のメスのうさぎで、二階堂モコモコの妹にあたる。かわいい外見で、その容姿はうさぎ好きの遠ヶ峰からはもちろん、比較的見る目に厳しい見吉大悟からもかわいいと評されるほど。世間知らずの箱入り娘で、両親から非常に甘やかされている。モコモコが厳しい社会で生きている姿を目の当たりにし、彼に尊敬のまなざしを向ける。モコモコから見吉のことは聞かされていたが、その話はかなり脚色されており、彼のことをモコモコを運搬する係であると誤解していた。ある日、モコモコが家に置き忘れたお弁当を届けるために会社を訪れ、モコモコたちの仕事ぶりを見学することになる。そして、遠ヶ峰からシュレッダーの仕事を任されると、渡された紙を食いちぎり、結果的に仕事をみごとにやり遂げる。これに気をよくして、将来はモコモコと同じ会社で働くことを志すようになる。さらに、遠ヶ峰の勧めで受付の仕事を体験し、白鳥エルメスにあこがれを抱くものの、仕事の途中で寝たため、受付嬢から苦言を呈されてしまう。
道明寺 ぽこ (どうみょうじ ぽこ)
エピソード「新入社員はうさぎ」に登場する。見吉大悟が勤める会社で働いている新入社員のオスのうさぎ。「ミニレッキス」と呼ばれる種別で、触り心地がいいことから、遠ヶ峰はもちろん見吉からも好印象を抱かれている。その様子を見ていた二階堂モコモコからは、当初は軽い嫉妬を向けられていたが、体をすり寄せて毛触りを感じさせると、一転して彼からも気に入られる。まじめな性格で礼儀正しく、教育係を務めることになったモコモコの指導をしっかりと聞き、着実に仕事を学んでいく。見吉からツッコミを入れられることもあるが、忠実に仕事をこなすため、教育したモコモコも含めて高く評価されている。
助手くん (じょしゅくん)
エピソード「名探偵ウサーロップ・ホームズ」「怪盗ラパン」に登場する。ウサーロップ・ホームズの助手を務める人間の少年。札型警部の部下を兼任し、彼からは「部下くん」と呼ばれている。ただし、ウサーロップと札型警部からは、それぞれ別な仕事をしていることを知られていない。生活のみならず、性格も二面性を持つ。ウサーロップのことは純粋に尊敬し、彼の推理やうさぎならではの解決法で事件を解決する様子を見て素直に感心している。一方、札型警部に対してはどこか人を食ったような態度で接することが多く、そのたびにツッコミを入れられている。また、札型警部がラパンとの追跡劇を楽しんでいることに気づいており、その協力を惜しまないなど、ぞんざいに扱っているわけではない。のちにウサーロップと札型警部を引き合わせて、二人が協力して怪盗ラパンのアジトを突き止めるきっかけをつくるが、その際に怪盗ラパンの弟子になっていたことを暴露し、二人を驚かせる。
札型警部 (さつがたけいぶ)
エピソード「怪盗ラパン」に登場する。警察官を務めているオスの犬。怪盗ラパンの暗躍を問題視しており、彼を捕まえるために躍起になっている。「部下くん」と呼ばれる少年と共に捜索しているが、札型警部自身は彼がウサーロップ・ホームズのもとで働いている助手くんであることを知らない。怪盗ラパンの窃盗目的が、かつて不当に奪われた元の持ち主に返すためであることを知っており、そのことに理解を示しているが罪は罪ということで、いつか彼の行いを止めさせようと考えている。しかし、怪盗ラパンを追いかける際に生き生きした姿を見せたり、怪盗ラパンから予告状が届いたことをひそかに喜んだりしている。部下くんからはどこか軽んじられている様子で、彼から「ワンワン警部」と呼ばれることもある。
鳥さん (とりさん)
エピソード「世界うさぎ話」に登場する。うさみみずきんちゃんと仲のいいメスの小鳥。まじめな性格で、うさみみずきんちゃんの突拍子のない言動を受け、ツッコミを入れて彼女を正そうとするが、ほとんど相手にされていない。うさみみずきんちゃんがおばあちゃんのお見舞いを頼まれると、彼女が持たされたにんじんを食べないように見張っていたが、いきなり「おばあちゃんって美味しいかな」と尋ねられ、大いにうろたえる。それでもなんとかおばあちゃんの家へとたどり着くが、大きなオオカミがおばあちゃんに成りすましていた事実が判明してからもお見舞いのことしか考えておらず、大きなオオカミからは致命的に融通の利かない性格であると指摘されてしまう。
