うらたろう

うらたろう

余命1年の平千代と、死を望む不老不死の温羅太郎という対照的な2人が、お互いの望みを叶えるため、黄泉比良坂を目指す姿を描いた伝奇物語。「週刊ヤングジャンプ」2016年35号から2017年44号まで連載された作品。

正式名称
うらたろう
ふりがな
うらたろう
作者
ジャンル
怪談・伝奇
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概要・あらすじ

舞台は源平合戦で平氏が源氏に逆転勝利した末に迎えた鎌倉時代。余命1年という不治の病に侵された平氏の姫・平千代は、800年以上生きていると言い伝えられる、不死身の鬼人・温羅太郎に会うため、家来の景清ジイとともに旅に出る。しかし、遂に出会うことのできた温羅太郎は、自身の人生に悲観して、死ねないにも関わらず、自殺を繰り返す日々を送っており、千代の病を治すことができないと語る。

「生きたい」と願う千代、そして「死にたい」と願う温羅太郎。対照的な願いを持つ2人は、互いに願いを叶えるために、死者は蘇り、生者は死者の国へといくことができる、と言い伝えられる黄泉比良坂を目指して旅立つ。

登場人物・キャラクター

平 千代 (たいらの ちよ)

平氏の15歳の姫君。曽祖父は平氏の祖を作った平清盛。黒いおかっぱ頭で、頭頂部ともみあげに髪飾りを付けており、膝上丈のワンピースの上から、丈の長いパーカーを羽織っている。14歳まで叔父の藤原秀衡に、何不自由なく育てられてきた。14歳の誕生日に、母親の建春門院新大納言から「あなたは16歳で必ず死ぬ」と告げられ、このまま何不自由ない暮らしをしながら死をただ待つか、外界へ出て死の運命を打破するために苦難の旅へと出るか、の選択を迫られる。 生きて欲しいという母親の想いを受け、生きて帰ってくることを誓って、幼い頃から傍に仕えてくれていた景清ジイをおともに連れて外界へ旅立った。その後、800年も生き続けているという鬼人・温羅太郎のもとを訪ね、ともに黄泉比良坂を目指して旅をすることになる。 明るく活発な性格のため、温羅太郎を振り回して困らせてしまうこともしばしば。大食漢で大好物は肉。

温羅太郎 (うらたろう)

不死身の鬼人。長くて白い髪で、大きくてギョロリとした目をしており、体中に刺青が入っている。800年以上生きているといわれ、出羽山の山奥で下界とは隔絶した生活をしていた。体をバラバラに切り刻まれても死ぬことはなく、頭だけになっても会話をすることができる。また足が速く、一瞬で何里も駆け抜けることが可能。何度も自殺を試みても死ぬことができない自身の身体に悲観していた。 平千代と出会って、死者は蘇り、生者は死者の国へといくことができる、と伝えられる黄泉比良坂に可能性を見出す。そこで、千代の旅に同行することになる。覇気がなく、何事にも悲観的な考え方をしていたが、旅を続けるにつれて、千代に情が移っていく。

安徳天皇 (あんとくてんのう)

第81代天皇。14歳の不老不死の少女。長い白髪で、着物を着ている。両目の眉上、目の下から頬にかけてと、鎖骨の真ん中に刺青が入っている。高飛車で気分屋な性格。天皇として過ごす日常のあまりの退屈さに嫌気がさし、家来に内緒で、側近の平教経を護衛に連れて外出している。外出先で偶然に平千代たちの一行に出会い、「何となく」という理由で、教経を温羅太郎と戦わせた。 その際、温羅太郎が自身と同じ不死身の身体を持っていることを知って興味を抱き、千代たちの黄泉比良坂への旅に同行する。実在の人物、安徳天皇がモデル。

平 教経 (たいらの のりつね)

平氏の武士の男性。長い黒髪で、背が高く、白目と黒目が反転している。黒装束にマントを身にまとい、身の丈以上もある長さの刀を手に持っている。源氏最強といわれていた豪傑・源九郎義経を源平合戦で討ち取った天下一の武将。安徳天皇の傍に仕えて、身辺の護衛をしている。寡黙でおとなしい性格をしており、安徳天皇の命令に従順で、彼女のためならどんな命令でも遂行する。 実在の人物、平教経がモデル。

景清ジイ (かげきよじい)

平氏に仕えている武士の男性。前髪から頭頂部までの毛髪がなく、大柄で袈裟を身にまとい、錫杖を手に持っている。平千代が生まれる前から現在に至るまで平氏に仕えており、平千代が幼い頃から、お世話係として身辺の護衛をしてきた。千代が16歳で死んでしまうという運命を打破するために旅に出る際にお供し、千代を守りながら旅を続けてきた。 道中で一本ダタラに下半身を食いちぎられて、命を落としてしまう。しかし、千代への想いが強いため、肉体を失っても地縛霊として魂のみ地上に残り、人魂の姿となって千代との旅を続ける。趣味は筋トレという筋肉バカで、千代からは「じい」と呼ばれている。

源九郎義経

源氏の末裔の男性。黒くて短い髪で無精ひげを生やし、ボロボロの着物を着ている。首に数珠をぶら下げ、左目の下に傷跡がある。琵琶法師として日本中を旅して回っていて、明るく気分屋な性格。白河関の近くにある村で平千代たちと出会う。沼御前が出るため足止めをくらっている千代たちに、沼御前を退治するための毒酒の材料である茅をプレゼントした。 その後も、旅の道中で千代たちと出会っては何かと気にかけているが、鬱陶しがられて適当にあしらわれている。実は剣の達人で、手にする琵琶には刀が仕込まれており、一瞬で何人もの敵を切り刻むことができるほどの腕前の持ち主。実在の人物、源義経がモデル。