大きなオオカミ (おおきなおおかみ)
エピソード「世界うさぎ話」に登場する。巨大なオスのオオカミで、目つきが非常に悪い。うさぎを丸呑みにできるほど口が大きく、シイタケと同様に、左目の辺りに十字型の傷を持つ。うさみみずきんちゃんと鳥さんが、おばあちゃんの家にお見舞いに行くことを聞きつけ、先回りしておばあちゃんの家に侵入する。そして、おばあちゃんを丸呑みにして彼女に成りすまし、うさみみずきんちゃんたちも食べようとする。しかし、家に着いたうさみみずきんちゃんから、うさぎらしくない外見について約1時間にわたってダメ出しを受け続け、精神的に疲弊する。その結果、しびれを切らせて二人を襲おうとするが、体内から丸のみにしたはずのおばあちゃんが現れて、混乱する。さらに、うさみみずきんちゃんが大きなオオカミをおばあちゃんの分身だと思い込んだ挙句、しっかり者の鳥さんが、この期に及んでお見舞いのことしか考えてなかったと知り、彼女たちの行動にツッコミを入れ続ける羽目に陥る。
おばあちゃん
エピソード「世界うさぎ話」に登場する。白い体毛を持つメスのうさぎで、うさみみずきんちゃんの祖母にあたる。体調を崩して家で療養していたが、押し込んで来た大きなオオカミに丸呑みにされてしまう。しかし、肉体にはなんの問題もなく、大きなオオカミの体内はうさぎにとって居心地がいいことが判明し、しばらくのあいだ、その中でくつろいでいた。そんな中、お見舞いにやって来たうさみみずきんちゃんが大きなオオカミに襲われた際、体の中から飛び出して大きなオオカミを驚かせる。
花村 さくら (はなむら さくら)
エピソード「花村さん家の長男」に登場する。花村みみやまたれぞうを飼育している花村家の一人娘。みみやまたれぞうが花村家に来てから生まれた赤ちゃんで、彼からは妹と認識されている。みみやまたれぞうには過保護気味に接されており、花村さくら自身もかわいらしいうさぎの彼を大いに気に入り、いっしょに遊んでいる。やがて、一人で立つことができるようになり、みみやまたれぞうからはコンプレックスを抱かれてしまう。
ニンジン丸 (にんじんまる)
エピソード「うさぎ忍者ニンジン丸」に登場する。白い体毛を持つオスのうさぎで、兎賀の里で忍者の修行を積んでいる。うさぎ忍法の使い手で、体術にも精通しているなど、忍者としてずば抜けた才能を誇る。しかし修行中に居眠りをしたり、大事な話をしてる最中に空返事を繰り返したりと、やる気のない不真面目な性格であることから、お師匠さまからは若干不安視されている。誰に対しても遠慮せず、時に横柄といえる態度を見せることもあるが、ニンジン丸本人にはまったく悪気はなく、他者の失敗にも寛容なところがある。また、大人の女性に対しては比較的素直な態度を見せる。東京ドームを実際に見たことがないにもかかわらず、建物や敷地の広さを測る際に「東京ドーム何個分」という言葉を好んで使う。修行の仕上げとして、那須野九里を護衛するように言い渡され、人間の住む街に赴く。護衛中もいい加減な姿勢のままで、人前でしゃべらないようにと念を押された矢先に、他人に流されたくないという理由で九里の母親としゃべったりして、九里に迷惑をかけることが多い。ただし、九里の関係者からは、言葉をしゃべることも含めてすんなりと受け入れられているなど、その愛らしい外見から、九里の母親をはじめとする人間の女性から人気を集めている。のちに、ニンジン丸をライバル視するチンゲン斎との対決を余儀なくされたり、ミョーガから父親の仇として付け狙われたりと災難に見舞われる。なお、子供の頃のことをあまり覚えておらず、チンゲン斎やミョーガが戦いを挑んできた際は、彼らが知り合いだったことをすっかり忘れていた。
お師匠さま (おししょうさま)
エピソード「うさぎ忍者ニンジン丸」に登場する。黒い体毛を持つオスのうさぎで、兎賀の里で暮らしている。ニンジン丸の忍術の師匠で、彼の潜在能力を高く評価している。一方で、修行に対して不真面目であることや、おせっかいである点を問題視しており、最終試験で那須野九里の護衛を任せた時も、若干不安視していた。ただし、護衛対象である九里の詳細を書いた巻物が、到底探すことができないほど適当なものだったりと、お師匠さま自身も抜けているところがある。未婚のために家事が苦手で、ニンジン丸からは早くお嫁さんをもらうように勧められている。
那須野 九里 (なすの きゅうり)
エピソード「うさぎ忍者ニンジン丸」に登場する。兎賀の里付近の人間の街で暮らしている少年。兎賀の里から代々護衛対象とされている那須野家の一人息子で、ニンジン丸の最終試験として彼から護衛されることになる。生命線が短く死相も出ており、よく転んで出血するなど、度を超えた不幸体質の持ち主。自分が地味であることを自覚しており、つねにかけている眼鏡を数少ないアイデンティティの一つと考えている。不意に現れたニンジン丸から、自分を守ると告げられると、うさぎが言葉をしゃべったことに困惑する。さらに遠慮のない物言いに加えて、地味であるというコンプレックスを刺激されたせいで、ニンジン丸を快く思っていなかった。また、騒ぎにならないよう、ほかの人たちとはしゃべらないように言い聞かせるが、九里の母親の前であっさりしゃべりかけてしまう。しかし九里の母親が、そのことをなんの疑問もなく受け入れていたため、単に自分に協調性がないだけなのかと落ち込む。護衛の際にニンジン丸から、兎隠の里から刺客がやって来ることを告げられるが、特にそんな様子は見られず、ニンジン丸の世話をするうちに、やがて彼を護衛ではなくペットのように考えるようになる。そして、互いに態度を軟化させてなかよくなる。のちに兎隠の里から刺客のチンゲン斎が襲撃してくるが、ニンジン丸の活躍によって阻止される。
九里の母親 (きゅうりのははおや)
エピソード「うさぎ忍者ニンジン丸」に登場する。兎賀の里付近の人間の街で暮らしている女性。非常に明るい性格で、息子の那須野九里のリアクションが昭和的であることを突っ込むなど、ちゃめっ気がある。当初、ニンジン丸のことをかわいいぬいぐるみと認識しており、ニンジン丸自らしゃべり出したために、ぬいぐるみでない事実を知らされるが、「かわいいからOK」と彼をあっさり受け入れる。さらに家にいることも許可し、九里を拍子抜けさせてしまう。なお、九里の母親であることから、ニンジン丸には「ママどの」と呼ばれるようになる。
チンゲン斎 (ちんげんさい)
エピソード「うさぎ忍者ニンジン丸」に登場する。黒い体毛を持つオスのうさぎで、兎隠の里で忍者の修行を積んでいる。ニンジン丸とは幼い頃からの知り合いで、どれだけ努力しても勝てなかったことから、コンプレックスとライバル心を抱き、彼を上回る忍者になって見返すために修行を積んでいる。そして最終試験では、那須野九里の暗殺と彼の護衛であるニンジン丸を倒すことを命じられる。この任務をニンジン丸を超える絶好のチャンスだととらえ、意気揚々と九里の通う学校へと赴き、ニンジン丸に戦いを挑む。しかし、ニンジン丸から過去のことはおろか、チンゲン斎自身のことすらまったく覚えていなかったと聞かされ、精神ダメージを負って戦闘不能となる。それからも彼を超えることをあきらめなかったが、九里の家に攻め入った時はニンジン丸の仕掛けた罠に引っかかるなど、まったく成果を挙げられずにいる。
ミョーガ
エピソード「うさぎ忍者ニンジン丸」に登場する。茶色の体毛を持つメスのうさぎ。思い込みが激しく想像力が豊かなことから、思い出を捏造する悪癖を持つ。修行仲間だったニンジン丸に父親を殺害されたと思い込んでいるが、実際は忍者を引退し、人間の飼い主のもとで隠居をしている。ある日、覆面をかぶって那須野九里の家に押し入り、父親の弔いと称してニンジン丸に決闘を挑む。ニンジン丸からはミョーガの存在そのものを忘れられており、仇と思われることに一向に心当たりがなかったために困惑されるものの、構わず戦いを続ける。そんな中、ミョーガのことを思い出したニンジン丸から父親が隠居している事実を聞かされると、自分の思い込みに羞恥しながらもつき物が落ちたかのように温和になり、彼に謝罪する。
姫子 (ひめこ)