藤原 秀衡 (ふじわらの ひでひら)

平千代の叔父。左目を隠すように前髪を垂らしていて、顎の下にひげを生やし、着物を着ている。千代の育ての親で、父親代わりの役目を長く務めてきていた。それは千代が平氏の屋敷から出て行かないように、監視するためでもあった。千代が旅立ったことを後になって知り、家来の伏丸に千代を見つけて連れ帰って来るように命令する。独自に宋と密貿易をしていて、大陸の向こうに伝わる死霊魔術を会得。 死者に御札を張って自在に操ることができる。その他にも、金熊童子から授かった人間を金塊にする能力を有し、人間を金塊に変えて蒐集することを趣味としている。実在の人物、藤原秀衡がモデル。

伏丸 (ふせまる)

藤原秀衡に使えている妖怪の少年。黒髪で、半袖の着物を着て膝上の袴を穿き、草履を履いている。普段は少年の姿をしているが、手足が黒く、本来の姿は黒い狼のような獣。秀衡の命令に従順で、秀衡に仕事を達成したご褒美として、頭や顎、体を撫でられるのが大好き。本来の獣の姿の時は、素早い動きで対象を捕らえて食いちぎる戦い方を得意とする。 その素早さと獰猛さで温羅太郎の首を食いちぎり、秀衡が住んでいる奥州の最南端にある屋敷に持って帰って来た。その後、秀衡から平千代を連れ戻す命令を受ける。

建春門院新大納言 (けんしゅんもんいんしんだいなごん)

平千代の母親。長い黒髪で、前髪は目だけではなく、顔が隠れて見えなくなってしまうほどに長い。着物を着ている。娘の千代の14歳の誕生日に、千代が16歳までしか生きられないことを告げ、死の運命を打破するための旅へ赴かせるきっかけを作った。その後、千代が平氏の屋敷の中から、誰にも見つからないように出て行く手助けをした。そのことが、父親代わりに千代を育てていた藤原秀衡に知られてしまい、彼の能力で全身を金塊に変えられてしまった。 実在の人物、建春門院新大納言がモデル。

酒呑童子 (しゅてんどうじ)

鬼ヶ島の鬼たちの棟梁の男性。人間の何十倍もある大きな身体をしていて、目が3つあり、鋭い牙を持っている。平千代を奥州に閉じ込める使命を金熊童子に与えたが、作戦は失敗。その罰として、妖力で金熊童子を人間の姿に変えてしまった。金熊童子の姉の茨木童子とは夫婦で、彼ら四兄弟とは強い主従関係で結ばれている。片手で雷を作り出すことができるほどの妖力を持っているが、それでも全力ではなく、本来の妖力を取り戻すため、妖怪の王を復活させようと画策している。

金熊童子 (きんくまどうじ)

鬼ヶ島の鬼の少年。ボブヘアで、ランニングシャツの上から上下黒い服を身にまとう。人間の姿をしているが、本来の姿は長髪で黒い身体をした、頭部に角が生えた鬼。鬼たちの棟梁である酒呑童子から、平千代を奥州に閉じ込めておくよう命令されていた。しかし、千代を捕り逃がしてしまい、その罰として人間の姿に変えられてしまった。 四兄弟の中では一番ドジでノロマで、兄と姉からは「最弱」「最愚」「最鈍」と馬鹿にされている。

平 清盛 (たいらの きよもり)

平氏の祖を築いた男性。大柄で毛髪がなく、袈裟を着ている。位人臣を極め、平氏の世の中を作り、亡くなって何年も経つ今でも、伝説として語り継がれている。平千代の曾祖父。千代が意識を失って死の淵で彷徨っていた時に、鳥居の建てられた船に乗って千代の夢の中に現れ、千代のこれからの運命を暗示して消えていった。実在の人物、平清盛がモデル。

沼御前 (ぬまごぜん)

沼に棲んでいる妖怪。長い黒髪に髪飾りを付け、着物を着ている。見目麗しい若い女性の姿で、男性を魅了しては、本来の大蛇の姿に変身し、近づいて来た人間を食らう。白河関の近くにある村の側の沼に棲んでいて、村人からは「人食らう乙姫」と呼ばれて恐れられている。

一本ダタラ (いっぽんだたら)

出羽山に住んでいる妖怪。人間の何倍もの大きさの身体を持ち、体は毛むくじゃらで、一本足で両手は短い。小さな右目とは対照的に左目は大きく、猪のような鼻と牙を持っている。自身の住んでいる山奥の縄張りに侵入して来た人間を襲う。平千代たちに襲いかかり、身を呈して千代を守った景清ジイの下半身を食いちぎった。

場所

黄泉比良坂 (よもつひらさか)

出雲の国にある霊地。神話の時代から、この世とあの世をつなぐ霊地だ、と言い伝えられている。そこでは生きたまま死者の国へ行くことができたり、死者が蘇ったりするというような伝承が数多く存在する。この霊地へ行けば、不死になる方法や死ぬ方法が見つかるかもしれないと考え、平千代と温羅太郎は、黄泉比良坂を目指してともに旅することになった。

鬼ヶ島 (おにがしま)

鬼たちの棲んでいる島。日本列島のどこかに存在する島で、鬼たちの本陣。酒呑童子が棟梁をしていて、彼の側近として酒呑童子の妻の茨木童子、星熊童子、虎熊童子、金熊童子が仕えている。酒呑童子は、妖怪の王を復活させて本来の妖力を取り戻すために、日本列島に鬼や妖怪たちを差し向けている。

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