エピソード「彼女は姫子ちゃんに恋をしている」に登場する。「私」と同じ高校に通っているメスのうさぎで、種別は「オレンジネザー」。明るく強気な性格で、教師にも面と向かって反論する度胸を持つ。その一方で、首元にご飯粒を付けたまま学校に来るなど、おっちょこちょいな一面がある。学校内でよく行動を共にしている「私」から思いを寄せられている。ある時「私」とデートに赴き、そこで互いの気持ちを伝え合うことで両思いとなる。なお、デート中に立ち寄った映画館は動物の立ち入りが禁止されていたが、ぬいぐるみのふりをしてこれを乗り切る。
うさ野さん (うさのさん)
エピソード「うさぎ編集者うさ野さん」に登場する。うさぎ飼いちゃんの担当編集を務めている性別不明のうさぎ。うさぎでありながらスケジュール管理を完璧にこなす敏腕編集者。だが、うさぎ飼いちゃんに原稿1ページを完成させるのにどれくらいかかるか聞き、彼女が「調子のいい時は一日に5ページは描ける」と答えると、それなら単純計算で1か月に150ページ描けるだろうと言い放つなど、無責任な一面がある。撫でられるのが大好きで、手を差し伸べられると、すぐに飛び込んでしまう癖がある。また、体を撫でるだけで手の疲れが取れるほど毛なみがよい。
だんなさま
エピソード「うさぎメイドさん」に登場する。オスの猫で、広い屋敷に住んでいる。もともと一人で暮らしていたが、味気なさを感じてもっぷちゃんをメイドとして雇い入れる。当初は彼女に家事を任せようとするが、もっぷちゃんが度を超えて天然なことを知り、彼女から目を離せなくなる。だが、彼女なりに一生懸命に働く姿を見ることを楽しみにしており、後始末に追われながらもほほ笑ましく見守っている。のちに、もっぷちゃんがメイドに向いていないから辞めようとした時は、彼女なりによくやっていることを認めて、これからも自分に仕えてほしいと頼み込む。
ちーちく
エピソード「うさぎ飼いうさぎになるの巻」に登場する。ママに飼育されている、オスのうさぎ。愛らしい外見で、名前を呼ぶとすぐにママのもとに走ってくるなど仕草もかわいいため、ママからは溺愛されている。しかし、ママがうさぎになって会話できるようになると、その外見とは裏腹に若干生意気な性格で、ママのことを飼い主ではなく、召使いと認識している事実が判明する。ママからうさぎでいることが思いのほか快適であると聞かされるが、うさぎにはうさぎの苦労があると語り、互いに理解を深めていく。なお、名前の由来はママが好きなおつまみの「ちーちく」から取ったものだが、ママがうさぎになってからもその由来を聞かされることはなかった。
集団・組織
サルの部族 (さるのぶぞく)
ボスやコマツナ、バナナが漂流した際に流れ着いた島の密林に生息しているサルの一団。ブラックペッパーやマヨマヨなどが所属している。副部族長は下克上を起こしたがる悪癖があり、実際にかつての部族長が彼の凶刃にかかって命を落としてしまう。その後、副部族長が新たな部族長になることを拒否し、よりによってボスを新しい部族長に据えようとしたため、それを阻止するべくコマツナやバナナが乗り込んで来たが、ボスの仲裁によってトラブルは回避された。さらに、副部族長とブラックペッパー、マヨマヨがバナナトールを入手するためにボスと協力したことで、それぞれ精神的に大きく成長する。
場所
牧草バー (ぼくそうばー)
二階堂モコモコが行きつけにしているバー。うさぎ向けのバーながら、人間の入店が禁止されているわけではない。名前どおり、牧草を主に扱っており、アルファルファやオーツヘイ、イタリアンライグラス、チモシーなど、メニューは多岐にわたる。また給水ボトルと呼ばれる、うさぎ用のボトルから飲み物を飲むことができる。シャイニング・ウィークエンドでは、モコモコと耳小路たれまろの誘いで食事会が開かれ、見吉大悟や遠ヶ峰、白鳥エルメスが参加し、食事や談笑を楽しんだ。なお、食事代は遠ヶ峰の提案から見吉大悟のおごりとなってしまう。
兎賀の里 (とがのさと)
那須野九里の住んでいる町の近くにある、うさぎの集落。江戸時代から長きにわたって栄え、忍者の育成に力を入れている。ニンジン丸やお師匠さまなど、多くのすぐれた忍者を輩出している。九里の祖先と主従の契約を結んでおり、現在では表立ってかかわることはなくなったものの、一人前の忍者になるための試験として、那須野家の人間を護衛するという伝統があり、現在でも続いている。なお、ニンジン丸は実際に試験を受け、九里を護衛する任務に就いたが、九里や九里の母親は、先祖と兎賀の里のうさぎたちの因縁をまったく知らされていなかった。
兎隠の里 (うさぎがくれのさと)
兎賀の里とライバル関係にある、うさぎの集落。兎賀の里が他者の護衛を主な任務としているのに対し、兎隠の里で育った忍者は標的の暗殺を命じられることが多い。兎隠の里で修行をしていたチンゲン斎は、一人前の忍者になるための最終試験で、那須野九里の暗殺を命じられるが、これは暗殺以外に、兎賀の里の忍者であるニンジン丸が九里の護衛を担っているためで、兎賀の里の任務の妨害を兼ねたものである。ニンジン丸をライバル視するチンゲン斎にとってはまさに渡りに船で、彼は嬉々としてニンジン丸への挑戦に赴く。なお、九里は正しい読み方を知らず、ニンジン丸が兎賀(とが)の里の出身であることから「とがくれのさと」と誤読していた。
その他キーワード
バナナトール
サルの部族に伝わる特別な果実。甘みが強いうえに食べても太らず、さらに歯にもいいということから、いつか味わってみたいと考えているサルが多い。サルの部族たちが暮らす島の奥地にあるという神殿に祀られているとされているが、神殿までの道は非常に険しいうえに、スフィンクスによって守られているため、実際に確かめたサルはいない。なお、副部族長がバナナの名前を知った際は、バナナトールとの関連性を疑い、大いに驚いていた。
うさぎ・ハラスメント
うさぎであることを理由に、受けやすいとされるハラスメント。最たる例は「うさぎはにんじんが好きに違いない」という思い込みであり、実際に見吉大悟が家族からもらったにんじんを嬉々として二階堂モコモコや耳小路たれまろ、白鳥エルメスに配ったところ、エルメスからうさぎへの偏見を指摘されたうえ、三匹からうさぎ・ハラスメントを言い渡されることとなった。しかし見吉には悪気はないことを知ると、エルメスたちは素直に受け取ったにんじんを食べ始めたため、見吉のうさぎ・ハラスメントの容疑は撤回された。
シャイニング・ウィークエンド
見吉大悟が通う会社で採用されている制度。月の最後の週末、仕事を早めに切り上げて個人消費に時間を当てることを推進するキャンペーンで、人間、うさぎの両方が対象となっている。二階堂モコモコや耳小路たれまろはシャイニング・ウィークエンドの訪れを楽しみにしており、無農薬野菜の店を巡ったり、食事を楽しんだりと、自由気ままな時間を過ごしている。また、見吉や遠ヶ峰を牧草バーに誘った時は、彼らに加えて白鳥エルメスも同行したために、大いに盛り上がった。
うさぎ忍法 (うさぎにんぽう)
兎賀の里および兎隠の里で、修行を積んだうさぎが使用する特殊能力。ギザギザに切ったにんじんを投げる「にんじん手裏剣」や、マッチを擦って火を起こす「かとんの術」、小麦粉をこねてすいとんの材料を作る「すいとんの術」などがあるが、いずれも隠密行動や戦闘の役には立たず、初めてうさぎ忍法を目の当たりにした那須野九里は、その有用性を疑問視している。その一方で、うさぎ忍者は体術に優れた者が多く、中でもニンジン丸は脚力を生かしたキック攻撃や体当たりなどで襲い掛かる敵を撃退する。
スフィスフィビーム
スフィンクスが目から放つ光線。スフィンクスが出題したクイズに間違えた相手に対して、罰ゲームとして発動する。スフィンクスの意志次第で自由に威力を調節することが可能だが、スフィンクスが「みねうち」と称するように調節しても、コマツナが黒焦げになるほどの威力を持つ。なお、マヨマヨを含めた数人がクイズに不正解だった時は、スフィンクスの「女性には手加減をする」という姿勢から、ほとんど被害を受けることはなかった。
書誌情報
うさぎは正義 全13巻 フロンティアワークス〈リラクトコミックス Hugピクシブシリーズ〉
第12巻
(2022-10-15発行、 978-4866576015)
第13巻
(2023-07-14発行、 978-4866576602)